2024.05.18

未来を彩る女性の賢い投資術:女性向け投資スクールに迫る


2024年1月から新NISA(少額投資非課税制度)がスタート。ここ数年で一気につみたて投資への理解が進み、広まりを見せている。

一方で、株式投資にはまだ「怖い」というイメージを持っている人も少なくないだろう。なかには株式投資は、特殊能力を持った人に許される特別なものと感じている人もいるのではないだろうか?

今回は、そんな株式投資を「自分らしい幸せな未来を実現するため」選択肢のひとつとして広めようと株式投資をはじめとした知識やスキルを身につける資産運用スクールやコミュニティを運営する株式会社ハナミラの代表取締役 松下りせさんにお話を伺った。

松下 りせ氏
インタビュイー
松下 りせ氏
株式会社ハナミラ
代表取締役
新卒で三菱電機(株)に入社後、(株)オリエンタルランドに転職し商品開発を担当。好きな仕事に就いたものの、朝から晩まで働き詰めの生活が負担になり、人生に閉塞感を感じ、株式投資を軸とした資産運用をスタート。心に余裕ができ、仕事も人生も心から楽しめるようになった経験から、人生の可能性を感じ、未来にワクワクしたい人を増やしたいと考え、資産運用を伝える活動を開始し、ハナミラを創設。金融知識がない初心者に寄り添った講義が人気を呼び、累計指導者数は700名以上。


自身が抱えた悩みをきっかけに女性に向けた株式投資スクールを開設


ハナミラ公式ホームページ 引用:株式会社ハナミラ公式ホームページ

────本日は株式会社ハナミラの代表取締役 松下さんにお話しを伺っていきます。まず、株式会社ハナミラがどのような会社なのか教えてください。

株式会社ハナミラは、自分らしい幸せな未来を実現するための株式投資をはじめとした知識やスキルを身につける資産運用スクールを運営している会社です。メインターゲットとしているのは、20代後半から30代の女性で株式投資を軸にした資産運用の方法をお伝えしています。また、講座の他に受講生だけが入れるコミュニティがあるのもというもの当社の特長です。

────20代後半から30代の女性をメインターゲットとしたのはどのような理由があったのでしょうか?

女性は「仕事や結婚がひと段落してから」という人が多いと思っています。最近、この傾向も変わりつつあるのでとてもいいことだと思っていますが、私自身もはじめてお金の問題と向き合ったのは、28歳の頃でした。

株式会社三菱電機に入社後、株式会社オリエンタルランドに転職し、やりたい仕事についたことで、ある程度自己実現して「次のキャリア形成をどうしていこうか」と迷い始めたのです。とてもやりがいがある仕事ではありましたが、会社の中でやりたいことが見つかるわけでもなく、「これでいいのかな?」という想いが自分の中で大きくなっていきました。

日本の制度上、一人暮らしだとお金もかかるが、仕事を頑張っていてもお給料は増えない、副業も禁止……そんな中で始めたのが「投資」でした。投資を始めてみたらお金のことが自分のキャリアなどを考える時にあまり考えなくていい要素に徐々になっていきました。投資の魅力を自分と同じような立場の頑張っている女性の会社員の方に届けたいと思ったことが一番の理由です。

仕事や家庭のことを優先してきた女性は多いこともあり、結果的に年齢層は20代から60代まで幅広い年代の方が通うスクールになっています。また、株式会社ハナミラは私が30歳の時に始めた事業であり、自分と近い立場の人をペルソナにして始めた事業というのもひとつの理由です。

さまざまな資産運用スクールがあると思うのですが、投資全般や積立がメインのスクールの方が多く、株式を軸にしているスクールはさほど多くはありません。ハナミラは女性向けの株を軸にした資産運用スクールのなかでは最大規模ともいえると思っています。

────スクール設立で最も苦労したことをお聞かせください。

会社を設立してチーム、組織を作っていく過程が大変でしたね。

当社は社員が入社したのは最近で、それまでは業務委託の方を中心に業務を進めていました。なぜなら、ハナミラの事業に関わって欲しいと思う人が家庭も大事にしたい方だったり、本業として医師など別の仕事をもつダブルワーカーだったりしたためです。

業務委託の方の仕事内容やモチベーションの維持、報酬設定などの設計は、全体的にとても考えてやってきたと思います。結果的に、契約は業務委託ですが、社員レベルに考えてくれるような、とても素敵な関係性になっています。

正直、最初は仕事の分配は全然わからなかったので、とても苦労しました。業務委託の方に頼む場合、得意なこととやりたいことを両立させてあげるのが一番いいのですが、どちらにも該当しない仕事をお願いすることも多く、その人のマイナスにならないように仕事を分配していくことが大変でしたが、今はその方の資質を見て、得意な事がだいぶわかるようになってきましたね。

また、現在280名ほど在籍者のいる有料コミュニティも運営しているのですが、コミュニティも半分会社だと思っています。当社のコミュニティは、トップダウンで情報を出すようなコミュニティではなく、投資についてはもちろん、それ以外のことも自分たちで感じたことをシェアする自主性があるコミュニティです。

自主性がある方がコミュニティとして機能し続けると思い、そういった環境を作るように意識しています。報酬は発生しない、完全なプロボノ(社会貢献活動)だけれども、在籍者に喜んでしてもらうにはどうしたらいいか、不公平に感じないためにはどうしたらいいか、などはとても意識してきました。結局、コミュニティに在籍するかどうかは、得られるものと居心地の良さで決まってきます。そのためまずは居心地がいいと思ってもらえる環境作りを試行錯誤してきました。組織もコミュニティも組織作りの部分はとても苦労した点のひとつだと思います。

また「金融系スクール」はとてもいいことをしていたとしても怪しく見えてしまうことが多いため、そう見えないために意識しながら活動してきました。怪しいと思われることはハナミラにとってもマイナスなのはもちろんですが、所属している人にとっても「ハナミラにいて嬉しい」と思う気持ちを持ち続けて欲しいと思っています。

「長生きが楽しみになった」と思う女性が一人でも増えて欲しい


株式会社ハナミラ 取材写真
────なぜ女性に焦点を当てた投資スクールが必要だと感じたのですか?

まずひとつ目は、私が投資を始めた時に「なぜこんなに大事なことなのに教わってこなかったんだ」と強く思ったことが大きな理由です。私は大学を卒業して就職活動をするというメジャーなルートで大人になった世代ですが、キャリア選択をする時に「投資」という選択肢があるだけで自分のやりたい仕事や考え方がコントロールしやすくなり、そこに変化が生まれるのではないか思っています。

もう一つは、「自分が行きたいと思う場所を作りたい」というのもひとつの理由になっています。当時、女性向けの株式スクールが全くなく、大抵の株式スクールは9割が50~60代の男性だったと思います。男性の場合は婚活などで年収いくらと言われるなど、お金のことが自然と入ってくる生き方や見られ方をしていると思いますが、女性の場合は、本質的にお金が自分の評価軸になりません。
そのため女性は「お金を稼げます」だけだと、投資自体はすごくいいことなのに「やりたい」と思ってもらえません。そんな女性の想いに寄り添える場所があると楽しく興味を持って投資について学んでもらえると思いました。「女性が投資を普通に始めやすい場所」を探していった結果、辿り着いたのが明るい雰囲気で理念に共感して集まれる場所という現在のハナミラの形に落とし込まれていったと思っています。

実は、最初から「絶対女性向けがいい」と思っていた訳ではありませんでした。
株式会社ハナミラが立ち上がった経緯は、投資について自分の思っていることブログで書き、サイト訪問者が増え、法人化するという流れでしたが、初めて講座を開いた時の100人の受講生の中で男性は2名のみでした。この時、私が言うことは男性に刺さらないと思ったことも女性向けのサービスに舵を切った理由になっています。

実際にスクールを運営してみて、女性の人生でフェーズにより変わっていくお金の悩みを共有できる、役に立てる場所に「ハナミラ」がなっていることがとても価値があると思っています。

────女性が投資する場合において注意したいポイントはありますか?

女性は感情的な面が出やすいと思うので、感情に左右されないようにとスクールの中でもお伝えはしていますね。男性でも感情に左右されることはあると思いますが、女性の方が若干触れ幅や「恐怖」が強い面があるので、スクールでも意識して伝えるようにしています。

投資において出てくる感情は、簡単に説明すると「欲」と「恐怖」で表せます。「怖い」や「欲しい」という感情は本能でありそれを消すのは難しいものです。そのためスクールでは「自分はこういう性格だからこうしよう」と本能を行動に落とし込んでいくことを大切にしてもらっています。

また夫婦で投資をする場合は、お金ではなく人生と未来の話をすることが大切だと思います。二人の将来をよくするために、お子様のために、など夫婦間のスタンスがぶれてなければいい話し合いになると思います。
しかし、お金の話になると建設的でなくなることもあります。
自分たちが将来どうしたいかとか、知識を組み合わせつつ、「こういった不安があるから、これに対処できるとより安心な人生になるよね」というように、二人の未来の話であることをお互いに共有できていればとてもいい議論になると思います。

────スクールを設立されて今までたくさんの受講生の方がいらっしゃったと思いますが、受講生からのスクールの反響や実際の声などで、松下社長が一番印象的だったエピソードを教えてください。

多くの方が投資をはじめて「長生きが楽しみになった」と言ってくださることが嬉しいですね。

実は私自身も投資を始める前は、60歳ぐらいまで生きられれば充分だと感じていました。年金も期待できませんし、60歳までにはやりたいこともなくなっているだろうし……長生きして楽しいことはあるのだろうかと思っていたのです。

しかし、投資を始めてお金のことを自分でどうにかできると思ったり、投資をきっかけに様々な企業を見ていくにあたってたくさん頑張っている人たちがいる気がついたり、人生に前向きになれたのです。私のように「長生きが楽しみになった」と言ってくださる方たちがいらっしゃるんですが、それがとても嬉しいことだと思っています。

結局、今が楽しいからこそ、この先にも期待が生まれます。投資をきっかけに自分に自信を持て、今を楽しめている受講者が大勢いることがとても嬉しいですね。

株式投資が当たり前なるように、そしてハナミラが役目を終えるように


松下代表のプライベートの写真
────松下社長がこれからの将来で挑戦したいことはありますか?

正直、これからのことは考え中の部分が多いのですが、スクールに関して言えば運営してくれる方や受講生の力を借りて、より投資を必要としている人たちに届くまでたくさんの人に広げていきたいと思っています。

私自身、日本経済のプラスになる活動をすることが喜びであるというのが根っこにあり、投資という切り口のなかで、他の投資ではなく株式を選んだのも、自分の国の経済が明るいと、人は元気になると思っていることが大きな理由です。「多くの人が企業に株式投資という形で関わることで、日本も元気になってくれる」……そういう想いでハナミラの活動を広めていきたいと思います。

また、これは事業になるか社会活動になるかわかりませんが、学生など若い世代にも、投資を広めていくアプローチをしていきたいと思っています。経済ニュースをただ見ていると日経平均などよくわからないと思うのですが、普通の積立ではなく株式を通じて社会に関心を持ってもらうことで、経済ニュースも自分事になり、わかるようになってきます。投資が教養一部のような形になることを目指して、活動をしていきたいと思っています。

────松下社長個人としてこれから将来挑戦したいことはありますか?

海外に関わる事業がしたいと思っています。
株式投資をしていて、以前は、ベンチャー企業でもまずは国内市場からと設立されること圧倒的に多かったのですが、上場企業やベンチャー企業の社長さんにも海外志向の方が増えたと感じます。私も何か日本以外で挑戦していきたいと思っています。

また、ハナミラでは株を楽しく広めるためのキャラクター「かぶにゃん」を作りました。もともと商品開発の経験があったので、IPや文化的なところは得意分野であり、そこを活かした事業も進めていきたいと思っています。

ハナミラマスコットキャラクターのかぶにゃん 引用:ハナミラ公式Instagram「ハナミラ | 株式投資と資産運用のスクール」

実は、私は投資にはあまり興味がなく、社会に出てから「お金のことちゃんと考えなくては」と思い投資を始めたタイプの人間です。ではなぜ投資を続けていられるのかというと、単純に投資が「面白い」と感じているからです。

そこで気が付いたのは、私は人の心を動かせる仕事がしたいのだということでした。株式投資も真面目に調べていくと「この企業の社長かっこいい!」と感動する瞬間があり、そこが株式投資のいいところだと思っています。人の心を動かせるという軸に、会社としても個人としても活動していきたいと思っています。

────女性に特化した投資は、5年後、10年後どのように変化していると思いますか?考察があれば教えてください。

5年後には積立投資は今まで以上に一般に浸透し、10年後には考え方も変わっていくと思います。その上で、株式投資という選択もあたり前になり、世の中に広まっていると考えているんです。

ハナミラのような株式投資の教育のサービスが不要になるくらい世の中に株式投資が広まっていたら嬉しいですね。これはハナミラの未来を悲観しているとかではなく、ハナミラが役目を終えるぐらい株式投資が広まっている方が10年、20年後のハナミラにとってはいいことだと思っています。そのためにしっかりと時代に合わせて成長していきたと思います。

一株180円で株式投資をスタートできる時代。自分の可能性を信じ、一歩前へ


ハナミラ代表の松下氏の写真
────松下社長にとっての一番のモチベーションは何ですか?

自分の個人的な欲求的部分でお話すると、私は「自分が面白いと思えることをしていたい」と考えています。女性向けの株式投資スクールを作り、そこに人が興味をもって集まって「このサービス面白いな」と思ってもらえるようなものを何か一つはしていたいと感じています。

また、仕事していて楽しいと思う瞬間は、仕事を通じて何かに感動できた時です。例えばコミュニティにすごくいいこと書き込んでくれる人や受講生からのメッセージをいただいた時には、ほんと素晴らしいなと感動します。このようなチームや受講生など周りの方の嬉しい変化や関わりによって私の心が動くことが楽しいからこそ、サポートを続けていられると思っています。私自身、周りの方のおかげで楽しくやっていけていることにとても感謝しています。

────松下社長が仕事をする上で大事にしていることは何ですか?

メリット、デメリットで動かないことを大切にしています。
例えば、イベントなどでも「〇〇さんをゲストで呼んだらこういうことがあるのではないか」など損得で動くと大抵うまくいきません。数値では測れない好きか嫌いかなどを優先して決めてくことを個人の判断としてはすごく大切にしています。

また、みんながメリット感じてないと事業は継続できません。自分にとっても関わっていただいている人にとっても「いいこと」であることを大事にしながら活動しています。

────最後に、夢を持つ全ての女性に向けてメッセージをお願いいたします。

投資は日本の教育が行き届かなすぎた結果、出来ない人が多いだけで何か特別なスキルが必要なものではないと思っています。もちろん、人よりも桁違いな結果を出すっていうことであれば、才能が必要ですが、自分の資産をプラスにしていく程度のことであれば、体系的に学んいけば誰でもできるようになると思います。

もちろん習得期間には人によって差があります。私は、高校生の時にスポーツテストEを取ったことがあるくらい運動が苦手です。そんな私でも大学でテニスサークルに入り、入部当時は一番下手だったのですが真面目に練習をしたらサークルの同い年の中で2、3番目ぐらいになれたのです。その時に、私に足りなかったのは体育の時間だと気が付きました。自分の能力的には、学校の体育の時間内では運動能力を上げることができなかったのだと大人になってから気が付きました。

このように人によって習得の時間の差は絶対出てくと思いますが、投資は特殊スキルではありません。体系的に学んでいけば、誰でもできるようになるものなので、騙されたと思って体系的に勉強してもらえたら嬉しいです。

投資が怖い人と思う人の中には「投資は大金が必要なもの」と思っている人が多いと思います。しかし、現在は日本株も一株で買える制度が増えていて、一株180円などペットボトル飲料と同じくらいの金額買うこともできます。スモールスタートでもいいからやってみるという流れが広まることが、株式投資が当たり前になっていく第一歩。本当に小さな金額から、一株からでもいいので、まずはスタートしてみることをおすすめします。

また、自分の可能性を信じられることが夢への出発点だと思います。それが、ひとつの希望を持つことになると思うのです。 そして自分の可能性を信じることで、人生が楽しくなっていくと思います。やりたいことや夢もどんどん叶うようになると思うので、本当に「自分を信じる」ことを大切に前向きに行動していってほしいと思います。

新井那知
ライター
So-gúd編集部
新井 那知
埼玉県・熊谷市出身。渋谷の某ITベンチャーに就職後、2016年にフリーランスライターとして独立。独立後は、アパレル、音楽媒体、求人媒体、専門誌での取材やコラム作成を担当する。海外で実績を積むために訪れたニューヨークで、なぜかカレー屋を開店することに—-帰国後は、クライアントワークを通してライターとして日々取材や編集、執筆を担当する。料理と犬、最近目覚めたカポエイラが好き(足技の特訓中)。
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