信頼の未来を創る:ジンジャーが拓く人事管理の新時代
2024.09.09

信頼の未来を創る:ジンジャーが拓く人事管理の新時代


7月1日は「クレジットの日」とされていることをご存じだろうか。1961年(昭和36年)7月1日に公布された割賦販売法にちなんだものだ。

割賦販売とは、商品やサービスの購入者が代金の支払いを2か月以上の期間で、かつ3回以上に分割して受けることを条件に商品やサービスを提供すること、およびクレジットカードによる販売のことを指している。

ここで多くの人はクレジットカードをイメージするかもしれないが、この本質は「信用・信頼」である。企業にとって「信用・信頼」はなによりも大切であり、特に人事労務担当者は企業の「信用・信頼」を担う重要な役割と言える存在だ。

そこで今回は、クラウド型人事労務システム「ジンジャー」を提供するjinjer株式会社にお話を伺った。お話を伺ったのは執行役員CPO・松葉治朗氏。「信用」は「ジンジャー」にとってどのような役割を担うのか、松葉氏から改めてその重要性を紐解いていきたい。

松葉 治朗
インタビュイー
松葉 治朗氏
jinjer株式会社
プロダクト統括本部 統括本部長
執行役員CPO


「つながっている、だから業務がラク」という世界観を目指して

ジンジャー 取材用画像 引用:https://hcm-jinjer.com/database/

────まずはjinjer株式会社の事業概要を教えてください。

「jinjer株式会社」は、「CoreHR(コア エイチアール)」と呼ばれる、人事労務・勤怠管理・給与計算など人事の定型業務を、1つのデータベースを軸にまとめて管理できる、クラウド型人事労務システム「ジンジャー」を提供しています。昨今ではCore HR領域のサービスに加えて、人事評価、eラーニング、サーベイ、人事データ分析など、TalentHR領域における人事の企画・戦略(タレントマネジメント)業務に関するサービスの提供も開始しました。このように、ジンジャーは、各システムにおける人事情報を、1つのデータベースに集約し、各社の業務課題に応じて必要なサービスと組み合わせることで、人事業務の効率化に取り組んでいます。

またジンジャーは、人事システムの枠を超えて、従業員にまつわる全ての従業員情報をシームレスに管理できる「HR Universal Platform(エイチアール ユニバーサルプラットフォーム)」の実現も進めています。

ジンジャー 取材用画像 ▲ジンジャーが掲げる「HR Universal Platform」構想イメージ図

「HR Universal Platform」では、人事システム領域以外の外部サービスとの連携が可能になります。例えば、Google(グーグル)やSlack(スラック)をはじめとした業務上必要不可欠なサービスとの情報もスムーズに連携することができます。ジンジャーに蓄積された従業員情報を起点にすることで、人事システム領域以外の外部サービスとの連携を実現していきます。

人事システムだけではなく、その他の関連業務についてもオートメーション化(自動化)を実現できることがジンジャーの強みであると言えます。

またジンジャーは「機能的な価値」と「体系的な価値」があります。

「機能的な価値」は、業務の自動化、統合ワークフロー、包括的なデータ分析が挙げられます。そして「体系的な価値」としては、ユーザビリティの良さ、1ID/1パスワードで簡略的にログインできることによる従業員の業務効率化、そしてサポート窓口の統一による管理者の問い合わせ工数削減などです。

様々な業務を1つのプラットフォーム上で効率化し、人事データベースを基にした管理体制を実現することができるので、「業務効率化」「人的ミスの軽減」「セキュリティ向上」に貢献します。加えてジンジャーでは、属人的かつ反復的な手間のかかる業務(人事データの入力作業など)に関しても、自動化・合理化することが可能です。

────人手不足問題など様々な課題感のある人事業務を「ジンジャー」導入により解決できることから反響も高いサービスだと感じました。実際に「ジンジャー」を導入されている企業様からは、どのような声がありますか?

わかりやすい部分でいうと「ペーパーレス化の実現」ですね。

というのも、ジンジャーは全ての人事業務に精通するシステムを1つのサービスでまとめてご利用いただける上に、スマホやPC、タブレットから操作することが可能です。そのため、自宅や外出先からでも業務ができるので、仕事のスピードが上がったというお声をいただいています。

またジンジャーは、人事データベースを統合しているので、入社・退職・異動のタイミングで発生する人事データの更新業務に関しても強みを発揮します。その強みは、1つの人事データを書き換えると、人事に連動する他システムのデータも書き換えられることです。例えば、従業員が昇格した際にジンジャーを使えば、役職の変更に付随して、勤怠システム、人事システム、経費申請システムに関する承認ワークフローも全て自動で変更することができます。

これはAPI連携のような「一部のデータを連携する」といった仕組みとは異なり、本質的なデータ連携と言えると自負しています。

このように、表面上の従業員データが単に連携するのではなく、人事系システム全てのデータベースが連動しているのです。反復的な業務が自動化されるため、人事担当者は業務をよりスムーズに行うことが可能です。

────なるほど…役職等が変わったタイミングでワークフローの変更も一気通貫で対応できるんですね。

そうですね、特にワークフローへのデータ連動は、各部署・チームごとに承認フローが異なるケースが多いことから、人事担当者の管理を煩雑にしています。そのため承認者のステータスが、昇格や部署異動により変わったとしても、データベースが1つに統合されているので、関連する人事系システム全てのデータを連動して更新することが可能です。このような管理体制の最適化は、お客様からもご好評をいただいています。

その例として、個人的には、ある自動車メーカー様が印象的ですね。

こちらの企業様は、全国にある店舗で使用する人事系システムを、ジンジャーに統一していただきました。統一化に伴い、弊社の営業チームにカスタマーサクセスチームを加えて全店舗でのジンジャー導入・運用定着に向けた支援を実施しました。導入支援をする中で、お客様が遠方にお住まいなのにもかかわらず、わざわざ弊社オフィスまで来社してくれたんです。その際にお客様が、積極的にジンジャーの導入を推進していただいたことがとても印象的でした。

お客様のご協力の甲斐もあって、現在では、ジンジャーで人事労務・勤怠・ワークフロー・雇用契約に至るまで運用されています。、人事関連書類のペーパーレス化に加えて、各システム間の情報連携も実現できました。これは、データが1つに統一されているからこそ、業務の効率化に繋がったと考えています。また、長期間、運用までの設定業務を支援していたこともあり、お客様からも「ペーパーレス化を実現できて、店舗からも“業務の効率化ができている”と良い評価をもらっています!」と直接温かいお言葉をいただき、開発メンバー、営業、カスタマーサクセスチーム一同、本当に嬉しい限りでした。

────「ジンジャー」導入のメリットについて伺ってきましたが、御社のWebサイトを拝見し「カスタマイズ可能」というのも「ジンジャー」の強みだと感じました。こちらは具体的にどのようなことでしょうか?

ありがとうございます。「ジンジャー人事労務(https://hcm-jinjer.com/jinji/)」を例に説明します。

ジンジャー人事労務では、人事データの項目を自由に作成できるのも特徴です。単に1つの項目を作れるというだけではなく、過去、現在、未来といった“時間軸”の概念を持ち合わせたデータを管理できます。

というのも、人事情報は役職、所属部署、評価内容といった時系列があるデータを扱うのが特徴的であるからです。「人的資本経営」が重要視されている昨今においては、時系列で人事情報を管理・蓄積した方が、統合型の人事データベースの強みをより活かせると思います。 今後多くの企業が、人事データを用いて人事分析を行っていくことを考慮すると、単に従業員情報を登録するだけでなく、時系列でデータを蓄積していくことがより重要になっていくはずです。

またジンジャーは、人事労務システムだけでなく、勤怠・給与・ワークフローなどのカスタマイズも可能です。特に勤怠に関しては企業の働き方に応じて制度が異なる場合が多いので、様々な角度から勤怠の課題に関してアプローチすることが重要です。そのため、柔軟性を持たせた機能を充実させられるように日々開発を進めています。

例えば、企業独自の出勤簿データが欲しい場合には、勤怠項目を出力できるようにしたり、雇用区分ごとに給与明細に記載する表示項目を変更できたりするなど、痒い所に手が届くような設定を実装しているんです。ここはSaaSならではの強みですが、利用したユーザー様の声を吸い上げて、最適解を導き出した上で、随時機能として実装するようにしています。

このようにジンジャーは、現場目線でカスタマイズ性があるサービスであると考えております。

「ジンジャー」が目指す、「統合型のクラウドサービス」が企業の課題を解決する

ジンジャー 取材用画像 引用:https://brand.jinjer.co.jp/history

────昨今、人事労務などのバックオフィスといわれる領域は、人材不足も懸念されています。しかし地方都市を中心に様々な問題からDXできない、DXが進まない企業も多いのが現状だと考えています。そういった課題感がある中で、改めて「ジンジャー」というサービスが立ち上げられた背景などを教えてください。

jinjer株式会社は、大手人材会社のいち事業としてスタートしています。ジンジャーは、お客様の採用支援を通して、人事担当者様から伺った現状や課題感を解決するために誕生しました。

ジンジャーが誕生した当時、アメリカでは既に「Zenefits(ゼネフィッツ)」(現:TriNet Zenefits)という人事、労務、勤怠、給与が一体型となったサービスがありました。

そんな中、日本ではようやく勤怠管理をクラウド型で提供するサービスが普及し始めていました。それから徐々に、様々な人事系サービスが日本でローンチされていきましたが、それらのサービスが増えるにつれて、サービスの情報を連携させる手間や設定工数にお客様が負担を感じていることに気がついたんです。

そのためジンジャーは、開発最初から「統合データベース」の思想を実現できるサービスを作り、最終的にはお客様が抱える人事課題や実現したい世界観に近づきやすいと考えました。

当時最初に提供したのは、勤怠システムです。勤怠システムは、ペーパーレス化やリモートワークの普及、外出先での作業など課題が多岐にわたっていました。また勤怠システムは、勤怠の管理者と従業員が最も利用するサービスです。そのため、まずは勤怠領域の課題を解決できるサービスを作ることから着手し、そこから徐々に、様々なサービスを開発して、現在の「ジンジャーシリーズ」になっています。

企業様の課題解決へ向けて


ジンジャー 取材イメージ画像
────「ジンジャー」というサービス提供を通して、様々な事例をみられてきたと思いますが、人事労務などのバックオフィス領域で企業が抱えている主な課題感、社会全体の課題とはどのようなところでしょうか?

企業規模によって課題は異なるので、企業規模ごとにお伝えさせていただきます。

まずは、小規模かつ地方となると、ネット環境が行き届いてない企業も一部存在しているため、そもそもクラウドを利用する基盤となる環境作りが課題として挙げられます。

このような背景には、DXやパソコンなどのシステム化自体に難易度の高さを感じている事業者が多い印象です。

一方で比較的ITリテラシーが高い中規模の企業では、従業員もある程度増えてくる中で、業務を効率化しながら事業運営をするべく、最初からクラウドベースで人事系システムを利用するケースも多いですね。

また大手企業の場合は、基本的には業務がシステム化されている印象です。システム化が進んでいる一方で、雇用契約書など、従業員からデータ収集する際の方法は紙で行っている場合が見受けられます。

また多店舗展開している企業様の場合、ペーパーレスが進まない理由があります。その理由は、システム化にあたり仕組みを変更する必要があったり、現場の管理者が通常業務に忙殺されてその課題に向き合えなかったりするのが原因です。

また給与システムのケースにおいては、オンプレミス(自社構築型のシステム)で作り込んだ細かい機能や給与計算のロジックなどが影響しています。その結果、クラウド型へ移行した際に、過去に設定していた複雑なシステム構造を再現できないという問題が発生するんです。その結果、システムが移行されないまま、オンプレミスで再び運用するという本末転倒な事態になってしまいます。そのため、企業は、システムをクラウドへ移行できずにいるという現状に悩むケースも多いと思います。

「人事bot」の実現はすぐそこ!さらに先の未来を見据えて


ジンジャー 取材イメージ画像
────前述の課題感のお話の中でAI技術のお話がありましたが、今後AI技術を導入していく中で、jinjer株式会社はどのような世界観をイメージされていますか?

AI技術導入後の世界観については、短期と長期に分けてお話しします。

短期的な世界観は、「データ解析ができるAI」を使った「人事bot」です。これは、社内の問い合わせを受けてくれる「AI人事」として、人事botを自由に作ることが可能になるでしょう。

具体的にいうと、従業員が人事担当者へ「育休制度について教えてください」と問い合わせがあった時、社内にある就業規則や規定集の中身を細部まで把握していないと、問い合わせに該当する内容を探すのも見つけるのも、解読するのも大変です。しかし「人事bot」を活用すれば、社内規定の内容を自動で読み取って、人事担当者の代わりに適切な回答をチャット形式ですぐに回答できます。

────ありがとうございます。長期目線では、いかがでしょうか?

長期的な世界観としては、「データへのアクセス権限に応じて知りたい情報にすぐにアクセスできる世界を作ること」、そして「業務の自動化(プロセスオートメーション)を実現すること」です。

例えば、一部門の事業責任者が「直近三か月の残業時間でトップ3の従業員名」を知りたい場合、管轄する人事担当者や事業責任者に応じて必要な情報を即座にアウトプットすることが重要です。

そのためには、人事担当者や事業責任者がアクセスして良いデータへアクセスするための権限をより柔軟に設定できることが必要になるので、お客様のご要望を日々反映できるように開発を進めています。

2つ目の、「業務の自動化(プロセスオートメーション)」では、従業員が入社してから働き始めるまでの間で発生する、あらゆるオペレーショナルな業務が自動的に行えるようになることです。

例えば、来月の入社が確定している社員について、従業員情報が記載された人事関連書類が自動で生成され、社会保険関係の電子手続きが進めるためのタスクなどを人事担当者や従業員が行うべき業務を、自動でTodoリストを作成し、スムーズに行えるというものです。

このように、定型的な人事業務は、人の手を介さず、より自動化できる世界を実現したいと考えています。

────クラウド市場全体として、5年後、10年後はどのような世界観になっていると思われますか?

「人事のご担当者様がより効率的に働くことができる社会を作り上げたい」という私たちの想いが、5年後、10年後が経っても変わることはないでしょう。そしてこの先、人事データが無くなることがないので、DXの促進やAI導入など技術の革新を進めたいと考えています。

同時に、人間でしかでき得ない業務も重要視していきたいと思っています。
企業には、人事担当者・経営者・従業員という三者が必ず存在して事業運営がされています。少子高齢化が急速に進む中で、その三者がより効率的に働ける社会を目指していきたいです。

そして、労働環境の改善や働き方の多様性という部分をしっかりと担保できるサービスを作り、日本全体に「ジンジャー」というサービスを普及し、全国で業務効率化がなされる世界を作りたいと思います。そのために、より導入していただきやすい場を提供できるよう、開発含め、事業運営に取り組んでいきます。

────最後に、読者の方へ向けてメッセージをお願いします。

私たちの「ジンジャー」というサービスは、リリースから8年以上経ったサービスです。CoreHRという人事の定型業務からタレントマネジメント領域を含めて、クラウドで包括的に提供できるサービスです。

ですが、解決したい課題の優先順位は、企業様によって異なると思います。まずは課題の優先順位が高いものからサービスを導入いただき、将来的には導入範囲を拡大することもできます。

人的資本経営が求められる今だからこそ、人事データを統合した人事データ分析やタレントマネジメント、そして将来的には業務の自動化が実現できるジンジャーをご検討いただけると嬉しいです。

新井那知
ライター
So-gúd編集部
新井 那知
埼玉県・熊谷市出身。渋谷の某ITベンチャーに就職後、2016年にフリーランスライターとして独立。独立後は、アパレル、音楽媒体、求人媒体、専門誌での取材やコラム作成を担当する。海外で実績を積むために訪れたニューヨークで、なぜかカレー屋を開店することに—-帰国後は、クライアントワークを通してライターとして日々取材や編集、執筆を担当する。料理と犬、最近目覚めたカポエイラが好き(足技の特訓中)。
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