京都議定書とは?採択・発効年、日本の成果とパリ協定との違い
公開日:2021年2月22日 / 最終更新日:2026年9月8日
京都議定書は、先進国などに温室効果ガスの排出削減目標を課した国際的な枠組みです。1997年に京都で採択され、2005年に発効しました。「採択」と「発効」、目標を定めた「約束期間」と条約自体の効力を分けると、その役割を理解しやすくなります。
この記事では、京都議定書の合意内容、日本の目標達成、課題とパリ協定との違いを解説します。2026年9月に公式資料を確認し、現在の日本の目標や米国の参加状況も補足しました。
京都議定書の採択・発効はいつ?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 採択 | 1997年12月11日、京都で開かれたCOP3 |
| 発効 | 2005年2月16日 |
| 第一約束期間 | 2008~2012年 |
| 第二約束期間 | 2013~2020年 |
採択は条約の内容に合意すること、発効は必要な条件が整って条約が効力を持つことです。京都議定書では、採択から発効まで約7年を要しました。
気候変動に関する最初の条約ではない
京都議定書に先立ち、国連気候変動枠組条約が1992年に採択され、1994年に発効しています。京都議定書は、この枠組条約の下で先進国などの具体的な削減目標を定めたものです。
どの国に、どのような目標があったのか
第一約束期間では、対象となる先進国・経済移行国などに、全体として1990年比で平均約5%の排出削減を求めました。すべての国が一律に5%削減するという意味ではなく、国・地域ごとに目標が設定されました。
日本の目標は、2008~2012年度の5年間を通じて、基準年(原則1990年)比で6%削減することでした。特定の1年間のCO2だけを比較する目標ではありません。
途上国に同じ数値目標を課さなかった背景には、各国の歴史的な排出責任と対応能力の違いがあります。「途上国の排出を問題と考えていなかったから」とだけ説明するのは不正確です。
第二約束期間と日本
2012年のドーハ改正は、2013~2020年を第二約束期間としました。ただし、第一約束期間と参加国の構成は同じではありません。日本は第二約束期間の数値目標には参加しませんでしたが、これは京都議定書そのものから脱退したという意味ではありません。
日本は6%削減目標を達成した?
日本の目標達成は、国連による審査を経て正式に決定され、環境省が2016年4月5日に公表しています。
この判定では、初期割当量、森林吸収源、海外からの京都メカニズムクレジットなどを使い、排出量に対応する数量を「償却」しています。償却とは、目標達成に使った排出枠やクレジットを再使用できないようにする手続きです。
したがって、「国内の排出量だけを6%減らした」という説明も、「海外の削減分を買っただけで達成した」という説明も、制度上の計算全体を表していません。国内の排出削減、森林吸収、クレジットの役割を分けて見る必要があります。
京都メカニズムの3つの仕組み
京都議定書は、国内対策を基本としつつ、補完的に国際的な仕組みを利用できるようにしました。
| 仕組み | 概要 |
|---|---|
| 国際排出量取引 | 制度の条件に従い、国同士で排出枠などを移転する |
| クリーン開発メカニズム(CDM) | 途上国での対象事業による排出削減などをクレジット化する |
| 共同実施(JI) | 削減約束を持つ国の間で事業を実施し、削減単位を移転する |
どの仕組みも、事業を実施したと主張すれば無条件に削減分として使えるものではありません。登録・検証・記録のルールがあり、同じ削減量を重複して使わない管理が必要です。
京都議定書は失敗だったのか
評価するには、少なくとも「参加国が約束を守ったか」「世界全体の排出を十分に減らせたか」「その後の国際制度に何を残したか」を分けて考える必要があります。国内目標の達成だけで、地球温暖化の問題が解決したとはいえません。
京都議定書は、数値目標や排出量の報告・審査、国際取引の管理を制度化した一方、数値目標を負う国が限られました。こうした対象範囲の限界が、より広く各国の取り組みを求める枠組みを考える論点となりました。
米国は「批准しなかった」
米国は京都議定書に署名しましたが、批准しませんでした。締約国として参加してから脱退したと説明するのは正確ではありません。
パリ協定との違い
パリ協定は2015年12月12日に採択され、2016年11月4日に発効した国際条約です。長期的な気温上昇を工業化以前より十分に2℃未満に抑え、1.5℃に抑える努力を追求する目標を掲げています。
| 比較点 | 京都議定書 | パリ協定 |
|---|---|---|
| 削減目標への参加 | 対象となる先進国などに数値目標 | すべての締約国がNDCを作成・提出・維持 |
| 目標の決め方 | 約束期間ごとの国別目標 | 各国が自国の目標・計画を決定し、5年ごとに提出 |
| 義務の性格 | 対象国の数値目標に法的拘束力 | NDCの提出・維持や国内対策の追求、報告などに義務 |
パリ協定のNDCの数値目標達成は、京都議定書と同じ形で法的に義務づけられているわけではありません。ただし、パリ協定自体に法的な義務がないという意味ではありません。
2026年時点の米国と日本
米国のパリ協定からの脱退は、2026年1月27日に効力を生じました。2026年9月の確認時点では、米国はパリ協定の締約国ではありません。京都議定書の未批准とは別の経緯です。
日本は2025年2月に提出したNDCで、2013年度比で2035年度に60%、2040年度に73%の温室効果ガス削減を目指すとしています。これらは将来の目標であり、達成済みの実績ではありません。また、京都議定書の6%目標とは基準年が異なります。
出典:環境省:日本のNDC
京都議定書は2020年に失効した?
2020年に終わったのは第二約束期間です。約束期間の終了と、条約そのものの失効は同じではありません。外務省も、京都議定書は約束期間とは別に効力を持つことを説明しています。
一方、制度の運用は段階的に整理されています。UNFCCCは、国際取引ログ(ITL)の運用を2026年3月31日に終了する日程と、その後の登録簿への影響を案内しています。過去の京都メカニズムを、そのまま現在も利用できる制度として紹介しないよう注意が必要です。
出典:UNFCCC:2026年の国際取引ログの運用終了に関する案内
今も気候変動対策が必要な理由

WMOが2026年3月に公表した2025年の報告では、2025年の世界平均気温は1850~1900年平均より約1.43℃高く、観測史上2番目または3番目に高い年でした。これは単年の値であり、パリ協定の長期的な気温目標の達成・未達を単年だけで判定する数字ではありません。
私たちにも、無理なく続けられる行動があります。使っていない電気を減らす、必要な量だけ買う、使えるものを修理する、利用可能な公共交通を選ぶなど、生活環境に合った方法を考えてみましょう。
電力プランを選ぶ場合は、料金や契約条件に加え、発電の構成と環境価値の証書の説明を確認してください。認証マークも、その対象と基準を理解して選ぶことが大切です。こうした個人の行動とともに、国や企業が掲げた目標と実績を継続して確かめる視点も必要です。
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