2022.12.05

いま話題のマーケティング本『ひとりマーケター 成果を出す仕事術』の著者・大澤氏を取材!


実質的な専任は自分だけ”というひとりでマーケティングを担当する「ひとりマーケター」という存在――― 担当者が一人だけという環境ゆえに「チームではないので、思ったような成果が出せない…」「リソースが足りない…」「先輩がいないので、キャリアプランがイメージしずらい…」などのお悩みを抱えているひとりマーケターも多いのが現実だ。

そのような孤軍奮闘するひとりマーケターに向けて、ある1冊の本が発売された。それが 2022年10月31日デジタルマーケティング支援を展開する「ナイル株式会社(以下:ナイル)」が、マイナビ出版より発売した『 ひとりマーケター成果を出す仕事術』だ。

本書は、Amazon売れ筋ランキング「マーケティング・セールス全般カテゴリー」で*1位を獲得。B to B企業で働く著者・大澤氏が「ひとりマーケター」たちに向けて、確実に成果を出し、チームへ至るまでに実践した内容を1冊に集約している。

今回は著者の大澤氏に、『ひとりマーケター 成果を出す仕事術』の魅力から、ひとりマーケターが成果を出すための秘訣まで、お話をお伺いした。

*2022年10月27日時点

ナイル株式会社,大澤心咲,『ひとりマーケター 成果を出す仕事術』,ソウグウ
インタビューイー
大澤 心咲氏
ナイル株式会社
デジタルマーケティング事業部 マーケティング マネージャー
『ナイルのSEO相談室』
新卒でアクセンチュア株式会社に入社後、2018年ナイル株式会社に入社。 Webコンサルタントとして顧客ウェブサイトの成長を支援。2020年4月からはデジタルマーケティング事業部の新規顧客獲得の専任担当となり、マーケティングチームの立ち上げを担当。



『ひとりマーケター 成果を出す仕事術』自身のひとりマーケターとしての経験をもとに執筆



ナイル株式会社,大澤心咲,『ひとりマーケター 成果を出す仕事術』,ソウグウ,ソーグウ

―――今回は大澤さんが執筆した『ひとりマーケター 成果を出す仕事術』についてお話をお伺いします。まずは本書の概要から教えてください。

『ひとりマーケター 成果を出す仕事術』は、タイトルの通り一人でマーケティング担当をしている人たちに向けて制作しました。

本書では、実質的な戦略設計から実行までを一人で担っている方を「ひとりマーケター」と定義しています。

ひとりマーケターは、組織内にマーケティングチームが存在しなかったり、これからマーケティングチームを立ち上げたりする中で、さまざまな壁に衝突します。一人でその壁にぶつかった時、どのように問題を解決し、成果に繋げていくのかを私自身の経験を元に執筆したのが、本書となっています。



―― ありがとうございます。本書を出版しようと思った背景も教えてください。

以前、弊社社員が書籍を出版したときにお世話になった担当編集の方が、つぎはひとりマーケター向けの書籍を出したいと思っていたそうです。ちょうどその時、私がnoteに公開していたひとりマーケターの記事をご覧いただいたことがきっかけとなり、声をかけていただきました。

―――なるほど、すでにマーケティングに関する書籍は、数多く発売されていますが、ひとりマーケターに特化したのはなぜですか?

ひとりマーケターに向けて執筆した理由は、2つあります。

1つ目は、ひとりマーケターが、本を読んだ次の日から実践できる書籍を作りたかったからです

マーケティングに関する書籍は、大手のマーケティング会社を例にした内容がほとんどです。すでに組織化されているマーケティングチームは、予算やマンパワーがあるので分業ができます。

しかしひとりマーケターは、戦略設計から実行、効果測定、雑務まですべてを単独で対応しなければいけません。大手企業の組織体制から考えられたノウハウが書かれていても、ひとりマーケターが実践するのはリソース的に難しいです。そのため、ひとりマーケターがすぐに使える内容を書くことを大切にしました。

2つ目は、ひとりマーケターのキャリアがプラスになってほしいと思ったからです。ひとりマーケターは、業務が多岐にわたるため、専門性が低くなるのでは?と不安感じる方も多いと思うんです。

私自身もひとりマーケターだったので、「何年やっても専門性が身につかないのではないか…」とキャリアに迷う気持ちが痛いほどわかるんですよね……そんな孤軍奮闘する、ひとりマーケータの方の皆さんにとって、私自身の失敗談や成功体験が何かしらの役に立ち、キャリアを開花させるきっかけになってほしいと思いました。

『ひとりマーケター 成果を出す仕事術』では、明日から使える実践術を凝縮



ナイル株式会社,大澤心咲,『ひとりマーケター 成果を出す仕事術』,ソウグウ,ソーグウ

―――本書の特徴を教えてください

本書の特徴は、大きくわけると3点あります。

1点目は、先程も少しお話ししましたが、本を読んだ次の日からすぐに使える点です。

2点目は、自分がマーケター時代に失敗した経験を中心に執筆した点ですね。

そして3点目はひとりマーケターの上司目線として「経営者目線を養うコラム」を入れた点です。

―――上司目線のコラムは、上司との関係値を作るうえでとても参考になりそうですね。

ありがとうございます。特にこのコラムは、本書の魅力の1つだと思っています。

ひとりマーケターは、社内の花形職と言われるような営業職などと比べると、人もいない、リソースも少ない、組織化されていないなどの理由で、ヒエラルキーが低く見られてしまうケースが多いんです。そんな環境の中で、結果を出していくには自分の上司と信頼関係を結ぶのが一番重要です。

そのため、私がひとりマーケターをしていた当時の上司であった、代表取締役・高橋にコラムを書いてもらったんです。上司の目線から見て、現場のひとりマーケターを選任する時のポイント、上司と現場担当が最適なリレーションをどう構築していくか―――などについても、本書では触れています。

――― なるほど…興味があるのでズバリ質問したいのですが、上司を味方につけるにはどうしたら良いのでしょうか?(汗)

一番効果的なのは、『0から100まで全部報告する』ことです。ホウレンソウを徹底することで、成果が出た時はもちろん、失敗した時も巻き返すことが早くできます。

また部下の成果が出ることは上司の成果に直結するので、上司の顔に泥を塗らないことにも繋がります。それに上司の許可を取っていれば、他事業部の方に仕事の相談をする際もスムーズに話が進みますね。

――― ありがとうございます。ご自身の経験や実用的な内容が多いと思いますが、実際に本書を購入した方からの反響は何かありましたか?

読者の方からは、「一人でもがいていた数年前の私が求めていた本。社内の巻き込み方までのっている」「上司視点のコラムがとても勉強になった。実用的な内容ですぐに実行したい!」という反響をいただきました。

本書の三章に「ひとりマーケターは、孤独を感じてあたり前!」というパートがあります。ひとりマーケターは、壁打ち相手がいなかったりと、孤独感を感じることもあると思います。そんな時に、本書が支えになってくれたら嬉しいですね。

ひとりマーケターが、成果を出すために大切なこと



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――― 実際にひとりマーケターから、チーム化した現在までの大澤さんの成果についても教えてください。

結論からお伝えすると1年で問い合わせ数が、約299件増加しました。2019年は571件、2021年は約800件に増加、2022年は1,000件に到達する予定です。約1.3倍のペースで毎年成長しています。

――― 確実に結果が出ていますが、ひとりマーケターで成果を出すにあたって、一番大切にしていたのは何ですか?

自分が最後の砦となって考えて決断し、実行するのが大切ですね。自立自走し、自分が実行したい内容は、自分の言葉で上司に伝え、合意形成をしっかりと取るのを大切にしていました。

指示や許可を待っていては何も進まないので、自分で考えて決断することが、成果を出すために一番重要だと考えています。

リソースが足りないなら、リソース配分で100点を目指す。



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――― ひとりマーケターが抱えやすい問題は何かあるのでしょうか?



私もそうだったのですが、リソースで悩むことが多いと思います。お問い合わせを増やすために、やってみたい施策があったとしても、リソース不足により実現できないことが多いんです。

成果を出すためには、ひとりマーケターがリソースを最適化し、戦略を立て、成果の出やすい施策を厳選して実施するしかありません。

チーム体制が整っているマーケティング部門なら、多少のミスは修正できるのですが、一人だと限界があります。リソースで100点が取れないなら、リソース配分で100点を取るしかないんです。



そしてリソースを最適化するには、日報などに予算と工数を記録して1ヶ月の終わりに時間の使い方を見直すのがお勧めです。

予算と工数を定量数値化し、ボトルネックとなっている作業内容をどうすれば早く終わらせられるのか、上司などに相談することが大切ですね。

―――なるほど、定量数値化してPDCAを回すしかないんですね。

そうですね。上司に相談するなかで『この作業は自分でやるのは限界があるから、外注化してみれば?』と上司側から言ってもらえるのが一番良いですね。こちらから交渉しなくても外注費をお願いしやすくなります。

場合によっては、外注化しないとダメな状況が、上司に伝わっていないケースがありますので、時間の使い方を日報で見えるようにするのは効果的だと思います。漠然と工数が足りないといっても、上司には伝わりません。数値ベースで相談し、上司が外注しても良いと思わせるだけの根拠が大切になります。

ひとりマーケターの経験は、キャリアのプラスになる。





―――ひとりマーケターを取り囲む環境や仕事は、5年後10年後の未来、どのように変化しますか?

ひとりマーケの人口が増えるかどうか、取り囲む環境に関してはわかりませんが、1つ言えることがあります。

それはひとりマーケターとしてのポジションを遂行することは、5年後、10年後キャリアを積むうえで無駄になることは1つもないということです。

先ほども少しお話しましたが、ひとりでプロジェクトを運用するのは、細かいことから大事なことまで、自分で考えて実行し、責任を取らなければいけません。

本来であれば、上司が担ってくれるような予算交渉なども含めて、全て自分で進める必要があります――― 一人でプロジェクトを進めているときは、大変かもしれません。

ですが一人ですべてを担当するというポジション自体が、長い社会人生活を考えた時に貴重な経験になるはずです。転職や部署を移動する際にも、有利に働くことが多いと思います。

――― 現在はひとりマーケターからチームになった今、大澤さんが挑戦していきたいことはありますか?

チームになってから、あらためて思うのですが、メンバー全員で結果を出すのが一番良いと思っています。一人で出せる成果には限界がありますよね。チームなら一人で出していた時の倍以上の成果が出せる可能性があるので、チームで成果を出しに行く大切さを痛感しています。

―――素晴らしいですね。ひとりマーケターとして取り組まれてきたからこそ、チームワークの大切さが理解できるんですね…。

そうですね。それに仕事としての成果は、もちろん大切ですけど、困ったり悩んだりした時に相談できる仲間がいるのがとても心強いです。私が困った時は、素直にメンバーに相談しますし、メンバーが悩んだ時に相談してくれるのも嬉しいですね。

これからもチームで成果を出すという気持ちを大切に、精進したいと思っています。

――― これから本を読んでみようと思っている方へ、何かメッセージはありますか?

ひとりマーケターの方が、次の日からすぐに使えるような具体性を求めるならおすすめの書籍だと思います。またひとりマーケターで、転職を考えている人にもお勧めです。やっぱり仕事がうまくいかない時は、部署移動や転職の相談をしたいけど、社内で相談しづらい時があると思います。

今はひとりマーケターとして、頑張って続けるべきなのか、それとも転職する時なのか――― この状況に立たされた時の判断基準も書かれています。

―――では最後に本書を通して、ひとりマーケターに学んでほしいことはありますか?

ひとりマーケターとしてスタートしたばかりで、散らばっている色々なタスクや課題を整理して、取捨選択して突破する方法を学んでもらえたら幸いです。

今回、書籍化するにあたって、具体的な施策内容はひとりマーケターが現実的に実施できる範囲にとどめました。

なぜなら、ひとりマーケターがすべての施策を一人でおこなうのは、リソースや予算の面で限界があり、施策の理想論だけを書き連ねても知識は増えても実施できず、役に立たないと考えたからです。

ひとりマーケターとしての基盤を作り、その後で大きな金額の投資が決まったら、投資予定の各施策に特化した専門書を読めば大丈夫です。

ひとりマーケターは、孤独にもがき続ける場面も多いですが、正しいプロセスを踏めば一人でも成果は出すことができます。ひとりマーケターが、悩んだ時、苦しい時にこの本を“ひとりマーケターの指南書”として側に置いてもらえたら嬉しいですね。

―――ありがとうございます。今回の大澤さんのお話を聞いて、自分も勇気を貰えました。本日は、ありがとうございました。

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3社共催「ひとりマーケター成果を出す仕事術」出版記念オンラインイベント 12月6日(火)開催

「3社共催「ひとりマーケター成果を出す仕事術」出版記念オンラインイベント 12月6日(火)開催」
◆イベント申し込みページ
URL:※イベントは申込みは終了しております※
開催日時:2022年12月6日(火)14:00 ~ 15:0
場所:オンライン(Zoom)
※お申し込み登録後、視聴用URLが送付されます
参加費:無料
共催:ナイル株式会社、ブランディングテクノロジー株式会社、Baseconnect株式会社



<編集後記>

結論からお伝えすると『ひとりマーケター成果を出す仕事術』が、良本でした!
出版記念オンラインイベント が12月6日(火)に開催される。ひとりマーケターの方はもちろん、ひとりで何かしらの仕事を背負っている人は、ぜひイベントに参加してみてはいかがだろうか?
自分もひとり編集部として、孤独と不安の日々だったが、今回の取材、大澤さんのお話を通して勇気が湧いた。
ひとりマーケターの指南書として、側に置きたい一冊と出会えた気がする。




新井那知
ライター
So-gúd編集部
新井 那知
埼玉県・熊谷市出身。渋谷の某ITベンチャーに就職後、2016年にフリーランスライターとして独立。独立後は、アパレル、音楽媒体、求人媒体、専門誌での取材やコラム作成を担当する。海外で実績を積むために訪れたニューヨークで、なぜかカレー屋を開店することに—-帰国後は、クライアントワークを通してライターとして日々取材や編集、執筆を担当する。料理と犬、最近目覚めたカポエイラが好き(足技の特訓中)。
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