デカップリングとは?相対的・絶対的の違いと経済成長・環境負荷の関係

公開日:2021年6月29日 / 最終更新日:2026年9月8日

サステナブル

2026年9月更新:相対的・絶対的デカップリングの違いと、2026年公表の統計を反映しました。

英語で「分離」「切り離し」といった意味を持つ「デカップリング」。農業や金融経済、環境などさまざまな分野にて使われる用語でもあります。

今回は、主に環境問題を語るときに使われる「デカップリング」という言葉についてその意味や考え方などについてご紹介します。

より知識を深めたい方は、ぜひご覧下さい。

環境分野のデカップリングとは

経済活動の拡大と、資源の使用や環境への負荷の増大との結びつきを弱めることです。対象はエネルギー消費だけでなく、温室効果ガス、原材料、水など、評価したい指標によって変わります。

UNEPの国際資源パネルは、資源利用や環境影響を経済成長・人々の豊かさから切り離す考え方として説明しています。再生可能エネルギーへの転換は排出量を減らす手段になり得ますが、それだけでエネルギー消費量やすべての資源利用量が減ったことにはなりません。

出典:UNEP・国際資源パネル「Decoupling」(2011年)

相対的デカップリングと絶対的デカップリング

  • 相対的:経済が成長する一方、資源使用・環境負荷の増加率がそれを下回る状態。負荷の総量は増えている場合があります。
  • 絶対的:経済が成長しても、対象とする資源使用・環境負荷の総量が減少する状態。

たとえばGDPが100から110へ増え、排出量も100から105へ増えた場合は相対的な改善です。GDPが110へ増え、排出量が95へ減った場合は、その期間・指標について絶対的なデカップリングといえます。これは説明用の数値例です。

出典:国際資源パネル「Global Resources Outlook 2024」

言葉を使うときは対象を確認する

デカップリングは農業政策や国際経済などでも使われる言葉ですが、切り離す対象が異なります。この記事では環境分野に限定して解説します。

なぜ区別が必要なのか

製品1個あたりの資源使用やGDPあたりの排出量が減っても、生産・消費の総量がそれ以上に増えれば、環境負荷全体は増えます。効率改善だけを見て「問題が解決した」と判断することはできません。

さらに、国内の生産に伴う排出だけを見るのか、輸入品の海外での生産に伴う排出も含めて消費側から見るのかで結果は異なります。対象期間、物価変動を除いたGDP、算定範囲、負荷の総量をそろえて比較することが大切です。

世界と日本の現状をどう読むか

世界:増加率の鈍化は排出総量の減少ではない

IEAの「Global Energy Review 2026」は、2025年の世界のエネルギー関連CO₂排出量が約0.4%増えたと報告しています。増加率が鈍っても総量は増えているため、この結果を世界全体の排出削減達成と呼ぶことはできません。また、対象はエネルギー関連CO₂であり、温室効果ガス全体とは異なります。

出典:IEA「Global Energy Review 2026」(2025年の動向)

日本:排出・吸収量と経済指標を分けて確認する

環境省の2026年4月公表値では、2024年度の日本の温室効果ガス排出・吸収量は約9億9,400万トン(CO₂換算)で、2013年度比28.7%減でした。これは吸収量を差し引いた温室効果ガスの値で、「2024年度のCO₂排出量だけ」の数字ではありません。

排出量の減少だけでデカップリングを証明できるわけではなく、同じ期間の実質GDPなどと合わせて評価する必要があります。将来目標と実際の削減実績も区別しましょう。

出典:環境省「2024年度の温室効果ガス排出量及び吸収量」(2026年公表)

私たちにできること


暮らしの豊かさを支えながら、資源使用や環境負荷を減らすために、身近な選択を見直してみましょう。

今後の暮らしのために欠かせない考え方ですが、私たちにできることはあるのでしょうか。

続いては、身近なところから見ていきたい、デカップリングを進めるアイディアをご紹介します。

省エネルギー製品を購入する

家電や車の買い替え時などに注目したいのは、省エネルギー製品かどうかということ。

少しでも省電力のものを選ぶのはもちろん、必要以上に大きなものを買わない、自分にとって不要な機能がついているものは避けるなどというのも有効でしょう。

また、衣類やインテリア小物などを購入するときも省エネルギーで作られたものを選ぶというのもポイントです。

ゴミを減らす工夫をする

ゴミを処理するときにも、たくさんのエネルギーが使われています。

そのため、できるだけゴミを出さない暮らしがこれからは求められるでしょう。

具体的には、不要になったものは捨てるのではなく使ってくれる誰かに譲るほか、使い捨てのものは避けて繰り返し使えるものを選ぶ、などの対応が重要になってくるでしょう。

環境対策の実績を確認して選ぶ

食品や日用品を購入する際には、環境保全のため尽力している企業のものを購入・応援するというのもひとつの行動です。

企業の説明では、目標だけでなく実績、対象範囲、比較条件、第三者による確認の有無を見ましょう。購入代金の使い道が環境保全に限定されるとは限りません。

普段愛用しているものが、どんな企業によって作られているかに注目してみるのもおすすめです。

電力の無駄遣いをしない

誰もいない部屋についている電気やエアコンなどは、電力の無駄。

ひいてはエネルギーの大量消費につながります。できるだけ電力を無駄遣いしない暮らしを心がけると、自然とエネルギーの消費量は減っていきます。

電気だけではなく、水も出しっぱなしにせずこまめに止めるといった工夫をするようにしてみてください。

地産地消を心がける

地産地消は地域の生産者を知り、地域経済を支える選択肢です。ただし、環境負荷は距離だけでなく、生産方法、輸送手段、保存や廃棄によっても変わります。旬や生産方法を確認し、食べきれる量を選ぶことも大切です。

さいごに。充実の暮らしを手に入れるために。

いくら経済が発達しても、地球環境がおざなりになってしまっては豊かな暮らしをしているとはいえないもの。

また、逆に地球環境がより良いものになっても経済活動が止まってしまうのは避けたいですよね。デカップリングは、その両立がどこまで進んだかを考えるための視点です。実現を保証する仕組みではありません。

経済と地球環境、どちらも大切にするデカップリングは今後の暮らしに欠かせない考え方になることでしょう。

私たちにもできる身近な方法もたくさんありますので、ぜひ取り入れてみてください。

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。

               
ライター:Ethical Choice編集部
Ethical Choice編集部です。エシカルな生活を送る知恵、サスティナビリティに関する取り組み、環境問題に対するソリューションを発信いたします。

【免責事項】

※本記事に掲載の情報は、公的機関の情報に基づき可能な限り正確な情報を掲載しておりますが、情報の更新等により最新情報と異なる場合があります。

※本記事はエシカルな情報提供を目的としており、本記事内で紹介されている商品・サービス等の契約締結における代理や媒介、斡旋をするものではありません。また、商品・サービス等の成果を保証するものでもございません
クリップボードにコピーしました。