環境税とは?地球温暖化対策税・森林環境税の違いと使い道
公開日:2021年5月26日 / 最終更新日:2026年9月8日
「環境税」は、環境への負荷を抑える税や、環境保全の財源となる税について使われる言葉です。ただし、一つの税制度の正式名称ではなく、課税対象や使い道は制度ごとに異なります。
この記事では、日本の地球温暖化対策のための税、森林環境税、海外の事例を整理します。2026年9月時点で確認できる制度に更新しました。
環境税は何を目的とする?
環境負荷のある行動に費用を伴わせ、資源やエネルギーの使い方を変えるきっかけにすること、環境保全の取り組みに必要な財源を確保することなどが考えられます。
なお、OECDの環境関連税の統計では、税収の使途や導入目的だけでなく、環境に悪影響を与える物理的な量などを課税ベースとしているかで分類します。環境のために使う税と、統計上の「環境関連税」が必ず同じ範囲になるわけではありません。
日本の「地球温暖化対策のための税」
2012年10月に導入され、2016年4月に段階的な税率の引上げが完了しました。石油石炭税に上乗せする形で、化石燃料の使用に伴うCO₂排出量1トンあたり289円に相当する税率を設定しています。
この289円は地球温暖化対策のための上乗せ分であり、ガソリンなどにかかる税のすべてを合算した額ではありません。税収は省エネルギーや再生可能エネルギーの導入など、エネルギー起源CO₂の排出抑制対策に活用されます。
誰が納税するの?
石油石炭税の納税義務者は、原則として国内の原油・ガス状炭化水素・石炭の採取者や、輸入した対象燃料を保税地域から引き取る者です。消費者が全員、税務署へこの税を直接納める仕組みではありません。
一方、事業者の費用が商品やサービスの価格に反映されることで、家計が間接的に負担する可能性があります。「法律上の納税義務者」と「最終的な経済負担を受ける人」を区別しましょう。
森林環境税は2024年度から課税開始
森林環境税は、2024年度から個人住民税均等割の枠組みを使い、国税として1人年額1,000円を市町村が賦課徴収しています。「これから導入予定」の制度ではありません。
すべての人が無条件に課税されるわけではなく、所得や世帯の状況などに応じた非課税規定があります。未成年というだけで一律に非課税になるわけでもありません。自分に適用される条件は住んでいる市町村の案内で確認してください。
森林環境譲与税との違いと使い道
森林環境税を国民から徴収する仕組みと、国から市町村・都道府県へ財源を配分する森林環境譲与税は別の段階の制度です。譲与は2019年度から先行して始まっています。
譲与税は、森林整備、人材育成、木材利用、普及啓発などに使われます。自治体による使途の公表を確認すれば、地域で何に活用されたかを見ることができます。都道府県等の独自の森林関係税とも区別しましょう。
海外の制度を知る3つの例
スウェーデン:1991年に炭素税を導入
スウェーデン政府は、既存のエネルギー税に加え、1991年に炭素税を導入した経緯を紹介しています。税率、免除、EU排出量取引制度との関係を含めて制度を見る必要があり、導入年の情報だけでは現在の負担を判断できません。
出典:スウェーデン政府「Sweden’s carbon tax」
フランス:2014年に炭素要素を導入
フランスでは、2014年の予算法によりエネルギー税に炭素要素が導入されています。以前の本文にあった「2018年に導入予定だったが、デモで未導入のまま」という説明は誤りです。制度の導入と、その後の税率引上げをめぐる動きは区別する必要があります。
出典:フランス環境移行省「La fiscalité environnementale」
スイス:税収の一部を還元
スイス連邦環境庁は、CO₂賦課金の収入の約3分の2を住民と経済へ再分配すると説明しています。環境に関する課税は、収入をすべて特定の環境事業に使う方式だけではないことがわかります。
排出量取引・化石燃料賦課金との違い
炭素に価格を付ける政策をまとめて「カーボンプライシング」と呼びますが、税と排出量取引は同じ制度ではありません。
- 排出量取引制度:対象事業者の排出枠などを扱う制度。日本では、CO₂直接排出量が前年度までの3年度平均で10万トン以上の事業者を対象に、2026年度から本格稼働しています。
- 化石燃料賦課金:化石燃料の輸入事業者などに、燃料の使用に伴うCO₂排出量に応じて課す仕組みで、2028年度からの導入が予定されています。
これらを、2012年からの地球温暖化対策のための税や、森林環境税と混同しないようにしましょう。
出典:資源エネルギー庁「GX政策の今」(化石燃料賦課金の導入予定)
メリットと課題
環境負荷を費用に反映することで、省エネや排出量の少ない技術を選ぶ動機が生まれ、対策の財源も確保できます。ただし、効果は税率、対象、代替手段、支援策などで変わり、導入だけで削減が保証されるわけではありません。
課題は、家計や企業の負担、地域差、低所得世帯への影響などです。交通や暖房をすぐに変えにくい人への配慮、移行を支える仕組み、負担と効果の検証が重要です。
出典:OECD「Tax and the environment」
何を確認すればよい?
制度を見るときは、名称だけでなく、課税対象、税率、納税義務者、非課税・減免、税収の使途、適用年度を確認してください。環境への効果と暮らしへの負担の両方から、具体的な制度を見ていきましょう。
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