誰もが安心して歳を重ねられる社会へ:まごころケア食で創る未来
「誰もが安心して歳を重ねられる社会の実現」――。
人生100年時代といわれる現代、この理念を掲げ、食を通じて人々の健康な暮らしを支える企業がある。
株式会社シルバーライフは、高齢化社会における食の課題に挑戦を続けている。
健康的な食生活の維持が困難になりつつある現代社会。
管理栄養士による徹底した栄養設計、素材へのこだわり、そして長年研究され抜いた調理技術を駆使することで、「まごころケア食」は、手軽さと栄養バランスを両立した画期的な食のソリューションを実現してきた。
今回は、急速な高齢化という社会課題に挑戦し続ける「まごころケア食」の誕生秘話から、その独自の品質へのこだわり、そして未来への展望までを紐解いていく。
インタビュイー
島倉 咲氏
株式会社シルバーライフ
生産部 商品開発課 課長 管理栄養士
生産部 商品開発課 課長 管理栄養士
インタビュイー
田村 卓嗣氏
株式会社シルバーライフ
管理部 マーケティング課 課長
管理部 マーケティング課 課長
目次
築き上げた技術で食卓に安心を。「まごころ」と「ケア」に込めた想い
―――まずは、企業概要や提供サービスについて教えて下さい。
田村:2007年に創業した株式会社シルバーライフは、高齢者向け配食サービスのフランチャイズ本部の運営を主軸とし、フランチャイズ加盟店などへの調理済み食材の販売を行っています。 この事業を通じて培った製造技術やノウハウを生かし、冷凍弁当のEC販売や施設向け食材の販売にも事業を拡大しています。
現在、当社は東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、2024年7月末時点で売上規模は約135億円に達し、順調な成長を続けています。
冷凍弁当のEC販売では主に「まごころケア食」を展開しており、自社サイトを中心に大手ECモールにも積極的に出店し、多様なお客様のニーズに応える形で事業を拡大しています。
―――まごころケア食の開発に至ったきっかけや、誕生までの経緯をお聞かせください。
島倉:まごころケア食は、弊社が長年の配食サービス事業で培ってきた強みを最大限に生かして生み出されたサービスです。
配食サービス事業から生まれた数百種類におよぶ惣菜のレシピを活かし、お客様に飽きのこないメニューバラエティを提供することができると考えました。
また、配食サービスの事業で培った大量調理の技術により、安全で美味しい食事を、リーズナブルな価格でお客様に提供することも可能になりました。
―――「まごころケア食」という名前にはどのような意味や思いが込められているのでしょうか?
田村:「まごころ」という言葉は、配食サービス「まごころ弁当」で培ってきた商品開発のノウハウや、お客様への真摯な姿勢を受け継いだものです。 我々の原点である「心のこもったサービス」との想いをそのまま名前に込めました。
さらに、「ケア」という言葉には、ただ食事を提供するだけではなく、お客様一人ひとりの健康的な暮らしを支えたいという願いが込められています。 日々の食生活を丁寧にサポートし、心も体も満たしていくようなサービスでありたいと考えています。
「薄味でもおいしく」の追求は妥協しない!品質と美味しさを守る知恵
―――メニュー開発のプロセスの中でどのような点に注力されていますか?
島倉:メニュー開発にあたっては、管理栄養士が、「薄味でもおいしく」「食事として満足できる内容」の実現に注力しています。
多くの日本人が1日当たり10.1gを超える食塩を摂取している中*1、「まごころケア食」のメニューでは食塩相当量が1食あたり2.0g以下に抑えられているのです。
減塩では薄味に感じられてしまう可能性を配慮し、旨味や酸味を上手く取り入れることで「薄味でもおいしく」感じられるよう、レシピ開発には工夫を凝らしています。
また、メニューでは4種類の惣菜が組み合わされていますが、「こってりした主菜にはあっさりした副菜を組み合わせる」など、食べやすさにも配慮した献立作りを行っています。
メニュー開発では、まず、何を目的としたレシピなのかを企画し、その後、商品開発室で少量の試作をおこない、品質の確認をおこないます。
次に、大鍋やスチームコンベクションオーブンなどを使ったラインテストを実施し、大量調理を想定した調理工程の確認を行います。
その後、栄養計算をおこない、バランスの取れた献立の作成に取り組み、本製造に至るという流れです。
それぞれの段階で必要に応じて社内での承認を得ながら、各段階で徹底的な検証を重ね、お客様に満足していただける商品を生み出すべく、丁寧なプロセスを経ています。
―――サービス開始から、最も苦労されている課題についてお聞かせください。
島倉:まごころケア食を運営する上で、私たちが最も苦労している点は原料の安定供給です。
原料の調達は、自然災害や天候不順による不作、また国際的な情勢の影響で価格が高騰するなど、私たちの力ではどうにもならない外部要因に大きく左右されます。
例えば、大雨による野菜不作や漁獲量の減少などが起こると、原材料価格の高騰などを理由に使用していた食材を完全に変更せざるを得なくなります。
そうすると、これまで提供していた惣菜のバリエーションが減ってしまうという課題に直面します。
そのため、急いで代替できる原料を探したり、新たな惣菜の開発に取り組まなければなりません。
特に、毎月数トンものボリュームで使用する主要な原料が手に入らなくなると、大変な混乱を来たします。
加えて近年の食材高騰の影響もあり、「クオリティを落とさず価格も上げずに」対応することが大きな課題となっています。
この課題に立ち向かうために、常に食材の状況をリサーチすることが欠かせません。
「今年はこの食材の品質が良い」「今後はこの食材が使えそう」といった情報をもとに、献立の見直しを定期的におこなっています。
大量調理において、これまで使ったことがない食材を使うことには臆病になりがちですが、積極的に「この食材は使えるだろうか?」と検討し、チャレンジしていく精神が大切です。
「毎日」という価値を食卓へ。健康と簡単の両立で、明日の食を応援
―――高齢化社会の中で、どんな未来を描いていますか?また、まごころケア食が果たすべき役割とは何でしょうか?
島倉:多くの人々が「調理の手間をなくしたい」一方で、「でも健康的な食事がしたい」というニーズを抱えているのが現状です。
まごころケア食は、このニーズに応えるべく事業を展開しています。
簡単に調理できる冷凍弁当を提供しつつ、その中に十分な栄養を確保し、健康志向のニーズに応えることができる点が私たちの強みです。
企業理念にも掲げているとおり、私たちは誰もが安心して歳を重ねていける社会の実現を目指しています。
調理時間をかけずに済む食事の提供を通じて、皆様の健康維持に貢献していきたいです。
田村:私たちは、冷凍弁当が一過性のブームにとどまらず、健康的な食生活を支える定番商品として、社会の中で広く受け入れられる存在になると考えています。
自炊や食事準備の負担が増加する中、便利で栄養バランスの取れた冷凍弁当の需要は、今後ますます高まると予想されます。
忙しい現代社会において、どの年代の方々にも、手軽に健康的な食事を提供できる選択肢として「まごころケア食」が広く選ばれるよう、私たちは商品開発や広告宣伝に力を入れていきます。
―――利用者の声をどのようにサービスに反映していますか?
田村:お客様から頂いたご要望は、常に商品開発の貴重な参考とさせていただいています。
食の好みは人それぞれで異なりますので、すべてを一度に反映することは難しいですが、より美味しい商品をお届けするために、使用する食材や調味料の選定・調整を丁寧に行い、改良を重ねています。
また、定期的なリニューアルや新メニューの開発にも積極的に取り組んでいます。
まごころケア食は「ごちそう」を目指すのではなく、栄養バランスが良く、毎日食べても飽きない優しい味わいを実現することを目標としています。これにより、特別な日だけではなく、日常の食生活に自然と溶け込む存在でありたいと考えています。
外食や自炊と組み合わせながら、まごころケア食を気軽に取り入れていただけるよう、今後もお客様の声を丁寧に汲み取りながら、商品改善を進めてまいります。
世代を超えて広がる、健康という選択ー安心して歳を重ねられる未来へ
―――今後、サービスをどのように拡大・進化させていく予定ですか?
田村:まごころケア食は、業界でも最安値級の価格設定を実現しており、幅広い年代のお客様に気軽にお試しいただける商品です。
現在、多くのお客様にご支持いただいており、特に健康を気遣いながらも手軽さを求める方々に選ばれています。 どの世代の方にもご満足いただけるよう、バランスのとれた商品内容にこだわっています。 今後も、さまざまなライフスタイルやニーズに寄り添う形で、より多くの方々にご利用いただけるような取り組みを進めていきたいと考えています。
その上で、競合他社の参入が活発化しており知名度の向上が重要な課題となっています。 これに対応するため、さまざまな企画を通じて「まごころケア食」のブランド力を高め、より多くのお客様に選ばれる存在を目指していきます。
―――まごころケア食、最終的にどのような社会や未来を実現したいと考えていますか?
田村:弊社の経営理念は、「食の観点から誰もが安心して歳を重ねていける社会の実現」です。
この理念のもと、私たちは冷凍弁当を通じて、食事に関するさまざまな社会課題の解決に貢献したいと考えています。 たとえば、ライフステージや生活環境の変化に伴う食生活の悩みを解消するための手助けを目指しています。
まごころケア食は、栄養バランスに優れ、毎日でも取り入れやすい商品を提供することで、健康的な生活をサポートする存在でありたいと考えています。 特に、忙しい方や食事の準備が負担に感じられる方にとって、気軽で便利な選択肢として広く活用いただけるよう努めています。
これからも、お客様一人ひとりのニーズに寄り添いながら、日々の食生活をより豊かにし、誰もが安心して年を重ねていける、そんな社会の実現に向けて挑戦を続けていきます。
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インタビュアー
新井 那知
HonNe編集部
埼玉県・熊谷市出身。渋谷の某ITベンチャーに就職後、2016年にフリーランスライターとして独立。独立後は、アパレル、音楽媒体、求人媒体、専門誌での取材やコラム作成を担当する。海外で実績を積み、帰国後はクライアントワークを通してライターとして日々取材や編集、執筆を行う。現在は「未来のあたりまえをインストールするWebマガジンSo-gúd(ソウグウ)」の編集長を務める。