移動するオフィス「mobica」:働く場所の自由が拓く未来のワークスタイル
都会のオフィスを抜け出し、大自然の中で仕事をする——。
株式会社GOOD PLACEが提供するワーケーションカー「mobica」は、これまでの働き方の常識を覆す。
「mobica」は単なる移動手段ではない。
革新的なモビリティが地方の魅力を再発見し、都市と地域をつなぐ架け橋となり、地域活性化やワークライフバランスの新たな可能性を切り開く。
「働き方改革」という言葉が踊る昨今、「mobica(モビカ)」はその最先端を行く存在だ。
オフィスの枠を飛び出し、日本中どこでも自由に仕事ができる。
「mobica」が切り拓く新しい働き方の世界へ。
mobica推進室室長
受賞歴:(2021年)リクルート九段坂上KSビル グッドデザイン賞、日経ニューオフィス賞受賞
mobica推進室メンバー
「Make a GOOD PLACE」のブランドコンセプトから生まれた、新時代のワーケーションカー
引用:mobica公式サイト
―――今回のインタビューでは、「mobica推進室」室長の中村さん、mobica開発兼提案者の堤さん、mobica推進室メンバーの小倉さんにお話を伺います。まずは、会社概要について教えてください。
中村:株式会社GOOD PLACEは、1990年に創業した建築会社で、2024年1月8日に株式会社コスモスモアから現在の社名に変更されました。
「Make a GOOD PLACE」(良い場所を作る)というブランドコンセプトのもと、主に建物のリノベーション、オフィス構築、そして総務業務のアウトソーシングに携わっています。
―――仕事もできて、移動もできる、ワーケーションに特化したサービス「mobica (モビカ)」を開発するに至った理由や背景は何でしょうか?
中村:「mobica」は、社内イノベーション促進のための新規事業提案コンテストから生まれました。
72件の提案の中でグランプリに選ばれた理由は、既存事業との高い親和性と、リモートワークやワーケーションの潮流に合わせて「働く場」の概念を拡張する可能性にありました。
堤:私たちはコロナ禍以前より、従来の「オフィスビル」という不動産の枠内での働き方には、一定の制限があると感じてました。
そして、実際にワーケーションを実践されている方々の声を聞くと、想像以上に柔軟で自由な働き方のニーズが高まっていることがわかったのです。
こうした背景から、「mobica」は既存の不動産ビジネスの発展系でありながら、さらに拡大させる可能性を持つ事業として、実現に向けて動き出すことになりました。
―――実際に事業を開始されてから、利用者の反響はいかがですか?
小倉:「mobica」の利用者からは、想像以上に広々とした作業空間や快適な座席だったとの声が多く寄せられています。
長年オフィス設計に携わってきた経験を活かし、長時間の作業でも疲れにくい環境を実現しているのです。
また、ワーケーションでの利用に関しても、「mobica」の機動性が高く評価されています。
例えば、東伊豆でおこなわれたワーケーション企画では、飲食店やお土産ショップなどのさまざまな場所へ簡単に移動でき、観光の幅が広がったという感想が寄せられました。
「とりあえず仕事ができる」ではなく、「快適に働ける」を目指して
―――「mobica」で使用されている車の特徴や、サービスの強みは何でしょうか?
中村:「mobica」の最大の特徴は、オフィス空間としての質にこだわっている点です。
単に車内の広さだけでなく、室内高も重視し、N-VAN(Honda)やハイエース(TOYOTA)を採用しました。
「mobica」は「とりあえず仕事ができる」場所ではなく、「快適に働ける」環境を目指し、机や椅子の高さ、クッションの硬さ、天井高など、細部にまでこだわっています。
また、通常のオフィス内装で使用する耐久性の高い積層板を採用したデスク、大型モニター、Wi-Fi、さらには緊急時や災害時も想定したソーラーパネルまで装備しています。
小倉:「mobica」はレンタカーではなく、カーシェアリングサービスとして展開しているため、スマートフォンひとつで予約から利用まで完結する点も強みです。
これにより、ユーザーの皆様にはより気軽に、より簡単にサービスを利用していただけます。
―――「mobica」のサービスを開発する過程で、苦労した点や障壁、技術的に難しかった点があれば、教えてください。
堤:新規事業の立ち上げ当初は、業界に関する知識が乏しく、手探り状態であり、車の納期は最大の課題でした。
当初の事業計画で見込んでいた期間や台数が、コロナ禍やキャンピングカーブーム、半導体不足などの要因が重なり、大幅に変更を余儀なくされたんです。
例えば、キャンピングカーの場合、発注から納車まで3年かかるというのが珍しくないという状況では、事業計画の見直しも検討せざるを得ませんでした。
中村:建築会社である私たちにとって、車両関連の事業展開は未知の領域であり、有償貸渡業の免許取得や、レンタカーやカーシェアに関する規制の理解など、多くの課題に直面しました。
最初は車両の内装を架装する架装会社の人脈もなく、展示会参加や電話営業など、さまざまな方法で協力会社を見つけ出し、関係構築を行っていったのです。
架装会社とのやりとりは、「本当に実現するのか」という雰囲気が漂うこともありましたが、私たちの決意と熱意を伝え続けることで、最終的には協力を得ることができました。
振り返れば、すべてが手作業で、アナログな方法での事業立ち上げでした。
未知の領域へ!0から作り上げたオリジナルカーと共に業界を盛り上げたい
引用:mobica_worklifeインスタグラム
―――最初の一台を納車した時の思い出はありますか?
堤:全く異なる業種の会社とのはじめての取引ということもあり、実際に納車されるかどうか、不安な状態だったため、車両の納車時には、期待感と同時に大きな安堵感がありました。 実際に車両が届いたことで、ようやく事業の第一歩を踏み出せたという実感がありました。
中村:私が最も印象に残っているのは、初めて売上が立った時のことです。
これまで数千万円から数億円規模の内装工事や建築プロジェクトを手がけてきた私たちにとって、カーシェア事業での最初の売上は約3,700円という非常に小さな額でした。
それでも、売上が立った瞬間は、新事業の実現可能性を実感させる、非常に印象的な出来事でした。
―――現在の「mobica」の設置スポットは、東京の蒲田、吉祥寺と宮崎県の日向市の3箇所ということですが、今後の展開計画についてお聞かせください。新たな設置場所の検討や拡大の予定はありますか?
中村:現在、車両の配置には様々な要因が絡んでおり、キャンピングカーの人気による車両調達の難しさや、架装に要する時間などの制約があり、現時点では蒲田と吉祥寺に車両を集中させています。
吉祥寺は山梨方面へのアクセスが良く、蒲田からは千葉方面やアクアラインを使った移動が容易です。
また、複数人でのチーム利用を考慮し、車両をまとめて配置しています。
今後の展開については柔軟に検討しており、現在の集中配置から分散配置への移行も視野に入れています。
ただし、カーシェアリングに適した駅近の駐車場の確保など、克服すべき課題もあるんです。
今後は、利用者やビジネスパートナーからのアドバイスを積極的に取り入れ、最適な配置を模索していく予定です。
―――カーシェアリングやワーケーション需要の変化や市場の伸びについて、どのような見解をお持ちでしょうか?
堤:事業開始前に行った市場調査データに基づき事業展開を進めてきましたが、現在はワーケーションの形態が調査時よりも多様化しています。
例えば、親子ワーケーションや、宮崎県のような自治体が海外のデジタルノマドを誘致する取り組みなど、新たな展開が見られるのです。
当初、ワーケーション市場の主な経済効果は、地方における宿泊費や観光消費額と考えられていました。
しかし、現在はそれにワーケーションの要素が加わることで、さらなる成長の可能性が出てきています。
―――「伊豆まるごとオフィス」のようなイベントやコラボレーションを通じて、認知拡大や事業戦略をどのように考えていますか?
中村: 市場の成長を促進するため、積極的にイベントに参加し、新たな機会が訪れればタイミングを見計らって参入する準備をしています。
特にワーケーションやシェアリングエコノミーといった新しい市場全体を活性化させることが重要だと考えているんです。
市場全体の活性化を目指し、同業他社とも協力して新市場を共に作り上げる=共創していく姿勢です。
※現在は募集を終了しています
「好きな景色を眺めながら働く」ー新しい働き方と旅の融合でデトックス!
―――これから将来的に挑戦していきたいことを教えてください。
堤:現在、私たちはtoCを中心に認知度向上に努めていますが、今後は個人向けサービスに加えて、企業向けのビジネス展開を計画しています。
具体的には、企業の福利厚生、チームビルディング研修、さらには社内の部活動での活用など、多様な形での利用を想定しているんです。
また、現在宮崎県日向市と実証実験を行っており、この取り組みから多くの学びを得ています。
日本の中でも先進的なワーケーション施策を展開している自治体との協働は、私たちにとって非常に価値のある経験となっており、ワーケーションに関する知見や自治体が抱える課題などについて、深い洞察を得ることができました。
中村:宮崎県日向市との実証実験では、ノマドワーカー向けの活用など様々な取り組みを継続する予定です。
この実証実験の成果を基に、次の自治体との協働へとつなげていきたいと思っています。
―――「mobica」を通じて、地域社会にどのような影響を与えていきたいですか?
堤:宮崎県日向市では、現在ハイエース1台のみの運用となっており、これだけで大きな影響を与えることは難しいと認識しています。
しかし、この1台を地域のワーケーションやデジタルノマド向けプログラムの中で活用することで、地域の活性化に寄与する一つのツールとなることを目指しているんです。
当初から地域の二次交通の課題解決も視野に入れていましたが、1台では限界があることも承知しています。
現在展開している吉祥寺や蒲田といった都心部の拠点では、近郊地域への短期滞在型ワーケーションへの利用を目指しています。
利用者は普段と異なる環境で仕事をすることで、長期的には業務の効率化や新たな発想を得る機会を得られます。
また、移動の過程で道の駅に立ち寄ったり、地元の飲食店で食事を楽しんだりすることで、地域の魅力を再発見する機会にもなるでしょう。
中村:私たちの目標は、業界内で争う「競争」ではなく、共に業界を創り上げる「共創」を通じて、市場を業界全体で活性化していくことです。
地方自治体からの意見を取り入れながら、東京近郊の地方や田舎に行くことのメリットを伝えていくことで、日本全国の魅力を再認識し、新しい働き方や生活様式に興味を持つ人々が増えることを期待しています。
この事業は、儲けたいという利益重視の一心ではやっていないんです。
1台の車両で大きな経済効果を生み出すことは難しいかもしれませんが、新しい働き方の良さを伝え、人々のマインドセットに小さな変化をもたらすことはできると思います。
地方への経済的貢献や、地方での働き方の魅力を知るきっかけになり、徐々に大きな動きへと発展していくことを目指しています。
―――これから「mobica」を利用してみたいという方や初めてワーケーションカーの存在を知った、キャンピングカーしか知らなかったという方も多いと思います。最後に読者の皆様に向けて、メッセージをお願いします!
堤:私たちの事業の目的は、リモートワークが可能な方々に、日々の忙しい業務の中で新しい働き方の体験を提供することにあります。
ワーケーションを体験することで、普段の仕事環境から一歩離れ、自分の働き方を客観的に見つめ直す機会が生まれます。
日常とは異なるペースでゆっくりと時間が流れる中で、新たな視点や気づきを得られることが、このサービスの大きな魅力です。
中村:私たち自身もサラリーマンであるため、毎日好きな場所で働くノマドワーカーやフリーランスのライフスタイルに急に移行することの難しさは十分理解しています。
2~3ヶ月に1回程度の頻度でもいいので、自然の中や移動しながら、あるいは風景の変わる場所で働く体験ができたらいいとご提案しています。
ワーケーションは、その日の仕事の生産性を劇的に向上させるというより、長期的な視点で見ると非常に意義があると考えているんです。
例えば、水辺や自然に囲まれた場所で窓を開け、新鮮な空気を感じながら仕事をすることで、五感を刺激し、心地よさを感じることができます。
このような体験は、仕事に対する姿勢や考え方に変化をもたらし、「ここまで頑張る必要があるのか」と自問したり、逆に「もう少し頑張ってみよう」と前向きになったりと、個人によって様々な気持ちの変化が期待できるでしょう。
2~3ヶ月に1回程度の頻度でも、このような「デトックス」的な体験をすることで、心身ともにリフレッシュし、日々の仕事に新たな活力を見出すことができるのではないでしょうか。
小倉:キャンピングカーを仕事場として活用する動きや、専用のオフィスカーを運営する企業も出てきている中で、私たちは特に「好きな景色を眺めながら働く」という点にこだわっています。
自分の好きな場所で働くという心地よさを一度体験してみると、意外な効果や感動があると思うので、まだワーケーションカーに乗ったことのない方々には、ぜひ体験していただきたいです。
仕事だけでなく、仕事の息抜きとして観光を楽しみ、日本の良いところを体験していただくことも可能です。
例えば、お土産を購入したり、道の駅に寄ったり、地元の飲食店を訪れて美味しい地元の料理を楽しんだりできるでしょう。
私たちが提案する新しい働き方と旅の融合した体験を、多くの方々に楽しんでいただければと思っています。
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