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【わんまいる】国産食材100%宅食サービス『わんまいる』:あくなきこだわりの秘密に迫る
「わんまいる」が届けるのは、単なる食事ではない。株式会社ファミリーネットワークシステムズ代表取締役社長の堀田茂の幼少期の祖父母からの教え、自らの料理人としての経験、全国の生産者との絆が生み出した、日本の豊かな食文化の結晶だ。100%国産の誇りと、合成保存料・合成着色料無添加の優しさが織りなす、革新的な冷凍惣菜宅配サービス。手軽さと栄養、美味しさと安心。相反する要素を見事に調和させた「わんまいる」の裏には、日本の食文化を守り抜く熱い想いが隠されていた。「わんまいる」が描く未来図は、私たちの食卓を越えて、日本全国の食材生産者や地方の未来をも変えようとしている。社長が自らの足を運び、目で見て、一人一人と深めてきた絆――。細部にまで宿るこだわりの秘密に迫れば、日本の食文化の未来が見えてくる。取材日:2024年10月1日お客様の忠犬に!国産食材100%、合成保存料不使用で一人一人の生活を豊かに 引用:わんまいる公式ブログ「わんまいる」のサービス概要と特徴について教えてください。まずは、私たちの主力商品である「冷凍ミールキット/わんまいる健幸ディナー」をご紹介します。食材の選定には妥協を許さず、創業者である現社長が自ら日本各地を巡り、自身の目と舌で確かめた上で厳選した国産食材を使用しています。調理においては、「餅は餅屋」の精神で、各料理に特化した専門調理会社に委託製造を行っているんです。例えば、焼魚は創業100年を誇る神戸市中央卸売市場魚河岸の職人が遠赤外線ガス台で焼き上げており、各料理の専門家の技術を活かすことで、高品質な味を実現します。健康面にも配慮し、国産食材100%、合成保存料無添加にこだわっているんです。主菜1品と副菜2品を個包装の真空パックで冷凍し、温かい料理は湯せん、冷たい料理は流水解凍で簡単に調理できるよう工夫しています。お客様からのご要望に応えて開発したのが「美食弁当」です。 引用:わんまいる公式HP美食弁当は、食品添加物無添加、国産食材100%にこだわり、洗い物が不要なワンプレート型の冷凍おかずです。電子レンジで温めるだけで、主菜1品と副菜2品が楽しめる手軽さが好評で、日々お客様が増えています。さらに、お客様の多様なニーズに応えるため、味噌汁、シチュー、麺類、米飯など、様々な冷凍惣菜を単品でも購入できるよう豊富に取り揃えているんです。販売チャネルとしては、ネット通販を主軸としつつ、創業時から続けているカタログ宅配事業に加え、百貨店や通販事業者向けの卸事業も展開しています。最近では、東京電力ホールディングス株式会社と協業し、国産お魚料理の定期便「和・洋・中」冷凍サブスクリプションサービスを開始しました。サービスの開始に合わせて専用サイトを立ち上げ、食に関する催事の運営も行っています。わんまいるのサービスを始める際に、最も大切にした理念や価値観は何ですか?私たちが最も大切にしている理念は、「わんまいる」という名前に込められています。この名前は、「一品からお届け(参る)」という意味と、「お客様の忠犬(ワン)」になるという二つの意味から名付けました。2005年に伊藤忠商事と業務提携し、「わんまいるシステム」を開発しました。わんまいるシステムは、一品から受注し、一品からお届けするという、現在では当たり前になっていますが、当時としては画期的なシステムだったのです。私たちは食材の調達から洗浄、カット、最終調理の「ラストワンマイル」まで、自分達で担っています。 引用:わんまいる公式HP特に力を入れているのが、高齢者や出産・育児中の方、親の介護をされている方、働く主婦の方々への支援です。これらの方々の家事負担を軽減し、簡単に作れて美味しく、かつ健康的な食事を提供することで、豊かな暮らしを実現することを目指しています。さらに、私たちは生産・加工・流通・販売まで一貫した取り組みを行うことで、日本の農業・漁業の振興にも貢献したいと考えています。わんまいるの理念は、お客様一人一人の生活を豊かにすることと、日本の食産業全体の発展に寄与することの両立にあるのです。お客様の身近な存在として、そして日本の食を支える企業として、日々サービスの向上に努めています。田畑の土から動物の飲む水までー社長自らが細部までこだわり抜いた36年間 引用:わんまいる公式HP合成保存料や合成着色料などが無添加の国産食材を用意するには、全国の生産者の方々の協力が不可欠だと思います。全国の生産者とのつながりをどのように築いていったのかを教えてください。1988年に独立して以来、私は食材の仕入れ方を大きく変えました。市場での仕入れをやめ、直接産地に足を運んで漁協や水産会社から買い付けるようになりました。それ以来36年間、稚内から沖縄まで日本中を訪れ続けています。日本各地には、「ポツンと一軒家」のようなまだ全国的に知られていないこだわりの生産者や、地元で長年食べ継がれてきた食材、郷土料理が数多く存在します。長年の経験から、土を見るだけで作物の質が分かり、畑を見るだけで生産者の努力が感じられるようになりました。農作物の品質は、同じ畑でも日当たりや育ち方で大きく変わります。畜産においても、飼育環境が重要です。清潔で広々とした環境で育った動物は質の良い肉になります。特に興味深いのは、生後間もない動物を女性が育てると肉質が良くなることです。鶏の処理方法も重要で、ストレスを与えずに処理すると肉質が良くなります。また、自動化された工場よりも、一羽ずつ丁寧に解体する方が品質が高くなります。美味しい料理には、何よりも食材の質が重要です。こだわりの生産者や加工会社と良好な関係を築くには、利益よりも品質を重視する姿勢と、その生産者と対等に会話ができる十分な知識と経験が必要です。36年間にわたる全国各地の訪問と生産者との直接的な交流を通じて、私たちは単なる取引先以上の信頼関係を築いてきました。実際に自分の足で出向き、目で見てつないだ絆こそが、合成保存料や合成着色料を使用せず、国産100%にこだわった安全で美味しい食材を安定して提供できる基盤となっています。保存方法や調理方法にもこだわられているそうですが、真空調理や急速冷凍技術を採用した背景にはどのような理由があるのでしょうか?元々は、お客様から冷凍保存ができる真空パック商品の要望を受け、開発を始めました。私たちはそんな中で、真空調理の第一人者である石川シェフと出会いました。石川シェフは阪急ホテルの料理長時代にフランスで真空調理を学び、日本で普及に貢献された方です。私たちは石川シェフと顧問契約を結び、指導を仰ぐことにしました。石川シェフから学んだ重要なポイントは、真空圧力によって調味料や出汁が食材に染み込むため、通常の3分の1の調味液で十分な味が出せること、そして食材本来の旨味を引き出せることでした。また、主菜・副菜・副副菜を別々に個包装し真空パック冷凍することで、手間と包材のコストはかかりますが、料理に合わせた最適な解凍方法を選べることがわかったのです。暖かい料理は湯せん、冷たい料理は流水解凍と、解凍する時間も個別にできることで、料理に合せた解凍でそれぞれ最適な食感と味を楽しめます。一方、電子レンジ解凍は、主菜も副菜も同じ時間で高温加熱するため、残念ながら作りたての料理と同じクオリティを保つのは難しいと考えています。手間はかかりますが、大切な家族と食べる夕食には、お客様自身で盛り付けていただくことで、出来立ての手料理の味わいを楽しんでいただけるでしょう。そして、急速冷凍と一口に言っても、さまざまなタイプの凍結機が有り、何を冷凍するかによって向き不向きがあります。大きくはアルコール凍結機と冷風凍結機の二種類に分かれ、それぞれにさらに多くの種類があります。また、全ての料理が急速冷凍に適しているわけではありません。お客様のニーズにお応えしたことから始まった真空調理と急速冷凍技術の採用でしたが、料理の食感と味わいを最大限に引き出す最適なアプローチとなりました。食の質にとことんこだわることが、地方を創生し、次世代につながるわんまいるのサービスはどのようなお客様に向けて、作られているのでしょうか?わんまいるは、お客様の多様なニーズに応えるため、2種類の冷凍おかずセットを用意しています。 引用:わんまいる公式HP一つは「冷凍ミールキットタイプ」の健幸ディナーで、湯せんまたは流水解凍して盛り付けて楽しむスタイルです。これは主に家族と一緒に食事を楽しむ世帯向けとなっています。 引用:わんまいる公式HPもう一つは「レンジ解凍の冷凍美食弁当」で、洗い物不要のワンプレート型となっており、一人暮らしの方に特に適しています。両タイプともに、主菜はもちろんのこと、副菜にもこだわりを持って調理しています。国産食材を厳選し、品質と美味しさを徹底的に追求しているため、輸入食材に不安を感じる方にも安心してお召し上がりいただける商品です。わんまいるの商品をお選びいただくことは、単に美味しい食事を楽しむだけでなく、日本の農業・漁業・食産業の振興、ひいては地方の活性化にもつながる取り組みです。今わんまいるが抱えている課題は何ですか?特に、今後どのように解決していきたいと考えていますか?紛争や気候変動などの世界情勢の変化により、世界的なインフレが起こり、日本国内においても、食材価格の高騰や人件費の上昇が顕著となっています。国内外の物価上昇の状況下で、わんまいるは品質と美味しさの向上に注力し、付加価値を高めることで、食の質にこだわる、違いのわかるお客様にご利用いただきたいと考えています。同時に、わんまいるは企業の福利厚生の一環としての活用も提案しているんです。具体的には、社員食堂の代替や補完として、また出産・育児・親の介護に携わる従業員、さらにはテレワーク中の従業員の食生活サポートとして、わんまいるの商品をご活用いただけます。企業様に一部費用負担をいただくことで、従業員様の健康的な食生活を支援し、ワークライフバランスの向上にも貢献できると確信しています。わんまいるを通して、食卓にどのような価値を提供したいと思っていますか?将来的にどのような食の未来を描いていますか?わんまいるは、一日の疲れを癒す大切な時間である夕食を、より豊かで意義深いものにすることを目指しています。そのために、日本各地の魅力的な食材を贅沢に使用した献立メニューを提供し、美味しさと楽しさを通じて、日本の食文化の素晴らしさを体験していただけるよう努めています。さらに、私たちにとって、日本の豊かな食文化を次世代に継承することも重要な使命です。お客様からは、「普段自分ではなかなか作れない各地の郷土料理も楽しめる」というお声をいただいており、こうしたニーズにも応えるべく、新たな商品開発にも力を入れています。地域の特色ある食材や調理法を活かした郷土料理を通じて、日本の食の多様性と奥深さを感じていただくことができるでしょう。わんまいるは、こうした取り組みを通じて、単なる食事の提供にとどまらず、日本の食文化の豊かさを体験し、継承する機会を提供することを目指しています。「学歴より食歴」ー日本全国の美味から紡ぐ、未来につながる食事わんまいるの利用を迷っている読者に向けて、サービスの魅力やメッセージをお聞かせください。私の食へのこだわりの原点は、祖父母から受け継いだ日本の伝統的な食文化にあります。祖父母は季節の行事食を大切にし、栄養バランスを重視した食事を教えてくれ、化学調味料を使わず、和食の基本調味料でシンプルに味付けし、食材本来の味を活かす調理法を学びました。この教えは、23歳で居酒屋の店長になった時に実践しました。毎朝市場で新鮮な食材を仕入れ、丁寧に下処理をし、注文を受けてから調理したのです。この経験から、国産食材100%と無添加にこだわるようになりました。このこだわりは、現在のわんまいるの「健幸ディナー」と「美食弁当」に受け継がれています。これらの商品は、単においしいだけでなく、科学的な裏付けのある健康増進食として認められつつあります。「健幸ディナー」は、医療情報サービス最大手の企業と筑波大学付属病院との連携により、糖尿病重症化予防の臨床試験で採用されました。その成果は権威ある学術集会で発表され、高い評価を受けています。「美食弁当」も同様に、某自治体の成人病予防・健康改善プログラムの夕食として採用されており、効果が期待されているのです。私たちは「食歴は学歴より大切である」という信念のもと、お客様の健康と幸せを追求しています。実際に、私自身も「健幸ディナー」を継続して食べることで、好き嫌いが減少し、多様な食材を受け入れられるようになりました。わんまいるは、祖父母から受け継いだ伝統的な食の知恵と、現代の科学的知見を組み合わせることで、おいしさと健康の両立を実現しています。質の高い食材と丁寧な調理法へのこだわりが、お客様の健康と幸せにつながると信じています。 わんまいる 公式サイトはこちら わんまいるの解説記事を読む -
【パルシステム】忙しい生活に寄り添うパルシステム:ミールキットの可能性
「忙しい毎日の中でも、料理の幅を広げつつ栄養バランスにも配慮した食事を手間なく作りたい」。そんな願いを叶えてくれるのが、パルシステムのミールキット。短時間で本格的な料理が簡単に作れる上、メニューの種類も豊富。厳選された国産野菜や「調味料(アミノ酸等)」不使用の調味料など、食の安全面へのこだわりも徹底しています。食事を準備する負担を減らし、豊かな食卓を提供してくれるこのミールキットの魅力を、本記事で詳しくご紹介します。取材日:2024年12月2日パルシステムならではの食材を詰め込んだミールキット 引用:パルシステム公式HPまずは、パルシステムのお料理セットとはどのような商品でしょうか。黒井さん:お料理セットは、簡単に調理ができるミールキットです。世間的には、「ミールキット」と呼ばれることが一般的ですが、パルシステムでは「お料理セット」と呼んでいます。カット済みの野菜に、肉や魚といった食材、それにプラスして添付調味料とレシピがセットになっています。野菜と肉はすべて国産にこだわり、添付のたれも「調味料(アミノ酸等)」は不使用の商品を取り扱っています。このサービスは2014年にスタートし、2024年で10年目を迎えることができました。サービスを立ち上げた経緯を教えてください。黒井さん:社会的背景としては、共働きの家庭が増えてきていたことが挙げられます。その後、コロナ禍に入ったこともあり、市場全体を見ても宅配食の需要が高まっていきました。またレシピと人数分の必要な食材がセットされているミールキットは、現代のニーズにマッチした商品として様々なところで販売が開始されました。 パルシステムの方針の『組合員のくらしの課題解決』という理念から、共働き世帯をサポートする商品として、2014年から3種類のお料理セットでサービスを開始しました。特に大切にしている価値観や、他社との差別化を図っているポイントは何でしょうか。黒井さん:まず、国産へのこだわりです。肉と野菜は必ず国産のもので、顔が見える生産者(産直)の食材も多く使用しています。2017年には群馬県板倉町に自社工場を建て、子会社の『株式会社パルライン』が運営しています。 自社工場製造分はすべてパルシステムが開発した商品であり、規格外品や余剰となった野菜も積極的に活用しています。パルシステムは生協なので青果の宅配もしていますが、出荷基準があり、産地と作付計画から打ち合わせをする中で、サイズや傷などの理由で規格外品が出てくることがあります。これらはカットして傷を取り除けば食味に問題はありませんし、生産者が作った食品をなるべく無駄にならないように使用しています。このように、生産者の支援にもつながる取り組みも行っています。また、PB(プライベートブランド)商品には調味料からお肉やお魚、カットわかめ、豆腐などの副材まで幅広く揃えており、お料理セットにも取り入れています。組合員にとって普段あまりなじみのない調味料は、大容量だと手が出しにくいと思うんです。そこで、お料理セットに小袋タイプの調味料を内包し、味や使い方を知る機会を作っています。食材を調達する際に重視していることは何ですか?高橋さん:私たちの役割は、全国に広がるネットワークを活用、おいしい食材を安定的に調達することだと考えています。そのため、複数ある産直産地と連携し、それぞれに当会の基準に基づいた方法での栽培をお願いしています。近年、天災などの影響で収穫量が減少することも増えていますが、これまで築いてきた信頼関係をもとに産地の方々と協力しながら供給を維持しています。また、当会では年間契約を行うことで、食材価格の安定化を図っています。お料理セットの販売価格は変動が少ないので、市場で野菜の価格が高騰すると、より多くの組合員の方々にご利用いただける傾向があります。家庭でさまざまな食材を揃えるのは手間もお金もかかりますので、こうしたお料理セットの需要につながっているのではないかと思います。単身世帯にも需要が拡大。野菜価格が高騰しても多種多様な野菜を食卓に 引用:パルシステム公式HPミールキットページサービス開始後から顧客ニーズの変化はありましたか? また、その転機となった出来事は何でしょう。高橋さん:当初は30〜40代の共働きの主婦・主夫を主なターゲットにしていましたが、コロナ禍を機にニーズに大きな変化が見られました。テレワークの普及に伴い、一人暮らしのランチ需要が増加し、それに対応したメニューが伸びています。また、旅行の制限により、郷土料理や世界各国の料理を自宅で楽しめるメニューの需要も高まり、現在も引き続き人気があります。最近では、消費者の深層的にバランスの良い食事、野菜をしっかり摂りたいという気持ちをお持ちです。高齢の方をはじめ、「野菜は食べたいけど、さまざまな種類を買うと高いし使いきれない」というような悩みが増えており、このような方々が徐々にミールキットを利用し始めています。今までは2〜3人前のセットを中心に提供していたのですが、現在は高齢の2人世帯でも食べきれる1.5人前のセットも導入しています。今後も市場動向を見つつ組合員の声を聞きながら、選択肢を増やしていければと考えています。お料理セットの中で特に人気のあるメニューやおすすめは何ですか?また、一番メジャーな商品トマト風味のドライカレーには、国産トマトを濃縮還元したプライベートブランド商品のトマトジュース『濃いトマト(食塩無添加)』を使用しています。このトマトジュースは1本100円ほどですが通常は24本セットでの販売のため、個人で購入するには少しハードルが高いかもしれません。しかし、お料理セットに使うことで、飲むだけでなく調理にも活用できることを知るきっかけになればと思います。 スープ系の料理も人気で、煮込むだけでボリュームがあって栄養価が高い一品を、短時間で用意できるところが高く評価されています。 引用:パルシステム公式HP 商品図鑑高橋さん:有機の若芽ひじきの炒め物もおすすめです。若芽ひじきはお浸しが定番ですが、炒めるとシャキシャキとした食感が楽しめます。若芽ひじきを購入したことがない方や調理法がわからないという方にも試してもらいやすいメニューです。 あとは、「水餃子のジェノベーゼソース(ラビオリ風)」も食べてみてほしい一品です。ジェノベーゼソースと生クリームで餃子を煮込み、ラビオリのように食べるセットで、ジェノベーゼソースの新しい使い方が発見でき、料理の幅が広がるはずです。食材へのこだわりから環境配慮まで、価格以上の価値を提供するパルシステムのお料理セット再生素材を使用したパッケージなど、環境に配慮した取り組みも行われていますよね。黒井さん:当会では環境への配慮を重視しており、特にプラスチック削減を方針として掲げています。ミールキットを始めた当初から再生原料を55%使用したプラスチック製トレイを採用していましたが、2年前にはこのトレイを紙製に切り替えました。 当時、市場には食品用のモールド系紙製トレイがなかったので、たまご用のモールドパックを製造していただいているメーカーに新たに製作してもらったんです。メーカーも初挑戦で、大きさや形などを一緒に考え、何度も試作を繰り返し、強度を確認しながら一緒に作り上げました。 たまご用のモールドパックただ、紙は強度に限界があるので、少量のプラスチックのパルプ繊維を混ぜて強度を上げています。ですので、今は、このパルプ繊維を使用しない、完全にプラスチック使用量ゼロ紙製トレーを目指して頑張っているところです。また、従来のプラスチックトレイのように、回収後に溶かして再利用する水平リサイクルの仕組みを、紙製トレイにも導入することを目指しました。「紙製だから一般の資源ゴミに出せばいいよね」ではなく、リサイクル可能な仕組みを構築していました。コストと品質とのバランスを取るのが難しいところですね。黒井さん:そうなんです。ほかの生協やメーカーと比較すると単価は少し高めかもしれませんが、その分、高品質な商品を提供することにこだわり、環境に配慮した取り組みもおこなっています。忙しい毎日を送るお客様に、ミールキットを使うことは手抜きではなく、むしろ手軽に栄養のあるおいしい食事を作ることができる方法ということを伝えたいですね。御会のサービスについて、「消費者に伝えきれていない」「もっと知ってもらいたい」と感じている点はありますか?高橋さん:学習会などで工場見学をしていただいたり、ムービーで工場の様子をご覧いただくと、食材のカットや袋詰めなどを手作業でおこなっていることに驚かれることがあります。自社工場では、品質や安全性を担保するために機械化はもちろん、人の手で作業する工程も採用することで、より質の高い商品を提供できる体制を構築しています。こうした一手間を知っていただくことで、「この価格は妥当だよね」と言っていただけています。黒井さん:肉や卵の生産においても、餌や飼育環境に気を配り、ストレスを少なくできるよう育てています。このような商品の裏側をもっと多くの方に知ってもらいたいです。 ご利用された方の反響や、特に印象に残っているエピソードについて教えてください。黒井さん:お料理セットはリピート率が高い商品であり、利用した組合員から味や使い勝手も含めて、高く評価されています。学習会などで組合員と話をしていると、「来週のメニューは何にしようか」とお子さんと選んでいるとか、ミールキットを親子で作ったりしているというエピソードをよく耳にします。今まではお母さんがおこなっていた料理に子どもやお父さんも参加するようになったとか、ミールキットを使うことで家事の負担が軽減され、家族で過ごす時間が増えたという喜びの声も寄せられています。また、普段とは違う味付けが楽しめる点も好評です。食卓では「これ初めて見るけど何ていう食べ物?」「この味付けいいね」といった会話も生まれ、家族のコミュニケーションが増えたという話も非常に印象的でした。1週間あたり17万食から20万食へ! 今後は冷凍ミールキットの充実化も視野に入れたソリューションを展開 引用:パルシステム公式HP お料理セットページ10周年を迎えた今、毎週約20万食の注文があるというのは驚異的な数値ですね。高橋さん:10周年を迎えられたことで、利用者の方々に支持いただいていることを改めて実感しています。忙しい日常の中で便利さを求めている方、食品ロス削減を意識している方、産地支援のために選んでいる方など、さまざまな理由により多くの方に使っていただき、徐々に需要が増加したんです。注文数は、昨年は1週間あたり約17万食でしたが、10周年を機に一気に20万食という大幅な伸びを見せました。これは、利用者が商品にそれぞれの価値を見出し、魅力を感じていただいている証拠だと思います。黒井さん:今回、10周年キャンペーンとして、組合員のみなさんが実際にどのように召し上がっているのか、アレンジの仕方などをインスタグラムに投稿していただきました。今まではインスタグラムでキャンペーンを行っても最大100件程度の応募しかなかったのに対し、今回は外部・内部を合わせて500件以上の投稿が集まりました。みなさん思い思いの投稿をされていて、「夏休みにお子さんがおばあちゃんのために作った」とか、働いているお父さん・お母さんの帰りが遅いときにお子さんが作った食事、息子が文句を言わないお気に入りのメニューなど、それぞれの家庭の工夫が見られました。生協はもともと共同購入が目的で、みんなで集まり料理などを教え合う場でもありましたが、ミールキットを通してウェブ上でも教え合う場が作れたのではないかと思っています。今後、挑戦していきたいことはありますか?黒井さん:逆に原点に戻って、一(いち)から丁寧に出汁を取るなど、手作り感を大切にしたメニューの開発を考えています。ミールキットは時短要素が利点ではありますが、時間をかけて煮込む料理やイベント用のローストチキンセットなど、少し手間がかかるけど材料が揃っているから便利、というような商品にチャレンジしてみたいと思っています。あとは、冷凍商品ですね。ストックできる冷凍商品をもっと増やしてほしいというニーズが高まっています。冷凍でも味わいや食感が変わらない野菜の仕様や、冷蔵商品に引けを取らないおいしさとボリュームを実現したいと考えています。ミールキットの購入を検討されている方たちに向けてメッセージをお願いします。高橋さん:私自身、子育てをしながら家事や仕事をする中で、短時間で料理ができるというのは本当に助かっています。普段、自分で作る料理はレシピサイトを参考にしても、どうしても似たような味付けになってしまうのですが、このセットを使うとガラリと料理が変わり、外食気分を味わえるのでコストパフォーマンスの面からもお得感があります。また、ゴミが少なく、トレイの回収サービスがある点も便利だと思います。どんどん共働きの家庭が増えている今、世間的に求められているサービスではないでしょうか。黒井さん:ミールキットを利用することで、おいしさだけでなく、家族と一緒に過ごす楽しい時間を作り出せます。食事は生活の中で大切な時間であり、子どもにとって楽しい記憶として残ることもあるでしょう。豊かな食生活や楽しい時間をサポートする商品として、ぜひミールキットを活用してみてください。 <編集後記>今回、定番メニューの「トマト風味のドライカレーセット」の試供品をいただき、編集部員で料理・実食しました。本当に10分でカレーが作れるんです!1日に余裕ができて、短時間で料理できる魅力を味わうことができました。味に関しては、野菜のカッティングや味付け方法など、普段の料理と異なっているので、お店のカレーを食べているような気分に。また、私はカレーを作るときにトマトジュースではなくてトマト缶を使うタイプなので、こんな料理の仕方もあるんだなと勉強になりました。料理の手間を省きたい方だけではなく、料理に拘りがある方にもぜひミールキットを活用していただきたいです。 パルシステム 公式サイトはこちら パルシステムの解説記事を読む