サステナブルファッションとは?ブランドの取り組みと服の選び方

公開日:2021年9月10日 / 最終更新日:2026年9月8日

サステナブル

好きな洋服を着ることは、気分を上げたり、自分らしさを表現したりする楽しみです。その楽しみを長く続けるために、服が作られる背景や、着なくなった後の行き先にも目を向けてみませんか。

サステナブルファッション(サスティナブルファッション)は、素材だけでなく、生産する人、販売方法、手入れや回収までを考える取り組みです。この記事では、環境省の2025年版資料と、2026年9月に確認したブランドの公式情報をもとに、服の選び方を紹介します。

更新注記:統計・ブランド情報は編集部が公式資料で確認しました。本文中の「初稿掲載時の専門家コメント」は、初回取材時の見解として掲載しています。

以下の監修者紹介・プロフィールは初稿掲載時のものです。今回の更新内容の再監修を示すものではありません。

監修者
鈴木 素
hap株式会社
hap株式会社代表。地球環境に配慮した快適多機能スマートウェア「COVEROSS®シリーズ」を手掛ける他、オリジナルアパレルブランドBLUEYの展開、ファッションの提案・企画・生産管理も行う。「ガイアの夜明け」やフジテレビの「未来を変えるFutureTalk 8/21」に出演。フィンランドのサーキュラーエコノミー開発団体『telaketju』に日本企業で唯一加盟している。

サステナブルファッションとは?

衣類の原材料を調達し、製造・販売・使用し、最後に回収や処理をするまで、環境や社会への影響を考えるファッションです。再生素材を使っているかだけでなく、働く人の安全や権利、製品の耐久性、修理のしやすさも関わります。

「天然素材なら必ず環境に優しい」「高い服なら持続可能」といった単純な基準では判断できません。素材の性質と使う目的、製造工程、実際に着る期間を合わせて考えることが大切です。

出典:環境省「サステナブルファッションとは」

ファッションが抱える課題

生産や使用に伴う環境負荷

素材を育てたり作ったりする段階から、染色・縫製、輸送、洗濯に至るまで、水やエネルギーが使われます。同じ「服1着」でも、素材、重さ、生産地、工程によって負荷は異なります。

以前の環境省調査の平均値を、すべての商品に共通する数字や2026年の実測値として扱うことはできません。商品を比較するときは、何を対象に、どの期間・工程を計算した数字なのかも確認しましょう。

衣類の廃棄

環境省の2025年版「衣類のマテリアルフロー」では、家庭から手放され、最終的に国内で焼却などにより処理される衣類は約46万トンと推計されています。新品の売れ残りだけの量ではありません。

このフローは2025年時点で把握できる資料を組み合わせた推計で、すべてが2025年中の実測値というわけではありません。また、推計方法の見直しがあるため、過去の版との単純比較にも注意が必要です。「毎年15億着の新品が売れ残って捨てられる」という旧来の説明とは区別します。

出典:環境省「令和7年度 循環型ファッションの推進方策に関する調査業務」(2025年版マテリアルフロー)

生産現場の労働環境と人権

2013年4月24日にバングラデシュで起きたラナ・プラザのビル崩壊は、衣類を作る人たちの安全に国際的な関心が集まる契機となりました。工場の安全、賃金、労働時間、働く人が声を上げられる仕組みなどが重要です。

工場名や原価の公開は透明性を考える手がかりになりますが、公開だけで適正な賃金や労働条件が保証されるわけではありません。ブランドの方針に加えて、課題と改善実績の説明も確認しましょう。

出典:ILO「ラナ・プラザの事故から10年:何が変わったか」

動物由来素材の調達

革、毛皮、ウールなどでは、動物の扱いや調達方針を確認することが大切です。一方、動物由来素材を使わない製品にも、合成樹脂など別の素材に伴う環境負荷があります。

また、動物実験に関する「クルエルティフリー」と、動物由来成分・素材を使わない「ヴィーガン」は同じ意味ではありません。ブランド全体の方針と、個々の商品の素材表示を分けて確認しましょう。

服の一生を通じて考える4つの取り組み

1. 原材料:素材の由来と割合を確かめる

再生繊維や認証を受けた素材を使う取り組みがあります。ただし、「再生素材使用」だけでは、その割合や原料の由来は分かりません。海から回収したPETボトル、工場の端材、使用済み衣類など、どこから来た原料なのかを確認すると理解が深まります。

リサイクル素材も、回収・加工にエネルギーを使います。素材名だけで優劣を決めず、耐久性や必要な機能も含めて考えましょう。

2. 製造:長く使える設計と、適切な生産量

丈夫さや着心地に加え、修理や部品交換がしやすい設計は長期使用を助けます。受注生産や需要予測は売れ残りを抑える工夫ですが、生地のロスや製造効率も考慮する必要があります。

初稿掲載時の専門家コメント

受注生産は在庫には残らないので売れ残り心配は少ないのですが、小ロット生産の場合生地の生産ロスがでます。そのため、衣類の売れ残りという点で、少量生産・受注生産は優れた手法と言えますが、生地の生産ロスも考えると、一概に正解だということは難しいのが現実です。

3. 販売・購入:価格だけで判断しない

セールをするかどうか、原価率が高いかどうかだけで、環境や働く人への配慮は判断できません。必要以上に作らない工夫や、売れ残った商品の扱い、具体的な調達方針を確認しましょう。

買う側も、手持ちの服と合わせられるか、着る機会があるかを考えることで、使わない服を増やしにくくなります。

4. 使用後:修理・リユース・回収

修理して着続ける、人に譲る、中古品として売買するなど、次の使い手につなぐ方法があります。回収に出すときは、受け付ける素材や状態、回収後の用途を確認しましょう。

回収された服がすべて新品の服に戻るわけではありません。雑巾など別の用途へ再利用される場合や、再資源化できない場合もあります。

公式情報で確認したブランドの取り組み5選

ここでは、ブランドが公表している具体的な取り組みを紹介します。どのブランドの商品も一律に「環境負荷ゼロ」と評価するものではありません。素材や修理対応は商品ごとに確認してください。

Patagonia(パタゴニア):修理して使い続ける

サステナブルブランドの代表格であるパタゴニア

パタゴニアは、製品の手入れや修理の案内を公開し、オンラインで修理を受け付けています。破損状態や対象製品によって対応が異なるため、修理の可否・費用・受付条件は公式案内を確認しましょう。

オーガニックコットンやフェアトレード・サーティファイドの工場での製造を明記した商品もあります。ただし、すべての素材・工程が同じ認証の対象とは限りません。

出典:パタゴニア「修理受付」

出典:パタゴニアの商品表示例:メンズ・95 オーバル・ロゴ・Tシャツ

公式ストアはこちら。

Stella McCartney(ステラ マッカートニー):素材の選択

サステナブルなバッグブランド

画像出典:Stella McCartney(初回掲載時)

ステラ マッカートニーは、革・毛皮・羽毛などを使わない方針を公表しています。一方でウールやシルクなどを使う製品もあり、ブランドの全商品がヴィーガンというわけではありません。

バッグだけでなく衣類なども扱うブランドです。動物由来素材を避けたい場合は、方針とともに商品の素材欄を確認しましょう。

出典:Stella McCartney「FAQ」

出典:Stella McCartney「Sustainability Statement 2024」(2025年公開資料)

日本向け公式サイト

coxco(ココ):服づくりを学びと仕事の機会につなぐ

ファッションブランドcoxco

画像出典:Makuakeのcoxcoプロジェクト(初回掲載時)

coxcoは、フィリピン・マニラの服飾技能訓練校兼工房「coxco Lab」で、若者や母親たちが縫製を学び、仕事につなげる取り組みを紹介しています。一部の商品はこの工房で製作されています。

初期の余剰生地活用という説明だけでなく、現在の教育・仕事づくりの活動も確認できます。素材や生産場所は商品によって異なるため、商品ごとの説明を読みましょう。

出典:coxco「About us」

ECOALF(エコアルフ):回収した資源を活用する

スペイン発の環境に優しいブランドエコアルフ

ECOALFは、再生素材の活用や「Upcycling the Oceans」を通じた海洋ごみの回収に取り組んでいます。海から回収したPETボトルを再生ポリエステルにする例がありますが、すべての商品・素材が海洋ごみから作られているわけではありません。

日本向けの商品は三陽商会の公式ストアで確認できます。再生素材の割合や混用率を確かめ、使う目的に合う一着を選びましょう。

出典:ECOALF「海から回収した素材を使う衣類」(2025年7月23日)

出典:三陽商会 ECOALF公式ストア

RYE TENDER(ライテンダー):残糸との出会いから生まれたニット

サステナブルなアパレルブランドのらいてんだー

RYE TENDERは、工場に残された糸との出会いをきっかけに2020年に生まれたブランドです。現在の公式紹介では、少量生産・直接販売から事業の幅を広げてきた経緯と、ニットづくりの考え方を説明しています。

主要な生産拠点は中国の蘇州と東莞で、パートナー工場についても紹介しています。「全商品が残糸だけで作られる」と一律に捉えず、現在の素材表示と製造背景を確認しましょう。

出典:RYE TENDER「About」

出典:RYE TENDER「Where the knits come from」

過去に掲載したMERCI・LabelCについて

以前この記事で紹介したMERCIとLabelC by LIB JOIEについては、2026年9月の確認時点で、記事に掲載していた商品の現行販売情報を確認できませんでした。現在購入できるブランドのおすすめ一覧からは外しています。これは、ブランドの終了や商品の廃番を確認したという意味ではありません。

自分に合った服を選ぶチェックリスト

  • 手持ちの服と合わせられ、繰り返し着る場面を想像できるか。
  • 素材や混用率、生産地が具体的に説明されているか。
  • 環境配慮の数字に、対象範囲・比較条件・時期が示されているか。
  • 働く人や動物の扱いについて、方針と改善内容が説明されているか。
  • 自宅で無理なく手入れできるか、修理を相談できるか。
  • 手放す際のリユースや回収方法を確認できるか。

すべてを満たす服だけを探す必要はありません。まず手持ちの服をよく知り、必要なときに、情報を確認して選ぶことから始めてみましょう。

日常で持続可能なおしゃれを楽しむ方法

長く着られるものを選び、手入れする

着用回数を思い浮かべることは、衝動買いを防ぐ手がかりになります。特定の回数を超えれば環境に良いと保証されるわけではありませんが、自分の生活で使い続けられるかを考えてみましょう。

古着や譲り合いも選択肢にする

古着を買うこともサスティナブルにファッションを楽しむ方法の1つ

サイズや状態を確かめて古着を選ぶ、人に譲る、修理して再び使うなど、服の使用期間を延ばす方法があります。寄付や回収に出すときは、受け入れ条件に合うものを渡しましょう。

洗濯表示と衛生を大切にする

素材や汚れに合った洗濯を行い、洗剤は表示された量を守ります。合成繊維の衣類から微小な繊維が出ることがありますが、「洗剤から必ずマイクロビーズが出る」と一律には言えません。

洗濯袋やフィルターは説明書に従って使い、集めた繊維を排水口へ流さないようにします。環境配慮のために、必要な洗濯や衛生管理を控える必要はありません。

具体的な方法は、環境に配慮した洗濯方法の記事もご覧ください。

着なくなった服の行き先を考える

フリマに出して、製品の寿命を伸ばす

使える状態なら売却・譲渡を検討し、難しい場合は自治体や店舗の回収案内を確認します。回収先が決まってから、求められる状態に整えて持ち込みましょう。

新しく買う前に、今ある一着から

サステナブルファッションは、特定のブランドを買うことだけではありません。今ある服を手入れする、着方を工夫する、次の人につなぐことも選択肢です。服を楽しみながら、その背景にも関心を持ち続けてみませんか。

               
ライター:Ethical Choice編集部
Ethical Choice編集部です。エシカルな生活を送る知恵、サスティナビリティに関する取り組み、環境問題に対するソリューションを発信いたします。

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※本記事に掲載の情報は、公的機関の情報に基づき可能な限り正確な情報を掲載しておりますが、情報の更新等により最新情報と異なる場合があります。

※本記事はエシカルな情報提供を目的としており、本記事内で紹介されている商品・サービス等の契約締結における代理や媒介、斡旋をするものではありません。また、商品・サービス等の成果を保証するものでもございません
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