【前編】在庫分析でイノベーションを生み出す。フルカイテン株式会社の粗利経営の考えから生まれた、在庫分析サービスとは?
在庫分析は企業経営における大きな課題であり、不適切な分析は経済的負荷を生むだけでなく、ビジネスの成長を阻む可能性がある。
しかし、この在庫も分析方法や販売方法を最適化することで、利益を生むことができる。
今回取材したフルカイテン株式会社は、まさに在庫を利益に変える分析ツール「FULL KAITEN」の開発・提供により、小売業の在庫問題を解決している企業だ。
この記事では、フルカイテンの革新的な取り組みとその未来のビジョン、事業を運営するうえで大切にしている「粗利経営」について、代表取締役CEO 瀬川直寛氏にお話を伺った。
「FULL KAITEN(フルカイテン)」誕生のきっかけは、3度の経営危機で気がついた逆転発想。
ーーーーまずはフルカイテン株式会社の事業概要について教えてください。
フルカイテン株式会社は、小売業やSPA業界を対象とし、在庫の効率を上げるための「FULL KAITEN」を提供しています。
このFULL KAITENは、小売企業が抱えている在庫から効率的に利益を生み出すことを目的に開発された分析ツールです。FULL KAITENは、サブスクリプション型(SaaSモデル)
の分析ツールで、EC・店舗・倉庫、すべての在庫をAIを用いて予測・分析し、商品力を
ワンクリックで視覚化したサービスです。
利益に変わる商品のポテンシャルはあるのに、稼働していない在庫を抱えている事業者様は多く存在しています。FULL KAITENを導入していただくことで、在庫問題を効率的に解決し、経営リスクの軽減に繋がります。
ーーーーありがとうございます。起業した際に一番大変だったことなどはありますか?
私の起業のきっかけは、以前運営していたベビー服のビジネスでの経験にあります。この事業で、在庫問題が原因で3回も経営危機に直面した経験があるんです…。
その危機を乗り越える過程で、抱えている在庫からうまく利益を生み出すことが可能であると気がついたんです。
この価値観を事業化することを決意し、FULL KAITENを設立しました。困難な状況から学び、新たなソリューションを生み出す経験は非常に厳しかったですが、それが今の私のビジネスに繋がっているんです。
約120%の利益増加を実現するFULL KAITEN。
ーーーー小売業が抱える在庫問題を解決するサービスですが、サービスの強みや特徴について教えてください。
FULL KAITENは、単に「売れる商品」と「売れない商品」という二元的な視点を超え、売れる度合いの中間領域の予測と可視化が可能なサービスです。
例えば、「最近売れなくなってきている」や「最近売れ始めている」商品を特定することが可能です。その結果、値引きの必要性や値引き金額を適切に評価し、利益を最大化することができます。
また、商品配置の最適化にも繋がります。同じ商品でも店舗によって売れ行きが異なるため、商品が最も売れるであろう適切な店舗への配置が可能となります。
このような視点は、多くの企業がまだ分析していない部分で、売れる商品と売れない商品という2次元的な視点で商品の価値を判断してしまう傾向があります。その結果、商品に余計な値引きが発生し、利益を失っていくことに繋がっていきます。
さらに、商品企画だけでなく販売計画の改善にも力を注いでいます。商品企画は、トレンド予測が難しく、半年から1年程先を見据える必要があります。その一方で、販売計画は商品の投入時期や販売戦略を決定します。このバランスが崩れると、大きな利益損失につながっていきます。
こうした問題を解決するために、FULL KAITENは予測や統計的な計算を用いて販売計画を修正し、在庫超過を抑えて利益損失が発生しないような運用方法を提案しています。
ですが多くの小売業者様は、適切な分析が行われていない状況です。抱えている在庫全体の中で上位10%~15%の商品しか分析が行えていないわけなんですよね。
FULL KAITENのツールは、これら全ての商品に対する分析と対策を実現し、事業全体の利益を向上させることを目指しています。
ーーーーありがとうございます。各店舗の在庫課題をワンステップで解決できるサービスの印象を受けました。実施に導入された企業様からの反響はどうでしょうか?
我々のサービスであるFULL KAITENが各社に導入されて以降、ポジティブな意見を頂くことが多いですね。
株式会社アーバンリサーチ様が展開している、アパレルブランド「URBAN RESEARCH」は、新型コロナウイルス危機が始まった2020年度から本格的にECに注力したものの、当初はデータ活用すらままならない状態でした。しかし、FULL KAITENの活用により、2022年度上半期(2~7月)には昨対比で売上高が11.5%増加し、粗利益額に至っては16.2%増加という目覚ましい成果を上げました。週3回実施していたタイムセール施策では、当初の4割の商品で今までより多くの売上と粗利を稼ぐことができました。
これは、値引きの必要がなかった商品が6割近くあったことを意味します。
さらに残った4割の商品も在庫リスクに応じた値引き率を適用することで、全体の粗利が約120%増加しました。
在庫を適切に分析し、値引きが不要な商品を特定し、それにより粗利が大幅に増えた結果は経営層から大変好意的に受け取られています。
ただし、これには数学的な知識と在庫分析のドメイン知識が必要で、その両方を持つ社員を求めるのは現実的に難しいです。そこでFULL KAITENは、AIや統計の知識と在庫分析の経験を兼ね備えたカスタマーサクセスチームが事業者様をサポートすることで、在庫を利益に変換する課題を解決しています。
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