アレルギーでも輝く髪色を:ヘアカラー革命NODIAのもたらす未来
美容師・小野敦之と株式会社ムーランエムーランが起こした美容界の革命――。
彼らの挑戦は、「ジアミンアレルギー」という見えない壁に阻まれた人々の夢を叶えることだった。
「髪を染められない」という悲痛な声から誕生したのが、ノンジアミン系のヘアカラー「NODIA」。
アレルギーの懸念なく、鮮やかな髪色を実現するこの製品は、美容室の常識を覆した。
開発の苦労、全国3700店舗への展開、そして変わりゆく市場ニーズ。
小野氏とムーランエムーランの情熱は、美容師たちの心を動かし、ジアミンアレルギーに悩む顧客の笑顔を取り戻した。
今、NODIAが切り拓く新たな美の世界。
それは、誰もが生涯ずっと自由に自分らしさを表現できる、輝かしい未来への扉なのだ。
2021年 寝屋川市香里園で「hair’s LOG」を開業
髪と頭皮の悩み解決に寄り添い、県外からも多くのお客様が訪れる
【あっくんのヘアケアブログ https://atussy.com/ 】
※一般人や同業者から好評の月間PV数6万を超える人気ブログ
カラー中には気づかない?!ジアミンアレルギー※と闘え!NODIAの開発
※ヘアカラーに含まれる酸化染料によるアレルギー。すべてのアレルギーには対応しておりません。
引用:株式会社ムーランエムーラン公式サイト
―――まずは、ノンジアミンヘアカラー製品「NODIA」の開発に携わることになったきっかけについて、教えてください。
元々、僕は2015年からブログを立ち上げ、当初は美容に関する情報を発信していました。その中でアレルギーの事例を書いていると、「定期的に白髪染めをしたいがアレルギーでヘアカラーができない」「また顔が腫れてしまうかと思うとカラーリングするのが怖い」などジアミンアレルギーと思われる症状に悩む人たちからのご相談がたくさん届くようになりました。これを機に、ジアミンアレルギーの人でも、どうにか安全にヘアカラーを楽しんでもらいたいと独自で研究を始めました。
ちょうどその頃、株式会社ムーランエムーランでは、ジアミンアレルギーを持つ人でも安心して使えるヘアカラーの開発を計画していたようです。 その過程で、僕のブログを見ていただいたようで、新しい製品開発への協力を依頼されました。
これがNODIAの開発に関わることになった経緯です。
―――10年ほど前のブログを始められた当時は、ジアミンアレルギーは世間ですでに認識されていたのでしょうか?
当時、ジアミンアレルギーに関する一般的な認識はまだ低く、対応できる美容師も少ない状況でした。
当初は、美容全般の情報を扱っており、ヘアケアや美容のトレンドなど、幅広いトピックについて正確な情報を届けることを目指していました。
しかし、ブログでジアミンアレルギーの事例を紹介すると、予想以上の反響があったのです。
困っている方々がその記事を見つけ、相談のメッセージを送ってこられたり、実際に来店されたりするようになりました。
このような反応は、ジアミンアレルギーに関する情報へのニーズの高さを示していたと思います。
ブログの執筆を通じて、僕自身もジアミンアレルギー対応の知識を深めていきましたし、来店者への対応事例をブログに掲載し、それがまた新たな相談や来店につながるという好循環が生まれました。
美容師としても、ジアミンアレルギー対応のヘアカラー技術について研究を重ね、様々な方法を試していったので、自身の成長にも繋がりました。
―――ジアミンアレルギーが具体的にどのような影響を与えるか、具体的な事例を教えてください。
ヘアカラーによるジアミンアレルギー反応では、多くの場合、美容室での施術中には何も問題が起こりません。
一般的に、施術後約6時間経過してから現れはじめ、多くのお客様が帰宅後の夜や翌朝になって初めて症状に気づくことになります。
症状の程度は人によって大きく異なり、軽度の場合は頭皮のかゆみ程度ですが、重度になると顔の腫れなどの強い症状が現れることもあります。
症状が軽い場合や、施術からの時間差があることから、本人もヘアカラーが原因だと気づかないことが少なくありません。
「なぜ頭がかゆいのだろう」と疑問に思いつつも、原因を特定できずにいる方も多く、症状の原因を別のものに結びつけてしまうケースもあります。
重要なのは、ヘアカラーアレルギーは実際に使用してみて初めて発症することが多いという点です。
そのため、過去に問題なくヘアカラーを使用できていた方でも、突然アレルギー反応が起きる可能性があります。
ジアミンアレルギーは、美容室の顧客の中では比較的まれな症状で、全体の1割にも満たない程度の発生率ですが、この症状を持つ方々にとっては深刻な問題となっています。
ジアミンアレルギーを発症した場合、安全のためにジアミンを含むヘアカラーの使用を中止しなければならず、髪を染める方法を見つけられずに困っている方が多くいらっしゃいます。
一方で、この問題に対応できる美容室や美容師はまだ少数派です。
私自身も以前は適切な対応ができませんでしたし、現在でも多くの一般的な美容室では対応が難しい状況が続いています。
最近ではジアミンアレルギーに対応できる美容室が少しずつ増えてきていますが、それでもまだ需要に追いついていないのが現状です。
そのため、対応可能な美容室を求めて、遠方から来店されるお客様も少なくありません。私の美容室にも、県外から来られる方がいらっしゃいます。
ジアミンアレルギーへの対応は、単にノンジアミンタイプのヘアカラーを使用するだけでは不十分です。
アレルギー反応を完全に防ぐためには、施術に使用する全ての道具や環境にも細心の注意を払う必要があります。
具体的には、カラーを塗るカップ、ハケ、美容師の手袋、、カラーやシャンプーのクロス、さらにはタオルに至るまで、あらゆる用具に他の顧客のカラー剤の成分が残留している可能性があるのです。
これらの道具は通常洗浄されていますが、微量のジアミンなどの酸化染料が残留していることがあります。
特に敏感な方の場合、これらの微量な残留物でもアレルギー反応を引き起こす可能性があるのです。
そのため、私たちの美容室では、アレルギーのリスクを最小限に抑えるため、アレルギーを持つお客様用の道具を完全に分けて管理しています。
また、過去にアレルギー反応を経験したお客様は、次のカラーリングに対して強い不安を感じることが少なくありません。
顔が腫れるなどの深刻な症状を経験した方は、たとえノンジアミンのカラーと聞いても、再び同じような反応が起きるのではないかと心配されます。
こうしたお客様に対しては、まず丁寧にアレルギーとカラーリングについての説明を行い、実際の施術前に腕でパッチテストを行うなど、慎重に準備を進めます。
これらの対策を経て、無事にカラーリングができた時のお客様の喜びの声は、私たちにとっても大きな励みとなっているんです。
美しさを取るか、髪への優しさを取るか…両方を取るのが今重要なコト
―――NODIAの技術的な特徴や他の製品との違いは何ですか?
ジアミンアレルギー対応のヘアカラーの主な特徴は、ジアミン染料の代わりに全く異なるタイプの染料を使用していることです。
具体的には、塩基性染料やHC染料と呼ばれる染料が使われています。
塩基性染料やHC染料は、ジアミン染料とは化学的に異なる構造を持っているため、アレルギー反応を引き起こす可能性が極めて低いとされているのです。
しかし、ノンジアミン系のヘアカラー製品の特徴は、ジアミン染料を使用しないことと引き換えに、染色力が弱いというデメリットがあります。
ジアミン染料が広く使用されている理由は、染色力が高いために業界で重宝されているからです。
染色力の弱さは、アレルギー対応のヘアカラーにとって大きな課題となっています。
この課題に対応するため、ムーランエムーランさんと協力し、ジアミン染料を使用せず、より高い染色力を持つ製品の開発に取り組んできました。
具体的には、カラーリング料だけでは綺麗に染めることが難しかったので、少しブースターを足すことで、「美容室で染めて良かった」と思っていただけるようなクオリティーのヘアカラーが完成したのです。
多くの実験と検証を重ね、ジアミンを含まない染料でありながら、できる限り染色力を高め、使いやすさも向上させた製品の開発に成功しました。
―――NODIAの開発にあたって、苦労した点はありますか?
ジアミンアレルギーの問題で最も深刻な影響を受けるのは、白髪染めを必要とする方々ではないかと思います。
若い世代であれば、嫌かもしれませんが、最悪染められなくなっても黒髪のままでいるという選択肢があります。ですが、白髪を隠せないことは多くの人にとって大きな悩みとなります。
そのため、僕たちの最優先事項は、アレルギーリスクを極力避け、かつ効果的に白髪を染められる製品を開発することでした。
製品開発の過程には多くの課題があり、単に染まりの良さを追求するだけでなく、地肌への色素沈着を防ぎ、肌への刺激を最小限に抑えることも重要だと思ったのです。
さらに、美容師が使いやすい製品にすることで、より多くのサロンで採用してもらえるよう、様々な使用方法に対応できる柔軟性を持たせることにも注力しました。
初期の段階では僕自身が主に検証を行いましたが、その後は知人の美容師からの幅広い意見を集め、より使いやすく納得のいく製品の開発につなげていったのです。
―――美容師の方々からNODIAを使用した後の反響は何かありましたか?
多くの美容師がジアミンアレルギーを持つ顧客に対して、適切な染毛方法に悩んでいたのが現状でしたから、「これならお断りしなくて済む」という肯定的な反応を得ることができました。
さらに、既存の類似製品を使用していた美容師からも、 NODIAの染まりに納得いただき、導入いただけるケースも多くありました。
ムーランエムーランさんの製品開発の根底にある思いは、全ての人々が生涯を通じてヘアカラーを楽しみ、美容室に通い続けられる環境を作ることです。
ジアミンアレルギーが原因で美容室でのヘアカラーを諦めざるを得なくなる方々がいるという現状は、非常に悲しいことだと考えています。
ジアミンアレルギーを持つ方々は数としてはマイノリティですが、少数だからといって放っておくわけにはいきません。
実は美容室向けの市場にはこのようなアレルギー対応できるヘアカラーはまだまだ少ないのが現状です。
発売当初から、業界内での反響は非常に大きく、現在では約3700店の美容室に導入されていると聞いていますが、日本全国には約27万軒の美容室があることを考えると、まだまだ十分とは言えません。
今後の目標は、NODIAを使用できる美容室がより一般的になり、ジアミンアレルギーで悩む全ての方々を当たり前のようにサポートできる環境を作ることです。
この目標に向けて、多くの方々のご協力をいただきながら、引き続き努力を重ねていきたいと考えています。
―――美容業界全体として、ジアミンアレルギー対応製品の重要性についてどうお考えですか?
NODIAの発売以降、他のメーカーもアレルギー対応型の商品を開発・販売し始めており、市場の変化が感じられます。
これは、アレルギーを持つ顧客の増加と、全体的に頭皮や髪に優しい製品を求める消費者の傾向が強まっていることを反映しているのではないか、と思っているのです。
ジアミンアレルギーの一般的な認知度はまだ高くありませんが、テレビやネットニュースで深刻な事例が報道されることで、徐々に関心が高まっています。
メディアへの露出をきっかけに、ジアミンアレルギーがなくても、予防的に使える製品や対策のできる美容室を求める顧客も増えてきているんです。
私が美容師になりたての頃と比べると、時代とともに消費者のニーズが大きく変わってきたことも実感しています。
以前は髪の傷みをあまり気にせず、強めのくりくりパーマをかけたり、真っ直ぐ過ぎるほどピンピンの縮毛矯正をかけたりしている時代もありましたが、現在では、ナチュラルで優しい仕上がりが好まれ、髪の艶や健康的な美しさが重視されるようになってきています。
さらに、顧客の頭皮ケアへの関心や食生活を含めた全体的な健康志向も高まってきた結果、ヘアケア製品への要求も変化しました。
美しいヘアスタイルを楽しみたいと思う一方で、できるだけ髪や身体に優しい製品を使用したいという顧客のニーズは、時代とともにますます高まっていると感じています。
「誰も置き去りにしない」アレルギーでもヘアカラーを続けられる未来へ
―――NODIAの今後の展望と、さらに進化させるための計画や目標はありますか?
現在、ジアミンアレルギーで悩む多くのお客様に僕たちの美容室に興味を持っていただいていますが、予約の関係上、全ての方に対応できていないのが現状です。
この状況を改善するためには、アレルギー対応ができる美容室をもっと増やす必要があると感じています。
実際に多くのお客様と接したり、インターネット上の情報を見ていると、ジアミンアレルギーに関する正しい知識がまだ十分に広まっていないことを実感するんです。
ジアミンアレルギーについて正しい知識を持ち、適切に対応できる美容室を増やすため、ジアミンアレルギーやNODIAの取り扱いついてのセミナーを全国で開催しています。セミナーを通じて感じるのは、美容師内でのジアミンアレルギーへの認知度や対応力がまだ十分ではないということです。
主な原因は、一般的な美容室では、ジアミンアレルギーを持つ顧客の割合が、1割にも満たず、全体的に少ないことにあります。
しかし、軽度の症状を我慢している顧客も多いと思うのです。
多くの美容室にとって、少数のジアミンアレルギー顧客のために特別な製品や道具を用意することは、手間やコストの面で負担に感じられるかもしれません。
今後はさらに多くの地域で美容師の方々にジアミンアレルギー対応製品の存在や、ジアミンアレルギーに関する知識を伝えていきたいです。
―――開催されているセミナーを通して、美容師の方々からのフィードバックや反響はありますか?
セミナーを通じて、ノンジアミンタイプのヘアカラーに初めて触れる美容師の方々が多いことがわかりました。
セミナーでは通常、複数のモデルさんに協力いただき、実際にノンジアミンカラーで染毛を行い、施術過程と仕上がりを直接観察していただきます。
セミナー後には多くの参加者から、「こんなに染まるのか」「こんな色が実現できるのか」と驚きの声が上がるんです。
実際の施術と仕上がりを目の当たりにすることで、製品の効果を実感していただけているようです。
セミナー全体の手応えとしては、非常に好感触で、参加者の方々からは毎回肯定的な反応をいただいています。
中には半信半疑で参加された方もいましたが、実際の仕上がりを見て、「通常のヘアカラーに近いぐらい染まっている」という印象を持たれる方が多いです。
セミナーを通して、実際に効果を目で見てみるという直接的な体験が、ノンジアミン系カラーに対する理解と信頼を深める上で重要な役割を果たしていると思います。
―――ジアミンアレルギーの方々に向けて、5年後、10年後に美容業界をどのように変革していきたいか、どのような未来を思い描いていますか?
現在、世界的にジアミン染料が主流ですが、個人的には、これを超える安全で効果的な新しい染料の登場を期待しています。
これは美容師や製造業者だけでなく、研究者の方々の領域かもしれません。
より安全で安心して使用できる染料素材が開発されれば、多くの人々がより自由に、悩むことなく様々な髪色を楽しめるようになるでしょう。
最近のSDGsの考え方にも通じますが、「誰も置き去りにしない」という理念は美容業界にも当てはまると思います。
社会的マイノリティへの配慮が重要視される中、美容業界においても、ヘアカラーを楽しめない人々を置き去りにしない取り組みが必要です。
ジアミンアレルギーがあるからヘアカラーを諦めるのが当たり前ではなく、アレルギーがあっても当たり前に好みの髪色を楽しめる世界を目指したいと考えています。
現状では、色味の対応に留まっている部分もありますが、今後も、ムーランエムーランさんと協力してさらに新しい商品開発や改善に取り組んでいきたいと思います。
その際には、美容師の方々、専門家の知見を借りながら、新しいアイデアや可能性を探っていきたいです。
生涯ずっとヘアカラーを続けられるように。予防のためにもNODIA
―――最後に読者の皆様にメッセージをお願いします!
ジアミンアレルギーを発症した多くの方が、アレルギーのためにヘアカラーを諦めてしまっていると思います。
しかし、100%ではありませんが、僕たちの店舗を含め、NODIAのような製品を扱う美容室を訪れることで、再びヘアカラーを楽しめる可能性はあります。
すでに発症している方だけでなく、NODIAはジアミンアレルギーの予防にも適しているんです。
現在問題なく髪を染められている方も、花粉症と同様に、いつ発症するかわかりません。
皮膚科医への調査によると、自分がジアミンアレルギーだと気づいていない人も多くいるそうです。
将来的にヘアカラーを楽しみ続けたいと考える方には、ぜひNODIAを扱う美容室に行ってみてほしいと思います。
僕たちの目標は、より多くの人がより長い間、快適にヘアカラーを楽しめるようにすることなので、NODIAがその一助となれば幸いです。
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