リスキリングで日本の未来をデザインする。株式会社日本デザイン・大坪拓摩氏のビジョン
2024.10.24

リスキリングで日本の未来をデザインする。株式会社日本デザイン・大坪拓摩氏のビジョン


技術の進化や働き方の多様化により、転職や起業を視野に入れ、新たなスキルを習得しようと考える人が増えている。しかし、どのスキルを学ぶべきか、どのように習得すればいいのか、迷う人も多いのではないだろうか。

そこで今回は、完全オンライン型のデザイナースクールを運営する、株式会社日本デザインの代表取締役社長の大坪拓摩氏に取材を実施。業界トップレベルの実績を誇るこのデザイナースクールの特徴から、デザイン業界の現状、リスキリングのポイントまで話を伺った。

株式会社hanamiプロフィール写真
インタビューイー
大坪 拓摩氏
株式会社日本デザイン
代表取締役社長


日本人の仕事の質向上と幸福度UPを目指し、起業へ


日本デザインイメージ画像
―――御社の事業内容について教えてください。

当社では、BtoBおよびBtoCの4つの事業を展開しており、企業向けにはクリエイティブ事業とマーケティング事業を、一般向けにはスクール事業とセミナー事業を提供しています。

企業向けの事業では、WebマーケティングやWebプロモーションの受託業務を行っており、ビジネスプランの作成からマーケティングコンサルティング、コピーライティング、デザイン制作、動画制作、広告運用、マーケティングオートメーション構築まで、トータルでサポートすることが可能です。

一般向けには、デザインスクールをはじめ、現代社会で必要とされるスキルを習得できる教育プログラムを提供しており、日本人の仕事の質を向上させることで、人々が多様な働き方を選択でき、理想とする生活を手に入れられるように支援を行っています。

―――ありがとうございます。デザインスクールの事業を始めたきっかけは?

私は社会人になってから建設会社とフリーランスのWEBデザイナーを経て現職に就いたのですが、WEBデザイナーとしてある程度収入が得られるようになったときに、自分にとっての幸せはお金ではなく、周囲の幸せだと気づいたんです。そこから社会貢献をしたいと思うようになりました。

現在の日本には、毎日辛そうに出勤するサラリーマンや、夢を叶えたいけど何をすればいいのかわからない人、未来に希望を持てない子どもたちが大勢いますよね。それをどうやったら解決できるだろうと考えたときに、自分一人の力では限界がある、日本を根本から良くするためには同じ志を持つ仲間が必要だと感じ、今の会社を設立しました。

当社がデザイン事務所として忙しくなってきた頃の話ですが、大手転職サイトに求人広告を出したことがあったんです。

約100人の応募がありましたが、その中で「デザイナーとして雇う価値がある」と思える人は3人ほどしかいませんでした。しかし、当時私たちは、弱小企業だったためほかの企業にその3人の求人さえも流れて行ってしまい、60万円払ったにも関わらず採用は0人でした。

自社が弱小だから採用できなかったのは良い経験だったとして、デザインスクールでデザインを学んだにも関わらず、驚くほどデザインができなかった応募者は救いようのない問題だと感じました。―― 私はすべて独学で学んできたというのに……彼らは一体、何のためにスクールにお金を払ったのだろうと残念に思いました。

色々なスクールの教育レベルの低さや、外注を依頼したときのクオリティの低さに愕然とすることもありました。彼らは多くの時間とお金を費やしてデザインを学んできたはずなのに、実務で役に立っていないのは実に悲しい話。だから、正しい学びの場が必要だと考え、自分らでスクールを設立しました。

1.5ヶ月でデザインスキルが身につくオンラインスクール


日本デザインHP引用画像 引用:日本デザインスクール公式ホームページ

―――「完全オンライン型のスクール」というところが特徴的ですが、どのようなカリキュラムが用意されているのでしょう?

当スクールでは、座学に時間を割くより実践を重視し、初めてのレッスンからデザイン制作に取り組んでもらいます。基本的に、まずは必要なことだけを学び、すぐにデザインに取り掛かってもらいます。そして、自分が作った作品に対してのフィードバックを受けながらスキルアップしていく、というシンプルなものです。スクールというよりも、デザイン事務所の新人育成に近いかもしれません。

新規受講生の2〜3割はほかのスクールの経験者なので、日本中のデザインスクールの情報が入ってくるのですが、私たちのようなスタイルのスクールはあまりないようです。

―――御社のスクールの強みやユニークなポイントがあれば教えてください。

まず、当スクールは日本初の完全オンライン型WEBデザインスクールであり、実績もデザインスクールとしては業界トップクラスを誇っています。

授業はオンライン型ですが、リアルな交流の場も設けています。毎月約100人が集まるイベントを開催しており、これほどの規模で定期イベントを開催しているのは日本唯一ではないでしょうか。さらに、半年に1度大規模なイベントも行っており、6月は400人規模、12月には1,000人規模のリアルイベントを開催予定です。

オンラインでも、リアルタイムで最大3,500人が参加するウェビナーを開催しており、ほかのスクールでは呼べないような業界トップクラスのゲストを国内外から招くこともあります。

さらに、時には話題になっている舞台やショーに受講生を招待するなど、特別な体験を提供しているところも当スクールのユニークポイントですね。

実は、来年3月に累計で100期目を迎えます。当スクールのカリキュラムは非常に圧縮されており、ほかのスクールの1年分の内容をわずか1.5ヶ月で提供しているので、もはや100周年のような感覚です。

―――1年分の学習内容を1.5ヶ月に凝縮できた秘訣は何ですか?

私は過去に、未経験から独学半年で月150万円を稼げるデザイナーになった経験があり、その経験を基にカリキュラムを組んでいます。

当時、何も作ったことがないうちから商談に行って「ホームページ作れますか?」と聞かれたら、作ったことがなくても「作れます」と言って受注し、その帰りに本屋に寄り必要な本を購入して、納期までに習得しながら納品していました。これらの経験やノウハウを体系化し、今は未経験の方を最短でプロにするお手伝いをしているというわけです。

デザイン業界はビジネススキル不足⁉︎


日本デザインイメージ画像
―――デザイン業界のトレンドや課題についてどのようにお考えですか?

「レベルが低い」という表現は少し乱暴かもしれませんが、デザイナーとしてのスキルというより、ビジネスパーソンとしてのスキルが足りていない点がデザイン業界全体の課題だと思います。

クライアントのニーズを理解できていなくて、的外れなものを納品してしまうデザイナーが多い―― これは、ビジネス的な視点が欠けている点が原因だと思います。たとえば、今の時代ITやWebを通じて商品やサービスを売りたいという人が大勢いますが、「売れるデザイン」を再現性高く作れるデザイナーが少ないんですね。その結果、資本主義下のビジネスに対応できないデザインばかり流通しているように感じます。

弊社では、本当に稼げるデザイナー、つまりクライアントのニーズに本質的に応えられるデザイナーを実践を通して育成しています。お金を投資しても約束されたものが提供されなかったら、不満を持つのは当たり前ですので、私たちはお金をもらうことに対してかなりシビアに取り組んでいます。

―――スクールを卒業された方の成功事例や、受講生の印象的なエピソードはありますか?

当スクールでは、「〜のようになれ」と教えることはありません。受講生は自分の個性を活かしながらスキルを身につけ、卒業後は自分の道を自由に進んで行きます。

たとえば「どうしても稼ぎたい」「お金で自分の価値を証明したい」という生徒は、卒業後1ヶ月で100万、200万、さらに数千万円稼ぐ人もいます。

一方で、趣味としてデザインスキルを身につけられればいいという人もいて、それぞれの目的を達成しています。私たちも生徒に対して、必ずデザイナーになってほしいとは思っていないんです。

日本人の幸福度が低い原因の一つは、職業の選択肢や選択能力が欠けていることにあります。それに対して、デザインのリスキリングを通じて「いつでもデザイナーとして働ける手に職が身についた」とか、「デザインを45日で習得できたのなら、ほかにも色々とできるかもしれない」といった、自分の人生の可能性が広がる経験を提供したいと考えています。

デザインのほかにも、ライティングや動画制作、マーケティングや広告運用、整体や妊活など、さまざまなスクールを運営していますが、共通しているのは、人生を変えるための手段を提供しているということです。

リスキリングは、本質を理解し、適切なプロセスを踏まないと意味がない!


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―――近年、リスキリングがより重要視されていますが、その理由についてどのようにお考えでしょうか。

大学生の頃からスキルやキャリアの見直しを行ってきた私としては、世間のリスキリングに対する意識や理解はとても低いように思います。

今の仕事や職業に不満がある人はリサーチ情報でも過半数を超えますが、適職や転職についてる人と考えると1%以下ともいわれており、かなり低い数値です。居酒屋などで「転職したいけど、今のスキルが活かせない」といった声を耳にすることがありますが、今までのスキルが新しい職場で活かせないのはある意味当然のことです。別の職業に就きたいと思うなら、リスキリング(=新たなスキルを身につけること)は当たり前の話です。

リスキリングが新しい考えとされている時点で、本質的な意味や目的が理解されていないように感じますが、リスキリング自体もスキルであり、身につけるためのプロセスを踏む必要があります。

私はこれまでに、デザイン、ライティング、写真・動画撮影、脚本作成、コンサルティング、コーチング、カウンセリング、セラピー、ヒーリング、料理、占いなど、何十人分ものスキルを学び、それぞれ月100万円程度稼げるレベルでは習得してきました。新しいスキルだけでも生きられるかどうかが、リスキリングの本質なのです。

―――さまざまなスキルをお持ちですが、それらを習得したきっかけや理由があれば教えてください。

建設会社で現場監督として働いていたときに、電気・空調・衛生、設計・測量・積算、内装、営業など、建築業界のあらゆる業務を経験しましたが、どのスキルも一人でお金を稼げるスキルではなかったんです。4年半で2万時間くらい働いたのに、会社の看板なく一人では生きられないことに気づき、かなり衝撃を受けました。

多くのスキルを身につけたにも関わらず、どれも「手に職」とは言えないものだったわけです。この体験は、「本当に価値のあるスキル」について深く理解するキッカケになりました。そこから方針を転換し、自分個人の名前でもお金をいただけるスキルを選び、身につけるようになりました。

選択肢を広げることが、幸せな人生を手に入れるための鍵


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―――今後、目指す未来や取り組みたいことについてお聞かせください。

幸福度を上げるための一番の肝は、選択する能力だと思っています。選択する能力がないということは、幸せになる方法を手放しているようなものです。たとえば、DVで苦しんでいる人は、家を出るという選択ができれば解決するかもしれません。しかし、家を出るという選択肢が取れないから、その状況から抜け出せない。

育児に悩んでいる人も同じです。育児もスキルの一つなので、学んで知恵をつければ悩みを減らすことができます。子どもが泣いているときに選択肢がないから困るわけで、知識があれば解決策を選ぶことができます。

お金がなくて不幸せだという人は2パターンあって、一つはお金を稼ぐ能力がない場合。これは、稼ぐ能力を身につければいい話です。もう一つは、出費が多い場合。これは、少ないお金でより良い生活をするという選択ができます。私自身、個人で使うお金は月5万円未満なのですが、それでも日々豊かな経験ができています。

つまり、不幸せの原因は選択する能力がないところにあるわけで、その能力を高めることこそが幸せな人生を送るための唯一の解決策だと考えています。

これまで幸福に関してもかなり研究してきて、エリクソンの息女、ロクサーナ・エリクソン・クライン博士を招いてイベントを開催したり、ポジティブ心理学者の権威であるマーティン・セリグマン博士の初来日イベント、7つの習慣を世界に広めたロイス・クルーガー氏の最後の来日イベントを主催したこともあります。

しかし、どれだけ学んでもしっくりくる解決策がなく、これまで何十万人ものデータを見てきた結果、やはり選択する能力以外に集約できるものはないと感じました。

現在私たち日本デザインが展開している事業も、この「選択する能力」を提供することを主軸においており、デザインスクールもその一環です。

手に職をつけること、今までできなかったことができるようになり、それでお金がいただけるということは、「自分の人生は、自分の手で変えられる」という、人生が変わるレベルの経験になります。

本当の「手に職」なら、起業、副業、転職と、働き方の選択肢を広げることができます。

パソコン1台で仕事ができたりで、在宅ワークもできたり、家事・育児との両立が可能になったり、人生のバリエーションを増やすことは、幸福度に直結します。ですので、まずは今後この事業を日本でシェア80%くらいまで広げていきたいと思っています。

―――スクールでスキルを身につけることで、リスキリング以上のメリットを得られるのですね。

たとえば、対戦ゲームの場合、プレイヤーは目的達成のために武器や仲間を増やすなど、さまざまな手段がありますよね。仲間の中には味方のサポートしかできないキャラクターがいても、工夫次第でゲームクリアができます。これは、現実世界でも同じはずです。

しかし、多くの人が理想の生活を手に入れる方法を考えずに、諦めてしまっているように感じます。その原因の一つは、幼い頃に自ら選択する機会が少なかったからかもしれません。習い事や教育方針など、親がすべて決めて子どもから選択肢を奪ってしまうと、主体性まで奪われてしまうのです。

小学校や中学校の場合、たとえば算数で100点を取ることを目標にして、それまで他の教科は0点でもOKにしてあげれば、攻略することが楽しくなり、子どもたちはどんどん勉強します。大事なのは、頭を使ってしっかり考えさせることです。

教育に関して、弊社はそれなりに実績があります。以前、教育者だけが集まるフォーラムに参加したこともあるのですが、有名大学や教育に関して著名企業が100社以上集まる中で、弊社講演が満足度評価で一番高い評価を受け、教育方面での実力もトップレベルであることを認識しました。

また、新卒で入社した社員がわずか1年でスキルを身につけフリーランスとして独立したり、高卒の社員が上場企業に就職したりと、社会人をいろんな分野で最短最速で成長させることに関しても日本一だと自負していますので、この知見をもっと多くの人に伝えたいと思います。

―――最後に、読者にぜひ伝えたいメッセージがあれば教えてください。

ここ最近、経営者や起業家に対して新しい手段やフレームワークを提供するなかで課題に感じるのは、AIやITの進展により新しい時代になったにも関わらず、古い時代の能力や自分のままで挑もうとしている人が多いということです。

時代は常に変化しています。その渦中では、古い考え方やスキルを手放し、新しい考え方やスキルを取り入れ、新しい人とつながりながら、時代の流れに乗ることが求められます。

もしも、イノベーターやアーリーアダプターを目指すなら、自分が興味関心があることでも、以前からチャレンジしたいまま放置していたことでも、何でも良いので、今すぐ新しいことを始めてください! まず一歩を踏み出すことが、人生を選択する能力を高める第一歩です。

新井那知
ライター
So-gúd編集部
新井 那知
埼玉県・熊谷市出身。渋谷の某ITベンチャーに就職後、2016年にフリーランスライターとして独立。独立後は、アパレル、音楽媒体、求人媒体、専門誌での取材やコラム作成を担当する。海外で実績を積むために訪れたニューヨークで、なぜかカレー屋を開店することに—-帰国後は、クライアントワークを通してライターとして日々取材や編集、執筆を担当する。料理と犬、最近目覚めたカポエイラが好き(足技の特訓中)。
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