アグロフォレストリーとは?メリット・課題と企業事例、パーマカルチャーとの違い
公開日:2021年8月29日 / 最終更新日:2026年9月8日
アグロフォレストリーは、樹木と農作物や家畜を組み合わせる土地利用の方法です。生産と環境保全の両立が期待されますが、どこでも同じ効果が出るわけではありません。
この記事では仕組みとメリット・課題、企業の取り組みを紹介します。後半では、関連するパーマカルチャーの考え方と暮らしでの実践例を整理します。2026年9月に情報を確認しました。
アグロフォレストリーとは
FAOは、樹木などの多年生木本植物を、農作物や家畜と意図的に組み合わせる土地利用をアグロフォレストリーと説明しています。樹木と作物を同じ場所に配置する方法や、時間をずらして組み合わせる方法などがあります。
樹木の陰を利用してカカオやコーヒーを育てる、果樹と他の作物を組み合わせるなど、地域の気候・土壌・暮らしに合った設計が大切です。伝統的に実践されてきた方法もあり、単に新しい農法という意味ではありません。
期待できるメリット

土壌や生息環境の保全
適切に設計された樹木の配置は、土壌の流出を抑え、生き物のすみかや炭素の蓄積に役立つ可能性があります。ただし、自然林を伐採して農園に転換することまで正当化するものではありません。既存の森林を守ることと、農地で樹木を活用することは区別して考えます。
作物に合った環境づくり
日陰や風よけなどが作物の生育を助ける場合があります。一方、組み合わせや密度が適切でないと、光・水・養分を奪い合うこともあります。
生産物と収入源の多様化
果実、木材、飼料など複数の生産物を得られれば、収穫時期や収入源を分散できる可能性があります。単一の作物の価格下落や不作に備える選択肢になりますが、販路や採算が確保されることが前提です。
出典:FAO「Agroforestry:利点・導入条件・課題」
導入の課題と注意点
- 収穫までの時間:樹木によっては収益が得られるまで数年単位の時間がかかります。初期費用と生活を支える資金計画が必要です。
- 管理の複雑さ:複数の植物・家畜を扱う知識、作業時間、技術支援が求められます。
- 地域との適合:気候や土壌、土地利用の権利、住民の希望、利用できる市場を考慮します。
- 効果の確認:「環境負荷ゼロ」「必ず所得が増える」とは言えません。導入前後の生産・費用・生態系への影響を確認します。
FAOは、小規模に試行し、費用と便益を検討することを勧めています。現場の農業者と専門家が協力し、長期的に管理できる方法を選ぶことが重要です。
日本に関わる企業の取り組み
以下は各社の公表情報に基づく事例です。企業の全商品が同じ方法で生産されているという意味ではありません。
明治:カカオと森の共存
明治は、ブラジルのアグロフォレストリーで育てたカカオを使うチョコレートを紹介しています。2025年4月15日には「アグロフォレストリーミルクチョコレート」のパッケージ刷新を発表しました。購入時には現行の商品ページと手元の表示を確認してください。
出典:明治「アグロフォレストリーミルクチョコレート」(2025年4月発表)
Co・En Corporation:生産者と消費者をつなぐ
Co・En Corporationは、マダガスカルやボルネオの素材と加工品を紹介し、アグロフォレストリーを営む生産者から製品を購入することで、その取り組みを事業として支えると説明しています。バニラなどの個別商品の産地や仕様は、商品案内で確認できます。
フルッタフルッタ:CAMTAとの関わり
フルッタフルッタの2025年公表資料は、仕入先であるブラジルのCAMTA(トメアス総合農業協同組合)が、コショウの病害による被害を経験し、複合的な栽培へ転換してきた経緯を紹介しています。アサイーなどの購入時には、個別の商品で原料や産地を確認しましょう。
出典:フルッタフルッタ「CAMTAに関する公表資料」(2025年11月)
パーマカルチャーとは?農法との違い
パーマカルチャーは、農業だけでなく暮らしや土地利用を持続可能に設計する考え方です。ビル・モリソンとデイヴィッド・ホルムグレンが1978年に共著「Permaculture One」を公表したことが、その発展の節目となりました。
アグロフォレストリーが樹木と作物・家畜の組み合わせに着目するのに対し、パーマカルチャーは住まい、エネルギー、食、地域の関係などを含む設計の枠組みです。両者を組み合わせることもできますが、同義語ではありません。
出典:Holmgren Design「パーマカルチャーの考え方と歴史」
3つの倫理と12の設計原則
ホルムグレンの枠組みでは、地球への配慮、人への配慮、公平な分かち合いという倫理を土台に、観察、資源の循環、多様性、小規模な改善などを重視します。
- 観察し、関わりながら学ぶ
- エネルギーを集め、蓄える
- 収穫・成果を得る
- 自律とフィードバックを活用する
- 再生可能な資源・サービスを活用する
- 廃棄を生まない工夫をする
- 全体のパターンから細部を設計する
- 分離よりも組み合わせを考える
- 小さく、ゆっくりした解決を選ぶ
- 多様性を活用する
- 境界や周辺の価値に注目する
- 変化に創造的に対応する
上記は設計原則を理解するための要約です。特定の栽培方法や健康効果を保証する科学法則、あるいは全国一律の認証基準ではありません。
出典:David Holmgren「Essence of Permaculture」
都会の暮らしに取り入れる7つのアイデア
以下は、資源の使い方や人との関わりを見直すための実践例です。自給自足や大きな庭がなくても、住環境と負担に合わせて取り組めます。
1.食べられる植物を育てる
ベランダや庭で、日照や広さに合うハーブ・野菜を少量から育てます。植物同士を組み合わせれば必ず生育がよくなるわけではないため、水やりや風通しを観察しましょう。
2.コンポストを検討する
投入できる生ごみ、管理方法、堆肥の使い道を確認します。ミミズ式など方式によって適した材料は異なり、家庭ごみを何でも投入できるわけではありません。
3.修理やDIYで長く使う
衣服や家具などを修理し、手元の資源を活用します。電気・ガス設備など危険を伴う作業は、資格や専門技術が必要な場合があるため業者に相談しましょう。
4.食事を持ち寄る
持ち寄りの食事では、量を調整し、食品の保管温度やアレルギー情報にも配慮します。無理なく分かち合える場をつくることが大切です。
5.必要な人へ分かち合う
不用品の譲渡や寄付は、受け取る側の希望と受入条件を確認します。寄付したものやお金が増えて自分へ返ってくることを保証する仕組みではありません。
6.自然を観察する時間を持つ
身近な緑や季節の変化に目を向け、休息の時間をつくります。瞑想などを取り入れるかどうかは、自分の好みや体調に合わせましょう。
7.デジタル機器との付き合い方を見直す
通知を減らす、休息時に画面から離れるなど、暮らしに合う方法を試します。治療効果や「毒素の排出」を意味するものではありません。
学ぶ場所や商品を選ぶときの確認点
体験講座や農園を利用するときは、開催日、指導内容、費用、受入条件を公式案内で確認してください。講座の修了証は発行団体と内容を確認し、「国内で唯一」「必ず資格が取れる」といった説明だけで判断しないことが大切です。
生産者の取り組みを知り、商品や体験を選ぶことも、持続可能な土地利用を考える入口になります。農法の名前だけで判断せず、実際にどこで、どのように行われているかを見てみましょう。
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