2023.07.11

【後編】スタイルマッチでHR領域に革命を生む、No Companyが提供する採用マーケティング支援とは?


前編では、「株式会社No Company(ノーカンパニー)」の概要やサービスの強み、秋山氏の起業のきっかけについて語ってもらった。後半では昨今の採用トレンドや採用ニーズの変化、将来の採用領域の可能性についてお話を聞いてきた。

株式会社No Companyは、SNS上のビッグデータから最新の「学生/求職者インサイト」「自社/競合イメージ」「採用トレンド」などを分析し、各企業に合った採用マーケティングの戦略立案から、求める人材からの認知・興味獲得につながるオンライン施策の実行まで一気通貫で支援している企業だ。

今回は、株式会社No Company・代表取締役社長の秋山氏を取材。人材採用における課題や将来的な採用のニューノーマル、採用ニーズの変化などについてお話を伺った。

秋山 真氏,No Company, inc.,株式会社NoCompany
インタビューイー
秋山 真氏
No Company,inc.
代表取締役社長
2016年に新卒で博報堂グループのスパイスボックスに入社、2年間のデジタルマーケティング・プロデューサーを経験。2018年に採用コミュニケーション事業を立ち上げ。2021年にNo Companyを28歳で設立し代表取締役に就任。博報堂グループで唯一の採用マーケティング支援会社として、独自のSNSデータ分析ツール「THINK for HR」を起点に、企業の採用活動における戦略立案や実行をサポート。


採用(HR領域)で大切なのは、企業側が「どこで」「何を」発信するか。


ソウグウ,株式会社NoCompany,No Company,inc.

―――ここまで、御社の概要やサービスの強み、企業のきっかけなどのお話をお伺いしてきました。ここからは、採用領域(HR)のトレンドやニーズの変化について、お話をお伺いしたいと思います。特にリツイートや「いいね」数が多い投稿の傾向やトレンドなどあるのでしょうか?

ありがとうございます。大きく2つに分類できます。

1つは「どこで発信するのか」2つめは「何を発信するのか」という視点です。まずは「どこで」発信するかという視点で回答すると、実はTwitterが非常に重要な役割を果たしています。これは、アンケート結果からも明らかで、就活生の中にはTwitterを頻繁に見ている人が多いです。

ソウグウ,株式会社NoCompany,No Company,inc.

一般的にTwitterは、情報収集能力の高いビジネスマンや年齢層が高い人たちが使っているイメージがあるかもしれません。ですが就活生の情報収集ツールとしても非常に多くの学生がTwitterを使用しているんです。そのため、企業はTwitterでエンゲージメントを得られるコンテンツを発信することが、採用において重要な戦略となります。

「ターゲット×訴求の設計」の難易度が上がる時代へ――


ソウグウ,株式会社NoCompany,No Company,inc.

―――なるほど…昨今、若い世代の方は、InstagramかTikTokのイメージがありましたが、Twitterなんですね!また求職者のニーズ変化については、どのように感じていますか?

2つ大きなユーザー変化のポイントがあります。1つ目は、働き方やキャリア感が多様化している点です。リモートワークのような新しい働き方だけでなく、キャリア観も多様化しています。

例えば、新卒入社の1社目で定年退職まで働くキャリアより、転職を前提としてキャリアを積んでいくという方法が当たり前になっていますね。さらに雇用形態も正社員だけではなく、業務委託、ダブルワークなども一般的になってきています。

働き方とキャリア感が多様化するなかで、企業側からすると、自社の魅力をどのように、誰に発信すべきか、「ターゲット×訴求の設計」の難易度が高まってきています。

――確かにそうですね…Z世代は特に新卒で入社した後2~3年で転職する前提だという話も聞いたことがありますし…

新卒採用で言えば、一昔前まで企業は就活サイトのフォーマットに沿った内容を学生向けに一斉配信するのが一般的でした。そして学生は、そのフォーマット化された情報の中からエントリーする企業を選択していました。しかし、今は価値観が多様化しているため、一斉配信型の情報だけでは学生が知りたい情報を網羅的に満たすことができません。

自社のターゲット像を明確にした上で、そのターゲットに響く情報を戦略的に考えて発信する必要があります。このような施策が成功して初めて、企業が学生から選ばれることに繋がるんです。また、SNSやブログなど、求職者にとっての情報収集方法が多様化しています。そのため企業にとっては、ターゲットに情報を届けるための導線設計も高度化していますね。

―――確かに、採用系のメディアだけではなく、SNSやYouTubeなどの動画プラットフォーム、口コミサイトのように求職者が情報収集する方法は増えましたよね…。その分何を判断軸にして良いかわからない部分もありますが…

そうですね。実際、大手ナビサイトやエージェントを通じての採用だけでは対応しきれなくなった、というクライアント様からの相談を頻繁に受けますね。

企業側の価値観やコアバリューの発信が重要。


ソウグウ,株式会社NoCompany,No Company,inc.

――採用業界もある種、過渡期になってきているような印象を受けました。5年後、10年後の未来には、採用領域はどのように変化していくのでしょうか?秋山さんが、見える世界観について教えてください。

我々のミッションにも重なる部分があるんです。我々は、「スタイルマッチで、組織と人を変えていく」というミッションを掲げています。

「スタイルマッチ」とは、仕事内容や給与といった雇用条件だけではなく、働く人と企業のスタイル、価値基準や価値観を基に、求職者と企業が選び、選ばれる関係性になって、マッチングしていくことを指しています。

私たちはこれらを企業のA面とB面という表現をしています。A面は給料や福利厚生、勤務地などの雇用条件に関する情報です。一方でB面は、働く人や企業のスタイル、価値基準、企業が本当に大切にしているコアバリューなどの情報のことです。

もちろん求職者にとっても企業にとっても、A面でのマッチングも重要です。これに加えて、求職者がB面の情報に興味を持ち、スタイルマッチしていくことがこれからの世の中では非常に重要だと考えています。

―――なるほど…確かに給料面や福利厚生面だけに魅力を感じて、入社しても企業雰囲気や大切にしていることとマッチングしないと、働いていても苦しくなるだけですよね。

おっしゃる通りです。これから企業が採用活動をアップデートするためには、B面の情報を的確に発信し、スタイルマッチを増やす取り組みが重要だと思っています。

働き方やキャリア観が多様になっている今、求職者は企業のB面の情報を重視して就職活動や転職活動に取り組んでいるんです。そして、実際にスタイルマッチをして入社した方はその企業で働く理由が明確なので、本質的にマッチしていない人に比べてパフォーマンスを発揮しやすいと考えています。

企業がA面だけではなく、自社が大切にする価値観に関するB面の情報を積極的に発信することで、会社の考え方に共感して入社する人が増え、入社した人が会社で活躍しやすくなると考えています。

「人的資本経営」が未来の経営を変える。


ソウグウ,株式会社NoCompany,No Company,inc.

―――企業側もこれまで以上に、自分たちの企業の本質を理解して、発信していくことが重要になるわけですね。企業にとってもハードルが上がると思うのですが、その点はどのようにお考えですか?

おっしゃる通りで、企業側のハードルは上がっていきますね。ですが、だからこそ私たちが、企業側のサポートをする価値が生まれてくると思うんです。

我々がこれまでご支援した企業様のケースでも、企業様自身が気がついていない情報・魅力は数多くあり、採用コンテンツ化する価値の高い情報がたくさん眠っていたりします。

―――なるほど…自分たちでは気がつかない価値を発見できるんですね。

そうですね。我々が提供するThink for HRのサービスを利用することで、より効率的に、そして自社だけでは見つけられなかった魅力が発見できます。

最近、国内では「*人的資本経営」という言葉が注目を集めています。日本の場合、先進国に比べて企業で働く従業員のエンゲージメントが非常に低い傾向があります。

こうした背景から、国が上場企業に対して人的資本の情報開示を義務付け、2023年1月31日に内閣府令の施行により有価証券報告書における開示義務が開始されました。開示情報には、「女性の管理職比率」や「男性育児休業取得率」、「男女間賃金格差」などがあります。

人的資本の開示について、現状は、統合報告書や有価証券報告書で該当項目の数値だけを開示して終わる企業が多い状況です。本来、開示項目に関わる組織ビジョンや人材戦略、企業カルチャーを併せて発信することで、会社が大切にしている価値観を伝えたり、成長性をアピールしたり、信頼を醸成することができるのに、そうした取り組みをする企業はまだ少数です。つまり企業が適切な方法を見つけられていない、と言えるかもしれません。

しかし、今後こうした開示情報が浸透していくと、人的資本に関する情報発信を対外的なブランディングにつなげようとする企業は必ず増えていくはずです。

当社は、採用ターゲットに共感されやすい情報発信を行う採用マーケティングに強みを持つ会社なので、各企業が求職者向けに所有する人的資本の価値を分かりやすい形で伝え、ブランディング向上に繋げていくことが専門領域となっています。今後は、この人的資本に関するブランディング支援にも力を入れていく予定です。

人的資本経営とは

人的資本とは、人が持つ能力を、「モノ」や「カネ」と同様の資本として捉える経済学用語です。具体的には個人が持つ能力・才能・技能資格・資質など、価値を生み出すことができる資本を指します。 近年は、企業の市場価値を構成する要素として、モノやカネのような有形資産よりも、知的財産のような無形資産が占める割合が増えてきています。人が持つ能力や才能が企業の知的資産となり、企業の価値や競争力に直結しているとの考え方がグローバル企業を中心に広がっています。





「スタイルがいきる社会」の実現を目指して―――


ソウグウ,株式会社NoCompany,No Company,inc.

―――ありがとうございます。秋山さんがこれから挑戦したいことは何ですか?

これから挑戦したいことは、2つあります。

1つ目は、現状提供しているサービスのさらなる強化です。データを基にした採用トレンドの把握を自動化したり、コンテンツの制作から発信までをより効率的に行えるように体制をアップデートしていきたいと考えています。そうすることで1社でも多くの企業をサポートし、企業と個人がスタイルでマッチングできる世界を広げていきたいと考えています。

今後は、今まで以上に雇用の流動性が上がり、キャリア観や働き方が多様化していきます。その中で、採用マーケティング手法も同様に高度化していく必要があるんです。企業と求職者の溝を埋める部分は弊社が担当して結果に繋げ、企業の採用担当者の方には空いた時間で経営者や従業員、候補者とより密にコミュニケーションを取っていただきたいと思っています。

採用ステップのなかで求職者と企業がコミュニケーションに十分な時間を取り、しっかりと意思疎通することが、企業と採用者とのミスマッチを防ぎ、企業で活躍する人を増やすことに繋がると考えているからです。

そして2つ目は、中長期的な目標ですが、私たちのビジョンである「スタイルがいきる社会」の実現です。「スタイルがいきる社会」は、個々の人の個性やオリジナリティがいきる社会を作り上げたいという想いから生まれた言葉です。

同じ人間なのに、会社に合わせるために仕事とプライベートを分けて「別人格」になる必要はないと思うんです。ですが、今の日本企業のスタンスや働き方のままだと、どうしてもプライベートと個人の人格を隔てながらの就業が求められがちです。

このような背景から働く人が、自分の個性を大切にしながら企業で働ける社会の実現を目指していきたいと考えています。現在は、弊社のソリューションを通した企業支援が中心ですが、将来的には働く人の個性が活きる社会を実現するために、企業だけではなく個人に対する取り組みもはじめたいと思っています。

―――ありがとうございます。最後に秋山さんにとってノーカンパニーとはどのような存在ですか?

「スタイルがいきる社会」、「スタイルマッチで組織と人を変える」という世界を実現するためのプラットフォームですね。同じミッションやビジョンを持った仲間たちと繋がれる場所でもあります。これからも、仲間たちと企業と採用者の課題を解決し、スタイルマッチが生きる社会の実現に向けて精進していきたいと思っています。

【前編の記事を読む】

株式会社No Companyの詳細を見る

<編集後記>

今回の取材を通して感じたことは、株式会社No Companyが取り組むスタイルマッチは、間違いなく人材採用のニューノーマルになるということだ。年収や企業のブランド名、役職、福利厚生を軸にして企業を選択するのも重要だが、昨今では企業のコアバリューやパーパスなおどの企業のB面が重視される時代になった。

“働く”という時間は、人生において貴重な時間であり、人格の創造に繋がる時間でもある。もし間違った選択をしてしまうと、毎日が苦しく仕事の時間が苦痛になる…(自分自身がそうだった…)そんなミスマッチを減らすために株式会社No Companyの役割は重要だ。

働き方やキャリアプランが多様化した昨今、人材採用は、どのように変化し、求職者・企業の両者に何が求められるのだろうか―― そして、株式会社No Companyは採用領域をどのように切り開いていくのか、今後の同行に目を光らせていきたい。



新井那知
ライター
So-gúd編集部
新井 那知
埼玉県・熊谷市出身。渋谷の某ITベンチャーに就職後、2016年にフリーランスライターとして独立。独立後は、アパレル、音楽媒体、求人媒体、専門誌での取材やコラム作成を担当する。海外で実績を積むために訪れたニューヨークで、なぜかカレー屋を開店することに—-帰国後は、クライアントワークを通してライターとして日々取材や編集、執筆を担当する。料理と犬、漫画、最近目覚めたカポエイラが好き(脚技の特訓中)。
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