ビザスクに聞く、“スポットコンサル”の可能性とは?ナレッジプラットフォーム活用で「世界の知見」と出会う価値
昨今シェアリングエコノミーの1つである「スキルシェアサービス」の市場が大きく拡大している。そんなスキルシェア市場の中でも、一線を画したサービスを提供しているのが「ビザスク」だ。
株式会社ビザスクは、2020年3月東証マザーズへ上場。さらに今年2021年11月、米国コールマン社(Coleman Research Group,Inc.)を100億円規模で買収した。このニュースは大きな話題となり、さらなるグローバル展開に注目が集まっている。
「ビザスク」は、知見をもった専門家に1時間から相談できる “ スポットコンサルサービス ” を提供する、日本最大級のグローバルなナレッジプラットフォームだ。
今回は、インタビューイーに株式会社ビザスク 執行役員の宮崎 雄氏を迎え、“スポットコンサルサービス”の可能性や、今後のグローバル展開、目指していくビジョンについてお話を伺った。
執行役員
日本最大級のナレッジプラットフォームとは?
────では早速ですが、宮崎さんのお仕事内容、ビザスクの事業内容をお伺いできますでしょうか?
私は現在、CEO室の室長と、「ビザスクlite(ライト)」事業部の事業部長を兼任しています。
CEO室長としては、マーケティング・広報・インサイドセールスの統括をしており、一方で、セルフマッチング形式の“スポットコンサルサービス”「ビザスクlite」の事業責任者を担っています。
ビザスクは、「知見と、挑戦をつなぐ」をミッションに掲げ、知見データベースを活用した日本最大級のナレッジプラットフォームを運営しています。
ビジネス領域でのマッチングに特化しており、現在は500を超える業界・職域を網羅した専門知識をもつアドバイザーの方々にご登録いただいております。現在のアドバイザー登録者数は、コールマン社の買収により国内外合わせて40万人を超えました。
ナレッジプラットフォームの中でも、ビザスクのコアサービスとなるのが「ビザスクinterview(インタビュー)」です。求める知見を持ったアドバイザーに、1時間から“スポットコンサルサービス”を受けることができます。
「ビザスクinterview」の大きな特徴は、当社スタッフによる適切なアドバイザーの選定から知見の有無の確認までしっかりフルサポートが受けられる点です。そのためミスマッチを防ぎ、欲しい知見にスピード感を持って出会うことができます。
この「ビザスクinterview」のセルフマッチング形式が、「ビザスクlite」です。実はこの「ビザスクlite」が、代表の端羽が立ち上げたビザスクの創業事業なんですよ。
────なるほど、lite事業の方が先にできたサービスだったんですね。
もともとは、オンライン上で知見をもつ個人と企業をマッチングするサービスがメイン事業でした。その中で、クライアント側の要望として「スピードとマッチングの精度」を求める声が上がったんです。そこで当社社員が間に入ってサポートする「ビザスクinterview」が生まれました。
逆に、lite事業の精度を上げるための方法として、セルフマッチング形式の「ビザスクlite」ではマッチングするまで費用は発生しません。例えば、気になるアドバイザーがいた場合、事前にチャットでやり取りを行い、納得の上でマッチングできるような仕組みになっています。
────他にはどのようなサービスがあるのでしょうか?
「ビザスクinterview」「ビザスクlite」の他には、「ビザスクexpert survey」「ビザスクproject」「ビザスクweb展示会」「ビザスクpartner」「ビザスクbroad」「ビザスクreport」といった8つのサービスを展開しています。
これまでビザスクは、“スポットコンサル”やサーベイを通じて企業とアドバイザーのマッチングサービスを行ってきました。
9月には「ビザスクreport」というサービスをリリースしました。これは、アドバイザーを中心としたプロフェッショナルによる調査設計や、インタビュー代行など質の高い調査レポートをリーズナブルな価格で提供するサービスです。
────ビザスクのユーザーは、どのような企業が利用されているのでしょうか?
当社のコアサービスとなる「ビザスクinterview」のユーザーは、ほとんどが大手企業の方ですね。逆に「ビザスクlite」は、スタートアップや中小企業の方がメインでご利用いただいております。
「ビザスクlite」は、1回あたりの平均が3万円ほどの案件が多く、8万円ほどの「ビザスクinterview」に比べると、さらに価格を抑え“スポットコンサル”を利用することができます。
「ビザスクlite」は、ビジネス上のアドバイスだけでなく、ユーザーインタビューとしてご利用される企業の方も多いですね。
“スポットコンサルサービス”の可能性とメリット
────サービスによって棲み分けができているんですね。では、コアサービスである「ビザスクinterview」の強みを教えていただけますか?
「ビザスクinterview」は、「ビザスクlite」よりも多くのアドバイザーの知見にアクセスすることができます。そして、今まで蓄積してきた「どんな人とどんな企業がマッチングしてきたか」という膨大なデータベースが大きな強みですね。
このデータベースに加え、当社の社員が間に入り「企業が求める知見のヒアリング・アドバイザーがどのような知見を持っているのか」を、案件ごとにより詳しく確認をした状態で選定を行います。
そのため、ミスマッチを防ぎながらマッチング精度を上げたサービスを提供できる点が大きな強みですね。クライアント側の工数も最小限で、スピーディに知見と出会えます。
────このような“スポットコンサルサービス”は、需要が高まっていると感じますか?
そうですね、おかげ様で全てのサービスにおいて取扱高が増え、上期実績として前年同月比で8億円以上のプラス成長となっています。クライアント様も増え、需要は非常に伸びていると感じますね。
“スポットコンサルサービス”は、新しいビジネス領域への挑戦や、新規事業の立ち上げ時など、自分たちの専門外の領域に対し「情報収集」としてご利用になる方がとても多いです。
そのためこれから新しい事業開拓が進むと同時に、需要もさらに高まっていくのではないでしょうか。
アドバイザーは、業界に長くいる経験者のため彼らの声を、「仮説検証」に役立てることもできます。簡単に言えば、新しいプロダクトの筋が良いかどうか直接聞くことができるということです。
開発中のサービスを、想定顧客へヒアリングした上でプロダクトの制作に入れるとしたら、自ずと今までより格段に精度の高いプロダクトが作れるようになりますよね。つまり、“スポットコンサルサービス”を利用することで、事業の成功確度を高めることができるんです。
────“スポットコンサルサービス”に死角なしですね。昨年2020年に東証マザーズ上場も果たされましたが、ビザスクが大きく成長したきっかけの1つだったのでしょうか?
上場したことが直接大きな事業成長となったわけではないと思いますが、やはり「知見」を提供するプラットフォームサービスである以上、信頼が大切になる事業だと思っています。
だからこそ、クライアントの方々への信頼感や安心感は、上場によって担保できた部分かもしれません。
情報漏洩やコンプライアンスに対しては、万全の体制をとっています。アドバイザーとの守秘義務契約はもちろんですが、その上で弊社独自の“トレーニング”を受けていただいているんです。
ここでしっかりテストを行い、トレーニングが完了した方のみが案件を受けられる仕組みになっています。
────では逆に、ビザスクが事業として拡大成長していく中で、課題と感じる部分はありますか?
私たちは、まだまだ成長フェーズですし、現状に満足しているわけではありません。やはり、課題は「個人の知見を活用する」という考えを当たり前にすることです。
現在は米国のコールマン社を買収したことで、アドバイザーが国内外合わせて40万人以上となり日本最大級のナレッジプラットフォームになりました。
しかし、ここから100万人まで増やしていきたいと考えています。さらに、国内での「知見活用」が浸透していけば、国外での先行したビジネスも同じように「知見活用」していくことが可能になるのではないかと考えています。
そういったグローバル展開をさらに広げる部分でも、アドバイザーの増加は大きな課題であり必要性を感じています。
米国コールマン社買収でグローバル展開を加速
────ではグローバル事業展開についてお伺いします。今年、100億円規模での米国コールマン社買収が話題となりましたが、ビザスクの海外展開は今後も広がっていくのでしょうか?
代表の端羽は創業当時から「はじめから世界を見よう」というバリューを掲げていました。ビザスクの目指していく先に“世界をまたにかける知見をマッチングしていく”という構想は、はじめから入っていたんです。
コールマン社を買収する以前から、海外アドバイザーの登録者数は2.5万人を超えており、東南アジアを中心に顧客開拓も進めてきました。このグローバル展開の流れを加速させるための1つのフェーズに、今回の買収があったということです。
2003年創業のコールマン社は、アメリカを中心にイギリス・香港など世界5カ所の拠点と26万人を超えるエキスパートデータベースをもっています。
アメリカでは、知見をつなげて企業が投資する仕組みのマーケットがあります。このENS(Expert Network Service)領域で北米最大手のコールマン社を買収することで、グローバルなデータベースから知見をご紹介できるようになりました。
私たちは、この世界の知見データベースを元に、ビジネス領域における「世界で一番のナレッジプラットフォーム」を目指しています。
────なるほど。「世界の知見活用」としては、やはり国内事業が海外に進出するサポートの役割が強いのでしょうか?
活用方法はさまざまですね。海外進出をする際の市場調査の目的もあれば、すでに海外で成功事例がある場合にその道の第一人者の知見を求める場合もあります。
やはり、海外の求める知見にたどり着くまでには、さまざまな障壁を超えなくてはなりません。海外に対する抵抗感や、言語や時差もあります。しかし、海外にある欲しい知見と簡単に出会うことができ、数万円で話を聞けるようになると思うとワクワクしませんか?(笑)
私たちは、この障壁をなくす為のニーズと価値は、絶対にあると確信しています。さらにこの間に日々知見をマッチングしている我々が入れば、より的確かつ欲しい情報を取ってくることができるようになりますよね。
ビザスクは「世界一のナレッジプラットフォーム」を目指す
────では最後に、宮崎さん個人が未来の当たり前にしていきたいことや実現したいことはありますでしょうか?
私は、企業だけでなく個人レベルで“スポットコンサルサービス”を当たり前に活用する未来を作っていきたいですね。
また、先にもお伝えしたとおり、アドバイザーの方を増やしていきたいと考えています。アドバイザーの声として、副業としての収入面への満足感ももちろんあります。しかし、それ以上にほとんどのアドバイザーが「自身の知見で貢献したい」という想いを持って活躍されています。
当社が実施した調査では、アドバイザーをすることによって「自身の学習意欲が高まった」と答える方が多いんです。スポットコンサルとはいえ、限られた時間の中で人に伝わるように話す必要があります。
そのために構成を組んだり、より良いアドバイスをするために知識をプラスさせ知見を高めたり、と自ら学ぶ意欲が高まっていくようです。
1時間の“スポットコンサルサービス”を終えて、自分自身の成長を感じる人が増えれば、社会全体としてもエネルギーを生み新たなイノベーションが生まれやすくなっていくのではないでしょうか。
────では、ビザスクとして目指していくビジョンをお伺いできますでしょうか?
私たちは、先ほどお話に出たとおりビジネス領域における「世界一のナレッジプラットフォーム」を目指していきます。そのために、あらゆる職域・国境を超えた「100万人の知見データベース」を作っていきたいと考えています。
さらに、地域・世代のカベを超え知見を繋いでいきたいですね。ビザスクは、インタビューだけでなく、サーベイや業務委託などさまざまなサービスを持っています。
今後もクライアントが求める最適な形でサービスを届けていけるよう、現在の8つのサービスに加え、新たなサービス・プロダクトも開発していきたいと思います。
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