
その一歩を支えるー新時代の伴走者Biz ONE始動
個人事業主やフリーランスという働き方が広がりを見せる中、JCBが満を持してローンチした法人カード「JCB Biz ONE」。
業界トップポイント還元率と、クラウド会計連携による業務効率化を実現し、注目を集めています。
その開発の裏には、変化する事業環境への深い洞察と、新たなビジネスの一歩を支える「伴走者」としての願いが込められていました。
「その一歩に幸あれ」というメッセージに込められた想いと、JCBが描く法人カードの未来像に迫ります。
インタビュイー
大倉 稔氏
株式会社ジェーシービー 法人ソリューション開発部
担当部長
担当部長
インタビュイー
青戸 直之氏
株式会社ジェーシービー 法人ソリューション開発部
目次
変革期に挑む!キャッシュレス時代の新たな事業決済

―――今回は「JCB Biz ONE」について取材させていただきます。まずはじめに現在、フリーランスや個人事業主が増加する社会的背景がありますが、このようなニーズに対して、御社はどのような対応をされていますか?
大倉:まず前提として*『フリーランス実態調査結果』によると日本では約209万人がフリーランスとして就業しています。副業の浸透やリスキーリング支援などの社会的な風潮もあり、今後フリーランス・個人事業主の人口は増えていくことが予想されます。
しかし、小規模事業者が増加する一方で、約束手形の廃止や金利上昇など、事業環境におけるキャッシュフローに関する変化や課題も多く存在しています。
―――なるほど、その上で法人カードに求められる要素はどのような点なのでしょうか?
大倉: 法人カード市場全体を見渡すと、これまで決済手段の一つとして存在はしていたものの、活用は十分とは言えない状況でした。しかし、私たちは、この状況は大きく変わっていくのではないかと考えています。
なぜなら近年では、関連法令の拡充により業務効率化の必要性が高まっていることや、労働人口の減少に伴う省力化の要請が強まっていることから、従来の振込による仕入れ決済などもキャッシュレス化へと移行している傾向にあるからです。
企業にとって決済方法を変更することは、生産方法の変更に匹敵する大きな課題ですから、単なる決済手段の提供という従来の発想から脱却する必要があると考えています。
その中で重要なキーワードとなるのが「キャッシュフロー」です。
従来の振込による決済では、取引時点でキャッシュを用意する必要があり、手数料も発生します。
一方、クレジットカードのスキームでは、支払いを40日から50日後に設定できるため、企業の仕入れサイクルと売上金の入金サイクルをより効果的に調整することが可能です。
このような特性を活用することで、企業の資金調達面での改善にも貢献できると考えています。
―――「JCB Biz ONE」の開発の背景と注力したポイントについて教えてください。
青戸:「JCB Biz ONE」の開発は、JCBが既に展開していた個人事業主・フリーランス向けのJCBカード「Biz」の経験を基に始まりました。
開発にあたり最も重視したポイントは、“顧客が本当に求めるカードの要件を満たす”という点です。そのため、まずは顧客ニーズを把握する目的で、詳細な市場調査を実施しました。
その結果、キャッシュフローの他にも、3つの主要なニーズとして、信頼できるブランド力・年会費の手頃さ・事業用の大型決済に見合うポイント還元率の3つを期待していることがわかりました。
さらに、事業拡大期にある経営者特有のニーズにも着目したのです。

事業規模の拡大に伴い、リスクマネジメントを強化したいというニーズが特に高いことがわかりました。そこでJCB Biz ONE ゴールドでは「サイバーリスク保険」を付帯しています。
また、フリーランスや個人事業主は、会社員時代と違い、健康診断などを自分で手配する必要があり、健康管理が一層重要になります。そのため、多忙な経営者の健康をサポートする目的で、人間ドックの優待サービスもご用意しました。
JCB Biz ONEは、フリーランスや個人事業主が抱える潜在的なニーズにも応える形で、ゴールドカード以上の上位券種のサービス内容を設計しています。
―――ありがとうございます。「JCB Biz ONE」という名前には、どんな想いが込められているのでしょうか?
青戸:「JCB Biz ONE」という名称の「ONE」には、ビジネスの第一歩を踏み出す人々を支援したいという願いが込められています。
また、カードの券面デザインとも連動し、洗練された印象を通じて、事業の成長とともにビジネスパーソンとしても成長していく姿を表現しているのです。
このように、カード名称とデザインを通じて、ビジネスの前進と洗練を象徴的に表現することで、カードを使用する事業者の方々の成長をサポートしたいという想いを形にしました。
成長への願いを込めて。ビジネスの第一歩を表現する「JCB Biz ONE」

―――高いポイント還元率を実現できた背景は何でしょうか?
青戸:JCB Biz ONEは、当社のオリジナルシリーズの一つとして位置づけられています。
オリジナルシリーズは、ビックカメラやAmazonなどの優待店での利用で、すでに高いポイント還元率を実現しているカードです。
今回、お客様のニーズにより一層応えるため、通常の1000円で1ポイントという還元率を思い切って2倍にして2ポイントに引き上げました。

同時に、既存のオリジナルシリーズで実現していた優待店での高い還元率も維持することで、二重の特典を実現しています。
大倉:このような高い還元率の実現は、企業として厳しい決断でしたが、JCB全体で展開しているOki Dokiポイントプログラムのアセットを効果的に活用することで可能となったのです。
―――企業努力が凄いですね!ポイント還元率以外に、おトクな面はありますか?
「JCB Biz ONE」は、個人事業主の方々が最初に手にする法人カードとして位置づけています。 そのため、一般カードは年会費永年無料です。
また 「JCB Biz ONE ゴールド」というゴールドカードは、初年度年会費無料、かつ年間100万円以上のご利用で翌年度も年会費無料になります。つまり月々8万円強のお支払いをする方であれば、ゴールドカードを発行いただくことで空港ラウンジなどのワンランク上のサービスも利用可能です。
このカードを通じて、これから成長していく事業者の皆様と長期的な関係を築いていきたいという思いから、初期の導入障壁を低く設定したのです。
Biz ONEは、個人事業主向け市場において後発での参入だったので、競合他社がすでに専用カードを展開している中で、市場でのインパクトを重視した商品設計を行いました。
その結果、カードの申し込み件数は当初の想定を上回り、お客様から高い支持をいただいています。
さらに、カードのデザインについても「かっこいい」といった好意的な評価をいただくなど、市場投入は成功でした。

―――「キャッシュフロー」の改善において、「JCB Biz ONE」をどのように役立てられますか?
青戸:先述のように、そもそものクレジットカードの機能として、お支払いタイミングを40日から50日で設定できます。さらに、「請求書カード払い(JCB × Digital Garage)」という付帯サービスをご活用いただく事で、資金調達の手間をかけずに、請求書の支払い期限を先延ばしにすることができます。

―――ほかに機能面では、どのようなメリットがありますか?
大倉:Biz ONEは、クレジットカードの機能にとどまらず、個人事業主やフリーランスの方々のビジネスを総合的にサポートすることを目指しています。
付帯サービスについても、本当に必要で使っていただけるものに厳選していますが、 特に注力しているのが、クラウド会計との連携による業務効率化です。
これは、JCBがこれまで法人カード事業で培ってきた、会計ソフトや経費精算ソフトとの自動連携サービスをBiz ONEにも搭載しています。

決済データが会計システムと自動連携することで、売上データの管理や会計処理が大幅に簡略化されます。
また、私たちが事業者へのヒアリングを通じて把握した現状として、個人事業主の多くは税理士に会計業務を依頼せず、自身で処理を行っているという実態があるのです。
さらに、サーバー利用料などのクラウドサービス利用において、従来の振込決済では支払いのタイミングによってビジネスが停滞するリスクも存在していました。
JCB Biz ONEでは全ての支払いをカード決済に集約することで、これらの課題を解決したいと考えています。そして個人事業主の方々が、日常的な決済をスムーズに処理できる環境を提供することで、ビジネスの効率化に貢献したいと考えています。
法人格を持たない事業者はそもそも法人カードを作ることができないという根本的なハードルもありました。 この課題を解決するため、Biz ONEは、個人名義でも発行できるような設計にしています。
―――お客様からの反響はいかがですか?
大倉: SNS上では既に好意的な反応が見られています。
特に、ポイント還元率の高さが注目を集めており、現在実施中のキャンペーンと相まって、「ポイントがざくざく貯まるカード」として個人事業主やフリーランスの方々から歓迎の声が上がっています。
ただし、サービス開始から間もないため、まだカードを利用されていない方も多く、実際のユーザー評価については、今後時間をかけて追跡調査していく予定です。
今後、より具体的な顧客の声を収集し、サービスの改善に活かしていきたいと考えています。
「その一歩に幸あれ」共に歩む!JCBの事業者支援への想い

―――今後、「JCB Biz ONE」をさらに発展させるために、どのような追加機能やサービスを検討していますか?
大倉:具体的な検討課題の一つとして、キャッシュフローの支援や業務効率化のサポートが挙げられます。
なぜなら今後の発展に向けて、私たちが重視しているのは、変化する時代やビジネス環境に適応したサービスの開発だと思います。
私たち自身もまだ学びの途上にあり、個人事業主の方々が実際に何に困っているのか、どのような支援が必要なのかを常に考えながらサービスの改良を進めていく必要があります。
特に重要なのは、固定概念にとらわれず、実際に使用されている個人事業主の方々の声に真摯に耳を傾け、それに基づいてサービスを改善していくことです。
事業者の方々が気づいていない課題に対しても、私たちからソリューションを提案していきたいと考えています。
―――「JCB Biz ONE」を通じて、JCBが描く法人カードの未来像はどのようなものでしょうか?
青戸:JCBが描くJCB Biz ONEの未来像は、個人事業主が事業を始める際に、当然の選択肢として認識される「必須の一枚」というポジショニングを確立することです。
さらに、事業の成長段階に応じて伴走できるパートナーとしての存在価値を高めていきたいです。
実際に個人事業主の知人に法人カードの利用について尋ねると、「そもそも何?」「法人じゃないけど使えるの?」といった反応が多く、カード会社側の情報発信がまだ不十分だと感じています。
事業を始める際、確定申告は避けて通れない作業ですが、法人カードを活用することで、この作業が格段に楽になります。
現状では、個人事業主の方々への法人カードの浸透度はまだ十分とは言えませんが、「事業を始めるなら、このカードが当たり前」という認識を広めていきたいと考えています。
―――今後法人カード市場はどのように変化していくと考えられますか?

大倉: これまでJCBの法人カード事業は、主に大企業向けの経費決済を中心に拡大してきましたが、社会全体のキャッシュレス化を推進するために、今後は中小企業や個人事業主の領域にも今まで以上に注力していきます。
また、法人カードの利用シーンについては、従来型の出張費などの経費精算に加え、今後はBtoB取引、特に仕入れ領域での活用が拡大すると予測しています。
その背景には、ビジネスのグローバル化や非対面取引の増加があります。
今後は、従来の振込と請求書発行という仕組みから、より効率的なキャッシュレス決済への移行が進むと考えられるでしょう。
このような市場認識のもと、JCBは特に仕入れ領域でのキャッシュレス化が進むと考えています。
「その一歩に幸あれ」独立をサポートする「JCB Biz ONE」の挑戦

―――最後に、読者の皆様にメッセージをお願いします!
大倉:新たなステップを踏み出す事業者の皆様に対して、私たちJCBは共に歩む伴走者でありたいと考えています。
事業者の方々は様々な課題を抱えていらっしゃると思いますが、そのような声に真摯に耳を傾け、適切なサポートを提供することで、お客様とJCB双方が成長できる関係を築いていきたいです。
青戸:私たちの会社では、「その一歩に幸あれ」というメッセージを掲げています。
新しい一歩を踏み出す時には、誰しもが自信と不安の間で揺れ動くものです。
そんな時、JCBがいつでもそばにいる存在として認識していただき、新たな挑戦への相棒として選んでいただけることを願っています。
私たちは、お客様からのご意見やご要望を大切にしながら、サービスの改善を重ね、皆様の事業の発展に貢献できるよう努めてまいります。
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インタビュアー
新井 那知
HonNe編集部
埼玉県・熊谷市出身。渋谷の某ITベンチャーに就職後、2016年にフリーランスライターとして独立。独立後は、アパレル、音楽媒体、求人媒体、専門誌での取材やコラム作成を担当する。海外で実績を積み、帰国後はクライアントワークを通してライターとして日々取材や編集、執筆を行う。現在は「未来のあたりまえをインストールするWebマガジンSo-gúd(ソウグウ)」の編集長を務める。