2023.03.16

「坂ノ途中」が考える“環境負荷の小さな農業”とは?野菜のフードデリバリーで、持続可能な未来をつくる。


SDGsの取り組みが盛んになりつつある昨今。今、どんな業界であっても環境へ配慮した取り組みは避けては通れない課題となっています。

今回お話を伺ったのは野菜の定期宅配サービスで注目を集める株式会社坂ノ途中です。彼らは「100年先もつづく、農業を。」というビジョンの下、環境負荷の小さな農業に取り組む人を増やし、持続可能な社会を目指す企業です。

メイン事業である「お野菜セットの定期宅配」サービスの特徴やユーザーの声などを伺うなかで見えてきたのは、株式会社坂ノ途中が創りだす未来に繋がる農業の姿でした。

食品(フード)サブスクの新常識。お野菜セット定期宅配便の魅力に迫る。





────本日は株式会社坂ノ途中で広報を担当する横浜さんと大本さんにお話を伺っていきます。まず株式会社坂ノ途中が、どのような会社なのか教えてください。

横浜さん:

私たち坂ノ途中は、「100年先もつづく、農業を。」というメッセージを掲げ、環境負荷の小さな農業に取り組む人を増やし、そして持続可能な社会につなげていきたいと考えています。そのために飲食店「本と野菜 OyOy」の運営やオーガニック・エコ農業に取り組む生産者とバイヤーを繋ぐサービス「farmO(ファーモ)」など、さまざまな事業を展開しています。

なかでもメイン事業としているのは「お野菜セットの定期宅配」です。化学合成農薬や化学肥料などを使わずに育てられた野菜を全国の提携農家さんまから集め、バランスよくセットにして1週間に1回または、2週間に1回、お客さまへお届けしています。当社が提携する約350農家のうち、約8割が自分自身で新しく農業に参入した新規就農者の方というのがサービスの特徴でもあります。

────なぜ新規就農者の方と共に事業を展開されようと思ったのでしょうか?

横浜さん:

新規就農者の方の多くは、有機的な農業をしたいという想いで、農業に挑戦される方が多いです。当社で扱う野菜も化学合成農薬や化学肥料の力を借りずに丁寧に育てられたものにしたいという想いがあったため、新規就農者の方と一緒に事業を展開させていただいています。

彼らの野菜の出荷は少量不安定なため、もちろん仕入れや仕分けのコストはかかってしまうのも事実です。そこは私たちの新規就農者の方を応援したいという気持ちと、社内ITチームの力を借りながら効率化を目指し進めています。

坂ノ途中の定期宅配で、野菜を楽しむ。





────実際、お野菜セットなど御社で取り扱っている商品を購入されたお客さまからはどんな声をいただくことが多いですか?

大本さん:

「お野菜セットの定期宅配」のお客さまからは「とても新鮮でした」、「おいしい」という声を一番多くいただきます。なかには当社の「お野菜セット」で、苦手だった野菜が食べられるようになったという声もありました。

新鮮な野菜をお届けするので、手間をかけない調理丁寧に育てられた野菜は、野菜本来のしみじみとした味わいがしっかりあるので、焼くだけ、蒸すだけなど、手間をかけない調理でも美味しくいただけるのも喜ばれているポイントになっていると思います。

また、当社の「お野菜セットの定期便」でお届けするお野菜は、年間を通して約450種のお野菜の中から旬のものをお届けするので、の品目が多いのも特徴のひとつです。

その理由としては、新規就農者の方はチャレンジ精神旺盛な方が多く、スーパーでは並ばないような珍しい野菜の栽培など、多品目を扱う農家さんが多いのです。

そのおかげもあり、お客さまからは「料理の幅が広がった」、「見たことのない野菜が届くのでとても楽しい」などのお声をいただくこともありますね。

また「普段使わない野菜が届くのは少し不安…」というお客さまのために普段から馴染みのあるようなお野菜をセットにした商品もご用意しています。

────「お野菜セットの定期宅配」のおすすめの利用方法、楽しみ方を教えてください。

大本さん:

「お野菜セットの定期宅配」には、旬のお野菜を入れてお届けしています。なかには珍しい野菜もあるので、どうやって食べたらいいのか、保存はどうすればいいのかと迷う方も多いと思い、セットには必ず「お野菜の説明書」も同封しています。

品目や野菜の名前はもちろん、保存方法や調理方法も記載しているので、参考にしつつ色々アレンジしながら楽しんでほしいと思っていま 。

また、Webサイト「坂ノ途中の編集室」には、坂ノ途中のスタッフや農家さんおすすめのレシピもご紹介しています。



横浜さん:

「お野菜セットの定期宅配」のセット内容はITの力を借りず、人力で決めているのもお客さまに喜ばれているポイントのひとつだと思います。しっかりとセット内容を確認して、この野菜とあの野菜が入っていればこのレシピが作れるという感じで、ひとつひとつ丁寧に組み合わせています。

農業の抱える課題に取り組む!パートナーは新規就農者。





────「坂ノ途中」という社名はとてもユニークですが、社名の由来はどんなところにあるのでしょうか?

横浜さん:

当社「坂ノ途中」という社名には、新しく農業に挑戦していく新規就農者の方と、決して緩やかではない坂道を一緒に伴走しながら上って行こうという想いが込められています。

最近は、地方自治体が地方に移住したい若者向けに農地を安く提供するという取り組みも見られますが、研修やサポートを受けていない状態で農業を始めても失敗してしまうことや新規就農してもすぐに辞めてしまうケースが多くあります。

しかし、一方で本気で農業に取り組みたいと自分から農業に飛び込んだ人は、熱心に勉強し、丁寧に野菜を育てています。

そういう方々が作る野菜は、やっぱりおいしいんです。そういった人たちをなんとか、私たちが伴走することで経農が成り立つように、取引を継続させていくというのが私たちのひとつのミッションでもあると考えています。

────実際に事業を進めていくなかで、大変だったところはどんなところでしょうか?

大本さん:

やはり自然を相手にしている農業は、どんなにデジタルシフトをしたとしても制御しきれない部分があります。その代表例が天候です。

台風や雪などの影響で収穫内容も変わりますし、そもそも農家さんから当社まで野菜が届かないという事態も起こり得ます。お野菜セットの内容が決まるのが発送の当日に前日になってしまうというケースもありますね。コントロールが効かない領域が存在するのは、今でも課題として考えています。

────御社は100年先も続く、持続可能な農業を目指しさまざまな事業を展開されていますが、現状の農業が抱える課題にはどのようなものがあるのでしょうか?

横浜さん:

農業は地域活性化や、土砂崩れ、洪水を防いてくれるポジティブな側面がある一方で、環境破壊の大きな要因のひとつとも言われています。世界には約14憶haの農地があり、土に負担をかけすぎて使用できなくなった農地は約20憶haあるといわれています。実際に使用している農地より、使用できなくなった農地の方が多いのです。森林伐採の一番の要因が農地確保や焼畑農業といわれています。

このように環境負荷の原因の8割以上が農業由来だといわれていることがひとつ課題として挙げられると思います。

また、化学合成農薬や化学肥料の多用も同じです。これらを使うことで、安定した収穫量を期待できますが、一方で水質汚染や土壌劣化が起こっているのも事実です。今の農業の効率性の高さは、未来から前借りして成り立っているものなのです。未来の環境に負担を強いることで現在の農業は成り立ってしまっていることが最大の課題だと考えています。

────御社のサービスを拝見し、至る所に農家さんや野菜への愛情が感じられるとても素晴らしいサービスだと感じました。順調にユーザーも増えているかと思うのですが「お野菜セットの定期宅配」のユーザーニーズの変化を感じることはありますか?

大本さん:

当社の「お野菜セットの定期宅配」サービスは30~50代の2~3人世帯のご家庭に多く利用いただいています。急激にユーザー数が増加したのは、2019年末に始まった新型コロナウイルス蔓延の頃です。現在は、コロナ前のユーザー数の4倍になっています。やはりおうち時間が増えたことで「おうち時間をどう楽しむか」という意識が高まったのでしょう。

最近はコロナ感染も落ち着き始めましたが、それを機に大幅な解約という流れありませんでした。それは農家さんが作る新鮮な野菜のおいしさのおかげでもあると思っています。

野菜のフードサブスクを通して、食卓と暮らしを豊かにする定期便をさらに多くの人へ届ける。





────持続可能な農業へ導きながら、さまざまな事業を展開されている御社は農業プロデューサーのような役割のように感じますね。

横浜さん:

当社の代表である小野が「坂ノ途中は、農家さんと消費者の方々を繋ぐ編集者のような役割だ」という言葉をよく使います。私たちも、農家さんと消費者の方々を繋ぐときには、農家さんの野菜に対する想いやストーリーをしっかりとお伝えすることが大切だと考えています。

────これから挑戦していきたいことはどんなことですか?

大本さん:

現在は「お野菜セットの定期宅配」がメイン事業ですが、今後は食卓を豊かにするための商品のご提案も増やしていけたらと考えています。私たちのサービスを利用いただき、暮らしや食卓に取り入れることで、持続可能な社会や暮らしの第一歩を踏み出すきっかけになるサービス提供に挑戦したいと思います。

現在もお野菜セットのみでなく、「お米の定期便」や、世界のコーヒーをストーリーとともに楽しんでいただける「産地を旅するコーヒー定期便」なども提供しています。

これらのサービスも「お野菜セットの定期宅配」も、多くの方に坂ノ途中の取り組みを知っていただくきっかけになっていると思います 。

その他、気軽に購入いただける商品も当社のオンラインショップに幅広く用意しております。ぜひ一度、ご利用ください。

────本日は貴重なお話をありがとうございました。

株式会社坂ノ途中 オンラインショップの詳細を見る

関連記事はこちら!



こちらの記事では、おすすめの食品(フード)サブスクを紹介しています。 『食品(フード)サブスクのジャンル別おすすめ11選|今すぐ利用できるサービスをご紹介』

<編集後記>

スーパーで野菜を購入すると、結局いつも同じものばかり買ってしまい、また同じ料理を作ってしまったということも多いでしょう。私自身もつい毎回、同じ野菜ばかりを購入してしまう人の一人です。株式会社坂ノ途中の「お野菜セットの定期宅配」は、自分では買わない野菜たちと出会うきっかけを与えてくれ、おいしく健康的な食生活も実現できるでしょう。

なにより、購入することで持続可能な農業、そして社会をサポートできるのも大きな意義を感じます。まだまだスーパーでは高級品として扱われがちなオーガニック食品。自分の体と環境を思いやり、誰もが気軽に、そして当たり前にオーガニック食品を手にする未来へ株式会社坂ノ途中が導いてくれるかもしれません。



新井那知
ライター
So-gúd編集部
新井 那知
埼玉県・熊谷市出身。渋谷の某ITベンチャーに就職後、2016年にフリーランスライターとして独立。独立後は、アパレル、音楽媒体、求人媒体、専門誌での取材やコラム作成を担当する。海外で実績を積むために訪れたニューヨークで、なぜかカレー屋を開店することに—-帰国後は、クライアントワークを通してライターとして日々取材や編集、執筆を担当する。料理と犬、最近目覚めたカポエイラが好き(脚技の特訓中)。
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