ナッシュが届ける本当の価値:健康的な食事への想いと未来への約束
日本人の三大死因である「悪性新生物(がん)」「心疾患」「脳血管疾患」は、「生活習慣病」と呼ばれている。
「東京都保健医療局 人口動態統計年報(確定数)令和4年」の調査結果によると、生活習慣病による死亡者数は、死亡者全体の半分以上を占めており、三大生活習慣病が*全体の46.6%を占めているという結果を発表している。
生活習慣病は、食事、運動、休養(睡眠を含む)、喫煙・飲酒などの生活習慣と深いかかわりがあり、食生活における栄養の偏りも大きな影響を与えているのだ。
日本に蔓延する生活習慣病だが、食事から健康へアプローチする企業が、今回紹介する「ナッシュ株式会社」だ。
ナッシュ株式会社は、宅配食「nosh(ナッシュ)」の販売を通して、人々が意識せずとも自然と健康になれる社会の実現を目指している。
今回の取材では、健康的な食事への情熱、ユーザーへの想い、そしてサステナビリティへの取り組み……ナッシュの情熱と未来へのビジョンを紐解いていく。
*出典:東京都保険医療局『主な生活習慣病の発症・重症化予防』
インタビュイー
黒木 大地氏
ナッシュ株式会社
マーケティング部部長
マーケティング部部長
目次
生きている間により健康的で幸せな時間をー「健康」×「手軽さ」の価値
―――まずは、ナッシュのサービスの概要や提供価値などについて教えてください。
ナッシュ株式会社は冷凍宅配弁当のサービスを通じて、「健康」と「手軽さ」という二つの重要な価値をお客様に提供しています。
健康面では、1食あたり糖質30グラム、塩分2.5グラム以下の基準を設け、日々の食事の一部を当社の弁当に置き換えることで、健康的な食生活を応援しています。
主に単身の方や忙しい20代から30代の方々に使っていただいており、時間がない中でも、簡単に栄養のバランスが取れた食事を提供することで、自分で料理をする難しさや、コンビニの食事で栄養を摂りすぎてしまう問題を解決しています。
当社のサービスの特徴は、冷凍という形で、健康的で手軽な食事を提供していることです。
これにより、将来的な生活習慣病の危険性を減らすことにつながり、忙しい現代人の生活スタイルに合った食事の選択肢を提案しています。
一般的に考えられる競合は、同じ食や健康分野でBtoCサービスを展開している会社ですが、実は本当の競合はファストフードやスーパーのお惣菜となります。
現代の生活様式は健康とやや相反する面があり、生活習慣病のリスクがある食事は、満腹感や幸福感を得やすいという印象があります。
しかし、好きなものを食べ続けるだけでは長生きはできず、健康な社会も作れません。
そこで私たちは、適切な食生活とは何かを改めて考え直し、提案しています。
コンビニなどで手軽に食事が手に入る現代の日本社会において、いかに健康的な選択肢を提供し、社会全体の健康を向上させるかという観点から事業に取り組んでいます。
※引用:nosh公式HP
―――ナッシュのサービスを始めるきっかけや背景は、何ですか?
現在の社長である田中が立ち上げた葬儀比較のサービス業が、ナッシュ創業の原点となります。
前職では、葬儀の価格を100万円から200万円程度かかっていたものを最適化し、より安価にすることを目指していました。
しかし、その過程で亡くなってから悲しむよりも、生きている間により健康的で幸せな時間を過ごすことの方が大切ではないかと考えるようになりました。
人生の最後を飾る「エンディング」だけでなく、そこに至るまでの「プロセス」にも注目すべきだという気づきでした。
この考えが、現在のナッシュというサービスにつながっています。
死は避けられませんが、そこに至るまでの過程をいかに健康的に、幸せに過ごすかが重要です。
健康的な生活を送り、周りの人々と長く幸せな時間を過ごせる社会を作ることこそが、私たちが取り組むべき本当の社会的課題だと理解しています。
―――コロナ禍を境として、ユーザーのニーズの変化などは感じていますか?
コロナ禍は、予想外にも当社にとって追い風となり、約8倍の売り上げアップとなりました。
在宅勤務が一般化し、外食の機会が減少したことで、自宅での食事に対する需要が高まりました。健康意識の向上以上に、自宅で簡単に健康的な食事を摂れることや、買い物などで外出しウィルスに感染するリスクを軽減できる点が、お客様に選ばれる大きな要因となりました。
コロナ後の現在でも、完全に以前の生活様式に戻ったわけではありません。
リモートワークは新しい働き方の一部として定着し、これが当社の売上やシェアの拡大につながっています。
大手企業も続々とこの業界に参入してきていますが、当社が先駆者として市場を開拓してきたことが、現在も選ばれ続ける理由の一つだと考えています。
世界中の人々を健康にしたい。だからこそ、多くの人に選んでほしい。
※引用:nosh公式HP
―――ナッシュのサービスの強みを教えてください。
健康的で手軽な食事を提供するサービスが増える中、当社の最大の強みは価格にあります。
これは「世界中の人々が健康で豊かに生活できる未来を届ける。」というミッションに基づいています。
社会を健康にするためには、多くの人に選んでもらい、実際に食べてもらう必要があるからです。
現在、物価上昇と原材料費の高騰で多くの企業が値上げする中、当社はこれまでに3回も価格の値下げに成功しています。
価格戦略を実現するために鍵となるのは、「インハウス化」です。 マーケティングから製品の設計、製造、物流に至るまで、可能な限り自社で行っています。
例えば、マーケティングでは、SNSやYouTubeでの広告動画制作も社内で行っており、お弁当製造会社でありながら、クリエイティブな面でも自社の力を活かしています。
外部委託に伴うマージンを削減し、自社で製造工場や物流拠点を持つことで、コストを抑え、そのメリットをお客様に還元しています。
インハウス化へのこだわりは、当社のカルチャーとして深く根付いており、新しいサービスや戦略を検討する際も、最終的にはインハウス化できるかどうかが重要な判断基準となります。
外部サービスを使うのは、スピーディーに実証実験を行う場合などに限られ、長期的にはすべてを自社で行うことを目指しています。
▲noshの工場
―――メニュー開発のこだわりや強み、開発のプロセスについても教えてください。
当社のサービスにおいて、美味しさは絶対的な条件です。
この背景には、当社の「顧客中心主義」があります。
安価で健康的であり、私たちがどれほど良いと思う商品でも、味が美味しくお客様に選ばれ続けなければ意味がありません。
そのため、常にお客様の声に耳を傾け、それを製品開発に反映させる仕組みが確立されています。
当社の商品開発プロセスは非常に厳格で、企画担当者と専属シェフが毎週新しい商品の開発を行います。そしてサンプルを作成し、社内で厳しい試食テストを実施しています。毎週新メニューを導入し、同時に人気のないメニューは廃止するというサイクルを継続しているのです。
具体例として、お客様からの要望を基に、通常のメニューとは異なる価格帯の「プレミアムライン」を2022年12月から展開しました。
これは、日常的な食事の中に特別感を求める声に応えたものです。
また、今年の4月から、量が少ないという意見を受けて、ボリュームを増やした商品の開発や、既存商品の見直しも行っています。
プレミアムラインは、通常メニューとは異なりますが、長年ナッシュを利用しているお客様からは、新しいジャンルとして歓迎の声をいただいています。
ただし、原材料費の上昇により価格が若干高くなっているため、味や品質の改善を求める声も寄せられているので、こういったフィードバックを真摯に受け止め、常に改良を重ねているんです。
このようなお客様の声に応え続けるという取り組みの背景には、「お客様に選ばれることが美味しさの証」という考え方があります。
―――お客様からの反響やフィードバックで印象に残っているものがあれば、教えてください。
カスタマーサポートを通じて、お客様から多くの声をいただく中で、特に印象的だった話があります。
ナッシュは単身者の方々に広く利用されていますが、あるご夫婦の利用例が、私たちのサービスの価値を再認識させてくれました。
このご夫婦の場合、旦那さんが仕事で外出している間、奥様がナッシュを利用していました。
以前は、子育てや家事の合間に食事を作ることに時間を取られ、自分のための時間を持つことが難しかったそうです。
そのため、夫婦間で衝突することも多かったとのことでした。
ところが、ナッシュを利用し始めてからは、料理の手間が省け、食事にかける時間が大幅に短縮されたことで、奥様は自分の時間を持てるようになりました。
その結果、健康面での改善だけでなく、夫婦関係も良好になったというのです。
この話を聞いて、ナッシュが提供している価値が、単なる時短や健康面だけでなく、利用者の生活の質や人間関係にまで良い影響を与えていることに気づかされました。
私たちのサービスが、思いがけない形で人々の幸せに貢献できているという実感を得られ、非常に嬉しく感じました。
現代社会では、人々の生活がますます忙しくなっています。
スマートフォンなどの新しい技術が登場し、コミュニケーションツールが増えたことで、かえって時間に追われる日々を送っているように感じます。
心の余裕を持つためには、時間的な余裕が不可欠であり、ナッシュが提供する価値は非常に大きいと考えています。
ナッシュは単に健康的な食事を提供するだけでなく、食事の準備や片付けにかかる時間を大幅に削減することで、利用者に貴重な時間を還元しています。
お客様とのコミュニケーションを重ねることで繋がる持続可能な食事
―――ナッシュが理想とする「持続可能な食事」に向けた取り組みについても教えてください。
ナッシュでは、環境に配慮した素材を使用することで持続可能性に貢献しています。
同時に、お客様にとって使いやすく、廃棄しやすい容器を選んでいます。
これは商品提供が食後も続くという観点から重要な課題です。
容器やパッケージのデザインには、特にこだわりを持っています。
インハウスのデザイナーが試行錯誤を重ね、様々な意見を取り入れながら改良を続けています。
8食や10食セットで届く商品の中から、パッケージを見て「これが美味しそう」と感じていただけるようなデザインを目指しています。
その理由の一つは、お客様が冷凍庫から商品を選ぶ際の体験を大切にしているからです。
―――今後、ナッシュが目指すビジョンやアプローチしていきたい課題について教えてください。
ナッシュは、市場シェアと売上の成長に恵まれ、多くのお客様に選ばれています。
しかし、私たちの本当の目標である「世界中の人々が健康で豊かに生活できる未来を届ける。」という観点では、まだ成長の余地があると認識しています。
現在のコアターゲットは、忙しい単身者の方々です。
時間を節約したいというニーズに応えることで、支持を得ていますが、私たちのMission を実現するためには、より幅広い世代や多様な生活環境の方々にもサービスを利用していただく必要があります。
例えば、家族で暮らす方々、高齢者、子供たちなど、それぞれの世代や生活スタイルに応じたニーズがあると思います。
現状では、ナッシュの提供する価値がこれらの多様なニーズと完全に合致していない部分があると考えています。
そのため、単身世帯以外の方々にもナッシュを選んでいただけるよう、製品を進化させていきたいです。
具体的な戦略はまだ明かせませんが、それぞれのターゲット層が求めるものを理解し、その形に製品を適応させていくことが重要だと考えています。
―――ユーザーとのコミュニケーションを重視しているナッシュですが、どのようなお取り組みをされていますか?
ナッシュでは、お客様の声を非常に重視しています。
現在も定期的なアンケートや商品に関する感想を収集し、それらを単に集めるだけでなく、確実に製品改善に反映させており、この姿勢は今後も変わらず継続していく方針です。
さらに、今後はお客様とのコミュニケーションをより進化させる計画があります。
具体的には、既存商品への感想だけでなく、「こんな商品があったら嬉しい」といった新しいアイデアや要望もお客様から積極的に聞き取り、それらを基に新製品開発を進めていきたいと考えています。
また、商品やサービスに関する意見はもちろん、ナッシュに関するあらゆる側面についてお客様からフィードバックをいただき、それに対して私たちが誠実に応答する双方向のコミュニケーション環境を整備する予定です。
一食が作る健康な未来ーナッシュが描く、気づかぬうちに健やかな明日
―――このインタビューを読んで、ナッシュに興味を持った読者の皆様にメッセージをお願いします!
ナッシュの提供する冷凍弁当は、まだ馴染みのない方もいるかもしれません。
私たちが目指しているのは、人々が意識せずとも自然と健康になれる世界です。
健康を維持することは難しいものですが、それを日々意識する必要がない社会こそが理想的だと考えています。
私たちのサービスの価値は、単に健康的な食事を提供することだけではありません。
時短や利便性といった側面から始まり、結果として健康的な生活が手に入るという体験を提供したいと考えています。
冷凍食品や宅配食に抵抗がある方も、一度試していただくことで、その価値を実感していただけると信じています。
ナッシュは常にお客様の声を大切にし、製品改善に活かしています。
私たちの利益よりもお客様の利益を優先し、価格設定においても、お客様が選びやすい価格を維持するために企業努力を続けています。
私自身、この会社で働きながら、これほどまでに顧客中心のサービスを提供している企業は珍しいと感じています。
ぜひ一度、ナッシュの食事を試していただき、その味わいとともに、私たちのサービス理念も感じ取っていただければ幸いです。
一人ひとりがナッシュを利用することが、社会全体の健康につながる一歩になると信じています。
―――最後に、これだけは食べてほしいというおすすめのメニューを3品教えてください。
ナッシュの商品ラインナップで、個人的に特に気に入っているものがいくつかあります。
例えば、「ゆず香る!さっぱりおろしポン酢カツ」は非常に美味しいです。
▲ゆず香る!さっぱりおろしポン酢カツ
また、プレミアムラインの鰻を使った「ひつまぶし」も最近登場し、絶品です。
▲鰻の出汁茶漬け〜ひつまぶしの3杯目〜
そして、当社で圧倒的な人気を誇るのが「チリハンバーグステーキ」になります。
▲チリハンバーグステーキ
私自身、最初はなぜこれが1位なのか疑問に思っていましたが、実際に食べてみてその理由がよく分かりました。
ナッシュの商品ランキングは、ほぼ間違いなくお客様の好みを反映しています。
これらの人気商品を食べていただくと、健康的な食事でありながら、決して味を犠牲にしていないことがお分かりいただけると思います。
一般的に、健康食は味が薄かったり、美味しくないのではないかという先入観があるかもしれません。
しかし、ナッシュの商品はそのイメージを覆すもので、しっかりとした味付けがあり、これが本当に健康的な食事なのかと驚くほどです。
まだナッシュを利用したことがない人は、ぜひ一度商品を体験してほしいですね。まずナッシュの商品を味わってもらい、宅食の便利さはもちろん、“意識せずとも健康的な食生活が送れる”という新しいライフスタイルを体験してほしいと思います。
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インタビュアー
新井 那知
HonNe編集部
埼玉県・熊谷市出身。渋谷の某ITベンチャーに就職後、2016年にフリーランスライターとして独立。独立後は、アパレル、音楽媒体、求人媒体、専門誌での取材やコラム作成を担当する。海外で実績を積み、帰国後はクライアントワークを通してライターとして日々取材や編集、執筆を行う。現在は「未来のあたりまえをインストールするWebマガジンSo-gúd(ソウグウ)」の編集長を務める。