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2019.05.02

Facebook広告の費用対効果改善方法~アメリカでの活用事例:2019年最新版

企業が自社の商品やサービス・ブランドのFacebookページを開設、定期的に投稿・ポストするのは無料ですが、それだけで売上を高めるのは難しいもの。そこで上手く活用したいのがFacebook広告。高い費用対効果で運用できれば、少ない予算でも高いマーケティング効果で売上拡大も実現可能です。ただ、Facebook広告の費用対効果を改善・最大化するにはどんな方法があるでしょうか?

当社EXIDEAでは、2019年3月にアメリカ・サンディエゴで開催されたソーシャルメディアマーケティング関連イベント「Social Media Marketing World 2019」に参加、アメリカでの最新のFacebookマーケティングの成功事例を収集してきました。

このページでは、カンファレンスで共有された最新成功事例をもとにFacebook広告の費用対効果を改善、ビジネスの売上に繋げるマーケティング方法やFacebook広告活用のポイントを紹介します。

※「Social Media Marketing World 2019」の概要は、別の記事「ソーシャルメディアマーケティング最新動向~Social Media Marketing World 2019参加レポート」でご確認ください。
青木綾
青木 綾(RYO AOKI)
EXIDEA米国支社「EXIDEA GLOBAL USA INC.」代表。2002年株式会社リクルート入社、就職情報サイト「リクナビ」や宿泊予約サイト「じゃらんnet」等のサービス開発やプロデューサー業務に従事。2014年に退職後、アメリカ・カリフォルニア州・ロサンゼルスに移住。現地で日本語情報誌を発行する「Lighthouse」のVice Presidentを経て、2018年より現職。(Twitter: @RyoAoki9

効果改善の前に…Facebook広告活用の3つの目的・フェーズ

企業が自社のビジネス(商品やサービス・ブランド)のFacebookページを開設、Facebookへの投稿・ポストを通した情報提供は無料ですが、それだけではマーケティング効果は限定的。そこでFacebook広告を活用する企業が増加しています。

多くの企業にとってFacebookマーケティング活用の目的は何でしょうか?Facebook広告には主に3つの目的・フェーズがあり、目的によりFacebookでの広告配信方法や費用対効果の改善方法が違います。このため、まず実施する施策の目的が以下3つのどれかを意識することが重要です。

Facebook広告で新たなユーザーセグメントにリーチ・認知獲得

Facebook広告の活用目的の1つが、自社の商品・サービスを知らないユーザーセグメントへのリーチと認知獲得。また自社の商品・サービスと親和性が高いと思われるFacebookユーザーの属性を指定、広告のターゲティング配信も可能です。

ただしFacebook上の認知獲得だけで創出できる売上は限定的。さらにFacebookマーケティングの効果を高め、成果を改善するには次の2つの目的意識も必要です。

接点を持ったユーザーからのエンゲージメントの獲得・ファン化

すでに自社の商品・サービスを認知しているユーザーをターゲットに、さらにエンゲージメント(Facebook投稿への「いいね!」やコメント、シェアなど)を獲得、関係性を深めることもFacebook広告の活用で実現できることの1つ。長期的にユーザーを繋ぎ止め、「ファン化」することが価値を生むビジネスでは、エンゲージメントの獲得・深化も重要なFacebookマーケティングの活用目的です。

リターゲティング活用によるコンバージョン喚起・売上創出

Facebook広告で最も重要なのは、購入や会員登録、問い合わせなどのコンバージョンを喚起、売上に繋げること。そのためには、自社の商品・サービスと接点の無いFacebookユーザーへの広告配信よりも、すでに認知獲得済み、あるいはエンゲージメント獲得済みのオーディエンスを対象としたリターゲティングの活用が効果的。

すでに認知・エンゲージメントがあることが前提の場合、広告クリエイティブの作り方が変わり、また広告効果最大化にはターゲットセグメント別の最適なクリエイティブの作成も考慮する必要があります。このためコンバージョン喚起・売上創出が目的のFacebook広告では、他の目的の広告と費用対効果改善の打ち手や考え方が違ってきます。

以上のようなFacebook広告の3つの目的・フェーズを意識して1つ1つのマーケティング施策を立案、実施することがFacebook広告の効果的な活用の基礎です。

Facebookマーケティングの費用対効果改善に必要な基礎知識や準備

Facebook広告を活用した各マーケティング施策や成功事例の話に入る前に、マーケティングの費用対効果改善に必要な基礎知識や準備を簡単に紹介します。

広告効果指標の基礎知識~CPM・CPC・CPA

Facebook広告の費用対効果改善を考える前に、どんな測定指標の効果を改善するのかの明確化が必要です。Facebookに限らず、WEBマーケティングの広告効果では下記のような指標が基礎となります。

CPM(1000インプレッションあたりの広告コスト)

CPM(Cost Per thhousand impressions)とは広告表示1,000回あたりのコストで、CPMの指標が低い広告ほど費用対効果が高いと言えます。またCPM改善には、正しいFacebookオーディエンスへの広告配信を意識する必要があります。

CPC(1クリックあたりの広告コスト)

CPC(Cost per Click)とは1クリック獲得に要した広告コストで、「広告のクリック回数÷広告費用」などで計算される指標。CPCが低いほど費用対効果が高いとも言えますが、CPCの改善には広告配信対象のオーディエンスの見直しや、広告クリエイティブの改善などが有効です。

CPA(1コンバージョンあたりの広告コスト)

CPA(Cost Per ActionまたはCost Per Acquisition)とは1アクション(会員登録や購買・問い合わせなどのコンバージョン)獲得に要した広告コスト。CPMやCPCと比較して売上との連動性の高い指標で、CPAが改善すれば利益が増え、悪化すれば利益が減る重要な指標です。

CPA改善にはCPMやCPCの改善のほか、Facebook広告に割引オファーを含めるなど、コンバージョン率が高まるような施策が有効です。

ユーザーの行動履歴に応じた広告のターゲティング配信を活用する準備

Facebook広告でユーザーエンゲージメントを深化したり、コンバージョンを喚起して売上創出に繋げるには、特定のユーザーセグメント(カスタムオーディエンス)にターゲティングした広告配信が効果的(具体的な方法・事例は後述します)。

例えば、自社WEBサイトへの訪問履歴のあるユーザーや、ランディングページへアクセスしたがコンバージョンしなかったユーザーなど、各ユーザーの行動履歴に合わせた広告コンテンツで再度コンバージョンを促すことがFacebook広告の活用で可能になり、かつ効果的な方法。このリターゲティング広告の配信には以下のような事前準備が必要です。

WEBサイトでのFacebookピクセルの設定

リターゲティング広告を活用した広告効果改善にはまずFacebookピクセルの設定が必要。ピクセルとはFacebook広告でリターゲティングを可能にするJavaScriptのコードで、自社のWEBサイトに設定するもの。WEBサイト上での行動情報から「●●ページにアクセスしたユーザーだけに広告を配信」などが可能になり、自社サイトに来訪済み、自社の製品・サービスを購入済みなどFacebookユーザーの状態別に広告内容を変えることで効果改善が可能になります。

ECビジネスの場合、Facebookカタログを作成、ダイナミック広告利用の準備

ECビジネスの場合、Facebookピクセルと同時に製品カタログのFacebook上での作成もおすすめ。この準備をしておくとFacebookのECビジネス向けダイナミック製品広告を利用可能になり、リターゲティング広告配信対象のユーザーが過去に閲覧した商品や関連商品の広告表示が可能です。アメリカでは、このダイナミック製品広告を活用したFacebookマーケティングの改善・成功事例が増えています。

広告の費用対効果を高める3つのポイントと活用事例~Social Media Marketing World 2019から

Facebook広告を高い費用対効果で運用するには、最適なオーディエンス・ターゲットに、最適な内容の広告コンテンツを、最適なタイミングで配信することが基本。

これを意識すれば自然とCPMやCPCが下がり、Facebook広告の費用対効果が改善されるものですが、実際にはどんなオーディエンス・ターゲットへのFacebook広告配信が最適なのか?どんな内容のコンテンツが効果的なのか?分からない、または不明確な場合も多いもの。

当社EXIDEAが2019年3月に参加したソーシャルメディアマーケティング関連イベント「Social Media Marketing World 2019」では、アメリカ企業による最新のFacebookマーケティングの成功事例が多数共有されました。

そこでFacebookマーケティングの効果的な活用方法や、Facebook広告の費用対効果を改善するポイントを3つに絞り、以下で紹介します。

認知獲得におすすめは写真やリンクよりも動画広告の活用

Facebookのポスト種類によるエンゲージメントの違い

自社の商品・サービスと接点の無いFacebookユーザーに、新たにリーチして商品・サービスの認知度を高める場合、動画広告の活用がおすすめ。これは写真の投稿やWEBサイトへのリンクをシェアするポストよりも、動画コンテンツの方がユーザーのエンゲージメントを得やすいからです。ソーシャルマーケティングツールを提供するBuzzsumoの最新調査によると「動画(Video)コンテンツの投稿」は、他のポストと比較して2倍から3倍以上のエンゲージメント獲得効果があるとされています。

また、認知獲得目的のFacebook動画広告に成功するポイントに挙げられるのが以下の3点です。

30秒以内の動画投稿がFacebookでは効果的

多数のコンテンツや広告が並ぶFacebookのタイムライン上で、ある動画が再生されても平均視聴時間は10秒前後という調査結果も。動画広告が効果的だとしても、動画の再生時間は極力短いものが良く、30秒以内の動画の制作・活用をアメリカの多くのソーシャルマーケッターが推奨しています。

安心感・信頼感を伝える

認知獲得が目的の場合、広告配信対象のFacebookユーザーにとって自社の商品・サービスは未知のもの。つまり、どんなに良い商品・サービスも疑って見られることを前提に考えるべきです。であれば、Facebook広告でまず伝える必要があるのは安心感や信頼感。外部からの表彰実績や医師が認めた効能など、信頼できる客観的事実を広告コンテンツに含めることが効果的です。

企業や商品・サービスのストーリーを伝える

ただ企業や商品・サービスの特徴、メリットを箇条書きで伝えるだけの動画広告を見ても、見た人はワクワクしないもの。Facebookユーザーの興味を喚起、サイト来訪や「いいね」などのエンゲージメントなどの効果に繋げるには、動画を見てワクワクする、続きを知りたくなるストーリーが必要です。例えば、自社の商品・サービス利用者が、利用前後でどう変化したかなどを伝える物語が効果的とされています。

このように「安心感・信頼感」かつ「ストーリー性」のある、「30秒以内の動画」の活用がFacebook広告では効果的とされています。現在、すでにFacebookの動画広告を活用中の場合、これらの観点を踏まえることで費用対効果の改善を期待できます。

カスタムオーディエンスを活用した広告・コンテンツの配信方法

Facebook広告の効果を高めるには、自社の商品・サービスと接点の無いFacebookユーザーへのリーチよりも、何らかの接点のあるユーザーに広告・コンテンツを配信する方法が効果的。すでに接点のあるユーザーをターゲティングし、エンゲージメントを深めたり、コンバージョンを喚起して売上を創出するには、Facebookのカスタムオーディエンス機能の活用がおすすめの効果改善方法です。

例えば、自社のFacebookページやWEBサイトを訪れても9割以上のユーザーが商品購入や会員登録などのコンバージョンをせずに去るのが一般的。この「自社ページ訪問済み」という行動履歴をターゲットに、広告配信・マーケティングを可能にするのがFacebookのカスタムオーディエンスやリターゲティングの活用です。

このカスタムオーディエンスはFacebook上での行動履歴のほか、Facebookピクセルが設定されていればWEBサイトの訪問履歴などを基に設定可能で、特定の条件に合致したオーディエンス向けに特定の広告コンテンツを配信できます。

以下でカスタムオーディエンスを活用したFacebookマーケティング事例を紹介します。

FacebookやInstagramで「いいね」やコメント、シェア済みのユーザー向けにリターゲティング配信

WEBサイトのコンテンツを閲覧したユーザーや、Facebook・Instagramの自社ページで「いいね」やコメント、シェアなど何らかのアクションを実行した人は、自社の商品・サービスにエンゲージメントがあると考えられます。これらの行動履歴を持つユーザーへのリターゲティング・広告配信は、新規ユーザーからの認知獲得よりも広告効果が高いのが一般的。

例えば、以下のようなFacebook、Instagram上の行動履歴でカスタムオーディエンスの作成が可能です。

  • 自社のFacebookページやInstagramのプロフィールページにアクセスしたことがある人
  • 投稿または広告に対して「いいね」やコメント、シェアなどのアクションを実行したことがある人
  • 投稿または広告を保存した人

これらの条件でリターゲティング、他のFacebookの投稿コンテンツや広告クリエイティブを配信して、エンゲージメントを深める、ユーザーをファン化するなどのマーケティングが可能です。

動画の視聴状況別に次のクリエイティブを作成してFacebookで配信

動画視聴によるカスタムオーディエンス化の例

自社のFacebookページにポストした動画コンテンツを視聴したユーザーのカスタムオーディエンス化も可能で、動画を再生しただけでなく、最初の10秒だけ再生した、半分まで見た、半分以上再生したなど、動画の再生時間による詳細なカスタムオーディエンスの設定が可能です。

動画の再生時間が長いユーザーほどエンゲージメントが高いと考えられ、特定の動画コンテンツを半分以上視聴した人をカスタムオーディエンス化、別の動画や記事コンテンツを案内してさらにエンゲージメントを獲得したり、特別な割引クーポンを配信してコンバージョンに繋げることで広告効果の改善が可能です。

ランディングページは訪問したがコンバージョンしなかったターゲットをリターゲティング

商品やサービスに興味があり、購入・会員登録などのランディングページ(LP)は訪問したがコンバージョンしなかったトラフィックに対するリターゲティングも可能。

LP訪問済みユーザーをカスタムオーディエンス化、コンバージョンしなかった理由を考えた上で、Facebook広告のリターゲティングを活用して期間限定の割引サービスを提供するなどして再度コンバージョンを喚起、売上に繋げた成功事例などが多数あります。

同様にECサイトなどでは、カートに商品を入れたオーディエンスと、購入済みオーディエンスの差分をグループ化し、未購入カスタマー向けのFacebook広告配信などで効果を改善した事例もありますです。

ABテスト機能の利用による費用対効果の改善

Facebookの広告配信ではABテストが可能です。このABテスト機能の活用による、Facebookマーケティングの費用対効果改善事例も多数あります。アメリカでのFacebook広告のABテスト事例を確認すると、以下の3つが重要なテストの観点と言えます。

  • 1.オーディエンス:どのターゲットセグメントが費用対効果が高いか
  • 2.画像・動画などのクリエイティブ:どの広告クリエイティブが最も費用対効果が高いか
  • 3.広告の配置:フィード部分や右側の広告枠、ストーリーズなど

予算規模が大きくない(月間50万円以下)場合、Facebook広告のABテストの進め方は、オーディエンスを3種類、写真やタイトルを変更した広告クリエイティブを3種類作成、3×3=9パターンでの広告配信テストが効果的でおすすめとのこと。またABテストには広告予算全体のうち10-20%程度を投下、最も効果的なパターンで残りの全予算分の広告を配信する方法がおすすめで、この方法で効果が最大化された事例も紹介されました。

以上、Facebook広告活用の基本や費用対効果の改善方法について、当社EXIDEAが2019年3月にアメリカ・サンディエゴで参加したソーシャルメディアマーケティング関連イベント「Social Media Marketing World 2019」で共有された最新の事例やノウハウをもとに紹介しました。

※「Social Media Marketing World 2019」の概要は、別の記事「ソーシャルメディアマーケティング最新動向~Social Media Marketing World 2019参加レポート」でご確認ください。
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