3月22日は世界水の日。当たり前に手に入る清潔な水の大切さを考えよう
3月22日は世界水の日。普段何気なく使っている清潔な水がとても大切であることや、安心して飲める水を普及させることの重要性について考える日です。
現在、水道設備がない暮らしをする人は世界に22億人います。そのうち、1億4,400万人は未処理の水を生活水や飲料水として使用している現状。
清潔な水がいつでも手に入る日本で暮らしていると、水不足は遠い問題に思えるかもしれませんが、『世界水の日』を迎えるに当たって水の大切さについて考えてみませんか?
当記事では、世界水の日の概要を中心に、世界の水不足の状況や私たちの生活との繋がり、そして世界水の日に個人ができるアクションまでご紹介いたします。
世界水の日(World Water Day)とは?
『世界水の日』は、水がとても大切であること、きれいで安全な水を使えるようにすることの重要性について、世界中で考えるための日。
1992年12月に国連総会において、毎年3月22日を世界水の日とすることが制定されました。
また、世界水の日は、ブラジル・リオデジャネイロで開催された地球サミット(環境と開発に関する国連会議)で採択されたアジェンダ21で制定が提言されたものです。
世界水の日と同様、国連によって制定された国際デーの1つに『世界トイレの日』があります。衛生的なトイレ施設を使用できないために、感染症にかかり、命を落と人がいまだにいる現状。
衛生施設にまつわる課題を解決するために、11月19日の『世界トイレの日』は、清潔な衛生施設の普及を改めて考えてみましょう。
なぜ世界水の日が大切なのか
日本は、蛇口をひねると飲むことができる水が出てくる恵まれた国。
清潔な水や衛生施設が当たり前に存在する環境が整う国があると共に、いまだに汚染された水やトイレ施設を使用せざるを得ない人が多くいることも事実です。
こちらでは、世界水の日を設け、水の大切さについて考える機会が必要とされる理由について、ご説明いたします。
世界における水不足の状況
世界には、清潔な水へのアクセスがない人がいまだに多くいます。世界における水不足の状況について、下記にまとめましたのでご参照ください。
- 世界の約22億人が、安全に管理された飲み水を使用できない
- 1億4,400万人は、湖や河川、用水路などの未処理の水を使用
- 42億人が、安全に管理された衛生施設(トイレ)を使用できない
- 6億7,300万人以上は、家や近所に利用できるトイレがない
- 30億人が、石けんや水が備わった基本的な手洗い設備が自宅にない環境で暮らす
これらの現状だけでも、豊かな水へのアクセスがある日本で暮らす私たちにとっては驚くべきものばかりだと思います。
さらに、世界でどのような水不足が発生しているのかについて、下記の記事でより詳しく解説しているので、ぜひご一読ください。
世界水の日をより理解できる、水不足問題の詳細記事
水不足がもたらす社会への影響
安心して生活水として使用できる水へのアクセスがないことは、感染症にかかるリスクを高めるだけでなく、女性や子どもの社会進出の機会を損ねるという影響も。
こちらでは、水不足の状況が続くことで。どのような影響を社会にもたらすかについてをご説明致します。
・教育機会や社会進出機会の損失
水汲みの必要がある環境では子どもへの教育機会が欠如していたり、女性の社会進出機会が低かったりする場合が多く見られる。・対立や紛争、国際関係悪化の要因
井戸の使用を巡った家庭間の対立から、ダムの権利をかけた国家間の紛争まで、水不足問題は関係悪化の一因。・感染症拡大
安全に飲める水や生活水が不足することは、感染症の流行につながる。
上記の表で示したように、水不足が及ぼす影響は多岐に渡るもの。
少しでも水不足によって困難な状況に置かれる人々を減らすために、国際社会は動き出しています。
世界水の日はSDGsとも関連する
国連によって制定されている『世界水の日』。
同じく国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)とも、大きく関わっています。
国連が、SDGsを通じて、2030年までに達成を目指すゴールは以下の通りです。
ゴール6 | 安全な水とトイレを世界中に |
6-1 | 2030年までに、だれもが安全な水を、安い値段で利用できるようにする。 |
こちらではターゲット6-1を取り上げましたが、安全な水を安い値段で利用できる環境が整うことが基本のゴールです。
日本で生活をしていると、水不足を実感する場面は少ないと思いますが、国連が清潔な水の普及を急ぐように、世界では衛生的な水へのアクセスがない人々が多くいるのが事実。
ここまで水不足の現状や、人間の生活において水が重要である理由をご説明したように、水の大切さを改めて考え、清潔な水をできるだけ多くの人に普及させるために制定されたのが『世界水の日』です。
特に2020年の世界水の日は、コロナ禍における清潔な水へのアクセスの重要性を強調するものでした。
コロナ禍で水不足が浮き彫りに
先ほど、水不足によって感染症の拡大が懸念されることをご説明したように、2020年から続く、新型コロナの世界的大流行によって、水不足の問題が浮き彫りに。
国連の公式サイトでは、コロナ禍にて1人でも多くの人が手指衛生を維持できるように『Safe hands キャンペーン』を行っています。
- コロナ禍でも清潔な水へのアクセスがない
- 適切に手洗いができない
- 不衛生なトイレ施設でウイルスが蔓延
コロナ禍では、こまめに手洗いをおこない、手指を清潔に保つことが必要ですが、当たり前に思える手洗いさえできない状況にいる人々は多く存在します。
水不足や衛生環境が欠如することによる、さらなるウイルスの流行を防ぐためにも、早急な解決が求められる水不足問題。
では、どのような理由で水不足問題は、引き起こされているのでしょうか?深刻化する水不足問題の背景にある原因について解説いたします。
水不足に私たちの生活が関わっている?
世界には、深刻な水不足に悩まされる地域がありますが、先進国で豊かな暮らしを続ける背景では大量の水が消費されています。
例えば、畜産。家畜の飲料水や、飼料を栽培するために大量に消費される水。
また、ファストファッションをはじめとする、繊維業も汚染された水を増加させる一因であることをしっていましたか?
便利な暮らしと水不足がどのように関わっているのか、簡単にご説明します。
食料生産には大量の水が消費される
スーパーやレストランに行けば、気軽に手に入る食材や料理。
そんな食材を生産する過程で、大量の水が消費されていることをご存知でしょうか?
例えば畜産。
- 牛肉1kgを生産するために、15,500リットルもの水を消費
- 1㎏のトウモロコシ生産使われる水は、1,800リットル
畜産によって生産される牛肉と、野菜であるトウモロコシを比べただけでも、消費される水の量に大きな差があります。
また、畜産において飼料を栽培するためにも消費される水。このように、食料を供給するためには多くの水を必要としています。
ファストファッションが引き起こす水不足
豊かな食生活だけでなく、オシャレを気軽に楽しめるファストファッションも水不足に関わっているんです。
服を生産する過程では、綿花の生産や染料を溶かすためなど、あらゆる場面で大量の水が消費されています。例えば、デニム1本を生産するためには、4000リットルの水を消費。
水を消費するだけでなく、繊維工場や染料をおこなう工場から垂れ流しにされる化学物質によって河川が汚染されている現状もあります。
このように、水不足は遠い国で起こっている問題ではなく、私たちの生活とも関わりがあることを理解して頂けたら幸いです。
水不足を解消する国際デー、『世界水の日』に参加する方法にはどのようなものがあるのか、1つのイベントをご紹介します。
世界水の日にちなんだイベント『Blue4Water』
すべての人が清潔な水を使用できる世界を目指し、活動する水・衛生専門の国際NGO団体WaterAidが主催するイベント『Blue4Water』があります。
『Blue4Water』と名づけられたイベントは、3月22日「世界水の日(World Water Day)」に、世界を青く染め上げることによって、より多くの人に世界の水の問題に関心を持ってもらうことを目的とした参加型キャンペーン。
水をイメージしたブルーで身近なものやSNSを染め上げることで、世界水の日を盛り上げるイベントです。
『Blue4Water』に参加し、青色のものを身に着けてみたり、SNSで発信したりすることも世界水の日の過ごし方のひとつですが、その他の過ごし方についてもご紹介いたします。
世界水の日はどう過ごす?
「世界水の日にイベントに参加することや、SNSを使うことは少しハードルが高い。」
このように思っている皆さんに、気軽に実践できるアクションをいくつかお伝えいたします。
世界水の日にできる気軽な貢献は『節水』。今回は、日常より水の使用を抑えるコツを集めましたので、ぜひ参考にして頂ければ嬉しいです。
- トイレを流す時は『小』を使う
- 食器は水をためて洗う
- 歯磨きはコップ一杯の水だけでおこなう
- シャワーはこまめに止める
- お風呂の残り湯を洗濯に再利用
水の消費を減らすコツを紹介しましたが、下水道に流れる洗剤の量を削減しようと努めることも、また1つのアクション。
ぜひ、できるところから始めてみてください。
世界水の日は清潔な水へアクセスできる環境に感謝する日に。
今回は、世界水の日について、世界における水不足の現状や懸念される影響などを交えながらご説明いたしました。
日頃から、清潔な水や衛生施設へのアクセスが当たり前にある環境にいると、あまり気づけないことですが、今年の世界水の日が水の大切さを考えるきっかけになれば幸いです。
全世界で、1人でも多くの人が水による悩みを抱えない社会をつくるために、簡単な貢献から始めてみてはいかがでしょうか?
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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