森林破壊とは?世界と日本の現状・原因・影響と私たちにできる対策
公開日:2021年2月1日 / 最終更新日:2026年9月8日
森林破壊は、木材だけでなく、食品や日用品の原料調達にも関係する問題です。一方で、木を伐る行為がすべて森林破壊に当たるわけではありません。森林の転用、適切な伐採と再造林、火災による一時的な被害を分けて考えることが大切です。
この記事では、世界と日本の現状、原因、暮らしへの影響、私たちにできる対策を解説します。2026年9月に公式資料を確認し、世界の数値はFAOの2025年評価、企業事例などは確認できた2025~2026年の情報を反映しています。
森林破壊とは?森林減少と伐採の違い
森林破壊という言葉は、森林の消失や生態系の劣化を広く表す場合があります。統計上の「森林減少(deforestation)」は、森林を農地などの別の用途へ転換することなどを指します。伐採後に森林として再生させる場合は、伐採面積をそのまま森林減少面積として数えるわけではありません。
また、森林の面積が残っていても、生物の生息環境や土壌などが損なわれる「森林劣化」は起こり得ます。面積だけでなく、森の状態と管理方法を見る必要があります。
世界の森林破壊の現状
2025年評価:森林減少と純減を混同しない
FAOの世界森林資源評価2025によると、世界の森林面積は約41億4,000万haで、陸地の約32%を占めます。2015~2025年の年平均では、森林減少は約1,090万ha、植林や自然な森林拡大を差し引いた森林面積の純減は約412万haでした。
| 指標 | 2015~2025年の年平均 | 読み方 |
|---|---|---|
| 森林減少 | 約1,090万ha | 森林が別用途などへ変わって失われる面積 |
| 森林拡大 | 約678万ha | 植林や自然な拡大によって増える面積 |
| 森林面積の純減 | 約412万ha | 減少から拡大を差し引いた結果 |
これは10年間の平均であり、2025年だけの被害面積ではありません。世界全体の森林減少の速度は1990年代より緩やかになっていますが、森林の喪失は続いています。また、植林で面積が増えても、失われた天然林の生物多様性が直ちに取り戻されるとは限りません。
ブラジルのアマゾン:2026年8月公表の確定値
ブラジル国立宇宙研究所(INPE)は2026年8月18日、ブラジルの法定アマゾン地域における2025年の森林減少面積の確定値を5,731km²と公表しました。対象は2024年8月1日~2025年7月31日で、前年の6,518km²から12.07%減少しています。
この値はブラジルの対象地域についてのPRODESの年間観測で、南米のアマゾン全域の面積や、すべての火災・樹木被害を合計したものではありません。減少ペースが改善したことと、森林破壊がなくなったことも区別しましょう。
出典:INPE:2025年の森林減少確定値(2026年8月18日公表)
森林破壊の主な原因
FAOの衛星調査では、2000~2018年の世界の森林減少の約9割が農業の拡大に関連していました。これは原因を分析した期間の値であり、2025年の割合ではありません。地域によって農地、放牧地、木材利用、開発などの影響は異なります。
出典:FAO:FRA 2020衛星調査(対象期間2000~2018年)
農地やプランテーションへの転用

食料や原料の生産のために、森林が農地や大規模な農園へ転用されることがあります。東南アジアではアブラヤシなどの栽培と森林保全の両立が課題です。ただし、特定の作物を使うこと自体が必ず森林破壊を起こすのではなく、どこで、どのように生産されたかが重要です。
パーム油については、食品・日用品での使われ方と認証を解説した記事もご覧ください。
畜産・飼料生産のための土地の拡大
牛などを飼う放牧地や、家畜の飼料を育てる農地への転用も要因です。木材の消費だけでなく、食品の生産地や調達方針を確認することにも意味があります。
過剰・違法な伐採と、その後の土地利用
生態系への影響を考えない伐採や違法伐採は、森の劣化や消失につながります。一方、適切に管理された森林で木材を利用し、更新・再造林を行うことまで一律に否定する必要はありません。伐採方法、その後の管理、原産地の追跡が判断のポイントです。
火災と土地管理

火災は森林を損なう要因ですが、出火の原因には人の活動や落雷などがあり、すべてを地球温暖化だけで説明することはできません。高温や乾燥は火災が広がりやすい条件をつくり、土地管理の状況も被害に関係します。火災後に森林が回復する場合もあるため、焼失面積と恒久的な森林減少面積は同じではありません。
焼畑についても、利用の周期や休閑期間、土地の条件を確認する必要があります。先住民か移住者かという属性だけで、持続可能性を決めつけることはできません。
森林破壊が自然と暮らしに与える影響

生き物の生息地と生物多様性への影響
森林の消失や分断は、そこにすむ生き物の生息地や移動経路を奪います。森林が残っていても、その質が低下すれば生物への影響は起こります。地域固有の生き物を守るには、残された森の保全も必要です。
水・土壌・食料などへの影響
森林は水や土壌の保全などに関わり、私たちの生活を支えています。また、作物の生産はミツバチを含むさまざまな送粉者の働きに支えられています。ただし、依存の程度は作物によって異なり、「ミツバチがいなくなると、挙げられた食品がすべて消える」という単純な関係ではありません。
気候変動との関係
森林の樹木や土壌には炭素が蓄えられています。伐採・焼却・土地の転用は、その炭素の放出や、将来の吸収能力の低下につながることがあります。森林を守る取り組みと、化石燃料由来の温室効果ガスを減らす取り組みは、どちらも必要です。
感染症リスクとの関係
土地利用の変化によって野生動物、人、家畜の接触の仕方が変わり、人と動物に共通する感染症のリスクに影響することがあります。ただし、特定の感染症を森林破壊だけの結果と断定することはできません。
日本の森林と木材利用の現状
森林面積はほぼ横ばいでも、管理は必要
林野庁の令和7年度森林・林業白書によると、日本の森林面積は2022年3月末時点で約2,502万ha、国土の約3分の2です。長期的にはほぼ横ばいですが、それだけで国内に森林の劣化や管理上の課題がないとはいえません。
森林蓄積は同時点で約56億m³で、人工林を中心に増えてきました。蓄積の増加を輸入材への依存だけで説明するのではなく、戦後に造成された人工林の成長なども踏まえる必要があります。伐採、再造林、間伐、天然林の保全を場所の条件に応じて進めることが重要です。
国産材も使われている:木材自給率は2024年42.5%
同白書に掲載された2024年の木材自給率は42.5%です。「日本では国産材を滅多に使わない」という説明は適切ではありません。輸入材も国産材も使われており、価格だけでなく、用途や供給体制などによって調達が決まります。
国産なら必ず持続可能、輸入材なら必ず森林破壊につながる、とはいえません。産地と合法性、森林管理の状況を確認しましょう。
森林を守る制度と国際的な取り組み
SDGsゴール15「陸の豊かさも守ろう」
SDGsのゴール15は、森林の持続可能な管理、生態系の保全、劣化した土地の回復などを扱います。個別目標15.2の森林減少の阻止などは期限が2020年とされており、すべての個別目標の期限が2030年というわけではありません。期限を過ぎても、達成に向けた取り組みが必要です。
RSPO:持続可能なパーム油の認証
持続可能なパーム油のための円卓会議の略称はRSPOです。生産者、企業、NGOなどが関わり、持続可能な生産・調達を進めます。認証油の分別管理、マスバランス、クレジット購入など方式が異なるため、認証表示だけで「商品中の油がすべて分別された認証油」と判断しないようにしましょう。
FSC®:森林管理と流通を確認する
FSC認証は、責任ある森林管理と林産物の調達・流通に関する制度です。製品ラベルにはFSC 100%、FSCミックス、FSCリサイクルがあり、原料の構成や扱いが異なります。紙製の包装に付いたマークが、包装の中身まで認証しているとは限りません。
企業の取り組みと、終了したサービス
TreeCard:現在利用できるサービスとしては紹介しない
旧稿で紹介していたTreeCardのデビットカード事業は、公式発表で2023年10月9日の終了が案内されました。その後のTreecardアプリも、公式ヘルプによると2026年4月16日に終了しています。「支払いで植林に貢献できるカード」として新規利用を勧める情報は、現在の案内として適切ではありません。
スターバックス:コーヒー農家支援と森林保全への配慮
スターバックスは2026年3月26日、農家へのコーヒーの苗木の寄贈が累計1億本に達したと発表しました。Conservation Internationalと協力し、森林保護や日陰の管理、農家の権利への配慮などをプログラムに組み込んでいます。
これは農園の更新・生産性向上を支える取り組みであり、「天然林を1億本分回復させた」という意味ではありません。さらに5,000万本を寄贈する計画は、発表時点の実績と区別します。
出典:スターバックス:2026年3月の苗木寄贈・農家支援の発表
IKEA:FSC認証材または再生材の比率を公表
IKEAは2025会計年度(2024年9月~2025年8月)について、製品と包装などの間接材料に使う木材全体の96.5%がFSC認証材または再生材だったと公表しています。「FSC認証材だけで96.5%」ではなく、2種類を合わせた数字です。企業の方針に加えて、対象範囲や実績年度も確認することが大切です。
森林破壊を防ぐために私たちにできること

必要な量を買い、長く使う
家具を修理して長く使う、紙の無駄を減らす、食品を買い過ぎないなど、資源を無駄にしない選択から始められます。認証品であっても、不要なものまで大量に買う必要はありません。
調達方針と認証の対象を確認する
木材・紙のFSCラベル、パーム油の認証や調達方針、食品メーカーの森林保全方針などを確認しましょう。国名や素材名だけで良し悪しを決めず、具体的な基準や報告を読むことが役立ちます。
植林の本数だけで支援先を選ばない
森林保全への寄付や地域の活動への参加も方法の一つです。支援先は、植える場所や樹種、地域住民の権利、植えた後の管理・生存率、活動報告の有無などで比較しましょう。日本にも森林の整備・保全の課題があり、「国内より海外の植林を優先すればよい」とは限りません。
木を植えることに加えて、今ある森林を守ること、適切な管理を続けること、気候変動への対策を進めることが必要です。日々の消費と森とのつながりを知り、無理なく続けられる行動を選んでみてください。
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