2022.08.26

人に例えるなら“渋沢栄一”!? 株式投資型クラウドファンディング・イークラウドが実現する新時代を担う金融システムの可能性とは?


読者の皆さんは『インベスターZ』という漫画をご存知だろうか?この漫画は『ドラゴン桜』でお馴染みの三田紀房先生が書く投資漫画だ。主人公・財前孝史という一人の中学生が、「投資部」という部活に入部することで、“お金のアレコレ”を学び、投資家として成長するストーリーだ。

この漫画第9巻では、あるベンチャー起業家が『ベンチャーとは…無理を実現させてビジネスに変えることだ!』という名言を残している。

しかし、画期的なアイディアやヒラメキを実現するためには、まだまだ重要なのが資金調達(お金)だったりする――――「お金さえあれば…」この言葉の壁を超えられなかった方も少なくはないはずだ(もちろん筆者もその一人だ)。

今回ご紹介するのは「理想の未来に挑戦できる社会へ」>というビジョンのもと、「株式投資型クラウドファンディング」の運営をするイークラウド株式会社だ。「株式投資型クラウドファンディングは“スタートアップ投資の民主化”だと思っています」「一人ひとりが、理想の世界を実現するために企業へ投資する環境があっても良いと思うんです」と、イークラウド株式会社の代表取締役・波多江氏は語る。

波多江氏にイークラウド株式会社が提供する、株式投資型クラウドファンディングの可能性や投資の未来についてお話を聞いてきた。



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インタビューイー
波多江 直彦氏
イークラウド株式会社
代表取締役
慶應義塾大学法学部卒業後、サイバーエージェントに入社。広告代理部門、スマホメディア、オークション事業立ち上げ、子会社役員等を経て、サイバーエージェント・ベンチャーズで投資事業に従事。

その後XTech Venturesにてパートナーとして、VR・SaaS・モビリティ・HRTech・シェアリングエコノミー・サブスクリプションサービス等への投資実行を担当。2018年7月にイークラウド株式会社を創業、代表取締役に就任する。



株式投資型クラウドファンディング・イークラウドなら、個人でも世の中を変えるスタートアップを後押しできる。



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―――まずはイークラウド株式会社の概要から教えてください。

私たち「イークラウド株式会社」は、株式投資型クラウドファンディングの運営をおこなっています。株式投資型クラウドファンディングは、個人投資家とスタートアップをつなぐ事業で、個人投資家に新たな投資機会、企業に新たな調達手段を提供するサービスです。

2020年7月にサービスを開始してから、12社以上のスタートアップが、株式投資型クラウドファンディングを通じて資金調達を行っています。これまでは一部の限られたプロの投資家やベンチャーキャピタルが、スタートアップへ投資するのが一般的だったんです。そんな中、個人投資家が投資できる機会が増えれば、日本から新しいサービスを生む後押しになると思ったんです。また、まだ誕生したばかりのスタートアップが、弊社のサービスを通して資金調達をすることで、より多くの投資家の皆さんに知ってもらえる機会にもなると思いました。



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―――イークラウドならではの特徴について教えてください。

イークラウドは、ビジネスを旗揚げしたばかり(創業10年未満)のスタートアップを中心に投資できるプラットフォームです。





またイークラウドの投資家は、上場企業や大手企業ではなく、これから成長する可能性がある企業・サービスに魅力を感じている人たちがほとんどです。今は未成熟でも、将来的な可能性がある事業に関わることができるのが特徴の一つです。 投資したスタートアップ企業が成長すれば、より多くのリターンを受けられる可能性があるのも投資家にとっての魅力になります。



―――日本でもスタートアップの資金調達は右肩上がりですし、社会的な課題を解決するためのスタートアップも多く誕生していますよね。事業者が、資金調達をする際はどのようなお取り組みをされていますか?

事業者の方が、イークラウドで資金調達を開始する際には必ず弊社からの審査を受けてもらっているんです。ベンチャーキャピタル(以下:VC)での投資経験者や急成長してきたベンチャー企業で活躍してきたメンバーが厳選したプロジェクトを掲載しています。



スタートアップとイークラウドが、株式投資型クラウドファンディングにより二人三脚で資金調達へ向けて併走



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なるほど!審査があることで投資家の方も安心して投資できますね

そうですね。弊社は、事業者と投資家の仲介者でもあるので、スタートアップの事業実績やリスク事項はしっかりと確認したうえでサイトに掲載しています。



―――イークラウドの資金調達のサポートにおいてはどのようなお取り組みをしているのでしょうか?

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専任のチームが伴走して資金調達のサポートをしています。またスタートアップが、案件を掲載する際の内容も事業内容が事実ベースで記載されているか、想いや事業内容の伝え方は適切か、サービスの魅力やリスクを正しい言葉で表現することを心がけています。



―――なるほど!“伝えたくても、うまく伝えられない”という方にも安心ですね。投資家の方はどのような点を見て投資しているのでしょうか?

イークラウドでの投資家は、スタートアップの経営者の人となりや考えを見たうえで投資する傾向があります。大手企業に投資する際は、事業やサービスに目が向きがちですが、創業期の企業は経営者にフォーカスされます。そのため、社会的にどのようなインパクトを与え、どのような社会課題を解決するのかなどの伝え方も重要になってくるんです。



―――一般的なクラウドファンディングと違って、スタートアップ側へのサポートも手厚いですね。

クラウドファンディングの構造上、まず多くの方に知っていただき、投資家の方から資金を集めることになります。事前にしっかりと準備をして、案件を掲載することで、投資家の方にも正しい形で、事業やサービスを知ってもらう機会になります。



―――イークラウドを利用したスタートアップへの反響は、どのようなものがありましたか?

中には、資金調達の前後にNHKやWBS(ワールドビジネスサテライト)、新聞にも取り上げていただいたケースもありました。またイークラウドで資金調達を達成したスタートアップでは、事業が急成長した結果、半年で売上が倍に伸びたという例もありましたね。

事業者が確実に成長すれば投資家がリターンを得られる可能性も高まります。そのためにも、資金調達を希望するスタートアップとしっかりと向き合って支援をしています。



イークラウドはもちろん、クラウドファンディングで“投資した結果”が求められるフェーズに。



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―――日本は海外に比べて、「投資」に対してまだ古い考えが根付いている気がするのですが、やはり日本は海外より投資に関するリテラシーは低いのでしょうか?

投資に関して保守的な方は一定層いらっしゃると思っています。

これは、日本の歴史でいうと株価が1989年をピークに下がり続け、1991年のバブル崩壊に起因しているんです。株投資によって多くの投資家が、バブル崩壊の影響を受けたので、株に対するネガティブなイメージを抱くようになった気がします。

しかし今の若い世代(Z世代)をはじめ、多くの人たちがiDeCoやNISAのような投資という形の資産運用の方法も少しずつ浸透してきました。

投資に関してネガティブなイメージがある方も多いかもしれません…ですが誰かが新しい事業をはじめる人、挑戦する人を支援しないと新しい経済が生まれないと思っています。



―――なるほど…株式投資型クラウドファンディングもここ数年間で広く浸透して来た気がするのですが、課題は何かありますか?

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投資家へのリターンの実績を出すこと、投資家にも期待されていることであると思います。

先程もお話した通り、スタートアップの事業は弊社で審査したうえで掲載しますが、投資にはリスクも存在します。業績が計画通りには向上しなかったり、場合によっては休眠企業になったり、廃業になったりすることもあります。



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今後はイークラウドで資金調達をした結果、グロース市場での上場を実現し、モデルケースを創出していきたいと考えています。



――これまで多くの案件を見てきたと思うのですが、成功する起業家の共通点は何かありますか?



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ある特定の領域に関する情熱を持っていたり、多くの人が気づいていない何かに対して、本質的なところまで深く理解していたりする人ですね。そして、このような疑問や課題に対して、多くの仲間を巻き込みながら多様なアクションが起こせるかが起業家として成功するポイントかもしれません。



イークラウドのような株式投資型クラウドファンディングがメジャー化し、日本企業のメジャーな資金調達手段になる?

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―――株式投資型クラウドファンディングも昨今メジャー化しましたが、将来的にはどのように変化していくのでしょうか?

現状の日本の制度では、「1年間に1億円未満」が資金調達の最大額です。例えば今後、規制緩和等によって数億円規模にまで枠が拡大されれば、今より多くの企業に株式投資型クラウドファンディングを使ってもらいやすい状況になると思っています。 海外の事例をみても、アメリカやイギリスでは、より多くのスタートアップの資金調達手段として活用されており、日本で普及するのも時間の問題だと考えています。

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―――貴社はエンジェル税制も推進している印象がありますが、税制面ではどうでしょうか?



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個人投資家がスタートアップへ投資することを促進する「*エンジェル税制」と呼ばれる制度が実は既にあります。個人投資家の中でも既に利用している方も多く、今後さらに注目される制度であると考えています。ふるさと納税、NISA、iDeCoに次いでエンジェル投資と呼ばれるぐらい、注目されるフェーズに来ていると思います。



エンジェル税制とは

「エンジェル税制」は、一定の条件を満たす非上場のベンチャー企業に投資した個人投資家に対して、税制上の優遇処置をおこなう制度です。株式取得時点と株式売却時点で措置を受けることが可能となります。





エンジェル税制についての詳細を見る

株式投資型クラウドファンディングは、地方からスタートアップを誕生させるインフラとしての可能性も



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―――株式投資型クラウドファンディングは地方スタートアップでも利用できるものなのでしょうか。

そうですね。地域のスタートアップと投資家をマッチングすることで、地方創生にも貢献して行きたいと考えています。



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実際に地方銀行とは、少しずつ事業提携などの取り組みもはじめています。金融機関にとっても、創業まもない事業者へ融資するのはリスクが高いと判断されて、新しい会社には融資ができないというケースが多発しています。

そのためイークラウドが、地方銀行と連携して地域スタートアップを共同で発掘し、まずは資金調達を支援する取り組みをいくつかの地域で開始しています。

地域のスタートアップに、地域の投資家が投資する、このような構造を全国で創ることができれば、地域のスタートアップも増え、地域のお金もダイナミックに動き、地域が活性化すると考えています。



イークラウドは人で例えるなら渋沢栄一のような存在。“スタートアップ投資の民主化”を実現し、 株式投資型クラウドファンディングが、新時代の金融システムの柱になる。



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―――貴社が将来的に挑戦していきたいことは何でしょうか?

弊社は「理想の未来に挑戦できる社会へ」という言葉をビジョンに掲げています。起業家と投資家が、株式投資型クラウドファンディングによって、実現したい理想の未来へ挑戦できる環境を創り上げていきたいですね。

イークラウドは、個人の投資機会が増えれば、日本から様々な社会課題に挑戦する新しい事業を生む後押しができると思い設立した会社です。

個人の金融資産は2021年に2,000兆円を突破していると言われています。この2,000兆円を少し動かすことができれば、リスクマネーがスタートアップに還流しエコシステムを発展させることができると考えています。



――なるほど…本日の取材で、投資家と起業家は二つで一つという印象を受けました。



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私たちは、「投資家」と「起業家」という二項対立の考え方はしていません。私は投資家も起業家も全員が一つの船に乗って、理想の未来を作るためのクルーのような世界観だと思っています。両者とも理想の未来を実現するために、挑戦する人たちだと思っているんです。

あくまでも立ち位置による役割の違いや協力するための仕組みが違うだけなんですよね。皆が同じ方向を向いて船の舵取りをしていけば、理想の未来も現実に近づくと思っています。



―――最後に波多江様にとってイークラウド(株式投資型クラウドファンディング)とはどのような存在ですか?



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シンプルな言い方だと “ベンチャー投資の民主化”だと思っています。一部の特権階級者や投資家だけしか投資できない世界観は、中長期的に見て持続可能ではないと考えています。人が人らしくあるべき方向だったり、解決したい課題だったり、理想の世界に近づけるための投資環境が整えられるべきで、そういった社会を実現したいですね。

また株式投資型クラウドファンディングが、新時代の金融システムの柱になってほしいですね。イークラウドを人で例えるなら、渋沢栄一(しぶさわえいいち)のような存在であって欲しいと思います。



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渋沢栄一は、500社以上の会社設立や経営に関わったと言われています。大株主という立場ではなく、企業が成長するために率先して事業に携わり、支援していったんです。 その結果、日本の経済成長の土台を構築していき、現在のみずほ銀行、東京ガス、東京証券取引所、キリンホールディングスなど日本を代表する企業を誕生させてきました。イークラウド自身も“新しい何かへ挑戦する人たちにとっての渋沢栄一”であり、資金調達のためのインフラになれればと思っています。



―――なるほど…渋沢栄一のような存在という言葉がとても素敵ですね―――本日の取材は以上となります。本日は、貴重なお話をありがとうございました!



「イークラウド株式会社」の詳細を見る

<編集後記>

今回の取材を通して感じたことは、イークラウドが提供する株式型クラウドファンディングは、投資家と起業家の新しい関係地を作るのと同時に、新しい金融システムのニューノーマルを誕生させているということだ。

個人にパワーシフトが発生している昨今、個人投資家も増えている。将来的にベンチャー投資の民主化によって、個人投資家が投資に思いとどまる時代はなくなるのかもしれない―――― 個人投資家の迷いがなく、投資しようと思った時には投資が完了しているようなスピード感が、イークラウドなら実現できるかもしれない可能性を感じた取材でもあった。

ぜひ読者の皆さんも、イークラウドを通して、株式型クラウドファンディングに挑戦してみてはいかがだろう。




新井那知
ライター
So-gúd編集部
新井 那知
埼玉県・熊谷市出身。渋谷の某ITベンチャーに就職後、2016年にフリーランスライターとして独立。独立後は、アパレル、音楽媒体、求人媒体、専門誌での取材やコラム作成を担当する。海外で実績を積むために訪れたニューヨークで、なぜかカレー屋を開店することに――――帰国後は、クライアントワークを通してライターとして日々取材や編集、執筆を担当する。料理(カレー、タイ料理、メキシコ料理)と犬、最近目覚めたカポエイラが好き(足技の特訓中)。
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