2022.08.09

離職率30%を3%まで減らした株式会社manebi流のオンボーディング(新人研修)とは!?


新しい会社に入社した際に、必ず発生する最初のイベントが「新人研修」だ。 昨今では「オンボーディング」と呼ばれるケースもあり、新しい仕事仲間の順応を促進する取り組みとして浸透しつつある。

しかしこの新人研修には、数多くの課題が内在しているようだーーー実際に新人研修を受けたことがある読者の中には、「この研修、意味あるのかな…」「業務的な内容が機械的に紹介されているだけで、深い学びにつながらない…」「そもそも退屈で、研修を受けるなら仕事をしていた方が効率がいい…」このような所感を受けた方も多いのではないだろうか?

しかし今回紹介する「株式会社manebi」は、独自の研修制度を採用することで、離職率を30%から3%まで引き下げた経験を持つ。今回は、そんな株式会社manebiのHR部長である平賀晶雄氏に“manebi流の新人教育”についてお話をお伺いした。



株式会社manebi
インタビューイー
平賀晶雄氏
AKIO HIRAGA
株式会社manebi
HR部長
予備校講師(現代文)、ライター(洋楽専門)、モデル、バーテンダーなど、極めて異色な経歴の後、2015年に株式会社イマジンプラス入社。同社では人事・採用・広報・Web・広告営業の部門統括責任者を務める。

2021年4月、株式会社manebiに入社し、HR部長として人事・採用・教育の里ブランディングに従事。座右の銘は「Stay Hungry, Stay Foolish」重度のApple信者。さそり座。





企業の社員教育を革新させるハートテックカンパニーとしてSaaSプラットフォームを提供



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────まずは株式会社manebi様の事業概要について教えてください。

我々「株式会社manebi」は、代表取締役CEOである田島が、2社目に起業した企業となります。サービスは、企業の社員教育を革新させるSaaSプラットフォームを提供しており、主に2つのサービスから成り立っています。

1つはplayse.(以下:プレース)」というオンラインで教育ができるラーニングプラットフォームです。3,000以上のeラーニング教材と自社教材、オンライン集合研修を自由に組み合わせることで、新入社員や管理職に対しキャリアやスキルに合わせた段階的な教育を実施できるのが特徴です。また学習ステップの見える化やテストなどもできる多機能ツールとしてリリースしております。

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2つ目は、派遣スタッフ特化型のeラーニング「派遣のミカタ」というサービスです。派遣労働者がサービスを通して、自らキャリア形成をするための教育機会を創出するラーニングシステムとなっています。導入コストが低いため、派遣法改正後に教育負担が激増した派遣事業者様の経営もサポートできます。

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────なるほど!一貫して教育という切り口でソリューションを提供しているんですね。貴社の代表が起業したきっかけは何かあるのでしょうか?

代表が学びによって自己変革していった実体験から「教育」をテーマにした事業をしたいという想いがあります。 きっかけは代表が就活中に出会った経営者の方々。イキイキと働き、周りに感謝を忘れない経営者の姿に感銘を受けたそうです。そこからマインドが180度変わり、起業塾に通ったり、何百冊ものビジネス本を読み起業を決意。「学び」や「教育」によって人生が変わっていったんですよね。



────そのような原体験があり、今の株式会社manebiがあるんですね。

manebiは、人の自立的な成長に寄り添うインフラ(ハートテック)を構築し、一人でも多くの人が自分らしく輝ける世界を作りたいと思っています。

またミッションには「世界縁満」>という言葉を掲げているのですが、あえて「縁満」と記載しているんです。これは、人との出会いの縁がすべて、良縁であってほしいという想いから生まれました。

弊社は、教育を通して、自分と他社を満たす力を持った人を増やして、利他心による支え合いの社会にしていきたいという考えがあるんです。代表の田島が自身も人との縁がきっかけで、人生が変わったように、縁を大切にしながら世の中を変えていきたいと思っているんです。



離職率を30%から3%まで回復させたmanebiならではの新人研修(オンボーディング)



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────manebi流の新人研修についても教えてください。

manebiでは、ビジネスマナーや業務内容を研修で教えるだけではなく、オンボーディングによる新人研修を採用しています。

しかし実のところ、オンボーディングを導入する前、弊社の離職率は30%を超えてしまっていたんです…ハートテックカンパニーと言いつつも、自社へ向けての教育制度が脆弱化していたのが原因でした。

その後、2020年からオンボーディングプログラムが導入され、リモートワーク下でのコミュニケーション不足の解消や個人の自立を導くことで、離職率が30%から3%まで減少しました。



────3%まで減少したのは素晴らしいですね!具体的にはどのような取り組みをするのでしょうか?

まずは、弊社サービスであるプレースに、フィロソフィー、ミッション、ビジョン、バリュー、部署ごとの役割などの基本的な情報が閲覧できる動画を掲載していきました。動画では、目的を明確に伝え、コースマップを設定しています。そのため、ただ機械的な動画を見て終わってしまうという課題を排斥する意図があったんです。

その後、受講者は自分ならではのミッション、ビジョン、バリューを設定して3ヶ月間の研修プログラムを受けてもらいます。研修の最後は、研修の成果をプレゼンする「目標達成チャレンジ発表」という場を設けているんです。新入社員が、成果をシェアすることで、どのような研修を受け、どのような学びがあったのかを社内メンバー全員が理解することができます。



────なるほど!研修をする際に、受講生をサポートする方はいるのでしょうか?

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弊社ではオンボーディング期間中には、4人の先輩や上司が研修をサポートします。入社時から、ティーチャー、メンター、サクセスコーチ、HR部がそれぞれ異なる役割を担って新入社員をサポートしていきます。まずは会社に馴染んでいただき、小さい成功体験を積み重ねていくことで、仕事の成果にもつながるような体制を設けているんです。

もちろん4人の先輩や上司向けにも研修制度があります。オンボーディングを担当する方たちには、弊社の共通言語を学んだり、取締役から学びを受けたり、外部研修を受けたりーーーーまた創業背景、成り立ち、manebiならではの幹部の心得を学んでもらっています。



────実際にオンボーディングを受講した新入社員の反響はどうでしたか?

研修を受けた方たちは、「手厚すぎる…」「こんなに色々なことをサポートをしてくれて恐縮すぎる…」「逆に研修がなくなってからが不安です(笑)」というポジティブな意見をいただけています。

プログラム研修の際には、新入社員をサポートしている講師陣同士の定期的な情報共有ミーティングがあります。現状をヒアリングして、その結果どのようなアプローチをするのが最適化を模索していくんです。

例えば、マインド面で悩んでいる方には、本人の許可や上司に相談したうえで、関われるだけ親身に関わるというスタンスを大切にしています。このような取り組みをおこない、プログラム最後には新入社員を担当した4者とメンバーで振り返りをおこない、研修が終了します。



manebiはもちろん、新人研修という領域のプライオリティは上がっていくーーーオンボーディングに価値を置く時代へ





───貴社の研修制度なら誰でも安心して働けますし、心理的安全性も担保されますね!一方で新人研修を導入したものの、離職率が下がらなかったり、すぐに辞めてしまうメンバーがいたりするケースもあると思います。このような新人研修の世の中的な課題は何かあるのでしょか?

一般的な新人研修は、従来の研修フローの一部を模倣したようなルール性の高いものだったり、機械的で単一的なものだったりが多い印象を受けます。このような研修制度が、悪いわけではありませんが、受講生一人ひとりが必要な情報は異なっており、最適解がバラバラなのが現状です。

研修制度や仕組みはあっても、機械的な情報が多く、別部署の情報やパーソナルな部分に関しては触れられていないケースが多いようです。そのため、なぜこの研修をしているのかという目的を明確化したり、企業として大切にしている想いを伝えたり、働いているメンバーのパーソナルな部分を紹介したりするような、研修体制が求められているのかもしれません。



───なるほど…そのうえで、このような新人研修は5年後10年後、どのように進化していくのでしょうか?

これから新人研修という領域のプライオリティは上がっていくと思います。企業も新人研修にかけるコストや工数も増えていくと考えているんです。日本はこれから労働人口が減少していくと言われていますが、それに伴い採用の難易度も上がってくるはずです。

そのため入社したメンバーに対して、新人研修をはじめとして様々な領域で、手厚くサポートすることが求められていくと思います。

また リアルな研修ではなく、動画教材が今まで以上に浸透するはずです。動画教材は、誰でも、いつでも、どこでも、同じクオリティーの内容を視聴することができます。

実際に進学向けの予備校もサテライト事業にシフトしている傾向があります。動画教材なら、有名講師の授業をわざわざ受けるために、予備校にいかなくてもいつでも同じ授業が自宅から受けられますよね。これは企業のオンボーディングも同じで、動画に残しておくことで、必要な時に必要な情報を視聴することが可能となりますし、その質も担保できます。



教育とは愛。新入社員の手は絶対に離さない。manebiの新人研修ーーーー



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───これから挑戦したいことは何でしょうか?

社内としては、メンター、ティーチャー、サクセスコーチができる人財を増やしていきたいと思っています。メンターであれば人に寄りそう、ティーチャーであれば、自分の言葉でmanebiのミッション、ビジョン、バリューを伝えられる人、そしてサクセスコーチは、目標達成の技術を習得して、新入社員にその内容を伝えるーーーそして、新入社員と伴走する。その中で、新入社員は、成功体験を積んでいき自分に自信をつけて、現場でどんどん活躍できる人財に育ってほしいと思っています。



───最後に平賀さんにとって「教育」とは何ですか?

教育は愛ですね。実は私は10年以上予備校講師の仕事をしていました。私も教育に携わる仕事を長年続けていたのですが、manebiは、人にコミットすることを大切にしている企業だと思っています。

「絶対に手を離さない」というスタンスをとても重要視していますし、社名にもあるように学び続けることを大切にしています。

何かを学習するということは、インプットと同時にアウトプットの面も常に意識し続けることが大切です。そうして学び続けた先には、人間力が高まると思っています。

また ハートテックカンパニーで働く以上は、働く人間がハートフルヒューマンになる必要があると思うんです。それは日々の生活を生きるなかで、“カラフルな生き方”をしていくということにも繋がると思っています。

この“カラフルな生き方”は、生きるなかで出会うすべてが自分にとっての学びであり、何かを教えてくれる講師であるような、十人十色のような色鮮やかな生き方ですね。

こういった生き方を続ける先に、利他的な心が育まれ、そのような人が社内に増え、その後社会に増えて、結果的に世界に増えるーーーーそんなきっかけを作れる企業でありたと思っています。



株式会社manebiの詳細を見る

<編集後記>

今回の取材で「学ぶ」とは、人生を豊かにすることに改めて気がつかせれた。

私自身も17歳の夏休みにとある予備校の夏期講習に行くことがきっかけで、勉強に興味を持ち進学するという選択肢を選んだ。もしあの時に出会っていた現代文の教師が、自分に愛を持って接してくれていなければ、今この記事を書いていなかったかもしれない。

manebiは、ただの学習システムではなく、人の可能性を拡張し人生を豊かにするためのきっかけを作るサービスのような印象を受けた。

将来的には、5年後10年後、働く人材が不足すると言われる日本ーーーー入社した社員にどれだけ手厚い学習環境を提供できるのかが、企業にとっても求められる時代になってきた。

そんな時代のなか、manebiが実現する教育システムにこれまで以上の注目が集まることは間違いないだろうーーーーこれからも株式会社manebiの同行に注目していきたい。



新井那知
ライター
So-gúd編集部
新井 那知
埼玉県・熊谷市出身。渋谷の某ITベンチャーに就職後、2016年にフリーランスライターとして独立。独立後は、アパレル、音楽媒体、求人媒体、専門誌での取材やコラム作成を担当する。海外で実績を積むために訪れたニューヨークで、なぜかカレー屋を開店することに—-帰国後は、クライアントワークを通してライターとして日々取材や編集、執筆を担当する。料理と犬、最近目覚めたカポエイラが好き(脚技の特訓中)。
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