2022.01.05

地方移住の補助金を受け取るには?おすすめの地域を徹底解説!


「地方移住してテレワークをしたい」「以前から地方移住に興味があったが、費用がどの程度かかるのかわからない……」「地方に移住して起業したい」

このように地方移住に興味があるけれど、具体的に何が必要なのか漠然として疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか?

昨今、コロナウィルスの蔓延によって地方移住が以前よりも人気を集めていますが、引っ越しするにも費用がかかったり、仕事を探さないといけなかったりと何かとお金と時間がかかりますよね。しかし各自治体から出る補助金を利用すれば、自己負担を減らして地方移住することが可能です。

本記事では、地方移住の概要から補助金の種類、おすすめの移住地域や仕事を詳しく解説します。最後に地方移住の理想と現実、補助金の手続きの仕方なども紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。



都心部以外で仕事をするのが未来の当たり前?


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従来は会社の近くに住居を構えるライフスタイルが主流でしたが、2020年以降コロナウイルスの影響でテレワークが可能になり、*1地方移住の関心が20代・30代を中心に高まっています。

理由としては「人口密度が低く自然豊かな環境に魅力を感じたため」「テレワークによって地方でも同様に働けると感じたため」「ライフスタイルを都市部での仕事重視から、地方での生活重視に変えたいため」などの回答が大半です。

実際に*2内閣府が実施した調査を見てみると、東京都23区に住む20代の約3分の1は地方移住に関心があり、東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)に住む20代の約3割も関心が高くなったと回答しています。

また、*3総務省が公表した2021年11月の人口移動報告(外国人も含む)によると、東京都からの転出者が転入者を3,254人上回る結果となり、7ヶ月連続で転出超過が起きています。2013年以降、転入者が転出者を上回っていたことを考慮すると、地方移住の流れが始まっていると考えられます。

東京以外での生活を考えている方は、まず各自治体が立ち上げた移住促進の公式サイトをチェックして、関心の高い地域の支援内容を確認しましょう。
*1*2引用元:内閣府 「第2回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」
*3引用元:総務省統計局 「表2 都道府県別転入・転出者数(11月)(エクセル:20KB)」



地方移住で受けられる補助金の種類【2021】


補助金


補助金にはいくつか種類があるため、あなたがどの補助金を受給できるか確認しておきましょう。

移住支援金(最大100万円)


移住支援金とは、東京都23区に在住または通勤する方が東京県外の地方へ移住し、起業や就業する際に、都道府県または市町村から補助金が支給される制度のことです。

移住支援金は世帯で最大100万円、単身の場合は最大60万円が支給されます。しかし、移住すれば必ずしも補助金が支給されるわけではなく、一定の条件を満たす必要があるので事前に確認しましょう。

  • 移住支援金の条件は?
移住直前の10年間で通算5年以上かつ直近1年以上、東京23区内に在住または東京圏(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、条件不利地域を除く)から東京23区へ通勤していた方が対象です。ただ、直近1年以上は東京23区に在住または通勤している必要があります。

また、移住支援金の申請が転入後3か月以上1年以内であることや申請後5年以上、継続して移住先市町村に居住する意思があることなどの期間の条件も加わるので注意が必要です。

さらに、移住支援金の対象として
・都道府県のマッチングサイトに掲載されている求人に就業すること
・プロフェッショナル人材事業または先導的人材マッチング事業を利用して就業すること
・テレワークによる業務
・自己の意思によって移住し、移住先で移住前の業務を引き続き行うこと

いずれかの条件をクリアすることが必須です。詳しい条件は「移住支援金の詳細」を参照してください。


起業支援金(最大200万円)


起業支援金とは、地域の課題解決に取り組む事業を始める方を対象に、最大200万円を給付する補助金制度のことです。事業分野としては、子育て支援や地域産品を活用する飲食店、買い物弱者支援、まちづくり推進など地域の課題に応じた幅広いものが想定されます。

また、地方移住して起業する方はダブルで補助金を受給できるので、合計300万円受給できる場合もあるのです。

さらに、長野県では長野市に企業移転・社員移住した際に最大1,100万円支給してくれる補助金制度があり、今後も各地方移住の制度は手厚くなっていくことでしょう。



  • 条件は?
1 新たに起業する場合(次のア~ウすべてを満たすことが必要)

ア.東京圏以外の道府県又は東京圏内の 条件不利地域において社会的事業の起業を行うこと。
イ.公募開始日以降、補助事業期間完了日までに、個人開業届又は法人の設立を行うこと。
ウ.起業地の都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること。

2 事業承継又は第二創業する場合(次のア~ウすべてを満たすことが必要)

ア.東京圏以外の道府県又は東京圏の 条件不利地域において、Society5.0関連業種等の付加価値の高い分野で、社会的事業を 事業承継又は第二創業により実施すること。
イ.公募開始日以降、補助事業期間完了日までに、事業承継又は第二創業を行うもの。
ウ.本事業を行う都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること。 *引用元:内閣官房・内閣府総合サイト地方創生 「起業支援金・移住支援金」「起業支援金」


移住貸住宅助成金


各地方自治体によっては、空き家を購入または賃貸すると補助金が受けられたり、空き家改修費を補助してくれたりします。

北海道標津町では新居を購入した方に最大300万円、中古を購入した方に最大100万円支給する制度を実施。

また既存のサービスにも、地方移住を支援する制度が加わり、地方移住を支援する取り組みは拡大しているようです。



グリーン住宅ポイント


グリーン住宅ポイントとは、一定の省エネ性能や条件をクリアした住宅の新築やリフォームの際に、ポイントが発行され商品交換や追加工事に補填できる制度のことです。

東京の対象地域からの移住は30〜100万ポイントが加算され、申請は一人一回まで可能となっています。

対象期間は2020年12月15日〜2021年10月31日のため、現在は終了しております。



フラット35


フラット35とは、住宅金融支援機構と全国の300以上の民間金融機関が提携して扱っている住宅ローンサービスです。最長で35年間ローンを完済するまで金利が変わらないので、経済情勢に左右されることがありません。

また、フラット35には金利引下げの「地方移住支援型」のメニューがあり、2022年3月31日までの申込受付分に対して当初10年間借入金利を年0.3%引き下げてくれます。

さらに、中古や空き家に適用される「フラット35 リノベ」や長期優良住宅(省エネルギーなど)の「フラット35 S」との併用も可能です。



田舎暮らしするならどこ?住宅支援・補助金のある地域


補助金


地方移住するなら住宅支援のある地方を選ぶと費用を抑えることができます。ここでは、住宅支援のある地域を紹介するので、参考にしてみてください。
※補助金内容は年度ごとに異なる場合があります。以下は令和3年度の内容です。



北海道三笠市

三笠市移住定住情報


・空き家・空き店舗を活用した事業で最大150万円

新築住宅建設費用助成金により、転入者が市内業者で新築の場合150万円を補助(市外業者の場合は100万円)。また、家賃補助(住宅手当等を差し引いた)として2分の1の額を支給してくれます。さらに、住宅のリフォームの際は最大50万円の助成制度を利用できます。



福島県喜多方市

喜多方市移住・定住ポータルサイト


・移住者住宅取得支援事業

新築を購入するあ40歳未満の方で、補助基本額100万円+配偶者加算額100万円+子育て加算額(最大4人)20万円+市内建築事業者加算額30万円+県外移住者加算額80〜90万円で最大400万円補助金を受給可能。40歳以上の場合は、最大260万円、中古の場合は最大160万円となっております。



茨城県取手市

取手市役所


・テレワーク移住促進補助制度

取手市はテレワーク移住支援金に力を入れている市です。住宅の購入は最大50万円、賃貸物件の家賃補助月最大2万円、市内の宿泊施設を利用して仕事する場合は最大2,000円の補助を実施しております。また、企業に勤務する方で月に4割以上自宅で勤務する方に、月々最大2万円の家賃補助も受けられるのが特徴です。



栃木県那珂川町

栃木県那珂川町


・木材需要拡大事業費補助金

八溝材を使用した木造の新築住宅に最大で300万円交付。



群馬県桐生市

桐生市役所


・きりゅう暮らし応援事業補助金

基本補助として住宅取得金額の3%(上限30万円)+夫婦加算15万円+三世代同居加算(親・子・孫が同居する世帯)10万円+移住加算20万円+子供加算一人につき15万円+誘導区域加算10万円+市内業者加算10万円+空き地・空き家バンク加算15万円で最大200万円支給。



福井県池田町

福井県池田町


・池田町住み家新築支援事業
・木造住宅の耐震診断に対する補助制度

池田町への移住をきっかけに新築する場合、工事費の10%最大100万円を補助。また、地震対策として耐震診断を行う際の、費用の一部を補助してくれます。



静岡県三島市

三島市役所


・三島市移住・子育てリフォーム事業費補助金

県外から移住し「夫婦いずれかが満40歳未満」「夫婦いずれかが満45歳未満で中学生以下の子と同居」「中学生以下の子と同居する満46歳未満の親」いずれかの条件を満たす方にリフォームに要する経費の20%で上限20万円支給されます。子育て世代が行うリフォームでは、中学生以下の子が属する世帯にリフォームに要する経費の30%で上限30万円が支給され、上記2つは併用可能です。



今もっとも人気の地方移住先「静岡県三島市」の魅力とは?気になる補助金や移住者の声
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長野県佐久市

佐久市役所


・移住促進住宅取得費等補助金

新築する住宅に対して最大40万円、中古物件の場合は最大20万円、物件の改修費最大10万円を補助。中学生以下の子供がいる場合は一人に対して10万円が支給されます。



三重県鳥羽市

鳥羽市役所


・鳥羽の定住応援事業奨励金

新築住宅(価格が500万円以上のもの(同住宅と同時に取得した土地の購入費を含む) を購入した方に最大50万円、中古住宅(200万円以上・100万円以上)はそれぞれ20万円・10万円支給されるのもポイントです。



岡山県岡山市

岡山市役所


・県外からの移住で家賃補助
・テレワーク向けお試し移住

一ヶ月あたりの家賃最大3万3千円補助(期間は最長半年)。住居の敷金・礼金はありません。テレワークの向けお試し住宅もあるため、補助対象期間も継続して住み続けられます。



鳥取県鳥取市

鳥取県疔とりネット


・鳥取県移住定住推進交付金

住宅の購入や建築、修繕、賃貸の助成で最大100万円の補助があります。また、空き家の家財処分費用を補助してくれる制度も採用。リノベーションに興味がある人にはオススメの制度といえるでしょう。



山口県宇部市

宇部市役所


・宇部市UIJターン奨励助成金

転入者の引っ越しにかかる費用や不動産仲介手数料の補助。また、中古物件購入費や家財撤去の費用の一部を支援してくれます。



福岡県古賀町

福岡県庁


・古賀市木造戸建住宅耐震改修工事費補助事業

古賀市内にある木造戸建住宅で、一定の基準を満たした住宅の工事費用最大30万円、耐震シェルターの設置工事費の最大15万円を補助。また、子供の入院医療費助成は高校卒業までとなっております。



大分県臼杵市

臼杵市役所


・定住促進住宅取得補助金

新築・購入(新築・中古)・住宅改修補助に100万円以内にて補助されます。新婚世帯の住宅購入費用補助には、50万円以内での支援。月々1.5万円以内の家賃補助もあります。



鹿児島県霧島市

霧島市役所


・移住定住促進補助事業

新築購入または増改築する方に最大80万円の補助金を支給。また、霧島市の中山間地域への転入で賃貸住宅に入居する方に最大24万円の補助があります。



地方暮らしでおすすめの仕事


地方の仕事

地方移住するならテレワークや地方で仕事を見つけて暮らしたいという方が多いことでしょう。ここでは、地方移住でおすすめの仕事を紹介します。

自営業(個人事業主・フリーランス)


・webデザイナー
・プログラマー
・Webライター
・動画編集者
・フォトグラファー

自営業とは、株式会社等の法人を設立せずに個人で仕事をしていく営業スタイルのことです。最近流行りのワークスタイルのフリーランスや個人事業主がこれに該当します。



起業・店舗経営


・民宿
・ゲストハウス
・カフェ
・パン屋
・整体

田舎で起業や店舗経営したい方には地方移住は最適です。東京に比べてライバルが少なく、参入障壁が低いのが特徴的。ただ、場所によっては住民が少ないことがあるので注意しましょう。



事業継承


・地域おこし協力隊
・農家
・伝統工芸

事業継承とは、地域の事業を引き継ぐことです。事業を引き継ぐだけでなく、会社の理念や経営者の想いも引き継ぐことになります。地方では後継者不足に悩まされているので、伝統産業を守ることに貢献できるのも魅力です。

また地域おこし協力隊とは、1年以上3年以下の期間地域活性化のお手伝いをすれば、国から給料が支給される制度のことです。自治体によって活動内容が異なるので事前に確認しておきましょう。



専門職


・公共事業関連の仕事
・製造業、工場勤務
・役場勤務
・林業
・介護・看護師・保育士

東京で専門職に就いていた方なら、地方でも継続して仕事ができる可能性があります。特に地方では、介護や医療従事者が不足しているので重宝されること間違いないです。



バイト・フリーター


・旅館
・飲食店

子供がいてフルタイムで仕事ができない方や仕事にこだわりがない方は、地方でバイトやフリーターとして暮らすのも良いでしょう。ただ、東京都とは最低賃金が異なるので質素な生活になることを考慮しておく必要があります。



地方暮らしの理想と現実


地方暮らし

地方移住の理想は、生活コストを下げて、自然を満喫して静かに暮らすことでしょう。しかし、現実は生活コストが意外と高く、お金にならない仕事が増えるということを知っておく必要があります。



  • 生活費が思っているよりも高い
住む住宅や地域によって生活コストはそれぞれ異なりますが、「自宅修繕費、ガソリン代、車、灯油(月2,3万円かかることも)、国民健康保険料が高額、町内会費、通信費(高くて遅い)、貰い物のお返しが必須」など東京では必要としなかった費用を負担しなくてはなりません。

  • 雑務が多い
庭のお手入れや自宅の修繕、消防団活動、町内会議、町のイベントの手伝いなど地域に貢献しなければいけないことがあります。

  • 虫や動物が多い
当たり前ですが、田舎には虫や動物が多いです。住宅に虫が侵入することも多くあり、潔癖症の方には向いていません。また、農作物を育てているとイノシシなどの被害に遭うことがあるので注意しましょう。

  • 希望の職種に就けない
ITやWeb関連の仕事は地方にはほとんどありません。地方で生活するといっても生活するための収入源がなければ安心して生活できないので、事前に希望の職種を募集しているかどうか確認しておきましょう。

  • 価値観が合わない
地方には病院や学校が少なく、子供が病気にかかったときなど心配事が増えます。また、リモート授業やエアコンなどの設備が整っていいないことがあるので、子供の教育についても親同士で価値観や条件を合わせておく必要があります。


地方移住が向いている人の特徴


・行動力がある
・新しいことに挑戦できる
・自分の価値観が確立している
・安定して稼げる収入源・貯金がある
・トラブルさえも楽しむことができる
・個人よりも地域に貢献する考え方ができる

地方移住はインフラが整っている東京都とは異なり、様々なトラブルが起きます。自身の性格を内省して失敗をも楽しめるかどうか、個人よりも地域に貢献したいという想いがあるかどうか確認しておきましょう。



地方移住のためのステップ、補助金申請方法


地方移住のための大まかな手続きの流れは以下のとおりです。



-補助金申請の手順-

①目的地を決める

まずは、移住する目的地を決めましょう。冒頭で紹介した各自治体が立ち上げた移住促進の公式サイトを確認すれば、地方移住に積極的に取り組んでいる場所を選ぶことができます。
また、地方移住ランキングから場所を選ぶのも効果的です。認定NPO法人ふるさと回帰支援センターが行った調査によると、2020年のランキング1位静岡県、2位山梨県、3位長野県となっております。どの県も交通の便や自然の多さが人気の秘訣です。

②情報収集をする

移住先が決まったら、情報収集をしましょう。まずチェックすべきポイントは、補助金制度があるかどうか。移住支援金や起業支援金の他に、各自治体独自の支援制度も確認しておくと良いでしょう。

③相談窓口への相談

各自治体が運営する移住専用相談窓口に相談です。インターネットの情報だけでなく、直接担当者に実態を聞くことで、理想と現実のギャップを埋めることができます。
気軽にメールや電話で就職先や地域おこし協力隊などについて相談してみましょう。

④実際に移住したい場所へ出向く

最低1回は移住先に訪問しましょう。旅行気分で物事を考えるのではなく、これからここに住むんだという視点をもって検討すると、冷静に判断できます。
また、地域によっては「お試し移住」といった、一定の期間利用料金無料で移住を体験できる制度もありますので、一度移住を体験してみたいという方におすすめです。

⑤必要な手続きを把握する

引っ越しに関連する必要な手続きを把握しておきましょう。担当者と協力して移住にあたっての必要な手続き等のチェックリストを作成しておくと安心です。

最後に、補助金の申請方法は各自治体によって異なるので、移住先の市町村に問い合わせるか、各自治体が運営するホームページを確認してみましょう。



補助金を上手に利用することで、地方暮らしが身近な時代に


まとめ

今回は地方移住の補助金について解説しました。補助金制度を利用すれば、負担を大幅に減らして地方移住ができます。

ただ、地方移住の良い側面ばかりを見ていても実際に移住したときのギャップに苦しむことになるので、お試し移住を経験したり、移住者の声を聞いてみたりすると良いでしょう。

地方移住を検討している方はこの記事を参考にして、あなたに合った地域を選んで快適な地方暮らしをはじめてみてはいかがでしょうか?




新村克弥
ライター
新村 克弥
静岡県・浜松市出身。専門商社の法人営業を経験したのち、語学留学で英語を学ぶ。帰国後はフリーランスライターとして独立し、サスティナブル、SDGs、IT関連、コンシューマ分野の記事作成を担当する。サーフィンと映画鑑賞が趣味。
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