目指すのはシリコンバレー?品川区スタートアップベンチャーが集結するワケとは?
ここ数年間で、日本ではスタートアップやベンチャー企業が誕生しています。
そんな中、今起業家から熱い視線が注がれ始めた地域があるのをご存じでしょうか?
それが 「東京都品川区」なのです。
品川区は、スタートアップ企業や起業を考える人を支援するメニューが豊富に揃い、助成金や補助金も充実。それをいち早く知った起業家たちが今、品川区に集結しシリコンバレー化しつつあるというウワサもーーーー
では、実際品川区にはどのような起業家に嬉しい支援サービスがあるのでしょうか?品川区の産業振興を担当する地域振興部商業・ものづくり課、品川区立品川産業支援交流施設の方にお話を伺いました。
今回は、支援サービスのひとつである「創業・産業支援交流施設」について詳しくお伝えします。
時代は変われど産業支援の志は同じ
─────本日は品川区地域振興部商業・ものづくり課の笠原浩司さん、粂英之さん、品川区立品川産業支援交流施設の長江敏治さん、大谷翔さんにお話を伺っていきます。まずは商業・ものづくり課がどのような事を担当される部署なのか教えてください。
粂さん:私たちが所属する品川区の「地域振興部商業・ものづくり課」とは、わかりやすく説明すると区内の企業や商店街を色々な角度からサポートする部署です。中小企業や、起業を考えている方、スタートアップ企業、商店街、人材確保に悩む企業など、幅広く区内の産業を支援しています。
品川区の産業振興の歴史は古く、現在行っている事業の中には昭和28年から脈々と続いている事業もあります。元々、京浜工業地帯発祥の地である品川区は、ものづくりの街として栄えてきました。
しかし近年、工場数は減り、五反田・大崎エリアを中心に情報通信企業が増加。そのエリアには「freee株式会社」「株式会社トレタ」「セーフィー株式会社」「株式会社よりそう」「株式会社ココナラ(移転)」「株式会社マツリカ(移転)」が理事企業として発足された「五反田バレー」という一般社団法人も存在するほどです。
このように時代と共に品川区の産業も変化しています。そんな時代背景に合わせて産業振興の方法も変化しているものの、「品川区の中小企業を支えたい」という志はいつの時代も同じです。
品川区の新たな挑戦!産業支援交流施設とは?
────────時代の変化に合わせ産業振興の在り方も変わっているんですね。品川区の新しい取り組みとはどんなものでしょうか?
粂さん:そのひとつが2015年6月にオープンした「品川区立品川産業支援交流施設 SHIP」です。同施設は、エンジニアやデザイナーなど国内外のクリエイターやベンチャー企業の交流の場となることを目的とした施設です。
3階にはイベントホール、4階には、異分野の企業の方やフリーランスで活動する方が交流可能な会員制オープンラウンジや、新しい分野へチャレンジする企業のためのレンタルオフィス、3Dプリンターや各種測定装置を備えた工房エリアを備えています。
────工房エリアが「SHIP」の特徴だと思うのですが、こちらについて詳しく教えてください。
長江さん:先ほど粂がお話した通り、品川区はものづくり(製造業)で栄えた街です。そんな品川区の歴史を支えたものづくり系企業支援に力を入れていきたいという想いで誕生したのが「工房エリア」でした。
工房の設備は下記の通りとても充実しています。なかなか起業したばかりの企業や個人ではこういった設備投資ができない場合も多いですが、「SHIP」を利用していただければ気軽に使っていただくことが可能です。
工房は「SHIP」に入居する企業、オープンラウンジの会員さまであれば、誰でもご利用いただけます。また、初めて利用する方や機器の操作で助言・指導を受けたい方のための技術サポート(1,100円/2時間)も用意しています。
────ものづくり意欲を刺激してくれる機器が整っていますね!「SHIP」には他にどんな魅力がありますか?
大谷さん:インキュベーションマネージャーを配置しているのもひとつの特徴です。インキュベーションマネージャーとは、創業者のための経営相談アドバイザーのこと。もちろん、アドバイスを行うのは中小企業診断士資格という国家資格をもつ人です。
例えば、法務や財務、労務に関する相談はもちろん、PRツールの作成支援などビジネスで困った事があれば気軽に相談できます。予約は必要になるものの、相談料は一切かかりません。スタートアップ企業にとっては心強いサービスのひとつだと思います。
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ママも活躍! 武蔵小山創業支援センター「MUSAKO HOUSE」の魅力に迫る
────品川区には、「SHIP」のような支援施設が他にもあると伺いました。武蔵小山にある武蔵小山創業支援センター「MUSAKO HOUSE」とはどんな施設ですか?
笠原さん:こちらは、女性の起業、事業を後押しすることをコンセプトに2010年8月にスタートした施設です。当時は、女性の起業に特化した自治体の取り組みはほぼない時代。そんな中、全国に先駆けて女性の起業支援施設として誕生したのが武蔵小山創業支援センターでした。
2021年3月にリニューアルした際に「MUSAKO HOUSE」と親しみやすい愛称も追加。行政が作る施設には堅苦しいというイメージがある人も多いと思うのですが、「MUSAKO HOUSE」はそういったイメージをなるべく持たれないように設計しました。
女性起業家の方に集まっていただけるよう、インテリアや内装にも力を入れ、おしゃれで華やかな施設に仕上げました。
────実際には、どのような方が利用されていますか?
粂さん:小売やサービス業で起業する方が多いですね。当施設には「交流スペース」や「チャレンジショップ」(各有料)という支援サービスも用意しています。ここでは商品・サービス・レッスンなど、自身が起業して実際に提供しようとするものを来店したお客様に提供できる場です。
実践模擬的な運営の体験はもちろん、お客様の声をダイレクトに聞くこともできるので、事業化に向けてヒント・課題を明確にできる場所として活用していただければと考えています。
また、出店に際しては、事前の運営プラン策定の支援や当日のディスプレイや接客指導などアドバイザーも在籍しており、ハード面だけではなくソフト面のサポートも受けられます。
笠原さん:他には、事業を大きく展開していきたいというよりも、自分の好きな・興味のある分野で身の丈に合った事業を立上げ・継続していきたいという人も多くいらっしゃいます。「MUSAKO HOUSE」では、そんな「ちょこっと起業予備軍」、「プチ起業家(身の丈起業家)」のための支援やきめ細やかなサポートも行っています。
「MUSAKO HOUSE」の2、3階が保育園であることや、未就学児であればコワーキングスペースへの入室も可能(ベビーカーも可)ということも関係しているかもしれませんが、お子様のいる女性も多く活躍しています。もちろん、入居者の方にはお子様連れの方もいらっしゃることは事前に伝えご了承いただいています。また、コワーキングスペースについては、月額5,000円で利用できるというのも魅力のひとつですね。
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学生も支援!西大井に誕生する新たな施設
────2022年2月にリニューアルオープンした西大井創業支援センター「PORT2401」という施設はどのような施設でしょうか?
笠原さん:西大井創業支援センター「PORT2401」は「ここから始まる 起業の航路」をテーマに、西大井の地から起業の船を漕ぎ出す起業家の皆さまをハード・ソフトの両面からサポートする施設になる予定です。当施設で力を入れていきたいのが学生起業家やソーシャルビジネスに向けた支援です。
月額会員料金やドロップイン料金については、学生割引を適用しており学生でも気軽に利用できる施設を目指しています。コワーキングスペースをはじめ、他の施設にはないランチタイムや休憩時間に自由に使える「キッチンスペース」や会員の方が制作した製品の販売・サービス資料の掲示などを行える「POP UPスペース」といった新しいエリアも用意。
「学生のうちに起業したい」、「働きながら次のステップへの準備をしたい」、「身近な課題を解決したい」といった思いが少しでもあれば、ぜひ西大井創業支援センター「PORT2401」に立ち寄ってみてください。
また品川区には他にも天王洲アイル駅から徒歩3分に位置する「天王洲創業支援センター」という貸しオフィスも用意しています。「SHIP」や「MUSAKO HOUSE」などで起業し、従業員も増え、新しいオフィスを探している方など成長過程の企業さまに最適のスペースだと思います。
PORT2401の詳細を見る
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「起業するなら品川区」が起業家の新常識に!
────新しい施設の完成も楽しみですね。産業支援交流施設などの取り組みによって、将来的に品川区はどのような都市になっていくと思いますか?
笠原さん:「SHIP」や「PORT2401」などの支援施設を創ることで、起業家や起業を考えている方に品川区を知っていただく機会が増えていると思います。冒頭でもご説明した通り、品川区にはアクセラレーションプログラムや助成金、補助金など起業を支援するメニューがたくさんあります。
また、事業者間のマッチングや協業を目的としたイベントや交流会を企画し、イノベーション創出やネットワーク構築のきっかけとなる場も提供しています。このような取り組みをも多くの人に知っていただき「品川区で起業する方が得だ」、「起業するなら品川区!」と、区に起業家やスタートアップ企業がどんどん増えていっていただけたら嬉しいです。そしてそれは産業だけでなく品川区全体の盛り上がりに繋がっていく……これが理想的な品川区の将来像ですね。
品川区地域振興部商業・ものづくり課の詳細を見る
今回は品川区の「創業・産業支援交流施設」についてお話を伺いましたが、各施設のサイトには書ききれないほど魅力的な支援サービスがありました。これほど魅力的な支援があれば「起業するなら品川区!」という言葉が起業家の新常識になる未来は近いはず。
また、西大井創業支援センターのサイトに書かれた「起業とは、自分らしく生きるための選択肢のひとつ」という言葉は、まさに現代にふさわしい言葉のひとつです。
「起業はしたいけど、何から始めればいいのかわからない」という初歩的な悩みから起業後の法務や財務などの悩みまで、自分らしく生きたい人を応援し、支援してくれる……そんな品川区はこれからどのような盛り上がりをみせるのか、期待と注目が集まるエリアになりそうです!
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