本格的な5G時代に向けて、ますます増加する動画コンテンツやユーザーの動画視聴。すでにソーシャルメディアマーケティングでは、テキストの投稿と比較して動画投稿の方が効果が高いとのデータも多く、WEBマーケティングに携わる者であれば、マーケティング効果を最大化する動画コンテンツの作り方は誰でも知っておきたいもの。
このページでは、2019年3月にアメリカで開催されたソーシャルメディアマーケティング関連イベント「Social Media Marketing World 2019」から、ソーシャルマーケティングで効果的な動画の作り方に関連する最新情報や成功事例など、おすすめの動画コンテンツの作り方を4つのポイントを中心に紹介します。
目次
ソーシャルメディアマーケティングの広告効果を左右する動画コンテンツ
ユーザーの動画視聴時間は伸び続け、またスマホなどのデバイスの進化で誰でも比較的高品質な動画を制作できるようになり、アメリカのWEBマーケティングでは今や動画コンテンツの活用は当たり前。
特にFacebookやInstagramなどのソーシャルメディアマーケティングでは、動画コンテンツ次第で広告効果が大きく左右されるため、どうしたら効果的な動画コンテンツを作成できるか、その作り方が注目されています。
最初に、なぜコンテンツマーケティングで動画が必要かつ効果的なのか、理由や背景を紹介します。
2019年のアメリカの動画広告市場規模は年間3兆円以上に拡大
調査会社eMarketerの予測では、アメリカの動画広告市場規模は2018年時点で年間約278億ドル(約3兆円)。今後もさらに市場規模が拡大すると見られています。
一方、サイバーエージェントが発表した日本国内の動画広告市場規模は2018年時点で1843億円。アメリカの市場規模と比較するとまだ小さいですが、アメリカと同様、日本国内の動画広告市場も前年比134%と拡大傾向です。
特にソーシャルメディア向けの動画広告利用が増加
動画コンテンツを利用した広告の増加は、特にソーシャルメディア向けの広告出稿で顕著です。eMarketerの調査によると、FacebookおよびInstagramの広告売上の約30%にあたる68億ドル(約7600億円)が動画広告によるもの。
この売上はアメリカ動画広告市場の約1/4を占め、FacebookはNO.1の動画広告プラットフォームとなっています。
またTwitterは広告出稿の半分以上が動画コンテンツなど、急速にソーシャルメディアマーケティングでの動画コンテンツの利用が進んでいます。
SNSではWEBサイトへのリンクシェアより動画投稿の利用が効果的
ソーシャルメディアマーケティングで動画コンテンツの利用が増えた理由の1つが、動画の方が効果が高いという点。ソーシャルマーケティングツールを提供するBuzzsumoの調査によると、SNS(Facebook)で最もユーザーエンゲージメントを獲得できるのは動画(Video)による投稿で、写真やWEBサイトへのリンクをシェアする投稿よりも2~3倍のエンゲージメント獲得効果があるとのこと。
このため広告のみならず、企業・ブランドのSNSページの投稿でも動画コンテンツを利用するアメリカ企業が急増しています。例えば、マーケティングツールを提供するHubspotのFacebookページのタイムラインはすべての投稿が動画コンテンツになっているのが確認できます。
配信対象のサービスで動画コンテンツの作り方・最適な尺は違う
アメリカではFacebookおよびInstagramが最大の動画配信プラットフォームとなりつつありますが、動画コンテンツで消費者にアプローチ可能なプラットフォームはTwitter、Snapchat、Youtubeなど他にも多数あります。
注意が必要なのが、動画広告・コンテンツを配信する対象のサービスで作り方が違う点。各サービスの利用ユーザーの特性に合わせて効果的な動画コンテンツを作る必要があり、特に最適な尺(再生時間)がメディアにより異なります。
FacebookやInstagram向けは再生時間30秒間~1分間の動画が最適
FacebookやInstagramなどのソーシャルメディアでは、スマホなどで隙間時間に動画視聴するユーザーが多く、Short Form Video(短尺の動画)が効果的。理想の再生時間は30秒間~1分間。短い動画コンテンツで、商品・サービスの魅力を伝えることを徹底する必要があります。
再生時間の長い動画の場合はYoutubeの活用が最適
一方、正反対のユーザー特性がYoutube。モバイルでの1セッション当たりの視聴時間が40分以上と利用時間が長い点が特徴で、再生時間の長い動画の場合はYoutubeの活用が最適です。
以下で、効果的な動画コンテンツの作り方として4つのポイント・ノウハウを紹介します。
動画コンテンツの作り方~ユーザーに視聴されるために必要な4つのポイントと事例
動画を制作しても、ユーザーに視聴されなければ売上は拡大せず、マーケティング活動としては失敗でしょう。必要なのはユーザーを動画の終わりまで惹き付ける魅力的なコンテンツ。
そのような動画コンテンツの作り方として必要なポイントを4つに分けて紹介します。
動画の作り方の基礎~ストーリーテリングの構成と字幕説明
まず動画制作に入る前の基礎として作り方のポイントになるストーリーテリング。ストーリーテリングとは、いわゆる物語や昔話などに共通する構成で、以下のような流れでコンテンツを展開する手法です。
- 物語の主人公の登場
- 主人公に訪れる困難や課題
- それを克服するための劇的な成長や変化
- 最後はハッピーエンド
※ストーリーテリングについては、別の記事「コンテンツマーケティングにおけるストーリーテリングの手法や効果・実践事例」でも詳しく紹介しています。
このためにも、まず主人公は誰で(顧客?自社の従業員?)、どんな困難・課題を克服し、どんなハッピーエンドを迎えるのか、ストーリーテリングの考え方に沿って構成を考えることが、動画の作り方で最初に重要なポイントです。
またソーシャルメディア向けの動画コンテンツの場合、ユーザーがスマホのマナーモード(音声が出ない)状態で視聴する可能性も高く、動画全体に字幕説明を加える前提で構成を考えることも基本的なポイントです。
動画の開始部分の作り方~最初の8秒間が大切なポイント
動画コンテンツの作り方で最も注意したいのが最初の8秒間の作り方で、この動画の開始部分をどう作るかでマーケティング効果が大きく変化する大切なポイント。
結論となるメッセージを伝えたり、目的の行動・アクションをユーザーに促すには、まず最初の8秒間でユーザーの心を掴むことが重要です。
最初の8秒間でユーザーは見続けるか離脱するかを判断
マイクロソフトの研究調査から、オンラインでユーザーが初めて見たコンテンツに注意を払う時間は8秒前後と知られています。
アメリカでは「8 Seconds Rule」などと呼ばれており、最初の8秒間でユーザーの注意を惹け付けられるかがコンテンツマーケティングでは重要。
最後まで見たいと思わせられなければユーザーは途中離脱するため、最初の8秒間の作り方が最も大切なポイントなのです。
早く本題に入り、この動画コンテンツを視聴するメリットを伝える
つまり、動画コンテンツではできるだけ早く本題に入ること、最後まで視聴するとユーザー(視聴者)にどんなメリットがあるかを早く伝えることが大切。
マーケティング目的で企業が作成する動画の中にはオープニングの映像だけで8秒以上を使用、よほどその企業のブランドやサービスに興味のあるユーザーでない限り離脱する可能性が高いコンテンツの作り方になっているケースもあります。
歓迎感を伝えることも作り方のコツ
例え、その動画やチャンネルを初めて視聴するユーザーに対してでも「いつもご覧いただきありがとうございます!」など歓迎感を示すこともユーザーを途中離脱させない、動画コンテンツの作り方のコツ。
視聴者に語り掛けることで、見ている側も「大切にされてる!」と感じ、動画を最後まで見てみようという気持ちになりそうです。
動画本編部分の制作~最後まで飽きさせない工夫
動画の本編部分の制作で重要なのは、内容や結論を出し惜しみして間延びさせないこと。コンテンツの目的は最後のメッセージや最も重要な行動喚起に繋げるためですから、いかに最後までユーザーを飽きさせないかの工夫と同様に、1秒でも動画コンテンツを短くして最後まで視聴されるような作り方も重要です。
また詳しい情報があるWEBサイトへのリンクURLを動画の説明欄に入れておき、「さらに詳しく知りたい場合はWEBサイトにアクセス」などと動画の中で触れたり、「興味がある人はTwitterもフォローして」など、細かくCall-to-Action(行動喚起)の要素を動画制作の中で散りばめていくことも、効果的な作り方として欠かせない工夫です。
終盤の作り方・終わり方~重要な目的・コンバージョンの喚起
動画コンテンツの作り方で最初の8秒間と同様に重要なのが終盤の作り方であり、終わり方。
最も重要な目的であるユーザーの行動・コンバージョン喚起を促す部分だからです。
この部分を効果的に作るためには、動画の制作前に「視聴後、どんなユーザー行動を期待するのか?」、動画マーケティングの目的を明確化しておく必要があります。
エンゲージメントのためのCall-to-Aciton(CTA)も必要
動画の配信先がFacebookかYoutubeかにかかわらず、コンテンツの評価やシェアをする機能があります。この評価やシェアなどのエンゲージメントをユーザーに促すCall-to-Aciton(CTA)を動画に含めることも重要です。
一言、「グッドボタンを押してね」「良かったらシェアしてください」などを入れるかどうかでエンゲージメントが変わり、動画コンテンツが拡散するかどうかも変わります。
最も重要なのは目的の行動・コンバージョンを自然に促す作り方
最後に最も重要な、その動画マーケティングが目的とするユーザーの行動やコンバージョンを喚起する部分。
最終的なコンバージョンには、WEBサイトへのアクセスやメールマガジンの購読申し込み、Youtubeのチャンネル登録などが考えられますが、いずれも動画の内容とかけ離れた行動では喚起されにくいもの。
目的の行動・コンバージョンが自然と促されるように、動画コンテンツの終盤の作り方を工夫し、視聴者にとって納得感のある形で行動喚起されるのが理想です。
動画マーケティングの成功事例の紹介
上記のような効果的な動画コンテンツの作り方を踏まえた、動画マーケティングの成功事例には以下のような事例があります。「Social Media Marketing World 2019」の個別セミナーで共有されたものの中から紹介します。
Facebook動画の成功事例~セントジュード小児研究病院
アメリカのテネシー州にあるセントジュード小児研究病院は小児がんなどの難病治療で有名な病院で、下記の動画は病院のFacebookページに掲載されたもの。
脳腫瘍を患った14歳の少女・アリーが治療の過程ですべての頭髪が抜け、そして治癒とともに髪の毛が再生、完治した彼女は現在は大学生とのこと。わずか30秒の動画ですが再生回数は3万回以上で、この病院の価値が伝わる内容です。
マッチングアプリ提供会社・HINGEによる競合差別化を目的とした動画
マッチング(出会い)アプリとしてはTinder(ティンダー)などが有名ですが、後発のHINGE(ヒンジ)はFacebookと連動させて従来のサービスよりも安心・安全に利用できるサービスとして人気です。このHINGEを有名にしたのも動画コンテンツによるマーケティング。
競合のマッチングアプリを使っても良い出会いが無いという実際のユーザーの声(ストーリー)をもとに作られたアニメーションで、コンテンツのタイトルは「The Dating
Apocalypse」(”デートの黙示録”)。他のアプリと違い、HINGEならば安心できるという差別化が目的の動画で、再生回数は12万回以上です。
コンバージョン効果最大化のためのノウハウ・作り方
どれだけ拡散、視聴回数の多い動画コンテンツを作成しても、視聴者が目的の行動(コンバージョン)をして、売上が増えなければマーケティングの意味がありません。そのために、さらにコンバージョンに注目して動画の効果を最大化するノウハウや工夫もあります。
BtoBではファネル別にコンテンツ内容を変えて配信する方法が有効
特にBtoBビジネスで動画マーケティングを利用する場合はファネル別にコンテンツ内容を変えるのが有効な方法。
例えば、検討開始初期の顧客向けには商品・サービスのストーリーを紹介する動画、検討中の顧客向けには競合商品・サービスとの比較や割引キャンペーンの案内動画など、顧客の検討状況(ファネル)に合わせて個別に動画を配信する方法で購買数が増加した事例もあります。
また単価の高い商品・サービスほど検討期間が長期化するため、各検討ステータスにターゲティングしたさまざまな内容の動画コンテンツを作成、半年ほどをかけて順番に案内しながら潜在顧客と継続的なコミュニケーションを図るようなアメリカ企業の事例もありました。
データ分析機能を活用
Youtubeへの掲載動画であればYoutubeアナリティクス(Youtube Studio)のデータ分析機能を活用、動画コンテンツのコンバージョン効果最大化のための課題や改善点を確認可能です。
例えば、表示回数(インプレッション)が多いにもかかわらずクリック率が低いコンテンツの場合、動画のタイトルやサムネイルを工夫することで、視聴回数を増やす改善が可能。
また視聴維持率のデータからはユーザーが動画コンテンツのどこで離脱しているかが分かり、どの部分を改善すれば視聴維持率を高め、最終コンバージョンに至るユーザーを増やせるかを分析できます。
以上、特にソーシャルメディアマーケティングを中心に効果的な動画コンテンツの作り方を紹介しました。
1.視聴者が共感するようなストーリー性のあるコンテンツ
2.期待する行動(Call-to-Action)を明確化し、それを必ず動画に入れ込む
※このページの内容は2019年3月にアメリカで開催されたソーシャルメディア関連イベント「Social Media Marketing World 2019」の内容をもとに作成しています。イベントの詳しい内容などは、別の記事「ソーシャルメディアマーケティング最新動向~2019年Social Media Marketing World参加レポート」でご確認ください。
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