2023.02.28

アイカサが変える傘の廃棄率世界1位の日本。傘はシェアリングで、返却する時代に。


雨の日に何気なくコンビニや駅で傘を購入する人……

会社や学校の傘置き場に山のようにたまっている傘……

これらは日本ではお馴染の光景となっています。

その結果、日本は「*傘の廃棄率世界ワースト1位」になってしまいました。

いつの間にか私たちに根付いてしまった「傘は使い捨てるもの」という意識を根本から変えたいと課題解決に乗り出したのが株式会社Nature Innovation Groupの提供する傘のシェアリングサービス「アイカサ」です。

傘を気軽にレンタルし、雨の日をハッピーにしてくれる「アイカサ」というサービスの魅力と傘の未来について広報の加藤氏にお話を伺っていきます。



1洋傘の国内年間消費量, 日本洋傘振興協議会

「アイカサ」が、傘の廃棄をなくしサスティナブルな社会を実現する。



────本日は株式会社Nature Innovation Groupの広報・加藤さんにお話を伺っていきます。まず貴社の事業について教えてください。

当社は2018年12月に設立し、傘のシェアリングサービス「アイカサ」の提供を開始しました。アイカサとは、スマホひとつで24時間いつでも傘を1本110円でレンタルできるサービスです。現在は、月額280円で何度でも使える「使い放題プラン」や、マルイグループとの協業でエポスカードをお持ちの18~22歳の方は何でも0円という「U22応援プラン」なども用意していて、お客様ごとのご利用頻度やシーンに合わせて好みのプランを選んでいただけるようになっています。

────突然、雨に降られてしまった時にビニール傘を買うのではなく傘をレンタルできる訳ですね!「アイカサ」とても気軽に利用できるのも特長のひとつだと思いますが、使い方を教えてください。

まずはユーザーは、アイカサのアプリをダウンロードしていただきます。プランや支払方法などの登録が終わったら、すぐに傘のレンタルが可能です。アプリを開き、現在地周辺のアイカサスポットを探してみてください。借りたいスポットに到着したら、マップ上に表示されている「借りる」をタップ。

スマホをアイカサの機器についているQRコードをスキャンすれば傘を1本取り出すことができます。返却はどのアイカサスポットでもOKです。かりる時と同様の手順で「返す」をタップしQRコードをスキャンして返却してください。

────月額280円の「使い放題プラン」と1本110円の「使った分だけプラン」がありますが、どちらがおすすめですか?

当社では「月額280円定額プラン」をおすすめしています。こちらのプランを選んでいただくと、返却する必要がなくなり2本まで自由に使うことができます。

例えば、1本は家や会社などご自身がよく傘を使う場所にストックしておき、急な雨の時には「アイカサ」スポットでレンタルするなどの使い方も可能です。市場価格1本2000~3000円の傘を自由に使えるのはとても魅力的だと思います。ちょっと試しで「使った分だけプラン」を選択していただいた場合も、プラン変更はアプリ上で簡単に行えます。

────とても簡単に傘をレンタルできる上、返却はどのスポットでもOKというのもとても嬉しいですね。では「アイカサ」が誕生した経緯を教えてください。

加藤さん:

当社の代表取締役である丸川が大学時代、マレーシアに留学しており、東南アジアや中国でシェアリングエコノミーサービスが普及していることを知りました。当時、日本ではシェアサイクル、カーシェアが徐々に広がり始めた頃だったんです。

あらゆる遊休資産をインターネット上のマッチングプラットホームを介して他の人も利用できるシェアリングエコノミーサービスは、これから日本でも広がっていくと考えたのがアイカサ誕生の最初のきっかけです。

次に丸川が考えたのは、自分ならどのようなシェアリングエコノミーサービスが欲しいかという点でした。丸川自身、学生時代に雨に降られる度に傘を購入していたことがあり1本500~700円の傘代が非常にもったいない上、家にはビニール傘が何本も溜まってしまうことが悩みでもありました。

このような問題や悩みを解決したいと考え、傘のシェアリングサービス「アイカサ」が誕生しました。ちなみに傘のシェアリングサービスは、現在ではカナダ、ニューヨーク、ベルギー、シンガポールなどの海外でも広がりつつあります。

────「アイカサ」という名前にはどのような意味が込められているのでしょうか?

当社でレンタルしている傘には一本ごとにICチップが搭載されています。お客様がどのスポットで何時何分に借りて、何時何分にどの傘立てに返却したなどの情報が全て記録できる仕組みです。また、紛失・盗難の多いのも傘の課題のひとつだと思いますが、当社は全国の警察署と連携しているため、警察署に届いた場合は全て当社に返却されるようになっています。

また、レンタルしていた傘が紛失してしまった場合は利用者さまに追加料金がかからないようにもしています。このように当サービスを展開する上ではIT技術は欠かせないものという「ITの傘」意味、1本の傘をみんなでシェアする「相合傘」という意味、そしてシェアリングエコノミーの中で豊かなに暮らそうという想いである「愛」などを組み合わせて「アイカサ」と名付けました。

アイカサが、目指すのはカーボンニュートラルの実現!





────傘のシェアリングエコノミーを取り巻く現状の課題はどのようなところにあるとお考えですか?

日本ではコンビニや駅のキオスクなどで安価な傘を気軽に買えるため、傘は買って使い捨てるものという意識(文化)が日本に根付いてしまったように思います。その結果、今日本は「傘の廃棄率ワースト1位」という不名誉なレッテルを貼られてしまいました。

レジ袋をはじめとしたプラスティック製品については、日本でも規制がはじまり、プラスティック製品を捨てることは環境に良くないという認識が広まりつつあります。

プラスティック製品のように意識が変わるまでには時間がかかるかもしれません。しかし傘も使い捨てるのは環境に良くないという意識を広めていかなくてはいけないと思っています。その意識が浸透していけば傘のシェアリングエコノミー「アイカサ」も広まっていくでしょう。

────実際、前述していただいた課題に対してはどのようなアプローチをされていますか?



当社は2022年5月に「2030年使い捨て傘ゼロプロジェクト」という活動を開始しました。使い捨て傘の大量生産・大量消費・大量廃棄という問題に対して傘のシェアリング「アイカサ」を通して解決に挑むエコプロジェクトです。

やはり年間8,000万本の傘が使い捨てられているという日本の現状を変えるには、当社だけの活動では周知に時間がかかってしまいます。そのためプロジェクトには、大手企業さまにご参画いただき共に環境問題にチャレンジしています。

現在は、旭化成ホームプロダクツ株式会社様、NOK株式会社様、大阪ガス株式会社(Daigasグループ)様、サントリーホールディングス株式会社様、第一生命保険株式会社様、パナソニックホールディングス株式会社様が行う「100BANCH」、株式会社丸井グループ様、日本たばこ産業株式会社様が行う「Rethink PROJECT」、東京ガス様などの企業様がプロジェクトパートナーとして参画していただきました。

────素晴らしい取り組みですね!具体的にはどのような目標を掲げて活動しているのでしょうか?

2030年使い捨て傘ゼロプロジェクトでは、「カーボンニュートラルの実現」と「傘のシェアリングの普及」の2つを軸として活動を推進しています。

「カーボンニュートラルの実現」に対しては、カーボンニュートラルな状態に保つために、アイカサはサービス提供までのサプライチェーンに於けるCO2排出量分を算出し植林&森林保全を通じてオフセットし、カーボンニュートラル(※7)な状態を保つ運営をしております。さらに、アイカサは1回の傘レンタルで、傘を1本買った時と比べCO2-692g削減することに繋がります。つまりアイカサを利用するだけでも、地球環境にとってカーボンネガティブな影響を与えることになるのです。

────サスティナブルという文脈において、傘を取り囲む環境はどのように変化しているのでしょうか?

「アイカサ」が提供を開始した2018年当時は、傘のシェアリングや傘の日本の廃棄率の高さが社会課題であるという認識も低く、「アイカサ」のスポットを広げることもなかなか難しい状況でした。

サービス提供を開始してから3年が経過し、社会全体のSDGsや環境問題についての関心が高まってきています。実際、ユーザーさまの数もひと月に1万人ずつ増えており、現在は30万人以上(取材時の情報です)の会員数に達しています。この成長速度は今後も加速していくでしょう。それに合わせて「アイカサ」の設置箇所も13都道府県、約1000スポットに達し、今後も日本全国へ拡大していく予定です。

シェアリングエコノミーの文脈から「傘はシェアする」が当たり前の未来へ向けて





────未来の展望やこれから挑戦したいことはありますか?

日本全国への拡大とは言え、短期的にはやはり東京都内の全ての駅に「アイカサ」スポットが設置されている状態を目指したいと思っています。また一部、マンション経営会社さまのご協力もいただき、分譲マンションへの設置も広まりつつあります。自宅で借りて駅で返すといった理想的なスキームが構築されつつあるエリアもあるので、今後はディベロッパーさまともタッグを組み、このようなエリアを広げていきたいと思っています。

他には2020年6月にアイカサ・ジップロック®・テラサイクル・ BEAMS COUTURE 4者協働でジップロック®をリサイクルした傘のシェアリングサービス『Ziploc RECYCLE PROGRAM』を実現しました。



ゴミになるものが傘に生まれ変わった素晴らしい取り組みだったと思っています。今後もさまざまな企業さまとコラボしながら、傘自体をサスティナブルな存在にしていけたらと考えています。

────「アイカサ」とはどんな存在ですか?



当社は「雨の日を快適に、ハッピーに」と「使い捨て傘ゼロへ」という2つのスローガンを掲げて活動しています。雨の日は気分が落ち込みがちだったり、経済活動も鈍くなりがちだったりマイナスなイメージを持たれることが多いと思います。

そんな憂鬱な気分の日でも「アイカサ」があることで「ちょっと歩いて買い物に出かけてみよう」、「雨の日はエコに貢献できる日」といった楽しくハッピーになれるような存在でありたいと思っています。

「アイカサ」を使ったことがない方にとって、利用開始のハードルがまだ高いと思います。ただ、実際に使用した方は「予想以上に簡単に利用できた」という声を多くいただきますので、ぜひ一度使ってみてその手軽さを体験してみて欲しいです。

そして令和の子どもたちが大人になった頃、「アイカサ」のサービスが浸透した時「昔は傘を使い捨てていたんだよ」と自分の子どもに伝えているほど傘のシェアリングサービスが普及している未来が訪れて欲しいです。

────本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。

<編集後記>

私自身も急な雨に降られて、家に何本かあるビニール傘を思い浮かべながらも傘を購入した経験が何度もあります。その度に次こそはちゃんとした傘を1本買って、雨の日は持ち歩こうと心に決めるものの……やはり突然の雨には対応しきれないのが現実でした。「アイカサ」を使えばこういった悩みが解決できるのです。

そして少し先の未来では「昔は傘を使い捨てていたんだよ」と子どもたちに話すと「え!信じられない!」という反応が返ってくる……そんな未来を加藤さんのお話から見せていただくことができました。人が移動の拠点とする全てのスポットに「アイカサ」が設置された未来には、傘を買う必要すらなくなっているかもしれません。



アイカサの詳細を見る

新井那知
ライター
So-gúd編集部
新井 那知
埼玉県・熊谷市出身。渋谷の某ITベンチャーに就職後、2016年にフリーランスライターとして独立。独立後は、アパレル、音楽媒体、求人媒体、専門誌での取材やコラム作成を担当する。海外で実績を積むために訪れたニューヨークで、なぜかカレー屋を開店することに—-帰国後は、クライアントワークを通してライターとして日々取材や編集、執筆を担当する。料理と犬、最近目覚めたカポエイラが好き(脚技の特訓中)。
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