最先端のデジタルマーケティングとテクノロジーを追求するスタートアップである株式会社EXIDEAでは、OpenAI社の自然言語処理モデルGPT-3を活用したAIライティング機能を搭載するSEOライティングツール「EmmaTools」を提供しています。
米国時間の2023年3月14日には、GPT-3、3.5の後継となるGPT-4が発表され、汎用AI(人工知能:Artificial General Intelligence)の更なる進化に、インターネット業界では衝撃とも言える反応が起きています。
今回、2023年1月にユーザー数が1億人を越えたGPT-3、及びGPT-4をベースとしている対話型AI「ChatGPT」(チャットGPT:チャット・ジーピーティー)について、CEOの小川卓真とEmmaToolsの開発を主導したCTO梶野の両名に聞きました。
写真 左:EXIDEA CEO /小川 卓真、右:EXIDEA CTO/梶野 尊弘
文・インタビュワー:EXIDEA CPO/曽根 康司
インタビュー内容
- ChatGPT使い方のポイント
- ChatGPTで注意すべきこと
- これから出て来るChatGPTに関連したビジネス
インタビュワー兼ライター:株式会社EXIDEA|CPO 曽根 康司(以下、曽根):
お二人はChatGPTを使ってますか?また、使い方のポイントがあれば、教えてください。
小川 卓真 |株式会社EXIDEA CEO(以下、小川):
正直、かなりの頻度で使っています。
ChatGPTに「正解を聞く」使い方も見かけますが、私としては、大前提として「ChatGPTは正解を導くものではない」という理解があり、正解がない分野について、敢えて聞いたりしています。
例えば、経営者特有の悩みについては、ChatGPTに対して「プロの心理カウンセラーとして聞いてください」と前置きしてから(正確には入力してから)悩みを聞いてみたりとか、私の好きな哲学的なこと、例えば「人間は、なぜ生きているんでしょうか」などといったような質問をしています。
ChatGPTは人ではなく人工知能なわけですが、対話してみると、「自分を深掘りすることが出来る」のが、とても面白いと感じています。もはや、新たに現れた「メンター」かも知れません。
他の使い方としては、ある問題に対して、5個ぐらいの解決方法を示してもらう、というような使い方をします。例えば「ベンチャー企業にで必要な人事制度を5個教えてください」などですね。
ChatGPTの特性上、出現確率が高い答え、言い換えると平均的な答えを出してくれるので、例示されたものの中から、自社の課題が見えたりすることもあります。
梶野 尊弘 |株式会社株式会社EXIDEA CTO(以下、梶野):
キャッチコピーを考えたりするのに使ってますね。人間がキャッチコピーを考えるときは、一個のキーワードを起点にして、想像を膨らましていくケースが多いのと、一個のキーワードに拘泥してしまって、煮詰まるケースがあると思うんです。
それがChatGPTだと、人間的な縛りがないというか、バイアス(先入観)が排除されているので、広がりが出ます。もちろん、教師データ(学習に使ったデータ)は、人間が作ったものなので、完全にバイアスが無いわけではないのですが、自分で考えたら出てこないようなものが出てきます。
他には、プログラム設計書のテンプレートを書くとかもChatGPTでしてますね。些細なところでは、エンジニアって、プログラムを書くときに「変数の付け方」(パラメーターの引数の命名)に、結構悩んだりするんですよ。プログラミングの本筋からすると、時間をかけすぎてはいけない作業なのですが、その作業をChatGPTにお願いしたりしています。
そういった意味では、ChatGPTを実務にかなり使っていると思います。
曽根:
ChatGPTを使う上で、注意すべきことはありますか?
梶野:
これはよく話題に出ますが著作権の扱いです。あと、さきほどの小川さんの「ChatGPTは正解を導くものではない」にも関連しますが、本当か・正解かの「裏取り」をしないといけないと思います。
また、ChatGPTは過去のデータを元にしているので、当たり前ですが、最近の話題や流行のネタは弱いですね。そして、過去のデータなので、未来のことはアテに出来ません。
小川:
計算をさせると間違えていることがあります。ChatGPTに数式や数学を完璧に教えているわけではないので、そうなると思うのですが、寧ろ、その状態で答えを返してくることが凄いと感じています。
過去データという点だと「ビジネスマナー」なんてのは、そんな簡単に変わらないと思うので、使えると思います。
使い方関連だと「AI利用を公表するかどうか」も大事な論点だと思います。身近なところで言えば、たとえば、奥さんや恋人に手紙を書くときにChatGPTを使えば、「いい文章を書いてくれる」と思いますが、倫理的にはNGでしょう。
あとは、これはアメリカのIT大手も従業員にアラートを出してますが、ChatGPTに入力したデータは記録として残るので、非公開情報や機密情報に関わる入力しないように注意したいですね。
曽根:
これから出て来ると思われる「ChatGPTに関連したビジネス」は何ですか?
梶野:
さきほど、自分が業務に使っているといいましたが「コピーライティング」に関連する業務は筆頭ですね。それに付随して「記事制作」もあると思います。軽く調べただけでも海外で15個以上のサービスがあります。コピーライティングに近いですが「アイデア出し」も得意だと思います。ビジネスになりそうです。
セールスやカスタマーサポートの人が書くメールの文面もAIが得意な領域だと思います。カスタマーサポートでは、すでに「チャットボット対応」というのがありますが、その領域がどんどん広がっていくと思います。法人で導入が進めばビジネスになる可能性は上がります。
そして、画像生成AIのMidjourneyやStable Diffusionといった画像生成のAIと境目なくプログラムが動くようになり、キャッチの画像から本文まで記事を全部制作可能になってきています。倫理やポリシーは別として、ChatGPTをうまく活用してビジネスを展開するプレイヤーがもっと増えてくると思います。
小川:
ChatGPTだけでなく、音声認識やDeepl(ディープ・エル)などの機械翻訳の精度も劇的に向上していると思っています。これらが、組み合わさると様々なサービスが立ち上がると思います。領域を絞れば「AIアシスタント」なんかは、上記の組み合わせで実現できそうです。
また、AIは電力がある限り体力が無限大なので、キャッチコピーや広告の文面を考えるときに「とりあえず20案出してもらう」といった、大雑把な、言い換えれば雑な指示ができます。そして、20個の案をベースにABテスト(同じ場所の二種類の広告を交互に出して効果の高いほうを採用する方法)を繰り返すなんてことが出来ます。ChatGPTが作った広告やクリエイティブを活用した広告配信の仕組みなんかは出来るでしょう。
梶野:
ABテストについては、さらに未来では(若干、反論っぽくなってしまいますが)全プレーヤーがABテストをものすごい勢いで行うようになると、PDCA(Plan, Do, Check, Action)の数が増え、サイクルも速くなり、いわゆる「バズる」状態を長く作ることが難しくなるのではないでしょうか。広告効果がすぐ上書きされるイメージです。
小川:
あとは、逆説的ですが、ChatGPTが出来ない領域にフォーカスしたビジネスが多く立ち上がるようになるんにじゃないでしょうか。ChatGPTや汎用AIによって、破壊的イノベーションが起きず、将来的な価値が毀損しないので。「体験・経験」を主に置いたものは、その最たる例でしょう。これはZ世代が好むと言われている「体験・経験」とも合致しています。
テクノロジーで「体験・経験」を支援する領域は、確実に伸びる気がします。
インタビュー終わり
小川 卓真 / 代表取締役社長 / CEO https://exidea.co.jp/member/takuma-ogawa
2006年にSEOツールの開発企業を共同創業。2013年にEXIDEAを創立。パーパスは「いきるの最大化」。EXIDEAの語源にもなっている卓越したアイデア「エクセレント・アイデア」と顧客中心・デジタル時代のマーケティング手法である「グロースハック」で世界「グローバル」に展開することを目指し、Webメディア、デジタルマーケティング、SEOライティングツールを事業展開。
梶野 尊弘 / 執行役員 / CTO https://exidea.co.jp/member/takahiro-kajino
AWSを用いたクラウド構築と運用領域が専門。
株式会社DISCOでは、新卒採用プラットフォームの開発運用に従事し、Webアプリ、スマホアプリの開発/運用、性能改善/PM/データ分析基盤/クラウドインフラなど、多岐に渡って経験。現在はCTOの他、プロダクトソリューション事業部長も兼務し「EmmaTools」のプロダクトから販売までの事業責任を担っている。
曽根 康司 / 取締役 / CPO (Chief Product Officer) https://exidea.co.jp/member/koji-sone
インターネット黎明期に時計商からインターネットの世界に飛び込む。アマゾンジャパン株式会社では4人目の社員として、立ち上げとオンラインマーケティングに携わる。ヤフー株式会社ではビジネス開発・営業企画を皮切りに中期事業計画策定等、株式会社キャリアインデックスでは事業管理から広報・採用と多岐に従事。プライベートでは文章を書くのが好きでForbes JAPAN等に寄稿している。また、焼肉探究集団YAKINIQUEST(ヤキニクエスト)のメンバーとして日本国内数百軒の焼肉店を食べ歩き、時折メディアにも出演。
SEOライティングツール「EmmaTools」https://emma.tools/