2023.07.18

RPA「マクロマン」から考える、DX化の未来のあり方とは?


昨今RPAツールを導入し、業務を自動化する流れが激化している。またChatGPTしかり、AI技術が進化するスピードが以前にまして加速した。1年前に誕生した技術は、1年後にはレガシーな技術と呼ばれ、人々の働き方や生活様式を変えようとしている。

AIツールや自動化ツールの利用が当たり前になりつつある現在、無料で導入できるRPAツール「 マクロマン®」の開発・提供を行うのがコクー株式会社だ。

今回はコクー株式会社・RPA事業部のエバンジェリスト吉田 将太氏に、マクロマンから考えるDX化の未来や人々の働き方の変化について取材を実施した。取材を通して見えてきたことは、AIやRPAツールによって進化する技術、そしてDX化された未来における、人間の仕事の可能性だった。

インタビューイー
吉田 将太氏
コクー株式会社
RPA事業部
エバンジェリス
RPA事業部の立ち上げとして、営業・RPA開発・研修講師を経て、2023年1月にエバンジェリスト着任。RPAやRPA以外の技術を使って業務効率化を目的にした様々な開発に携わる。
この経験から300名以上の研修講師を務める。前職は大手人材会社にて、中小企業向けの法人営業に従事。その後、働き甲斐をより向上させたいと思い、コクー株式会社へ入社。現在は営業、「マクロマン」でのRPA開発、「マクロマン」研修の講師をそれぞれ務める。
未経験者目線の研修内容に定評がある。


無料RPAツール「マクロマン」は、人を通じた価値の提供を基軸に生まれたサービス。





―――今回は、「マクロマン」のサービスから考えるDX化の未来についてお話をお伺いしていきたいと思います。まずは、RPAツール「マクロマン」について教えてください。

一言で言うと「マクロマン」は、完全無料のRPAツールです。マクロマンを導入することで、パソコンでの手作業入力や繰り返し作業を自動化することが可能になります。

パソコンの繰り返し作業に追われている方の業務を自動化したり、企業様が抱えたRPAの運用に関する不安を取り除く運用体制を設けたりして、業務の効率化を促進するサービスとなります。

―――ありがとうございます。昨今RPAツールを導入する企業も増えていますが、マクロマンならではの強みや特徴は何かありますか?



ありがとうございます。マクロマンは、ツール面とサービス面でそれぞれ強みがあります。ツールの特徴としては、今お伝えした通り、無料で利用できる点ですね。またサービスの観点では、サポート体制が充実している点だと思います。

無料なので企業様はもちろん、学生や個人事業主(フリーランス)まで、ランニングコストを抑えた形で利用していただけます。また「マクロマン 相談チケット」や「RPA女子®」というサポート体制を設けているのも特徴です。

「相談チケット」では、お客様が当社の社員にオンラインでマクロマンの操作方法のレクチャーや活用方法などを1時間単位で相談することが可能です。

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また「RPA女子」では、当社の社員がRPAの開発を「受託」「常駐派遣」「SPOT派遣」にて請け負っているので、運用体制に不安がある企業様も安心して導入していただけるのもポイントですね。

もともとRPA女子は、社内の「EXCEL女子 」という企業のExcel導入や作業をサポートするメンバーから派生して生まれました。そのため、RPAの支援だけではなく、Excelも含めた広範囲の事務作業をサポートできるんです。

―――ありがとうございます。無料で利用できて、サポート体制も充実していて、痒いところに手が届くサービスですね!無料化に至った経緯など何かあるのでしょうか?

マクロマンを無料化したのは、我々が“人を通じて価値を提供する”という考えを大切にしているからです。この考えを基軸にサービスを設計したので、無料化することができました。

もともと当社の強みは、EXCEL女子などをはじめとした人財にありました。そのため、人を通じてお客様に価値を提供することに重きを置いていたんです。ツールはあくまで手段の一つであり、我々のサービスは人財に基づいて設計していたんですよね。

そして労働人口減による人手不足という社会課題を解決するために 誕生したのが、マクロマンというサービスとなります。

RPAを使いこなす人、そうでない人に生まれる差―――


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―――マクロマンのサービスの利便性の高さからRPAツールの可能性を感じますが、日本はまだまだDX化が他の先進国と比べて遅れている印象を受けます。この日本の現状について、どのようにお考えですか?

やはり所感としても日本は、海外の先進国と比べてDX化は遅れているという実感はあります。RPA業界全体をみても、日本企業の導入は遅れていますね。また実際にマクロマンを導入していただいたお客様と利用していないお客様を比べても、違いが生まれているのも事実です。

RPAサービスを利用していないお客様は、開発の工数や対象業務の抽出をするための工数を割くより、自分で作業を進めたほうが早いと考えている傾向があります。そのため、RPAを含めた、自動化技術の選択をしない傾向があります。

一方、マクロマンをはじめRPAを導入する企業様は、開発工数や対象業務の抽出時間を投資と考えているので、RPA化するまでの時間がかかりません。

―――なるほど…RPAの導入が日本で遅れている原因は何かあるのでしょうか?

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そうですね。RPAを使うためには、特にコーディングのような技術的なスキルは必要ありませんが、一方で、論理的な思考やプログラミング的な考え方は必要になります。

ツールを使うためには、プロセスの分析・改善や自動化する作業をどのように最適化するかを思考する必要があります。このような思考と技術面で利用者のギャップが生じることがあるのです。それが、RPAがまだ十分に浸透していない一因と考えています。

―――RPAを上手に利用できる人とできない人に差が出るイメージでしょうか?

おっしゃる通りです。RPAの特性や得意・不得意な領域などを理解し活用できる人は、自身の業務を次々に効率化できます。その一方で、まだRPAが浸透せず、生産性に差が生まれているのも事実です。

―――なるほど…RPAはもちろんITリテラシーを学ぶ、受け手(利用者)側の成熟度が影響しているということでしょうか?

その通りです。日本国内では2020年度より小学校でプログラミング教育が必修化 されましたが、世界では日本より早くにプログラミング教育が組み込まれた国も多いのが現状です。また社会人に関しては、スキルを能動的に身につけるワークスタイルが企業からも求められています。

RPAの技術進化により正確性と利便性が加速する未来になる。


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―――AIの進化をはじめ、この数年間でAI技術やIT技術が進化するスピードは驚異的に速くなってきました。その上で、RPA領域は5年後、10年後がどのように進化し、どのように変わっていくのでしょうか?



RPA領域でよく言われるのが「RPA のクラス」の概念です。これは、総務省が定義しているもので、現在存在しているRPA(RPAのクラス1)がどのように進化し、新たな要素が追加されるかを示しています。AIの要素が加わった「RPAのクラス2」、AIが自律して業務を行う「RPAのクラス3」の3つに分類されます。

―――ありがとうございます。3つのクラスの違いを、詳しく教えて頂けますでしょうか?

まず、クラス1の「RPA」はユーザーが事前に設定した操作を自動化するものです。

次に、クラス2の「Enhanced Process Automation(EPA)」は、AIの要素が加わり、更に高度な自動化が可能になります。最後に、クラス3の「Cognitive Automation」は、ただのAIではなく、より高度なAIと認識していただければと思います。

―――なるほど、この概念によってどのようなことが可能になるのでしょうか?



そもそもRPAは、すでに多くの企業で導入されているツールですよね。RPAは、基本的にあらかじめ決められた操作を自動化する、一種の「考えない業務」を担当しています。例えば特定のボタンを押したりなどですね。そして、これが「Enhanced Process Automation(EPA)」に進化すると、その正確性と利便性が向上します。

一見するだけでは、技術的な大きな変化はないかもしれませんが、RPAを扱ううえでの正確性や利便性が格段に向上します。

例えばRPAでは、ExcelやCSVファイルなどを操作しますが、それらは基本的に同じようなものです。しかし、人間の操作で間違えてExcelファイルをCSVに変換してしまうことがありますよね。

その場合、単なるRPAでは、エクセルとCSVが別物として認識され、エラーを起こすことがあるんです。しかし、EPAに進化すると、これらが実質的には同じものであると認識し、それぞれを適切に操作することができます。これが、EPAの正確性が向上するという部分ですね。

利便性が向上する部分としては、AIの技術を使うことによって、例えば紙のデータをPDF化し、そのPDFをエクセルに落とし込むという操作が可能になります。さらに、手書きの文字をデータ化するOCRという技術を用いることで、手書きの紙データからExcelデータへの変換も可能になります。

DX化の先には、“人としての働き方”が浮き彫りになる世界が待つ。



―――これまでのお話を聞いていると、DX化が今まで以上に発展する印象をうけました。このような技術が、一般的に普及し、使用できるまでにどの程度の期間が必要なのでしょうか?

先程お話したクラス3の「Cognitive Automation」の領域でいえば、恐らくですがあと3年から5年程度で一般に広がると思いますね。現在のRPAの技術では、既存のデータを活用するだけですが、「Cognitive Automation」になると関係性のない場所からもデータを取得できるようになります。

既存のRPA技術では、既存のデータセットの中にあるデータを移動したり、別の場所に配置したりすることが可能です。しかし“新しいデータ”を配置することはできないんです。

ですが技術が、進化することで基データの加工以外も可能になります。高度なAI技術によって、教師データにないものでも、AIが自分でデータを学習し、学んだデータを活用できるようになるんです。

―――ありがとうございます。企業のDX化が加速しますね!

現時点ではまだRPAが扱える範囲は限定的なので、高度なツールはまだ出てきていませんね。RPA領域で言うと人間の視野は、限定的な範囲しか認識できません。しかしAIを使用することで、人間の視野以外の情報データを活用できるようになります。チャットGPTのようなチャットボットの技術とも似ていますね。

―――ありがとうございます。将来、RPAの領域もそうですが、AIやソフトウェアロボットが、人々の働き方にどのような変化をもたらすのかが気になります。このような技術進化は、私達の働き方をどのように変えるのでしょうか?

将来の働き方については、以前、私たちも事業部内でディスカッションしたことがあります。その時に話題になったのが、AIとメタバースですね。人々の働き方が本当に変わってくると感じる瞬間があります。それは例えば映画『アイアンマン』の「ジャービス」のような存在が現実になるときです。

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ジャービスは、アイアンマンに必要な情報を提供しますよね。そのようなシステムが実現した時、我々の働き方も大きく変わるでしょう。例えば、仮想空間での業務遂行などが可能になるかもしれません。

そういった社会が誕生し、世の中に浸透する―― それが現在の働き方を変えることで、本当に人が自分の頭で考え、行うべきこと、つまり、人としての働き方(人にしかできない仕事)が浮き彫りになると思います。

DXの未来は“人が能力を発揮して、自分にしかできない仕事をすること”




―――インタビューも後半になりましたが、これから挑戦したいことは何かありますか?

我々のRPA事業部では、「あなたのしごと、自分しかできないしごと only your job,your enjoy」をビジョンに掲げています。その実現のために、業務の効率化を目指しています。

まず、“自分しかできないしごと(オンリーユアジョブ)”とは、具体的には、人間にしかできない仕事、あるいはオリジナリティが必要な仕事という意味です。今の時代、RPAツールなどを使って、誰でもできるような仕事は効率化してしまっても良いと思います。

効率化によって得られた時間を使って、早く家に帰り家族と過ごす、あるいは新しい戦略を考える、といったことが可能になります。我々は、このような世界を実現したいと考えています。

そのためには、我々のRPAツールを一人でも多くの人に使ってもらうことが重要です。それが、我々が無料で提供している理由です。大学生や高校生でも、このマクロマンというツールを使うことができます。

無料で使えることで、社会に出る前からRPAについて理解し、使えるようになることが可能です。すると社会で働く中で、その人にしかできない仕事がどんどん生まれてくると思います。一度では誕生しないかもしれませんが、社会に出た時点ですでにRPAを理解している人が増えれば、Cognitive Automationもすぐに浸透するでしょう。

そして、もっと強力なツールが生まれてくる可能性が高くなりますよね。これらを実現するための、第一歩としてRPAに触れることができるというのが我々の役割だと思っています。

―――最後に吉田さんが考える、DX化の未来について教えてください。

先ほどのお話の中でジャービスの話をしたと思いますが、もう少し近い未来についてお話をさせてください。



「人がデジタル技術をどのように扱うのか?」によって未来は変わっていくものだと思っています。一般的にはDX化はデジタル技術を駆使して進めていくことになります。

このデジタル技術は、人の生産性を向上することは得意ですが、カスタマイズ性に欠けることがありデジタル技術を導入してみたがうまく使いこなせない…なんていうケースもあると思います。

だからこそ、デジタル技術を導入してユーザーが使いやすいようにカスタマイズすることがあります。そして、カスタマイズを続けると「そもそもこの業務って、もっと効率化できないのかな?」などの疑問が生まれてイノベーションが起こったりもするんですよね。

私の考えとしてはDXの未来は“人が能力を発揮して、自分にしかできないしごとをすること”だと思っています。私もまだまだ未熟なところがありますが、DXの未来を作ることによって会社で働く従業員や、その家族・友人などにも大きな影響があるとも考えています。

実際に効率化することで空いた時間を家族で過ごすことができたり、新たなスキルを身につけるリスキリングなどを行ったりすることができます。

この世界観を実現するために、私を含めた会社のメンバー全員で精進しながら取り組んでいきたいと思っていますね。




―――ありがとうございます。とても貴重なお話を聞くことができました!本日はありがとうございました。

【編集後記】
<編集後記>

  今回の取材を通して、感じたことはRPAをはじめたテクノロジーを上手に使うことで、人にしかできない仕事を突き詰められるという仕事の可能性だった。ChatGPTや画像生成AIなど、テクノロジーの進化が加速する昨今、人の仕事がなくなるのではないかという考察がされているが、視点を変えればそれは“人ならではの仕事”を発見できるということだ。吉田氏も『DXの未来は“人が能力を発揮して、自分にしかできないしごとをすること”だと思っています。』と述べているように、人とテクノロジーの共存はネガティブではなく、ポジティブな未来になる気がする。今後もRPA領域を最前線で活躍するコクー株式会社の動向をチェックしていきたい。



【編集後記】
新井那知
ライター
So-gúd編集部
新井 那知
埼玉県・熊谷市出身。渋谷の某ITベンチャーに就職後、2016年にフリーランスライターとして独立。独立後は、アパレル、音楽媒体、求人媒体、専門誌での取材やコラム作成を担当する。海外で実績を積むために訪れたニューヨークで、なぜかカレー屋を開店することに—-帰国後は、クライアントワークを通してライターとして日々取材や編集、執筆を担当する。料理と犬、最近目覚めたカポエイラが好き(脚技の特訓中)。
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