食事制限の不安に寄り添う!ウェルネスダイニングが描く未来の制限食文化
「食事制限」という言葉に、何を想像するだろうか?
味気ない食事、制限された楽しみ、そして家族との食卓の断絶。
そんな固定観念を打ち砕くべくウェルネスダイニングが掲げるのは、「健康管理と美味しさの両立」だ。
管理栄養士たちの知恵と情熱が生み出す、驚きの美味しさと栄養バランス。 そして何より、背景にある「お客様に寄り添う」という揺るぎない信念。
今回の取材では、制限食という枠を超え、新たな食の喜びを創造するウェルネスダイニングの挑戦に迫る。
インタビュイー
清水 結以氏
ウェルネスダイニング株式会社
事業企画部
事業企画部
保有資格:管理栄養士
インタビュイー
高木 咲依氏
ウェルネスダイニング株式会社
CS事業部
CS事業部
保有資格:管理栄養士
目次
ウェルネスダイニングは、創業者の闘病経験と管理栄養士との出会いにより誕生。
▲左:事業企画部の清水様、右:CS事業部の高木様
―――今回のインタビューでは、ウェルネスダイニングの事業企画部清水様、そしてCS事業部高木様にお話を伺います。まずは、御社の基本的なサービスや企業概要について教えてください。
清水:ウェルネスダイニングは、主に食事制限を専門とした宅配食の通販事業を展開しています。
当社の主力商品は「気配り宅配食」と呼ばれる、食事制限が必要な方向けの栄養管理された冷凍弁当です。
これに加えて、高齢者向けのやわらか食や、塩分を控えた野菜たっぷりの味噌汁なども取り扱っています。
気配り宅配食には複数のコースがあり、それぞれご病気と必要な食事制限に合わせて設計されているのです。
例えば、腎臓病の方向けにはたんぱく質と塩分調整食、糖尿病の方向けには糖質とカロリー制限食、高血圧や心疾患が不安な方向けには塩分制限食などがあります。
さらに、食生活の見直しや予防の観点から栄養バランスを整えた食事も提供しています。
―――ウェルネスダイニングを立ち上げるに至った背景には、どのような健康に対する問題意識があったのでしょうか?
清水:創業の背景には、創業者自身の糖尿病の体験と、ある管理栄養士との出会いがありました。
この管理栄養士は腎臓病専門の病院での勤務経験があり、食事制限の重要性について深い知見を持っていたのです。
創業者は、自身の経験から食事制限の困難さを理解し、同時に薬物療法だけでは十分な治療効果が得られないことも認識していました。
そこで、自宅で適切な食事制限を実践することの重要性と、それをサポートするサービスの必要性を感じたのです。
このような経緯から、ウェルネスダイニングは通常の弁当宅配事業ではなく、食事制限を必要とする人々に特化したサービスとして誕生しました。
―――創業者のご経験をもとに生まれたサービスなのですね。特にこだわっている点や、食事の質をどのように維持しているのか教えてください。
清水:「美味しさ」と「食事の楽しさ」にはこだわっています。
「美味しさ」に関しては、特製のタレや出汁を用いて、制限食とは思えないしっかりとした味付けを目指しています。
また、食材の硬さにも注意を払い、実際に召し上がるお客様のことを想像しながら、食べやすさと安全性を確保しています。
「食事の楽しさ」では、約90種類のメニューを用意し、常に改良を重ねていることです。
特に、お客様へお届けするお食事の内容には特に気を配っております。毎週配送のお客様には、メニューが重複しないよう細かな計画を立てていたり、1回の配送で7食分をお届けする場合は、肉料理、魚料理、卵料理などのバランスを考慮したりしています。
高木:さらに、昨年からは食事制限をしながらも季節の食材を楽しんでいただけるように、期間限定で季節メニューの提供を始めました。
例えば、夏限定のウナギを使用したメニューがあります。多くのお客様が「制限食ではウナギは食べられない」と諦めていたため、とても好評でした。
制限食であっても季節感や豊かな食体験を提供することで、お客様の食生活に楽しみをお届けすることを心がけています。
季節限定メニューとして開発され、お客様からの高い評価を受けて通常メニューに昇格したメニューも少なくありません。
▲社員用の冷蔵庫
福利厚生の一環として社員は当社の弁当を食べられますが、皆飽きることなく食べています。
―――食事内容以外にもこだわっている部分はありますか?
お客様が商品を開封した際、メニュー名を見て美味しそうだと感じていただけるよう工夫しています。
食材は異なっても名称が似ているメニューがあると、お客様には同じように感じられる可能性があるため、メニュー名の選定には細心の注意を払い、社内でも活発なディスカッションをおこなっているんです。
また、商品ラベルの設計にも細心の注意を払っています。
メニュー名はもちろん、加熱時間や詳細な栄養成分表示など、お客様が知りたい情報をひと目で分かるように工夫しています。
特に、タンパク質、糖質、脂質、食塩、カリウムの値に加え、腎臓病の方からのご要望に応じてリンの含有量も表示するようになりました。
また、主菜だけでなく副菜のメニュー名も分かりやすく表記し、原材料表示も見やすいように改行を入れるなど、細部にまでこだわっています。
長期利用のお客様ほど内容に注目されるため、パッケージを開封せずとも情報が得られるよう心がけています。
お客様の年齢層を考慮し、文字の大きさやフォントの選択にも気を配っているのです。
▲商品ラベルの違い(左:改良前、右:改良後)
意外と難しい!直面して初めて分かる健康管理の苦労に寄り添いたい
―――どのようにしてウェルネスダイニングを知るお客様が多いのでしょうか?
清水:多くのお客様は、健康診断や血液検査の結果を受けて、医師から食事制限の必要性を指摘されたことがきっかけで、健康に対する意識を高めるようです。
お客様の行動パターンとしては、まず自分の症状や疾患に関連する食事情報をインターネットで検索し、制限すべき食品などについて調べます。
調べる中で、実際に適切な食事管理の難しさや、自己管理がきちんと出来ているのか不安を感じ、宅配食サービスの存在を知ることが多いようです。
―――制限食に特化した宅食サービスは他にもありますが、ウェルネスダイニングならではの魅力を教えてください。
清水:私たちの最大の強みは、お客様の健康をサポートしたいという強い思いです。
そのため、当社ではお客様の声を非常に重視しています。
毎朝、前日に寄せられたすべての顧客フィードバックを全社員で共有し、迅速に対応する体制を整えているのです。
例えば、特定のメニューの味付けに関する指摘があった場合、翌日には製造元に連絡し、サンプルを取り寄せて味の確認をします。
お客様からのフィードバックへの対応は、通常1週間以内には必ず改善策を講じています。
また、お客様とのコミュニケーション方法も重視しており、インターネットでの問い合わせだけでなく、自分の意見を直接伝えたいという思いに応えるため、電話で声を聞く機会も多く設けています。
高木:お客様のお声で多いのは味に関するものです。そのため、ウェルネスダイニングは、美味しさと健康の両立に注力しています。
多くの人が制限食を味気ないものと捉える中、当社は塩分2.5グラム以下または2グラム以下のコースを設け、減塩しながらも満足度の高い味付けを実現しているのです。
塩分制限下での美味しさを追求するため、出汁の活用や香辛料の工夫、味噌の種類の選定など、様々な技術を駆使しています。調味料室には様々な種類の調味料が揃えられており、同じカテゴリーの調味料でも複数の製品を用意しています。これは、各食材に最適な味付けを見出すためです。
―――実際に試食させていただきましたが、塩分2.5グラム以下とは信じられないくらいしっかりした味付けで美味しかったです。ボリュームも十分ですし、制限食に限らず毎日食べたいと思いました。
高木:ありがとうございます。
コンビニに売られているおにぎりの塩分量は1個あたり1gほどなので、おにぎり2個分の塩分量と同じくらいなんですよ。
ちなみに、ウェルネスダイニングの具体的な味付けの選定は、科学的な数値分析よりも、実際の試食を通じた感覚的な判断に重きを置いています。製造元の管理栄養士と密接に連携し、日々のコミュニケーションと試食によるフィードバックを重視しながら、試行錯誤しています。
さらに、視覚的な魅力にも注目し、カラーコーディネーターの助言を取り入れ、弁当の見た目の美しさにも配慮しています。
容器の色選びにも細心の注意を払い、食材の色を引き立てる白色のトレーを採用しました。
メニューの改良に際しては、味、栄養バランス、見た目の調和を同時に考慮する細やかなアプローチを取っています。
例えば、ある魚料理のちゃんちゃん焼きのケースでは、味噌の種類を変更することで複数の課題を解決しました。
当初、赤味噌を使用していたため、料理に含まれる赤ピーマンや緑ピーマンの色彩が引き立ちませんでしたが、白味噌に変更することで、主菜の見栄えが格段に向上しました。 色味だけではなく、塩分量も抑えることができています。
「制限食なのにこんなに美味しい」健康応援団として、お客様に安心感を
▲オフィスの様子。企業理念を中心に、社長室も存在しないフルフラットな空間にすることで、健康応援団としての社員の連携がシームレスにおこなわれているそうです。
―――持病を持つ方々に向けて、安心感を伝えるために工夫していることはありますか?
高木:お客様の健康を生涯にわたって応援することが私たちの企業理念です。
単なる販売者ではなく、お客様の健康をサポートする「健康応援団」として、食事制限のサポートをおこなっています。
多くのお客様が医師とのコミュニケーションに悩んでいたり、クリニックに管理栄養士がいないため栄養相談ができないという課題を抱えているでしょう。
当社は38名の従業員のうち半数が管理栄養士の資格を持ち、お客様対応スタッフの過半数も管理栄養士です。これにより、お客様からのお電話に常に専門知識を持ったスタッフが対応できる体制を整えています。
例えば、スーパーでの買い物中に「腎臓病の私がこれを食べても良いか」といった相談にも応じています。
このような取り組みを通じて、お客様との距離が非常に近く、くだけた会話ができるほど親密な関係を築いているんです。
お客様にいつでも気軽に電話していただき、必要なサポートを提供することで安心感を与えられるよう努めています。
―――ご病気を持持つ方に食事を提供する方たちにとっても、魅力的なサービスだと思うのですが、食事を提供する側が抱えている課題やお悩みはどのような点があげられますか?
高木:多くの場合、食事制限が必要な方のご家族、特に食事を準備する立場の方が大きな責任感と不安を抱えていると思うのです。
例えば、腎臓病患者の食事制限では、塩分制限は比較的イメージしやすいですが、カリウム制限のような専門的な栄養素の管理に関しては多くの方が困難を感じています。
病院では「1日の塩分摂取量を6グラムに抑えましょう」という程度の概要的な説明にとどまることが多く、実践的な方法まで踏み込んで指導されることは少ないようです。
私たちは、野菜の茹で方など「どうすればいいのか」という具体的な部分をサポートすることで、患者さんやそのご家族の不安を軽減し、実行可能な食事管理を提案しています。
ウェルネスダイニングの利用頻度は様々ですが、夕食の置き換えとして利用される方が最も多いです。
健康な方なら外食という選択肢もありますが、食事制限のある方にはそういった選択肢が限られているでしょう。
そのため、私たちのお弁当を冷凍庫に常備しておくことで、食事準備の負担や精神的なストレスを軽減できると考えています。
押し売りはしない!困った時に気軽に頼れる存在でありたい
▲年に1回社内で発行されるアルバム。アルバムからは社員を大切にする様子が伺えました。
―――食事制限を必要とする方々以外にも、ウェルネスダイニングのサービスを広げるためには、どのようなアプローチが必要だと感じていますか?
清水:私たちのサービスを多くの方に知っていただくため、食事制限が必要な方々だけでなく、潜在的な顧客層へのアプローチを強化したいと考えています。
当社の強みである栄養相談サービスを活用し、商品購入という従来の入口だけでなく、栄養相談を新たな入口として模索していきたいです。
まずは商品を購入せずとも、私たちと対話する機会を通じて、より多くの方々に当社のサービスを知っていただき、興味を持っていただけるきっかけを作りたいと考えています。
―――お客様から寄せられるフィードバックの中で、特に印象に残っているエピソードや改善点はありますか?
高木:当社は日々多くのお客様からご意見をいただいていますが、特に印象的なのは手書きのお手紙です。
例えば、病気の父親のために娘さんが注文し、料理を準備する母親の負担が軽減されたという喜びの声や、同じ食事制限で悩む方々へのアドバイスを送ってくださる常連のお客様もいらっしゃいます。
私たちは単に販売数を増やすことよりも、ウェルネスダイニングのファンを増やすことを重視しています。
一方で、お客様の嗜好は様々です。
例えば、レモン風味の料理に対して「レモンが強すぎる」という声もあれば「さっぱりして美味しい」という声もあります。
改善のつもりが特定のお客様の嗜好に合わないこともありますが、そのような意見も真摯に受け止め、さらなる改善につなげています。
▲オフィスにいるペットロボット。2体おり社内の雰囲気を和やかにしていました。
―――ウェルネスダイニングが目指す、食事と健康を通じた未来のライフスタイルとはどのようなものでしょうか?
清水:当社は食事制限食を提供する会社として、お客様に健康的な食生活を長期的に続けていただくことを重視しています。
また、お客様個人だけでなく、ご家族全体をサポートすることも重要だと考えているんです。
食事を用意する方の負担を軽減しつつ、食べる方の健康も同時に支援することで、家族全体の健康と生活の質の向上に貢献したいと考えています。
―――最後に、読者の皆様にメッセージをお願いします!
清水:私たちは何よりもお客様に寄り添うことを大切にしているので、商品のご購入の有無にかかわらず、お気軽にご連絡いただきたいと思っています。
販売者と顧客という関係性ではなく、、お客様が困ったときに頼れる存在でありたいという思いが一番強いです。
特に、健康に不安を感じたり、病気になったと思われたときは、ぜひご連絡ください。
私たち管理栄養士が全力でサポートさせていただきます。
また、私たちは制限食であっても、日々商品の品質向上に努めています。
美味しく、健康的で、お客様の生活に寄り添える食事を提供することを目指しているので、ぜひ一度、私たちの商品をお試しいただければ幸いです。
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インタビュアー
田中 律帆
HonNe編集部
キャリアカウンセリング業務に従事したのちに、株式会社EXIDEAに入社。現在は「人・社会・地球にとって、本当に良いモノだけを集めたメディア『Ethical Choice(エシカルチョイス)』」の責任者や「未来のあたりまえをインストールするWebマガジン『So-gúd(ソウグウ)』」の編集を務める。