暗号資産の未来は“あの空間”と関係が?「一般社団法人 日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)」理事、小田氏が語る暗号資産の可能性とは?


「暗号資産」「ブロックチェーン」「ビットコイン」ーーーーーこのような言葉を聞くと読者の皆さんは何を連想するだろうか?

テレビやネットニュースをはじめとした数多くのメディアで見聞きするようになったこれらの言葉だが、頭の上に漠然としたクエスチョンマークが浮かんでいる方も少なくはないはずだ。

「暗号資産って現金と違ってなんだか信用できない…」

「ビットコインで、失敗した…という話しを誰かから聞いた気がする…」

「暗号資産は、なんだか胡散臭い…」

こんな言葉が浮かぶのは、無理もないかもしれない。なぜなら、よく理解していなければ当然の感覚だからだ。

しかしフィンテックやポイ活の発展、昨今の国際情勢における円安ーーーー私たちが当たり前と思っていたお金の概念は変わりつつあるーーーー 実際に現金を持ち歩かなくなったと感じる読者の方もいるのではないだろうか。そんな背景を受け、新しい資産として注目されているのが「暗号資産」だ。

もしかすると5年後10年後、暗号資産が当たり前になる世界が到来した時、「もっと早く勉強しておけば…」という後悔をする人も続出するかもしれないーーーー

そこで今回は一般社団法人 日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)」の理事も務める小田玄紀氏を取材。株式会社ビットポイントジャパン代表取締役会長や株式会社リミックスポイント代表取締役社長CEOも務める、まさしく“暗号資産のプロ”である小田氏に暗号資産の未来と可能性について話をうかがった。



小田 玄紀
インタビューイー
小田 玄紀
一般社団法人 日本暗号資産ビジネス協会(JCBA) 理事/ 株式会社リミックスポイント代表取締役社長CEO/株式会社ビットポイントジャパン代表取締役会長
東京大学法学部卒業。大学在籍時に起業し、のちに事業を売却した資金を元にマッキンゼー出身者らと共に投資活動を始め、「頑張る人が報われる」をコンセプトに、起業家や社会起業家の事業立ち上げや経営支援を行う。

2011年の東日本大震災を契機に、「日本でも再チャレンジを当たり前にしたい」という思いから事業再生を開始。その一環で社外取締役としてリミックスポイントの経営に参画し、2016年に同社代表取締役に就任する。また、同年3月には上場企業子会社としては日本初の仮想通貨取引所であるビットポイントを立ち上げ、同社代表取締役に就任。現在は健全な暗号資産市場の発展のために日々国内外のメディアに対して発信・啓蒙活動も行っている。

2018年に紺綬褒章を受章。2019年には世界経済フォーラムよりYoung Global Leadersに選ばれる。



暗号資産業界を支え、発展させる。一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会の取り組みーーーー



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────まずは一般社団法人 日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)の概要について教えてください。

「一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(以下:JCBA)」は、もともとは 「仮想通貨ビジネス協会、日本仮想通貨事業者協会」として2016年に誕生しました。2016年の閣議決定された「資金決済法(資金決済に関する法律)」により、「仮想通貨交換業(暗号資産)」も2017年から法律化されたんです。この法改正に伴い、業界団体が発足することになったんです。

2022年5月の段階で当協会には正会員30社、準会員80社、特別会員4社、団体会員6社ーーーー計120社に御参加いただいております。金融業界のメンバー様から弁護士事務所など、多様な会員様が在籍しているのも特徴ですね。

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JCBAでは、様々な事業者様が日本国内において暗号資産(仮想通貨)ビジネスをはじめるにあたり、テクノロジー・会計・レギュレーション・商慣行などの面から、必要な情報の調査・研究、知見の集約、意見交換を積極的に行っています。当協会の母体は「一般社団法人仮想通貨ビジネス勉強会」で、暗号資産業界がより健全な産業へ発展するために設立されました。



────どのような勉強会を開催されているのでしょうか?



勉強会の分野は、幅広い分野の勉強会を月ごとに開催しています。NFTや海外の暗号資産の動向、暗号資産に関連する税制や事業上の会計、法律などをテーマにした講義が多いですね。

例えば、5月に『USTに見る暗号資産型ステーブルコインの可能性について』をテーマにした勉強会を開催しました。*USTの暴落について、事象を紐解きながら国内外の反応やその他のステーブルコインとの比較を通じ、この暴落がもたらす影響について考察しました。 また過去には昨今注目を集めている、金の価格に連動する暗号資産「Zipangcoin (ジパングコイン)」について、『金(ゴールド)に連動する暗号資産 Zipangcoin 概要』という題名のもと勉強会を開催しました。このような勉強会を通して、最新の情報を共有することで、暗号資産の理解を深めたり、人的なつながりを広めたり、事業者同士が高め合えるようなプラットフォームとしての役割も有しています。



*USTとは

UST(TerraUSD)とは、Terraform Labsという韓国の企業が発行している米ドルの価格に連動したステーブルコインと呼ばれる仮想通貨銘柄のこと。



手軽さとコストカットがポイント!?従来のお金という概念を変える暗号資産とは?



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──────── 実は私自身は、暗号資産を購入したことがない“暗号資産のど素人”なのですが、改めて暗号資産の概要についてもお伺いしてもよろしいでしょうか?

暗号資産とは、ブロックチェーンによって作られた情報改ざん性に強いデジタル資産のことです。 新聞やテレビなどのメディアでは、暗号資産を「仮想通貨」「暗号通貨」と表記される場合もあります。正式には、先程お伝えした2017年の法改正により「仮想通貨」から「暗号資産」という名前に変わりました。

暗号資産のなかでも特にメジャーなのは、「ビットコイン」ですね。ビットコインを代表する暗号資産は、お札や硬貨のような現金としての形はないのですが、お金と同じように使うことが可能です。



────────なるほど、特徴としてはどのような点がありますか?

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ビットコインを例にすると「決済」「投資」「寄付・ファンディング」「送金」などができるのが特徴です。 暗号資産は買値と売値は状況によって変わってきますが、需要と供給が決まっているのもビットコインならではですね。 例えば国が発行する通貨の場合、国が決めれば供給量を増やすこともできます。しかし暗号資産の場合は、供給量をコントロールできません。



────────昨今のウクライナの支援金にも暗号資産で、計1890万ドル(約21億8400万円)が寄付されて注目を集めていましたね。

そうですね。国内通貨を外国に送金するには、手数料が発生したり、送金までに時間がかかったりとさまざまなコストが、送金する側、中間の事業者、受け取る側に発生してしまいます。

暗号資産の場合は、簡単に送金・受金できるので、低コストで完結します。その都度国の通貨に換算する必要がないという手軽さとコストカットが同時に担保されているんです。



日本では全世界の50%の暗号資産を日本人が所有?暗号資産の火付け役は、「キプロス危機」



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────────なるほど、昨今何かと注目を集める暗号資産ですが、どのようにして暗号資産はメジャーになっていったのでしょうか?

暗号資産がメジャーになるまでの歴史は少し長いのですが、2009年前後に「国が管理をしない通貨を発行する」ーーーというテーマのもと誕生しました。国が発行する通貨は、社会情勢などの影響により、変動したり供給量が変わってしまいます。当初はごく一部の最先端のテクノロジーの領域にかかわる人のみが利用していました。

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その後2011年の「*キプロス危機」により、国の通貨ではなくビットコインを導入したんです。その後、2016年に中国では95%~97%の中国人の方が、ビットコインの取引を開始しました。

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しかし中国は2017年、国内の仮想通貨取引所を閉鎖させ、仮想通貨の国内普及を禁止しました。その後、日本では先程お話した2017年の資金決済法の改正が執行され、世界ではじめて国がビットコインを認めるという、暗号資産の歴史では画期的な事態となりました。

この時、日本では暗号資産が流行り、ビットコイン取引の世界全体の50%が日本人によって行われていたんです。



*キプロス危機とは

キプロス危機とは、「キプロスショック」とも呼ばれ、2013年にユーロ圏のキプロス共和国で発生した金融危機のことです。ギリシャ危機により、キプロスの銀行の融資や債券投資に大きな損失(不良債権)が発生し、経営が立ち行かなくなったことに起因するもので、EUやIMFに救済を求めるまでに発生した一連の危機を指します。



────────なるほど…確かに2017年頃から確かにビットコインという言葉を頻繁に聞くようになった気がします。

そうですよね。ですが2018年に「Coincheck(コインチェック)」がハッキングされ「ネム(NEM)」が盗まれる時間が発生し、被害額は約580億円に及びました。この事件が発生してから金融庁が厳しく暗号資産の取引を管理するようになったんです。

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またこの頃に「イーサリアム(ETH)」と呼ばれる、暗号資産が誕生しました。イーサリアムは、スマートコントラクト と呼ばれる、ブロックチェーン 上で契約を自動的に実行する仕組みが採用されているのが特徴ですね。

その後イーサリアムのテクノロジーをベースにした暗号資産が、世界中で8000個~9000個(暗号資産の約8割)誕生するという流れになりました。



ブロックチェーンが暗号資産を守る。情報セキュリティーの強化により、安全性の向上を実現。



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────────暗号資産は安全性に対するさまざまな意見がありますが、安全性についてはどのようにお考えですか?

情報の安全性という部分では、昨今注目を集めているブロックチェーンの存在が大きいです。先程ブロックチェーンという言葉が出ましたが、ブロックチェーンの特徴は、デジタルデータの非改ざん性です。ブロックチェーンを採用することで、暗号資産のデジタルデータが改ざんされません。人ではなく、“情報で管理”するためハッキングなどによるデータ改ざんがあっても、危機管理しやすいという特徴があります。



────────一方でタレントやお笑い芸人が、「ビットコインで失敗した…」という話を聞くのですが、暗号資産は素人が手を出すのにはハードルが高いイメージがあります….

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確かに、ビットコインで大やけどをしたというコメントをする著名人の方もいますよね(汗)。しかし、“本当は買ってはいけない、危険な商品”もあるんです… 日本では金融庁にライセンス登録されていないものや、「これから上がるから今のうちに買った方が良いよ!」という美味しい話を前提にアプローチしてくる商品は注意した方がよいですね。

JCBAでも、警視庁・警察と連携したりして、詐欺被害にあわないように啓蒙活動をしています。またハッキングに関してもJCBAのセキュリティ・システム部会で対策を調査・検討しているんです。

また暗号資産交換業者は、資産管理の80%に「コールドウォレット(インターネットにつながっていない状態)」を使用しようすることに決定しています。コールドウォレットは、外部からのハッキングが発生しない設計になっているんです。

一方でインターネットにつながっているものを「ホットウォレット」と呼ぶのですが、インターネットを経由してハッキングされやすい特徴があります。日本の企業は、コールドウォレットを使用しているので、不正利用やハッキングは減少傾向にあります。



暗号資産の未来はメタバースで加速するーーーー



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────────5年後10年後、暗号資産を取り囲む環境や技術はどのように進化・発展していくとお考えですか?

結論からお伝えすると、日本人で暗号資産を所有している人は全体の4%~5%ほどですが、今後は20%以上にマーケットは拡大されると仮定しています。その理由は、5年10年後先の未来ではメタバースが発達しVRの世界が浸透するからです。 VRの世界では同時通訳機能などの技術により、海外の人と普通に話せる世界観になると思います。

国や言語の壁がなくなれば、お金の壁もなくなり、メタバース空間での決済通貨も誕生するはずです。そうなっていくと、日本円でもドル通貨でもない、暗号資産になると考えています。 どこかの国や企業が発行するのではなくて、メタバース空間に特化した暗号資産が誕生する可能性が高いですね。その結果、暗号資産はさらに身近な存在になっていくと思います。



────────メタバース空間以外の進化はどうでしょうか?

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今まで以上に暗号資産と紐づいた金融商品が増えると考えています。例えば、個人や企業が、銀行や消費者金融でお金を借りる際には、借りる側の与信で判断されます。銀行は、現時点での資産だったり、PMとPLだったりをベースに融資の判断を下します。

しかしこれからは、完全に個人も法人も“キャッシュ・フローベースのファイナンス”になっていく気がしています。お金を貸す側は、その人の与信ではなくどういったトランザクションがあるのかを判断しますーーーーそしてその判断材料にブロックチェーンが紐づいてくるような気がするんです。 暗号資産が今まで以上にメジャー化することで、これまでにないような金融商品ができるのではないかと思っています。



「暗号資産市場を健全に発展させていく」ーーー日本暗号資産ビジネス協会の挑戦に注目



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────────JCBAとして挑戦していきたいことは何ですか?

JCBAとしては、日本の暗号資産市場を健全に発展させていくための取り組みに、今まで以上に注力していきたいと思っています。

特にJCBAが注力しているのは、暗号資産に対する税制改正です。4年程前から税制改正には取り組んでいますが、個人や法人によって税制が異なります。

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法人の場合、株式取引の所得は、株の譲渡所得に分類されるので、分離課税が適用されています。しかし暗号資産投資しかしていない法人は、分離課税が適用されません。

また個人では、会社員の方は20万円以上の利益が出た場合、学生や主婦など扶養がいる方は33万円以上の利益が出た場合に確定申告が必要となります。そして最大55%の税率が発生したりと複雑な税制体制になっているんです。

このような暗号資産を取り巻く複雑な情報を会員様やアドバイザーの弁護士先生が発信したり、 勉強会を開催したりすることで、正しい知識を得る機会を作り、日本の暗号資産全体を今まで以上に発展させていきたいですね。



「一般社団法人 日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)」の詳細を見る

<編集後記>

インタビューを通して、小田氏に暗号資産は何からはじめればいいか聞くと、500円でも良いからまずは、運用してみることが大切のことだーーー取材をするまでは、暗号資産に対して漠然として疑問や不安があった。しかし取材を終えた今では、小田氏の言葉通り、正しいガイドラインのなかで適切な運用をすれば、金融に関しての知見が広がるような気がする。

「暗号資産は難しそう…」という“ただわからないだけ”で終わらせず、正しい知識を得て、それを正しく使うことで、暗号資産は私たちの漠然としたお金の悩みを取り除き、お金の可能性を広げる未来の当たり前になるのではないだろうか。



新井那知
ライター
So-gúd編集部
新井 那知
埼玉県・熊谷市出身。渋谷の某ITベンチャーに就職後、2016年にフリーランスライターとして独立。独立後は、アパレル、音楽媒体、求人媒体、専門誌での取材やコラム作成を担当する。海外で実績を積むために訪れたニューヨークで、なぜかカレー屋を開店することに—-帰国後は、クライアントワークを通してライターとして日々取材や編集、執筆を担当する。料理と犬、最近目覚めたカポエイラが好き(足技の特訓中)。
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