ファミリービジネスの未来:伝統と革新の交差点
2024.01.26

ファミリービジネスの未来:伝統と革新の交差点


「世界の長寿企業ランキング」において、創業100年、200年の企業数で日本が1位である*。世界的に見ても、日本は「ファミリービジネス(同族経営)」が多い国だ。

一方で読者の方は、ファミリービジネスに対してどのような印象を抱いているだろうか? 保守的な印象や公私混同により会社を私物化しているようなネガティブなイメージが先行し、ファミリービジネスの実態や可能性について、実のところ知らない読者も多いのではないだろうか。

そこで、今回は麗澤大学 経済学部 教授・近藤明人氏にお話をお伺いした。ファミリービジネスは、日本のビジネスシーンにおいて、イノベーションの鍵であると語る近藤氏だが、インタビューを通して見えてきたことは、ファミリービジネスの可能性だった。

■ファミリービジネスとは

ファミリービジネスとは特定の一族が経営を行うことで、「家族経営」「オーナー企業」「同族会社」「同族経営」などと呼ばれる場合もあります。ファミリービジネスでは血縁によって経営陣が決まり、世代が変わっても一族が経営・株式保有を続けています。「創業者一族によって続いている会社」がファミリービジネスの定義であり、その他の条件は一切問われません。業種や規模の大小だけでなく法人形態も関係ない点が特徴です。

また優秀な従業員が多数在籍する場合であっても、必ず創業一族の血縁者が跡継ぎとなります。詳しくは後述しますが、後継者の能力が足りないと感じられるケースも起こり得るのです。



※出典:日経BPコンサルティング・周年事業ラボ『世界の長寿企業ランキング、創業100年、200年の企業数で日本が1位

近藤 明人
インタビュイー
近藤 明人氏
麗澤大学 経済学部
教授
専門はファミリービジネス論、経営管理論、中小企業経営論、環境経営論、行政経営論。一般財団法人日本科学技術連盟 経営技術アドバイザー(技術顧問)や日本大学生産工学部 非常勤講師、中小企業(廃棄物処理・物流)の経営を経て現職に。

■論文
“How Family Businesses Survived the COVID-19 Crisis: Case Analysis of Japanese Family Businesses”,Pan-Pacific Management Science,Vol.6,(2024.1).
“Functionalization of Management Process under SDGs Management: Case Studies of Food Companies by Ethnography”,Pan-Pacific Management Science,Vol.4,(2021.12).
“Study on Factors Associated with Disclosure of Sustainability Report in SDGs Management: On Companies that are Engaging with Environmental Management”,Pan-Pacific Management Science,Vol.3,(2020.12).


優れたファミリービジネスは、危機的状況でイノベーションを起こせる?!


授業風景
―――まずは、研究領域について教えてください。

私はファミリービジネスの研究の専門家で、特に中小企業のファミリービジネスに注目しています。

具体的には、コロナ禍においてイノベーションを起こして成長した企業と、*持続化給付金で延命したものの最終的に倒産した企業ーーー*ゾンビ企業との違いについて、ファミリービジネスの観点から研究をしています。

日本は世界と比較して長寿企業が多いにもかかわらず、意外とファミリービジネスの研究は進んでいないのが現状です。ファミリー研究の先行研究は、ドイツにあり、私はヨーロッパ最大のファミリービジネス研究所のヴィッテン大学・ヴィッテン・ファミリービジネス研究所(WIFU)と一緒に研究を行っています。

ドイツの先行研究では、コロナ禍でのロックダウンが厳しかったヨーロッパにおいて、存続しているファミリービジネスの研究がなされています。

■持続化給付金制度について

新型コロナウイルス感染症拡大により、売上が前年同月比で50%以上減少している事業者を対象に、中小法人等の法人は200万円、フリーランスを含む個人事業者は100万円を上限に、現金を給付する制度です。

申請期間は、2020年5月1日~2021年2月15日でした。



■ゾンビ企業とは

「ゾンビ企業」は、実質的に経営がほぼ破たんしているにもかかわらず、金融機関や政府などの支援により市場から退出せずにとどまっている企業のことを言い表した言葉です。 ある企業がゾンビ企業かどうかを識別する基準は、先行研究の流れから、2種類に大別されます。



―――既に先行研究があるんですね。先生の研究と先行研究の違いはどの点でしょうか?

私の研究はファミリー性の観点からビジネスモデルの変化を調べている点です。

ファミリービジネスにおける、ファミリー性とは、家族の絆や事業にもっとも大切にしているコア・バリューが承継されることが基軸となっています。またファミリー性の特徴には、スピーディーな意思決定、柔軟な対応、ソーシャル・キャピタルの強さ、過度な利益追求よりも従業員・顧客を大切にするーーーなどが挙げられます。専門用語ではでは「ファミリネス」(ファミリー性、Familiness)という造語として使用されるケースも存在します。

―――なるほど、ファミリービジネスのファミリー性は、人的資本経営の観点からも非常に魅力的な経営手法だと思いました。一方で、ファミリー性は、マネジメントができたり、育成することができたりするのでしょうか?

私は、ファミリー性はマネジメントできると仮説を立てています。ファミリー性がマネジメントし、社会や市場から認められるファミリービジネスを育成していきたいんです。

コロナショックのような世界的なパンデミックによる経済危機は、100年に一度の周期で発生すると言われています。コロナショックほどの規模ではありませんが、世界的な金融危機は10年に一度おきに来ていますよね。私はファミリービジネスが経済危機でも乗り切れる要因を研究すれば、ファミリービジネスを育成できると思っています。

―――ファミリービジネスとは具体的にどのようなものですか?

ファミリービジネスの定義は世界で定まっていません。ただ、中小企業においては株の所有と経営が一致していることを指します。大企業では株の所有率が変わってきますので、株の所有率とは関係なく、経営思想が伝わっていることをファミリービジネスと呼んでいます。

統計データはありませんが、世界中の8割・9割がファミリービジネスと言われています。

読者の中には、ファミリービジネスに対して、”能力ではなく血筋を重視している””ビジネスを私物化している”という負のイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ファミリービジネスの根本にあるファミリー性とは、社会貢献や社会に対する使命であり、経営資源における無形資産でもあるんですよね。ファミリー性が強くないと、戦略にも効果を発揮しません。世の中の人が納得できる経営資源を持っていない企業は、淘汰されていくでしょう。

優れたファミリービジネスでは、無理に子息に継がせるということはせず、大切な思いを持ち、地域・社会に貢献できる人や能力のある人に継がせていく経営者が増えてきています。

―――他のビジネスモデルと比較して、ファミリービジネスの特徴やメリットは何ですか?

どのビジネスも最初はファミリービジネスです。ファミリービジネスのメリットは経営者が自分の夢を叶えたい欲求が満たさせることや、会社の存在意義を見出すことができることです。

優れたファミリービジネスの特徴は、経営者が長期視点で物事を考え内部留保をしていたり、経営者と社員が一丸となっていたりすることが挙げられます。

コロナ禍の研究で分かったのですが、経済危機のような未曾有の危機が訪れた時に、優れたファミリービジネスはイノベーションを行使することが多くあります。

具体的には、危機的状況になった場合、どのファミリービジネスも1回は業績が下がります。しかし、優れたファミリービジネスは1・2年を耐えられる分の内部留保があります。内部留保で耐えている間に、経営者の”社員を守らなきゃいけない”という気持ちと、社員の”自分たちで乗り越えよう”という気持ちが働きます。両者の想いが相まって、イノベーションが起きています。

ファミリービジネスは1社で戦わないといけません。しかし、優れたファミリービジネスは、サプライヤー、地域、人を大切にすることをベースにビジネスをしているため、窮地になると色々なところから救いの手が差し伸べられているんですよね。

繋がりみたいな密接さがあるのがファミリービジネスの特徴です。

変革が鍵!ファミリービジネスが直面している課題とは


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―――ファミリービジネスが直面している課題は何ですか?

ファミリービジネスの課題に挙げられるのは、継承者の能力が足りないことと、経営者に権限が集中していることです。

継承者に求められる能力は、環境の変化への適応力です。環境の変化とは、原料高や円安などの外的環境もありますし、従業員の価値観の変化という内的環境もあります。

ファミリービジネスに限った話ではありませんが、適応力がなければビジネスはうまくいかなっていきます。そうすると、経営者は短期的な利益を求めるようになるんです。

さらに、ファミリービジネスは経営者に権限が集中しているため、経営者の独断で粉飾決算をやったり、不正を働いたりするようなことをしはじめる傾向にあります。

企業の課題だけではなく、日本の制度にも課題があります。1949年に制定され、2000年に入るぐらいまでは、海外の企業は参入できないという保護政策がありました。保護政策に加えて、補助金制度もあったため、競争力が低下したことも要因の一つです。

先程ファミリービジネスには社会貢献という”正義感”が大切であることを述べましたが、これからはグローバルで戦っていかなければなりません。イノベーション力がなく、現状維持と従来の価値観に囚われているファミリービジネスは、これからのビジネスシーンで生き残っていけないんです。

―――移り変わりの激しい世の中において、現状維持のままだと淘汰されてしまうわけですね…その上でファミリービジネスが、イノベーションを生み出すためにはどうしたらいいでしょうか?

ファミリービジネスにおいては、人材育成に注力をすることが重要です。イノベーションを実行するためには経営者の力や知識を高めなければいけないのですが、現場でイノベーションを実行するのは従業員です。

例えば、私がコンサルティングをしている中小企業では、従業員でDXをやってます。プログラミングの知識がない事務スタッフでも、Excelのマクロが分かればRPA(仕事の自動化プログラミング)のロボットが作れるんです。

ビジネスの現場は、技術的な進化もあり刻々と変わってくるので、DXを外部の人にに頼り切っているファミリービジネスは社会の変化について行けないでしょう。 そのため経営の意思決定者は、人材育成に力を入れて、現場からイノベーションを起こそうとする仲間を一人でも多く創出する必要があります。

―――一方でイノベーションできない会社の特徴はありますか?

イノベーションできない会社の特徴は2つあると考えています。

1つ目の特徴は、自分たちの伝統を大切にしすぎて、外部の情報や文化を受け止める勇気がないことです。 外部の情報を受け止めてから対応方法を判断するのではなく、情報をシャットダウンしてしまっていることが問題です。

仮に、継承者が時代の流れに合わせて事業を改善しようとし、先代に相談したとします。先代が継承者の意見を受け入れられないようなファミリービジネスは、おそらく成長がストップします。

2つ目の特徴は、プライドの高さです。 仕事を継続したきた自信やプライドがあるからこそ、既存の業種へ固執してしまうことです。

地域の伸びてるファミリービジネスは、プライドよりも地域に求められていることを分析し、アクションを取ります。そして時代の流れを的確にキャッチしているのも特徴ですね。

例えば、地方の商店街の和菓子屋さんに、「和菓子に拘って創業したんですか」と質問すると、「その時に和菓子が求められたから創業しただけで、和菓子以外の別のものでも良かった」っていう言葉が来たりするんです。

その時代・その地域に求められていることをしたケースかなと思います。
だから伝統はどこまで芯として残すのか、その伝統をどう表現を変えていくのかということの検討は、世代ごとに考えていかなければならないですよね。

―――地方の話が出てきましたが、ファミリービジネスでは地域の人との繋がりは大切な印象があります。

そうですね、ファミリービジネスと地域は親和性が高いので、切っても切り離せない関係です。地域の商店街はイメージしやすいのではないでしょうか。

一部の商店街が衰退した理由に、ショッピングモールやスーパーマーケットの進出の影響はゼロではありません。日本政府は一時期、*大規模小売店舗立地法で商店街を守ろうとしました。しかし、商店街はショッピングモールとかスーパーマーケットと戦う必要性は無かったんです。むしろ商店街では、商店街に関わる人同士がシナジーを生み出して商店会を盛り上げることが求められていたと思います。

なぜなら、ショッピングモールやスーパーマーケットと商店街は、訪れる人が求めているものが違うからです。

訪れる人たちは、人との繋がりや温かさを商店街に求めています。一方でショッピングモールとかスーパーマーケットは、お客様に商品を販売ための場という機会を提供しているという差異があるんです。

■大規模小売店舗立地法とは

1998年6月3日公布、2000年6月1日から施行された法律。大規模小売店舗の立地に伴う交通渋滞、騒音、廃棄物等に関する事項を定め、大型店と地域社会との融和を図ることを目的としています。



―――商店街の魅力って温かさ、繋がり、ノスタルジーですよね。

仰る通りですね。商店街は、都市計画の問題と言われていますが、アクセスが悪くても、盛り上がっている商店街はあります。盛り上がっている商店街は、自分たちでコミュニティを創り、血の通ったコミュニティをしていますーーー 住民の方々と一緒に商店街を盛り上げるのがひとつの価値であり、オンラインの時代であっても、人の温かみを嫌う人は少ないと思います。

―――確かに…人との繋がりを求めるのは、人の本質的な欲求ですね… ファミリービジネスならではの特徴を活かしながら、商品・サービスを提供するには何が重要なのでしょうか?

人々は、コモディティ化によって市場価値が低下し、一般的な商品として市場で販売されている安い商品を選びます。しかし人は、本当に質の高い商品やサービスを購入する際には、時間をかけてリサーチし、高額な金銭を支払ってでも購入しますよね。

このような背景を踏まえると、ファミリービジネスの特徴で大切なことは、コストはできるがきりかけずに、商品の値段は下げないことが重要になってきます。

ファミリービジネスは、ブルーオーシャンを狙えという意見もありますが、ブルーオーシャンであったとしても必ずレッドオーシャンなります。技術はすぐ取り入れられるので、これからはブルーオーシャンの期間はより短くなると思います。また新しいブルーオーシャンを作っていかなければならないという悪循環になります。

ファミリービジネスの進化と将来の展望にはGXへの対応が必須


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―――10年後、20年後のファミリービジネスのシナリオはどのように描かれると考えますか?

まず、経済の不確実性は高いので、財務体質が強くないファミリービジネスは衰退すると考えています。それだけではなく、最近の社会変化から言えるのは、環境問題などのサステナビリティに対応することがファミリービジネスには必須になってくるというものです。

2023年5月にGX推進法が成立しました。*GX推進法により、CO2を出す製品は二重に課税されるようになります。従来は、環境に良いものは、コストがかかる状況でしたが、今後は環境に悪いものにコストがかかる状態です。

このような背景を踏まえると、環境に良いものをつくるうえで、大企業が対応できないような製品や素材の提案をするようなファミリービジネスが伸びていくと考えています。大企業ができないような実証研究をして、中小企業からイノベーションを起こしていくという事例があります。

―――なるほど、世界的なカーボンニュートラルの推奨、製造業におけるCo2の排出量の規定など、環境負荷を軽減する方針もより強固になりそうですね。

そうですね、現実的な問題として地球環境問題は、今深刻な状況です。ただでさえ、日本はエネルギー、食料、資源においても自給自足ができず国外からの輸入に頼っている状況です。

また国内の問題に目を向けると、少子高齢化はさらに加速し、働き手も減っていきますよね。そのうえで、AIなどの技術進化は目まぐるしいスピードで成長していっています。

このような社会的な影響、技術進化によって法整備も変わる可能性もありますよね―― つまり国家、企業、国民が、これまで選択できていたことができなくなり、社会構造自体が、ガラッと変わって来る可能性が高いです。

ファミリービジネスに限った話ではないかもしれませんが、特にファミリービジネスでは、社会の移り変わりを理解・対応し、変化に対応するためのアクション・取り組みをし、社会に向けて何かしらの最適解や方向性を提案してくことが求められていくと思います。

■GX推進法とは

GX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた国際的な投資競争が加速する中で、2050年カーボンニュートラル等の国際公約と産業競争力強化・経済成長を同時に実現していくために制定された法律。「GX実現に向けた基本方針」に基づき、(1)GX推進戦略の策定・実行、(2)GX経済移行債の発行、(3)成長志向型カーボンプライシングの導入、(4)GX推進機構の設立、(5)進捗評価と必要な見直しを法定しています。



ファミリービジネスは全員で育てていくもの


研究概要
―――ファミリービジネスの存在の意義はどのような点にあるのでしょうか?

ファミリービジネスの意義をお話しする前に、非ファミリービジネスとファミリービジネスの比較をすると、両者の違いは会社の制度の仕組みということをお伝えしておきます。非ファミリービジネスは、合理的な会社の仕組みですが、ファミリービジネスは会社の仕組みに非合理な部分が含まれます。

ファミリービジネスには、人との温かみがある、社員が幸せであるという非合理的な言葉をキーワードに様々なことに挑戦するというファミリー性があります。そして、ファミリー性はイノベーションの役に立つと考えています。

なぜなら、企業は人が運営していますよね。人はロボットではないので、感情や思想を持っています。そのため合理性や正論だけでは、人は動かずイノベーションも生まれません。つまり経営層は、会社として目指すべき方向性やミッション・ビジョンを自分たちの言葉で伝え、一人ひとりの従業員が、自立自走できるだけのモチベーションを保てる環境を整えることが重要です。

仮に社員や顧客のニーズだけを捉えて、全部合理的に対応するような会社をつくると、ビジネスを続けることは可能だとしても、その企業が成長するのは難しいと考えています。

つまり、個人的な会見でもありますが、ファミリービジネスの存在意義は、イノベーションを起こすことだと考えています。

経済学もファミリービジネスと同様に、経済合理性だけで経済政策がうまくいくかどうかを判断すべきではないと考えています。

合理性とファミリー性が、うまく化学反応を起こすことで、よりよい社会になったり、日本からイノベーションを起こすような企業の誕生に繋がっていくと考えています。

―――最後に、ファミリービジネスを志す若手経営者や後継者に向けてのアドバイスがあれば教えてください。

実は、2024年から本学の経営学部にファミリービジネス専攻ができ、入試で後継者のご子息と会う機会があります。また、ファミリービジネスの若手経営者とお会いする機会もあるのですが、皆さんファミリービジネスをどう維持成長させていくのかっていうことをすごく悩まれています。

若手経営者や後継者の方にお伝えしたいのは、新しい時代に失敗してでも挑戦してほしいということです。

ファミリービジネスだけではありませんが、失敗がないと成功はありません。失敗した際は、新たに力をつければいいだけの話です。目の前のことを頑張りながら長期的な視野を持ち、ファミリービジネスの使命を通して欲しいなと思います。

―――最後のに読者の方へメッセージや「これだけは伝えたい」などはありますか?

そうですね、私たちのような研究職やファミリービジネスに該当する人たちだけではなくて、一人ひとりの消費者の方も参加して、ファミリービジネスを成長させてほしいという思いがあります。

企業は資本主義社会の中で、利益を出さないといけません。利益を出すことで、税金が支払われますよね―― そして税金は、日本の国力維持にも繋がっていきます。そのため企業として利益を追求することは、悪いことではありません。ですが、利益を追い求めるあまり従業員が、疲弊し生きる意味を忘れてしまうような現状も存在しています。

だからこそ、人を大切にするという特徴や人や地域に求められるソリューションを提供できるという特徴があるファミリービジネスが増えることは、社会的にも意義があると思います。ファミリービジネスが増加し、仕事はもちろん、何かしらの形で関わる人が増えれば社会的な幸福度だったり、個人の自己肯定感は上がっていくはずです。

社会に求められるファミリービジネスを生み出すためにも、消費者や取引先が、良くないなと思った製品サービスは指摘する必要があります。

消費者は企業をただのポジショントークで批判するのではなく、愛情を持って企業にフィードバックするというスタンスを大切にすると、ファミリービジネスは育っていくと思います。

新井那知
ライター
So-gúd編集部
新井 那知
埼玉県・熊谷市出身。渋谷の某ITベンチャーに就職後、2016年にフリーランスライターとして独立。独立後は、アパレル、音楽媒体、求人媒体、専門誌での取材やコラム作成を担当する。海外で実績を積むために訪れたニューヨークで、なぜかカレー屋を開店することに—-帰国後は、クライアントワークを通してライターとして日々取材や編集、執筆を担当する。料理と犬、最近目覚めたカポエイラが好き(足技の特訓中)。
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