地球が直面する12の環境問題|現状・原因と私たちにできること
公開日:2020年12月31日 / 最終更新日:2026年9月8日
地球温暖化、森林の減少、水や土壌の汚染。環境問題はそれぞれ独立しているように見えて、食料の生産やエネルギーの使い方、日々の消費を通じてつながっています。
この記事では、代表的な12のテーマを取り上げ、現状と原因、対策を整理します。数字は「いつ発表されたか」と「いつの状況を調べたか」を区別して紹介します。2026年9月に情報を確認・更新しました。
世界で起きている12の環境問題
1.地球温暖化・気候変動
石炭・石油・天然ガスの使用や土地利用の変化などで温室効果ガスが増えると、地表から放出される赤外線が吸収・再放射され、地表や大気が温まります。IPCC第6次評価報告書は、人間の影響が大気・海洋・陸域を温暖化させてきたことに疑う余地はないと評価しています。
WMOが2026年3月に公表した報告では、2025年の世界平均気温は1850〜1900年の平均より約1.43℃高く、観測史上2番目または3番目に高い年でした。単年の気温と、パリ協定の長期的な気温目標は同じ指標ではありません。
対策には、電力・交通・産業などで排出量を減らす「緩和」と、熱中症対策や防災など、影響に備える「適応」の両方が必要です。
出典:IPCC「Climate Change 2021」政策決定者向け要約
出典:WMO「State of the Global Climate 2025」(2026年公表)
2.海面上昇
海水が温まって膨張することや、陸上の氷河・氷床が融けて海に流れ込むことが、世界平均の海面上昇の主な要因です。沿岸では高潮や浸水、海岸侵食、地下水への塩水の侵入などのリスクが高まります。
地域ごとの影響は、海面の変化だけでなく地盤沈下や防災設備にも左右されます。「何年までに都市全体が水没する」と一律に断定することはできません。海面上昇は長期間続くため、排出削減に加えて、沿岸の土地利用や避難計画、必要に応じた移転の検討も重要です。
出典:IPCC「Climate Change 2021」技術要約(海面上昇)
3.森林火災
森林火災には落雷や人間による出火が関わり、延焼には乾燥、高温、風、燃えやすい植物の蓄積などが影響します。気候変動は火災が起きやすい気象条件を強めることがありますが、すべての火災を温暖化だけで説明することはできません。
UNEPとGRID-Arendalの2022年報告は、気候変動と土地利用の変化による極端な火災リスクの増大を指摘しています。消火だけでなく、地域に応じた森林管理、早期警戒、出火防止、住民の避難体制を整えることが求められます。
4.砂漠化・土地の劣化
砂漠化とは、乾燥・半乾燥・乾燥半湿潤地域で、気候の変動や人間の活動によって土地の生産力などが低下することです。既存の砂漠が広がることだけを指す言葉ではありません。
過度な耕作や放牧、森林の伐採、不適切な灌漑などが土壌の流出や塩類の蓄積を招くことがあります。地域に合った水・土壌・植生の管理を行い、農業者や住民とともに劣化を防ぎ、回復させる取り組みが必要です。植林だけですべての土地が回復するわけではありません。
5.猛暑・豪雨などの極端な気象
IPCCは、人間が引き起こした気候変動が、世界各地で猛暑や大雨などの極端な現象に影響していると評価しています。ただし、影響の強さや確かさは、現象の種類と地域によって異なります。
ある一つの豪雨や干ばつについて原因を判断するには、その現象を対象にした分析が必要です。長期的な排出削減とともに、気象情報やハザードマップを確認し、避難先や連絡方法を決めておくことが備えになります。
6.森林減少
森林を農地など別の用途へ転換すると、野生生物のすみかや炭素の貯蔵、水循環を支える働きが失われます。伐採されたすべての場所が永久に森林でなくなるわけではないため、森林減少と、一時的な伐採・再生も区別する必要があります。
FAOの「世界森林資源評価2025」によると、2015〜2025年の森林減少面積は世界で年平均約1,090万ヘクタール。森林の拡大を差し引いた純減面積は年平均約412万ヘクタールです。いずれも世界全体の森林の数字で、熱帯林だけの面積や2025年単年の値ではありません。
森林の保全には、違法な転換の防止、調達先の確認、持続可能な森林管理、地域の生態系に応じた再生が必要です。詳しくは森林破壊の現状と原因の記事もご覧ください。
出典:FAO「Global Forest Resources Assessment 2025」公表資料
7.オゾン層の破壊
成層圏のオゾン層は、太陽から届く有害な紫外線を吸収します。フロン類などのオゾン層破壊物質への国際的な規制が進み、回復に向けた効果が確認されています。
WMOが2025年に紹介した2022年の科学評価では、現在の政策が維持されれば、1980年の水準への回復は南極で2066年ごろ、北極で2045年ごろ、それ以外で2040年ごろと予測されています。これは条件付きの見通しで、すでに全面的に回復したという意味ではありません。
冷蔵庫やエアコンなどを処分するときは、地域や製品に応じた正規の回収ルートを利用し、冷媒を適切に回収してもらいましょう。
8.海洋プラスチック汚染

適切に回収・処理されないごみなどが河川や海へ流出すると、生物の誤飲や絡まり、生息環境の悪化につながります。UNEPは、毎年約1,900万〜2,300万トンのプラスチック廃棄物が水域の生態系へ流出すると紹介しています。湖・川・海を合わせた推計で、海だけへの流出量ではありません。
微細なプラスチックの健康影響については、WHOの2022年評価でも研究上の不確実性や不足が指摘されています。「誰もが毎週クレジットカード1枚分を食べている」と一律に断定する説明は適切ではありません。
不要な使い捨てを減らし、繰り返し使えるものを長く使うこと、地域の分別・回収ルールを守ることが対策になります。詳しくは海洋汚染の記事で紹介しています。
出典:UNEP「Plastic Pollution and Marine Litter」
出典:WHO「ナノ・マイクロプラスチックへの曝露と健康影響の評価」(2022年)
9.水質汚染と安全な水へのアクセス
生活排水、工場からの排水、農業由来の汚濁などは、管理が不十分だと川・湖・地下水の水質を悪化させます。汚染を減らすには、発生源の対策に加え、下水処理や水質の監視が欠かせません。
WHO・UNICEFが2025年に公表した報告では、2024年時点で約21億人が「安全に管理された飲料水サービス」を利用できていませんでした。この指標は水質だけでなく、敷地内で利用でき、必要なときに水が得られることも含みます。21億人全員が水質汚染だけによって困っているという意味ではありません。
油や薬品を排水口に流さず、製品や自治体の案内に従って処分することも、水環境を守る行動の一つです。
出典:WHO・UNICEF「Progress on household drinking water, sanitation and hygiene 2000–2024」(2025年公表)
10.土壌汚染
有害な物質が土壌に含まれる場合、その土を直接取り込んだり、物質が溶け出した地下水を飲んだりする経路を通じて健康に影響するおそれがあります。環境省は、汚染の存在だけでなく、人が有害物質に触れる経路を管理することが重要だと説明しています。
汚染が疑われる土地では、自己判断で土を動かしたり用途を変えたりせず、自治体の担当窓口や専門家に相談することが大切です。企業には汚染の防止と適切な調査・管理が求められます。
11.人口の変化と資源消費
国連の「世界人口推計2024」は、世界人口を2024年に約82億人と推計し、将来の人口には複数の見通しを示しています。人口の増加は、水・食料・住まい・エネルギーを確保するうえで考慮すべき要素です。
ただし、環境負荷は人口だけで決まりません。一人あたりの消費量、生産方法、廃棄の量、資源の分配によっても変わります。特定の国や人々の人口増加だけを問題視せず、過剰な消費や食品ロスの削減と、誰もが必要なサービスを利用できる社会づくりを合わせて考えましょう。
出典:国連DESA「Focus on the future of the global population」
12.生物多様性の損失

生物多様性は、生態系、種、遺伝子の多様さを含みます。生息地の改変や過剰な利用、気候変動、汚染などが、生き物とそれを支える環境に圧力をかけています。
WWF「生きている地球レポート2024」では、1970〜2020年に、調査対象となった野生の脊椎動物の個体群の大きさが平均73%減少したと報告しています。全動物の73%が死んだ、あるいは生物種の73%が絶滅したという意味ではありません。
生息地を保全し、持続可能な方法で資源を利用することが必要です。身近な場所でも、野生生物をむやみに捕獲しない、飼育している生き物を自然へ放さないなど、生態系への影響を考えた行動ができます。
出典:WWF「Living Planet Report 2024」公表資料(指標の定義を含む)
アマゾンの状況はどう変わっている?
アマゾンの森林減少や火災は、生物多様性、水循環、炭素の貯蔵に関わる問題です。ただし、森林減少面積と火災件数は別の指標であり、「毎年必ず過去最悪」とまとめると実態を見誤ります。
ブラジル国立宇宙研究所(INPE)が2026年8月18日に公表したPRODESの確定値では、ブラジルの法定アマゾン地域の2025年森林減少面積は5,731平方キロメートルで、前年から12.07%減少しました。対象期間は2024年8月〜2025年7月です。アマゾン全域の値や火災の焼失面積ではありません。
減少幅が改善しても、森林が失われ続けていることには変わりありません。既存の森林を守る取り組みと、違法な伐採・土地転換への対応、地域住民の暮らしを支える取り組みを続ける必要があります。
出典:INPE「2025年アマゾン森林減少面積の確定値」(2026年8月公表)
私たちにできること
環境問題には、個人の工夫に加えて、企業の生産・調達方法や、行政の制度・インフラの改善が必要です。生活の中では、無理なく続けられる行動から取り組んでみましょう。
- 買う前に考える:必要な量を選び、持っているものを修理しながら長く使う。
- 食品ロスを減らす:買い物前に在庫を確認し、食べきれる量を調理する。
- エネルギーの無駄を減らす:使っていない照明や機器を見直し、可能な範囲で公共交通や徒歩を選ぶ。暑い日は健康を優先して冷房を使う。
- 水やごみを適切に管理する:節水に加え、油・薬品・電池などを自治体や製品の指定する方法で処分する。
- 表示の根拠を見る:「環境にやさしい」という言葉だけでなく、対象の素材・工程・認証・実績を確認する。
- 地域や社会の取り組みに参加する:安全に参加できる清掃活動や自然保全、自治体の環境施策への意見提出など、自分に合った方法を選ぶ。
一度にすべてを変える必要はありません。正確な情報をもとに選択し、行動を続けることが、社会の仕組みを変える後押しになります。具体的な生活の工夫は環境にやさしい暮らしの記事でも紹介しています。
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