ITの新常識「SaaS(サース)」とは?基本情報からサービス例まで紹介。
「最近ネット広告やテレビで見聞きするSaaS(サース)ってなに?」
「SaaSとASPって何が違うの?」
「SaaSと似た言葉がたくさんあるけど、どのような種類があるの?」
「SaaSには、どのようなサービスが存在するの?」
このようにSaaS(サース)という言葉は知っているけど、実はわかりそうで良くわからないという方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、ITサービスで注目を集める「SaaS(サース)」についてわかりやすく解説。SaaSの基本情報や特徴はもちろん、メリット・デメリットから種類までを説明します。
まずは、SaaSの概要や基本情報について解説していきます。
「SaaS(サース)」とは?
「SaaS(サース)」とは、クラウド上で作られたサービス・アプリケーションをインターネット経由で利用できるサービスのことです。従来のようにパッケージを購入し、ハードウェアにインストール必要がないのが特徴です。
「Software as a Service」の頭文字を取った造語で、「サース」という読み方や「サーズ」という読み方が存在します。2018年に誕生したと言われるSaaSですが、サービスの多くはベンダー(企業)が、ソフトウェアサービスをクラウドサーバーに保存しています。そのため、ユーザーはインターネット経由でSaaSサービスをいつでも利用できる仕組みとなっているのです。
「SaaS」の特徴とは?
SaaSの特徴は、大きく分けると2点存在します。
- 特徴1:インターネット環境があればマルチデバイスで利用できる。
つまりはアクセスする端末(デバイス)を問わずに、ソフトウェアを使用できるのです。リモートワークやワーケーションなど、オフィスで仕事をしない際にも最適なサービスと言えるでしょう。
- 特徴2:複数のメンバーで管理・編集ができる
他のユーザーのデータを反映したり、テキストを編集できるのでスムーズなチームワークを実現できます。ここまでSaas(サース)の基本情報について触れてきました。次の章では「SaaS」のメリット・デメリットについて紹介します。
SaaS導入のメリット・デメリットとは?
こちらの章では、SaaS導入のメリットとデメリットについて紹介します。SaaSのメリットとデメリットを把握することで、より効率的に業務を運用することが可能です。
SaaSのメリットとは?
- メリット
・パッケージのプロダクトと異なり、ライセンスを発行するだけでサービスが利用できる
・必要な数だけライセンスを購入できるので、人数が増減に柔軟な対応ができる
・インターネット環境が整っていれば、いつでも利用できる
・システム管理と運用が容易にできるので、エンジニアが不足している現場でも利用できる
・契約を中止したい際は、アインストールや契約の解消手続きをするだけで解約可能
・セキュリティをベンダーに委ねることが可能
SaaSのデメリットとは?
- デメリット
・ベンダーがリリースしている仕様でサービスを利用するため、カスタマイズができない場合が多い
・月々のコストが発生するため、年間の総額コストが高くなる場合がある
・ユーザーは、ベンダーのサービスの仕様に合わせて利用するため、アップデートが発生した際に使用感に違和感を覚えるケースがある
・企業側でセキュリティー管理ができていないサービスを使用する場合、セキュリティ管理を徹底させる必要がある。
ここまでSaaSのメリット・デメリットについて紹介してきました。次の章では、SaaSの種類について解説します。
種類は2種類ある?「HorizontalSaaS(ホリゾンタルサース)」と「VerticalSaaS(バーティカルサース)」とは?
こちらの章では、SaaSの種類について紹介します。サースは主に2つに分類することが可能です。
「HorizontalSaaS(ホリゾンタルサース)」とは?
「HorizontalSaaS(ホリゾンタルサース)」は、特定の職種の人間が使用するSaaSのことを指します。
「Horizontal(ホライゾンタル)」は、英語で「水平」の意味です。その意味の通り、業界や業種の垣根を超えて人事関係の職種なら「労務Freee」やマーケターなら「Google Analytics(グーグルアナリティクス)」など、特定の職種の方が使用するのが特徴と言えるでしょう。
「VerticalSaaS(バーティカルサース)」とは?
「VerticalSaaS(バーティカルサース)」は、各業種ごとに特化した機能を持ったSaaSのことを指します。「Vertical(バーティカル)」は、「Horizontal(ホライゾンタル)」と対義語で「垂直」という意味を有します。
この意味の通り、特定の業種や分野を深堀りするイメージと結びつけられた言葉ですが、専門性の高い業界と親和性が高いのが特徴と言えるでしょう。また別名では、「業界特化型SaaS」とも言われています。
VerticalSaaS(バーティカルサース)が採用されている業界の例でいえば、医療や建築産業などの専門性が、高い業界です。VerticalSaaS(バーティカルサース)は、HorizontalSaaS(ホリゾンタルサース)と異なり開発が難しかったり、現場で利用するまでの導入に時間がかかったりするリスクも存在します。
ここまでSaaSの種類の棲み分けについて紹介しました。次の章では、SaaSと混同されやすい「PaaS(パース)」「laaS(アース)」について解説します。
勘違いされやすい「PaaS(パース)」「IaaS(イァース)」とは?
こちらの章では、SaaSと混同されやすい「PaaS(パース)」「IaaS(イァース)」について紹介します。
「PaaS(パース)」「IaaS(イァース)」について知ることで、SaaSへの理解度も上がるので、ぜひ最後までチェックしていただけると幸いです。
「PaaS(パース)」とは?
PaaS(パース)は「Platform as a Service」の頭文字を取った略語です。PaaSは、アプリケーションソフトが稼働するためのハードウェアやOSなどのプラットフォーム一式を、インターネット上のサービスとして提供する形態のことを言います。
アプリケーションソフトが稼動するためのハードウェアやOSなどのプラットフォーム一式を、インターネット上のサービスとして提供する形態のことを指します。
このPaaSは、エンドユーザにオンライン上でサービスを提供するSaaSの考え方をさらに深化させたものとなり、プラットフォームを大規模なデータセンターなどに用意して外部に開放し、主に企業などのユーザーが、その上にサービスを開発するものになっています。
開発者は、あるシステム設計に沿った方法でアプリケーションを開発できるので、コストを抑えてかつ早くシステム開発をおこなうことができます。Amazon Web Service (AWS)、Google App Engine やMicrosoft Azure(マイクロソフト・アジュール)などが代表的なサービスとして挙げることが可能です。
「IaaS(イァース)」とは
IaaSは、情報システムの稼働に必要なネットワークなどのインフラを、インターネット上のサービスとして提供する形態のことを指します。「IaaS(イァース)」とは「Infrastructure as a Service」の頭文字を取った略語で「イアース」、または「アイアース」と読みます。
ユーザーがハードウェアのスペックやOSをサーバを利用する際に、自分で自由に選定しネットワーク越しに利用することが可能です。Google Compute Engine や Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) が代表的なサービスとして挙げられます。
「PaaS(パース)」と「IaaS(イァース)」それぞれのメリット・デメリット
前章では、PaaS(パース)とIaaS(イァース)それぞれの概要について解説いたしました。こちらの章では、PaaS(パース)とIaaS(イァース)のメリット・デメリットについて解説します。
「PaaS(パース)」のメリット
・インフラ開発や設備投資を抑えられる。
・プラットフォームでいきなりアプリケーション開発を始められる。IaaSと比較するとOSやミドルウェア導入の手間が省ける。
・クラウドサービス全般にいえる話だが、ネットワーク経由の利用なので、実際にハードウェアなどからを用意する場合より設備投資を抑えられる。保守運用の手間が減る。
・プラットフォームやハードウェアにトラブルが発生した時の対応や保守運用はPaaSの提供者が実施するため、保守運用の手間が減る。またコーディングの手間が減少する。
「PaaS(パース)」のデメリット
・カスタマイズに限界がある(自由度が限定されている)
・セキュリティ管理を徹底する必要がある
「IaaS(イァース)」のメリット
・インフラ構築のコストや導入コストが削減できる
・インフラ上のプラットフォームやソフトは自由に選べので、環境構築の自由度が高い
・インフラの運用をvendorに任せることが可能
PaaS同様、開発や導入コストの削減できるのが、メリットとして挙げられます。
「IaaS(イァース)」のデメリット
・セキュリティ面の責任範囲
・インフラ構築に知見がある専門職の技術者が必要
・使用方法によっては、コストが高くなったり、導入して使わない状況が続いてしまう
・ベンダーのトラブルやメンテンナス時には、サービスが使えない場合がある
IaaSでは、インフラの保守や運用以外はすべて利用する企業に責任が一任されてしまう場合があります。トラブルなく効率的にインフラが稼働するように、専門職の技術者が必要になる可能性があります。
ここまで、「PaaS(パース)」や「IaaS(イァース)」に関して紹介してきました。ここまでSaaS(サース)などについても紹介してきましたが、IT領域に関する知識が少ない方は、理解するのが難しい言葉が多いですよね。次の章では、SaaSを理解するうえで知っておきたい基本用語について紹介します。
SaaSを理解するための基礎用語
こちらでは、SaaSに関する理解をより深堀りするために必要な基礎用語を紹介します。
ソフトウェア(software)とは
ソフトウェアとは、コンピューターを動かしたり操作したり、命令を出したりするためのデーターの集合体のことです。
またコンピューターを物理的に構成している回路や装置などをハードウェアと呼ぶ場合もあります。またソフトウェアの種類は、OS(オペレーション・システム)と、アプリケーション・ソフトの2つに分類可能です。
「クラウド(cloud)」とは
Cloud(クラウド・コンピューティング)とは、インターネットなどのネットワーク経由でユーザーにサービスを提供する形態のことです。「クラウド(cloud)」は、直訳すると「雲」を指します。
このクラウドの意味は、ユーザーがソフトウェアやデータの物理的な保存場所を特定させるのではなく、「雲の中に隠れたコンピューターから提供されるサービスを利用する」というイメージからきているとも言われています。
「ASP(エー・エス・エピー)とは」
ASPとは、インターネット経由でソフトウェアやソフトウェアの稼働環境を提供する事業者を指します。ASPは「Application Service Provider(アプリケーション サービス プロバイダ)」の略で、元々は事業者を指す用語でした。
しかし現在では、事業者が提供するサービス自体をASPと呼ぶ場合が一般的となりました。
「サーバー(Server)とは」
サーバー(server:提供する側)とは、サービスを提供している企業側のコンピュータを指しインターネットを介してユーザーと繋がっています。Webサーバー(Webサイト運営専用のサーバー)などのソフトウェアを搭載することで、サーバーとしての機能を果たすことができます。
Webページ閲覧、メール以外にも、ゲームやネットショッピング、SNSなど、インターネットに関わるあらゆるサービスで用いられています。
「プロバイダー(Purobaida)とは」
プロバイダーとは、回線をインターネットと繋げる役割を担う接続事業者のことです。ユーザーが、パソコンなどでインターネットを利用するには、プロバイダーと契約して光回線をインターネットと接続してもらう必要があります。
「ベンダー(vendor)とは」
ベンダーは販売業者、販売供給元を意味する言葉です。IT業界で頻繁に使われる言葉で、特にコンピューターやネットワーク機器といったハードウエアや、アプリなどのソフトウエアの販売業者を指す場合もあります。
また「ベンダ」と表記されることもあります。「ベンダー」は基本的には販売会社を意味しますが、IT業界においてはサービスや製品を提供している企業を広く「ベンダー」と呼び場合が多いようです。
「IDaas(アイダース)」とは
「IDaas(アイダース)」とは、「Identity as a Service」の頭文字を取った造語で、クラウド上のサービスのID管理を一元的におこなうクラウドサービスです。
IDaaSには、主に5つの機能が搭載されています。この機能は、認人機能、ID管理、ID連携、認可、監査の5つで「ID管理と証人」が主な機能となっています。
「オンプレミス(on-premises)」とは
オンプレミスとは、情報システムであるサーバーやソフトウェアを、使用者が管理する施設の構内に設置し運用する方法です。プレミスは「構内・店内」の意味を指し、オンプレとも呼ばれたり、「自社運用」と略されるケースが存在します。
オンプレミスは、自社でシステムを構築できるため、柔軟なカスタマイズが可能。自社のサービスやシステムと連携しやすいという特徴があります。また自社のネットワーク内でシステムを運用するため、高いセキュリティの安全性も魅力の一つです。
ここまでSaaSの概要や関連するIT用語について紹介してきました。次の章では、SaaSを代表するサービス例を紹介していきます。
代表的なSaaSのサービス例を紹介
こちらの章では、SaaSの代表的なサービス例を紹介します。SaaSと知らないで利用したことがあるサービスやプロダクトもあるかもしれませんので、ぜひチェックしてみてください。
「MoneyForward(マネーフォワード)」
金融を代表するSaaSサービスのプロダクトの一つが「MoneyForward(マネーフォワード)」です。マネーフォワードは、BtoC向けの「マネーフォワード Me (マネーフォワード ミー)」とBtoB向けの「MoneyForward クラウド」が存在しています。
マネーフォワード Meは、お金・資産運用がアプリ環境下で簡単に管理できる家計簿アプリです。毎日のお金の出入りを自動で視える化できるのがポイント。電子マネー、クレジットカード(クレカ)での収支管理から、給料や振り込まれた銀行口座の管理まで一括管理できます。
一方MoneyForward クラウドでは、BtoB向けのSaaSサービスです。勤怠管理、給与計算、請求書管理、経費精算などバックオフィスに必要なサービスを一括管理・連携できるのが魅力の一つ。
また事業規模に応じた有料プランを設けているので、企業の大小に限らず利用できるのもポイントです。
「Salesforce(セールスフォース)」
「セールスフォース(セールスフォース)」は、世界シェアNo.1の営業支援・CRMツールです。全世界で15万社に選ばれほどのシェアを有しています。
本社は、米国カリフォルニア州に本社を置き、顧客関係管理ソリューションを中心としたクラウドコンピューティング・サービスの提供企業です。ビジネスアプリケーションおよびクラウドプラットフォームをインターネット経由で提供しています。
「kintone(キントーン)」
「kintone(キントーン)」とは、サイボウズ株式会社が提供している、webデータベース型の業務アプリ構築クラウドサービスです。
マウス操作で直感的に自社に合ったシステムが作成できたり、豊富なAPIを通じて他システムとの連携ができるのが特徴。SNSのようなコミュニケーションを可能にしたUI設計のため、チームでのタスク管理を視覚化することが可能です。またSaaSならではの場所とデバイスに囚われない特徴を活かし、いつでもどこでもサービスを利用できます。
「dropbox(ドロップボックス)」
「Dropbox(ドロップボックス)」はアメリカの「Dropbox, Inc.」が提供するオンラインストレージサービスです。複数のコンピューターが、オンラインストレージに接続できるので、データーの共有や同期をすることが可能。大切なデーターをCloud(クラウド)上に保存することができるので、チームでのデータ管理やセキュリティの安全性を担保できるのが特徴です。
「servicenow(サービスナウ)」
ServiceNowは、企業向けのデジタルワークフローを活用したマネジメントツールです。従業員、顧客に重要なワークフローを提供し、 IT向け単一プラットフォームでビジネスをサポートするのが特徴です。
IT運用を最適化できるので、メンバーやチームの生産性を向上させたり、レジリエンス(適した結果の意)を最適化することができるサービスとなっています。
「Google Calendar(グーグル カレンダー)」
「Google Calendar(グーグル カレンダー)」は、Googleが提供するスケジュール管理サービスです。2006年にサービスの提供を開始した本サービスは、自分のスケジュールの一元管理はもちろん、同僚などのスケジュールも簡単に共有できます。
また会議室やオンラインミーティングも容易に設定可能。複数人のスケジュールを可視化できるので、チーム業務のスリム化を実現しています。
「Google One(グーグル ワン)」
「Google One(グーグル ワン)」とは、Googleが提供するストレージ(容量)を増やす有料サービスです。もともとはGoogle Drive(グーグルドライブ)の有料プランとしてリリースされたプラダクトですが、名称(銘柄)が変わっています。
Google Oneは、「Google Drive(グーグルドライブ)」「Gmail」「Google photo(グーグルフォト)」などの容量を拡張すること可能です。
「Slack(スラック)」
「Slack(スラック)」は、アメリカのSlack Technology社が開発したビジネスチャットツールです。メッセージングアプリとも呼ばれており、メンバーが一つの場所に集まりチャット形式でコミュニケーションを取れます。
各プロジェクトごとにチャンネルを設定しチャットすることが可能なので、プロジェクト単位でのコミュニケーションを最適化することが可能。世界シェアを誇るSaaSサービスとなっています。
まとめ
今回はSaaSの基本情報から代表的なサービスまでを紹介しました。IT領域の新常識と言われるSaaSですが、言葉自体を知らなくても既に利用したサービスもあったのではないでしょうか?本記事で紹介した以外にも様々なSaaSサービスが存在します。
2021年が終わり、2022年がスタートした新年。今年はSaaSサービスの例で紹介したプロダクトを上手に利用して、今まで以上に高い成果へのコミットにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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