DIGITAL GROWTH UNLEASHED(旧コンバージョン・カンファレンス)イベント参加レポート

会場の様子
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DIGITAL GROWTH UNLEASHED(旧コンバージョン・カンファレンス)イベント参加レポート

デジタルマーケティング関連の有名なイベントで、2010年からアメリカやヨーロッパなどで毎年開催されており、今年で9回目を迎えたDIGITAL GROWTH UNLEASHED(旧コンバージョン・カンファレンス)

例年、40カ国以上の国から延べ数千人の参加者がいる比較的規模の大きなイベントです。

昨年まではコンバージョンカンファレンス(Conversion Conference)という名前で開催されていたイベントですが、今年2018年から「DIGITAL GROWTH UNLEASHED」という新しい名称に変わりました。

しかしながら、これまでのコンバージョン・カンファレンスと言う名の通り「コンバージョン率の最適化」(Conversion Rate Optimization:CRO)を主なテーマとしたイベントです。

2018年は5月15日~17日の3日間、アメリカ・ネバダ州ラスベガスにて開催され、EXIDEAの代表としてアメリカ支社の青木が参加してきました。まずはイベント全体の概要を紹介していきます。

DIGITAL GROWTH UNLEASHED(コンバージョン・カンファレンス)のイベント概要

digital growthイベントを主催するSiteTunersという会社は、主にコンバージョンレート最適化(CRO)のコンサルティングを行うアメリカの会社。

最近はイベントに直接参加しなくても、終了後に有料でビデオ視聴が可能なマーケティングイベントも増えていますが、このDIGITAL GROWTH UNLEASHEDは「Live only」(ライブのみで動画配信などは無し)のため、CROの最新情報や先進事例の調査のため実際に会場を訪れて参加してきました。

今回、Conversion Conference(コンバージョン・カンファレンス)からDIGITAL GROWTH UNLEASHEDにイベント名称を変更した目的として、同社CEOのTim Ash氏からイベントの冒頭で下記のような説明がありました。

  • これまでCROは、SEO(検索エンジン最適化)やPPC(クリック課金型広告)などによる集客や、UX(ユーザーエクスペリエンス)などと並列で、かつその下流として位置づけられてきた。
  • 実際にはCROを最下流の一点だけで実現することは難しく、ユーザー集客・コンテンツ提供など“カスタマージャーニー”全体を見直すことでコンバージョン率を最適化・改善することが可能
  • 今後は今までよりもコンバージョンに関連するテーマを幅広く扱うことで、CROに直接関連しない人々にも参加を促し、さらにイベントの規模を拡大していきたい。

今回のイベントでもアメリカ企業を中心に40社以上がスピーカーとして登壇しました。 

開催場所・会場

mandalaybay開催場所はアメリカ、ネバダ州ラスベガスにあるマンダレイベイホテル。ラスベガスはEXIDEAアメリカ支社のあるロサンゼルスからは車で4時間、飛行機で1時間半ほどの距離で、マンダレイベイホテルはラスベガスの中でも規模の大きく、ラスベガス観光でも有名なホテルです。

開催日程・イベント内容

会場の様子イベントは3日間ですが初日(2018/5/15)はワークショップのみで、メインのカンファレンスは2日目以降の2日間(2018/5/16-5/17)。今回はメイン・カンファレンス2日間の参加でした。

メイン・カンファレンス1日目の朝と夕方、2日目の朝に3つのKeynote(基調講演)があり、日中の時間帯には延べ40のテーマに分かれた個別セッションが行われました。

CRO(コンバージョン率の最適化)が主要テーマとは言え、CROの改善施策やアプローチは、

  • copywriting(コピーライティング)
  • calls-to-action(アクション導線部分のU/Iなど)
  • usability(ユーザビリティ全般)
  • split testing(A/Bテストなど)
  • user research(ユーザー調査)
  • neuromarketing(脳科学を用いたマーケティング手法)
  • behavioral economics(行動経済学)

などの多岐に渡り、本イベントの内容や個別セッションのテーマでも上記のようなCROに関連する幅広いトピックスが取り上げられました。

DIGITAL GROWTH UNLEASHEDの個別セッションで取り上げられたテーマ

朝・夕の基調講演以外は各テーマに分かれたセッションがあり、来場者は自分の興味のあるテーマのセッションに参加します。

セッションは1回あたり45分間で、4つのTrack(4つの会場)で同時並行。これが1日に5コマ(5コマ×4Track=1日延べ20セッション)あり、カンファレンスの2日間で延べ約40のセッションが実施されました。

Track別のセッション・テーマ

4つの各Trackでは、それぞれ以下のようなテーマに近いセッションが開催されました。

Track テーマ 内容
#1 Attract」(惹きつける・集める) 主にユーザー集客をテーマとしたセッションが中心で、ただ数を集めるというよりもいかに“Right Audience”(よりコンバージョンしやすいユーザー)を集めるか、がテーマ
#2 Persuade」(説得する・動かす) イベント全体のテーマでもあるコンバージョン率最適化を中心としたセッション
#3 Serve」(仕える・つなぎとめる) 最初にユーザーと接点を持ってから、いかにユーザーとの関係を継続し、エンゲージメントを高めていくか、などがテーマ
#4 Growth Tech」(マーケティング技術・ツール) コンバージョン率の最適化やWEBサイトの分析などに有用な、最新のマーケティング技術やツールを紹介

個別セッションのスケジュール・時間割

具体的な各セッションのタイトル・時間割を参考までに紹介します。
セッション数が多いため、セッションのテーマ内容に合わせて色分けしてみました。直接CRO(コンバージョン率最適化)に関連するセッションよりも、“CROに効果的なコンテンツをいかに作成するか”をテーマにしたセッションが多かったという印象です。

Digital Growth Agenda

コンバージョン率の最適化(≒コンバージョンの最大化)には、アクションボタン(Call-To-Action)周りのU/Iやテキストだけでなく、コンテンツ全体で何をメッセージするか重要で、

最適なコンテンツ・文章・表現を用意することでコンバージョン率が大きく変化する

という点はイベント全体を通じて伝えられていたことです。

デバイスごとに最適な文章・メッセージで、カスタマーとコミュニケーションをしているか?
(例えば、モバイルなら短く・簡潔だが、強く・魅力的なメッセージを。PCなら読み込ませるようなストーリー=物語を。)

カスタマージャーニーを意識した内容・コンテンツになっているか?
(まだその製品・サービスを知ったばかりのカスタマーと、1カ月以上他社と比較・検討をしているカスタマーでは製品・サービスを伝えるポイントが異なるはず)

“コンテンツ全体の最適化”というテーマについては、イベント1日目朝の基調講演の内容とともに、もう少し詳しく紹介したいと思います。

8秒間でユーザーを動かすには?(カンファレンス1日目のKeynote)

ここでは、カンファレンス1日目の朝に行われた基調講演の内容を紹介します。

Mindset Digital社のMarti Post氏による講演で、タイトルは「You have 8 Seconds…Go!」。“8秒間でいかにユーザーの心を動かすか”といったテーマの講演でした。

内容を抜粋して紹介します。

デバイス進化に伴う、カスタマージャーニーの変化

・いま世界には72億個のモバイルデバイスがあり、インターネットアクセスの50%がモバイル経由
・人は1日に2,617回、スマートフォンや携帯電話に触れ、使用時間は1日平均145分間
ユーザーは8秒間で意思決定する、8秒以内に興味を引けなければユーザーは離脱する
・逆に8秒以内に意思決定し、非常に短時間で購買・アクションに至るユーザーが増加

→カスタマージャーニー(認知→検討→アクション)が短時間・短サイクル化

Anything, Anytime, Anywhere(何でも、いつでも、どこでも)

・モバイルデバイスの進化に伴い、いつでも、どこでも、購買アクションが発生する

→タッチポイント(カスタマーとの接点)を増やし、かつ短時間で簡単にアクションを完了できる仕組みが重要

米国におけるドミノ・ピザ(Domino Pizza)の例

Domino Pizza

ドミノ・ピザは自分たちを“EC企業”と捉えている(ピザのオーダーの50%以上がデジタルデバイス経由)
・Google HomeやAmazon Echoなどのスマートデバイスや、Facebookメッセンジャー、Twitter、スマートウォッチなど、どこからでもピザをオーダーできる
・かつ、それぞれのデバイスやアプリの特性にあわせ、最も短時間にオーダーが完了するようにコミュニケーションフロー、I/Fを設計

→ドミノ・ピザの株価は過去5年で右肩上がりで上昇中

コンバージョン率を高めるための4つのキーワード

Mobile
モバイルデバイス、かつユーザの好むチャネルで(自社のWEBサイトやアプリだけではなく、ユーザが普段から使うようなWEBサイトやアプリでも)、自社の製品・サービスを購入可能か?

Customize
各カスタマージャーニーのステップ・フェーズに、最適化されたコンテンツやU/Iを提供しているか?(例えば、ブランドについて詳しく“知りたい”と思っているカスタマーには自社の魅力を訴求するページを、自社ブランドの製品を今すぐ“買いたい”と思っているカスタマーには商品購入ページをまず見せるようになっているか?)

Fast
最短時間で目的の行動を完了できるように設計されているか?1秒でも短縮できる箇所はないか?

Easy
誰でも間違いなく簡単に使いこなせる、シンプルなU/Iになっているか?

コンバージョン数、ユーザー獲得数そのものの最大化に必要な4つのキーワード

高いコンバージョン率を出せるWEBサイトやアプリを設計できた上で、さらにカスタマーとの接点を増やし、コンバージョン数そのものを最大化するには、以下のような4つの観点が必要。

Engaging
自社の製品・サービス・ブランドへのエンゲージメントを高めるために創意・工夫しているか?

Social
ソーシャルメディアで共有されるような仕掛けを用意しているか?

Fun
カスタマーニーズを満たすだけでなく、驚きや記憶に残るようなの体験を提供できているか?

Inspiring
カスタマーが製品・サービスからインスパイアされて、良い体験ができているか?

Engaging(エンゲージメント)を高めるため、すぐにできること

・製品やサービス、ブランドそのものへのエンゲージメントを高めるには、どんな人が提供しているのか社長や社員のパーソナリティが見えることも重要
・パーソナリティや“製品・サービスへの想い”を理解してもらうには、Twitter、Facebook、LinkedInなどのソーシャルメディアの活用が有効
・例えば、Teslaのフォロワーは270万人でイーロン・マスクのフォロワーは2,200万人、Salesforceのフォロワーは16万人でマーク・ベニオフ(CEO)のフォロワーは100万人。

→作り手が自ら発信し、人となりや人間味、想いが伝わって共感が得られると、製品・サービスへのエンゲージメントも自然と高まる
→FacebookやTwitter、LinkedInなどでの“個人”としての発信を強化することは、エンゲージメントを高めるためにすぐできること

※筆者注:ここは米国ならではの発想かもしれません。日本と比較すると、米国では企業が信頼できるかよりもも社長個人が信頼できる人物かどうかを重視する人が多いように個人的には感じます。

Fun(期待を超える何か)を生み出すには?

・モバイルデバイスへのシフトによって、まずコミュニケーションの形式が変わってきている。
・例えばE-mailの50%以上はモバイルデバイスで読まれており、PCでは読まれていたような長文メールが読まれなくなってきている。
メールの書き方を1から変えなければならない(カスタマー向けのメールだけでなく、ビジネスメールも)。
いかに短い言葉で必要なことを伝えた上で、さらにカスタマーを魅了するような“Fun”を生み出せるか?
・シリコンバレーで今、求められているのは詩人であり、小説家(元の記事はこちら)。
・スマートデバイスもChatbotも、どれだけ短い表現で優れた顧客体験を生み出せるか、ライティングスキルや物語を創り出す力が求められている。

→「モバイル」「超短時間」「超簡単」への意識と同時に「期待以上の顧客体験」を生み出すのは非常にハードルが高いが、これに成功している企業が現在成功を収めている

 
 
以上が、メイン・カンファレンス1日目の朝の基調講演の内容でした。

2日間のイベント参加を終えて、あらためてこの1日目朝の基調講演の内容を振り返ってみると、約40の個別セッションをグッと凝縮したような内容だと感じました。

こちらの講演で出てきた、コンバージョン率最適化のための「カスタマージャーニーを意識したコンテンツ作り」「詩人・小説家のようなカスタマーを魅了できる物語づくり」といったテーマは個別のセッションでさらに深掘りした内容がありましたので、そちらは次のレポートで紹介します。

次のレポート:
カスタマージャーニーとCRO(コンバージョンレート最適化)
 
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注目のアメリカIT・マーケティング関連イベント20選

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