暗号資産(仮想通貨)取引所「bitbank(ビットバンク)」が実現する、究極のオープンでフェアな世界とは?
今回は暗号資産(仮想通貨)取引所「bitbank(ビットバンク)」を運営「ビットバンク株式会社」の代表取締役社長・廣末紀之氏を取材
昨今、私たちの生活との距離が近くなったビットコインや暗号資産(仮想通貨)。読者のなかには、実際に暗号資産の運用をはじめている方も多いのではないだろうか。
しかし暗号資産を運用している方のなかで、「暗号資産の何がすごいの?」というストレートな質問を投げかけられた際にどのように答えるだろう?
「暗号資産は運用すると利益が出やすいと聞いたから…」
「暗号資産が世の中的に流行っているから…」
さまざまな回答が頭をよぎるだろうーーー実際に暗号資産を考えた際に、本質まで理解している人はごく一部のような気がする。もちろん著者もそうである。「暗号資産は、何がすごいのか?」――――この問題は、本文を最後まで読めば答えに触れることができるかもしれない。
本取材では、廣末紀之氏に暗号資産の未来の可能性やなぜここまで暗号資産が注目されてきたのかその疑問についてお話をお伺いした。
代表取締役社長
日本暗号資産取引業協会(JVCEA)理事、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)会長
暗号資産取引量国内No.1「bitbank(ビットバンク)」の魅力
────まずは、「ビットバンク株式会社」の概要から教えてください。
私たち「ビットバンク株式会社」は、暗号資産取引所「bitbank(以下:ビットバンク)」を運営しています。
2014年5月に設立された弊社は、初めから暗号資産取引所をやっていたわけではありません。ビットコインのATMを海外から購入して都内に設置してみたり、暗号資産ウォレットのサービスをリリースしたり、このようなプロセスを経て、現在の中心事業である暗号資産取引所を開始しました。
現在は「App Store(アップルストア)」のファイナンスカテゴリーで1位を獲得し、暗号資産取引量国内No.1のサービスとして多くの方に利用していただいています。
────「暗号資産取引量国内No.1」のサービスとして高い人気があるビットバンクですが、サービスの強みは何かありますか?
ビットバンクの強みは、大きく分けると「*OrderBook(以下:オーダーブック)」「セキュリティ(安全性)」「カスタマーサポート」の3つですね。
特にビットバンクがこだわり、お客様からも評価していただいているのがオーダーブックです。ビットバンクでは、オーダーブックでの取引をメインに提供しています。その理由はオーダーブックの取引は価格の透明性が高く、取引手数料が安いという特徴があるからです。
日本では販売所(OTC)形式が多く、利用者からすると買いたい値段と売りたい値段が表示されているので、わかりやすい特徴があります。しかし販売所の場合は、オーダーブックの手数料が約0.1%に対して5~10%程度の手数料が発生しているんです。
「わかりやすい」「見やすい」という理由から販売所で購入したものの、買った段階で5~10%程度の手数料が発生してる状態なわけですよね。
オーダーブック(OrderBook)は、顧客同士のマッチング取引で、取引したい人の買いたい価格と数量、売りたい価格と数量をリアルタイムに反映した売買注文表のこと。株式の売買などで使われるメジャーな取引方法で、価格透明性が高い。
────10%も手数料が発生しているんですね…見やすいとはいえ、損をしている気もしますね…
そうなんです…これは世界から日本を見た場合に少し異質です。世界ではオーダーブックがメジャーなのですが、日本ではオーダーブックに不慣れな方が多いので、販売所がメジャーになっているんです。
────「安全性(セキュリティ)」の部分では、どうでしょうか?
暗号資産を持つことは何を意味するかというと、“秘密鍵”を持っているのと同じなんです。
この秘密鍵をどう取り扱うかが交換所のセキュリティで一番大切です。先程、弊社が暗号資産取引所を事業としてすぐにはじめたわけではないというお話をしましたが、それはビットバンクというサービスを旗揚げする前に、オーダーブックのシステムやセキュリティ面をしっかりと整える必要があったからです。
イメージとしては、東京証券取引所を自分たちで作っている感じです。暗号資産は、価格の変動が激しかったり、それに伴って一時的にトラフィックが集中したりしますが、暗号資産取引は24時間365日いつでも取引できることが顧客にとって魅力の1つであるため、どんな状況が発生しても常に安定して稼働する堅牢なシステムが必要になります。
そのため創業当時から慎重にセキュリティを構築してきましたが、安全性・安定性を担保するための地固めに時間がかかりました。ですがその結果、当社では過去に流出事故などは一度も起きたことがなく、相場活況時にも安定した取引環境を提供し続けることができているんですよね。
また新しい取り組みとしては、「バグバウンティプログラム」という海外では比較的メジャーなバグ検証を継続的に実施しています。これはホワイトハッカーが、発見したバグを弊社に報告し、その対価として、報酬を支払うというプログラムです。
────ここまでのお話を聞いていると、ユーザーが快適にサービスを利用できるようにするための作り込みが素晴らしいですね。
ありがとうございます。カスタマーサポートも完備しているので、メールを中心にすぐに対応できるようにしています。サポートの品質も96%のお客様から「満足」という評価をいただいております。過度な広告などを出さなくても、サービスの品質に自信があるので、自然とビットバンクを利用してくださる方が多いのかもしれませんね。
お金は個人へパワーシフトする。暗号資産が金融民主化へのポイント!?
──────── 「ビットバンク株式会社」を設立した原体験やきっかけについて教えてください。
結論からお伝えすると暗号資産が社会構造的にも大きなトレンドになると思い、暗号資産ビジネスをはじめました。
もともと私は大学を卒業した後に野村證券で9年間勤務しており、営業、企画、人事などを経験しました。その後、1990年代後半にインターネットのビジネスが急速に成長していたこともあってGMOインターネットにジョインし、それからIT業界において20年以上、様々な事業の立ち上げや会社経営をやっていました。
────────電気自動車やカーシェアリングの事業も立ち上げていらっしゃったんですね!
起業したものの、物事は簡単に進みませんね。2008年のリーマンショックの影響もあり、事業がうまくいかずクローズしたんです。その後、次にどんな事業に取り組むか考えていた2012年にビットコインの存在を知りました。
私は金融とITのバックグラウンドがあったので、ビットコインに興味が湧き自分で勉強したんです。勉強をするなかで気がついたことは、インターネットが“情報の民主化”を実現したように、お金にも民主化がおこる ということでした。
要するに、現在は人々が等しく金融にアクセスし、恩恵を受けることができていないんですよね。また世界には「アンバンクト(unbanked)」と呼ばれる銀行口座を持てない人たちがいます。2018年の段階では、世界の総人口73億人の23%程度(4人に1人)が、アンバンクトと呼ばれているんです。
このような現象は、資本主義において格差にも繋がります。
────────なるほど…今お話を聞くまで、このような格差があることを知りませんでした…
もともと“情報”という点でも、格差はありました。今はインターネットの登場により、個人がさまざまな情報にアクセスできる時代ですよね。しかしインターネット登場前は、新聞社やテレビ局などマスコミなど情報配信機能を持った企業に情報が集まっていました。
インターネットの浸透により、個人が情報収集・情報配信機能を持てるようになったため、中央集権的な体制から“個人”へとパワーシフトが発生したんです。これはお金でも同じことが、近い未来に発生すると思い、ビットコインをはじめとした暗号資産ビジネスを立ち上げました。
資本主義のルールで生きていながら、金融教育を受けない日本人
────────昨今、若い世代の人でもビットコインで投資や貯金をはじめたり、資産運用の方法を変えたりと、金融のリテラシーが全体的に変わって来た気がします。やはりリテラシーがここ数年で変化しているのでしょうか?
ここ数年の間にリテラシーは、徐々に変化していると思います。世界的に見ると日本人は金融リテラシーが低いという課題がありますが、これは個人の勉強不足が悪いという以前に、日本の金融教育の体制が整っていなかったことが原因です。
米国では、1980 年代の預金金利自由化などの金融規制緩和の進展とともに、金融教育への積極的な取組が行われてきました。一方、日本は工業化社会において全員が同じことを正しく、正確にできるのが是とされてきたんです。つまりクリエイティブな発想は必要ないわけです。
それに加えて、源泉徴収、税金などのお金に関することは知らない方が良いというような空気さえ感じます。
───────確かに…税金は引かれて当たり前、源泉徴収の理論を説明しろと言われたら自分も説明できませんね…
若い人は、“国に言われた通りに行動しても、幸せになれるのか不安”という考えがあると思います。これは、国や過去の先人たちの取り組みを否定したいわけではなく、国家や企業から個人へのパワーシフトが起こった結果です。「自分の人生は自分の足で歩く」というようなポジティブな意味での自立心だと思います。
仕事面で副業経験者やフリーランスが増えてきたように、金融に対する不明点は自分で調べ勉強するーーーその結果金融のリテラシーが徐々に上がってきたのではないかと考えています。
───────個人が情報収集できるように、学びが増えた感覚はありますね。
米国では、確定申告や年金などの申請は会社員であっても自分で処理するわけですよね。何より一番の課題は、資本主義のルールで生きていながら、金融教育を受けないーーーそして、お金に関する知識がないまま、社会にそのまま飛び込むことになってしまうということだと思います。
───────なるほど…「ビットコインが怪しい…」という言葉が日本で広く出回っているのも、知識の少なさに起因しているのでしょうか?
アメリカでは、人口の16%に当たる約5000万人のアメリカ人が、暗号資産の投資やトレーディングを行なっていると報告があります。これは日頃から、自分たちのお金に関する様々なことに触れているからこその感覚なのではないでしょうかーーーー
暗号資産が、インターネットの構造を変える。技術がビザンチン将軍問題の解決を実現ーーー
────────―将来的に暗号資産は、どのように進化・発展していくのでしょうか?
暗号資産は、10年単位で社会的に重要な役割を担うものだと思います。先程もお話した通り、個人へのパワーシフトが金融の世界でも発生すると仮定しています。
個人でも暗号資産は発行できるので、お金を発行している国家の独占権がなくなり、個人で価値提供できる人が強くなる可能性もありますね。この構造変化のなかで、新しいビジネスも生まれていくと思います。
────────なるほど…暗号資産をお金という考えでフォーカスした場合には、どのような変化が起こるでしょうか?
お金という観点で考えた場合には、今後は利用用途に応じて様々な種類の暗号資産が浸透する世界になると思います。種類も多様になり、それに応じて価値や権利の移転も変化していくと思います。
────────技術的な発達という切り口ではどのようにお考えですか?
結論からお伝えするとインターネットの構造事態を変える可能性があります。
ビットコインの革命的なポイントは、*P2P(Peer to Peer)ネットワークにおいて、「*ビザンチン将軍問題」を解決したことだと言われています。敵なのか見方なのかがわからない相手がいる空間において、正しい情報をどのように判断するのかーーーという課題に対して、技術的な解決をしたんです。
P2P(Peer to Peer)ネットワークにおいて、コンピュータ同士でデータのやりとりを行う場合、インターネットは外部からの盗聴や改ざんができてしまうので、データの真正性(正しさ)を証明することが困難でした。
中央集権型ネットワークの場合、データの正否は特定のサーバーが一括で管理しますが、P2Pの場合、管理者となるサーバーが存在せず、ネットワーク内の全てのホストが互いに監視しあう仕組みになります。この際に、もし悪意のあるホストがP2Pネットワーク内に存在していた場合、正確なデータ処理ができず、正しい意思決定ができなくなるという事態が起こり得ます。
そんな中、ビットコインは、ブロックチェーン、公開鍵暗号方式、PoW(Proof of Work)などを組み合わせることで真正性が担保された価値の受送信をできるようにした点が、技術的な革命と呼ばれています。
────────なるほど…このお話を聞くまで、暗号資産をお金という文脈でしか考えていませんでした。
つまり、ビットコインは、非中央集権体制でもきちんと機能するということを構造的にも証明したということになります。
ビットコインが分散型ガバナンスに対し、その実証を通じて、問題提起したことで、DAO(自律分散型組織)という組織の在り方が生まれ、組織のガバナンス(管理体制の構築や企業内部の統治)において意思決定は必ずしもトップダウン、中央集権でなくても良いということを示しました。そしてその変化が「Web3(Web3.0)」の議論にも紐づいてきます。
────────ブロックチェーンに関しては、どのようにお考えですか?
あくまでもブロックチェーンは、データ構造です。ブロックチェーンのようなデータチェーンの技術は、昔から存在していてブロックチェーンそのものは革命的な技術ではないという議論もされています。
時々ブロックチェーンによって、仮想通貨が誕生したという説がありますが、実際はビットコインが成立するために、ブロックチェーンが使われたという理解です。
ビザンチン将軍問題とは、1980年代にコンピュータ科学者であるレスリー・ランポート氏らによって定式化された問題です。中央の管理システムが存在せず、参加者の中に故障したコンピュータや悪意を持った個人が紛れ込んでいる状態で、全体で正しい合意を形成できるのかが焦点とされていました。
コンピューター同士が対等の立場でデータを交信するシステムのこと。Peer to Peer(「P2P」「PtoP」と略されることもある)。ピア(Peer)は「同等」の意味です。
Web3は、パブリック型のブロックチェーンを基盤としたインターネットの概念です。明確な定義は確立されていませんが、Web3は、開かれたパブリック型のブロックチェーンを使うことで、中央集権的な管理組織を必要としない分散型インターネットを基盤とした技術やサービスだと言われています。
Web3という言葉は、2014年に暗号資産イーサリアムの共同創設者であるギャビン・ウッドによって作られました。
その後、仮想世界のメタバースや非代替性トークン「NFT」といった次世代の新技術の登場を受け、2020年と2021年に暗号資産に熱狂する人やIT企業、ベンチャーキャピタルから関心を集めています。
ビットコインをはじめとした暗号資産は、究極のオープンでフェアの形
────────これから暗号資産の運用をはじめる人たちは、何からはじめれば良いでしょうか?
1つは1,000円などの小額でも良いので、ビットコインを所有して運用してみることが大切です。現在、暗号資産はさまざまな種類が発行されていますが、まずはビットコインを所有するのが良いと思います。なぜならストラクチャー(構造)が、暗号資産のなかでもっともシンプルで美しいからなんです。
ビットコインをベースに、イーサリアムなどの他の暗号資産が誕生しているので、仕組みを知るには最適といえるでしょう。暗号資産を実際に運用しつつ、その構造を知り、さらに思想に触れるーーーーそうすることで、より理解が深まり、暗号資産の技術的な魅力にも触れることができると思います。
────────ここまでのお話を聞くまでは、「暗号資産=最先端のデジタル通貨」というイメージしかありませんでした。ですが“技術的な美しさ”や“アート性”のような感覚を抱いてきました。そのうえで、これから挑戦したいことは何ですか?
私たちはあくまでも事業者なので、世の中が便利になったり、テクノロジーが進化するためのサポートをしたり、世の中が良い方向へ向かうための事業に今まで以上に取り組んでいきたいですね。
ビットバンク株式会社のビジョンには、「オープンでフェアな社会を実現する」という言葉を掲げています。インタビューの冒頭でも情報のパワーバランスについてお話をしましたが、ビットコインをはじめとした暗号資産は、究極のオープンでフェアな形だと思っています。暗号資産の技術は、社会をオープンにして、誰もが自由になれる社会へドライブする技術です。
ビットバンクは、私の人生のすべてなので、自分の人生のすべてをかけて、目指したい世界の実現に向けて切磋琢磨していきたいですね。
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私は今回の取材をする前まで、暗号資産はタンタル最先端のデジタル通貨という認識をしていた。しかし廣末紀之氏のお話を聞いていくなかで、暗号資産はオープンでフェアで世界の実現の核を担う技術ということに気がついた。
インターネットが、情報へアクセスするための技術として私たちの生活の当たり前になったように、お金の未来の当たり前が、暗号資産になるーーーーそんな世界観が、そう遠くない未来に確立されていくだろう。このお金のニューノーマルに乗り遅れないために、まずは自分で暗号資産を運用し、技術や理念を学び、未来の常識を今のうちにインストールしておきたい。
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