次世代の動画マーケティングのキーワードは「触れる動画」!? MIL株式会社・田中氏が語るインタラクティブ動画の可能性。
「Netflix(ネットフリックス)」で配信されている『ヘッドスペースの安らぎガイド』や『ブラック・ミラー バンダースナッチ』という作品をご存知だろうか? 自分の気分や好みによってコンテンツを選択できたり、自分の選択で作品のストーリーが変化したりする*インタラクティブ動画作品となっている。
これまでの視聴体験は、視聴者が一方的に動画を見るだけであった。しかしインタラクティブ動画作品では、 視聴者が動画に触れる仕組みを作品内へ組み込むことが可能だ。
海外で誕生したこのインタラクティブ動画だが、日本ではまだまだ認知度の低い動画ジャンルとなっている。 今回はインタラクティブ動画(触れる動画)編集のプラットフォームサービスを提供する「MIL株式会社」を取材。インタラクティブ動画の未来や可能性についてMILのセールス部・田中氏に話を聞いてきた。
インタラクティブ動画とは、視聴者がコンテンツに触れる仕組みを取り入れた動画である。従来の動画は、視聴者がコンテンツをただ見るという視聴体験で終わっていた。
インタラクティブ動画は、コンテンツ内にタッチポイントを設けることで、自分でストーリーが選択できたり、詳細情報を動画上にポップアップしたり、視聴するコンテンツをユーザーごとに選べたりする仕組みだ。次世代の動画視聴の手法として現在注目を集めている。
動画内のあらゆる箇所に触れることができる次世代動画
────まずはインタラクティブ動画制作プラットフォームの「MIL(ミル)」というサービスについて教えてください。
田中さん:
私たち「MIL株式会社」が手掛ける「MIL(ミル)」は、インタラクティブ動画編集のためのプラットフォームサービスです。インタラクティブ動画は、もともと海外で誕生しました。代表の光岡が、海外のツールを過去に日本で紹介したのが始まりです。紹介したところ、日本の取引先企業様からの評判が高かったんですよね。それからインタラクティブ動画の自社開発をはじめてMIL株式会社を設立しました。
MIL株式会社では、MILというインタラクティブ動画編集プラットフォームを通して、弊社からクライアント様へインタラクティブ動画の企画提案、制作、納品後の運用をご提供しています。またMILを利用した動画のアフェリエイト事業や、『MILブログ』の運用なども行っています。
そのなかで私は、MILのセールスを担当していますね。インタラクティブ動画を多くの企業様に知ってもらい、より多くの企業様のサクセスを実践できるよう、サポートしています。
────インタラクティブ動画の魅力は何でしょうか?
田中さん:
インタラクティブ動画の魅力は、双方向性の触れる動画という点です。従来の動画視聴は、視聴者が一方的に動画を視聴するというスタイルでした。インタラクティブ動画では、コンテンツ内に視聴者が動画に触れるタッチポイント(コンテンツに触れられる仕組み)を設置しています。
このタッチポイントによって視聴者は、動画の内容を深堀りできたり、自分で視聴したいストーリーをコンテンツ内から選択できたりします。
視聴者が直接動画に触れることで、知りたい情報の詳細ページや購入したい商品のECサイト内の商品ページへダイレクトに訪問できるようになったんです。
────なるほど! ただの視聴動画をリッチコンテンツにできますね。MILはインタラクティブ動画のプラットフォームということですが、MILの特徴についても教えてください。
田中さん:
MILの特徴は、クラウドサービスなので契約していただいた企業様が誰でも簡単に動画の編集・分析・運用ができるという点です。 2021年8月時点で累計法人会員は1,100社以上、累計インタラクティブ動画数は10,000本以上となっています。
MILにはいくつか特徴的なインタラクティブ機能が設けられています。そのなかでも「ポップアップ機能」「ストーリー分岐」「スイッチング機能」は、MILの代表的な機能です。
────この3つは、どのような機能なのでしょうか?
田中さん:
まず「ポップアップ機能」は、動画内で登場する商品にタッチポイントとなるアイコンを表示します。視聴者は、そのアイコンをタッチして商品の詳細情報を見ることができるんです。その商品を購入したい場合は、動画内に出てくるECサイトのURLをタッチすれば直接購入ページへ訪問できる仕組みとなっています。
例えば、昆虫デザインブランド「Insect Collection」様の動画では、子どもが着ている服の上にハートのアイコンが表示されるんです。そのアイコンをタッチすれば、商品情報の確認から購入までができる仕組みとなっています。
「ストーリー分岐機能」は、ユーザーが自分が気になる項目を触ることで、ストーリーが変化する機能ですね。例えばトラストリッジ様が運営するライフスタイルメディア『マカロニ』の事例では食材の選択肢をタップすることで、ストーリーが分岐します。ストーリーが分岐することで、作りたい料理のレシピを自分で選択して視聴できるように設定しました。
その他にもコスメ・化粧品のWEB広告など、様々な商材でストーリー分岐機能が導入されています。またこのようなWE広告は、通常のWEBサイトやランディングページよりもパフォーマンスが高いという効果も確認できています。
「スイッチング機能」は、2つのタイムラインの動画を並行して配信できます。2つの世界(動画)をタップひとつで切り替えて視聴できる仕組みですね。撮影時に同じ撮影尺と画角で撮影すれば、映像が切り替わっても違和感なく動画を視聴できるんです。
例えば『FUELMEDIA』様のスケボー×スノボーの動画では、スケボーの動画をタップするとスノボーの動画に切り替わるような設計になっています。この事例はスケボーとスノボーでしたが、昼と夜、親と子どもなど様々な要素を組み合わせた動画を制作することが可能です。
また営業・接客のスタッフが話している内容を資料ではなく、インタラクティブ動画にして接客の疑似体験を行うケースも増えてきています。
────どれも魅力的な機能ばかりですね。新しい視聴体験というのが、事例から伝わってきます!
視聴者にとって新しい視聴体験を提供できていると思っています。実際に現在は多くの企業様が、動画という方法を取り入れているんです。しかしせっかく魅力的な動画を制作して商品を紹介しても、費用対効果を動画から計測できず、納品して終わりといった施策も多く伺います。
効果が出せなければ余計なコストをかけたままになり、WEBサイトのように改善もできず、機会損失にも繋がります…… それはせっかく魅力的な商品やコンテンツがあるのにもったいないですよね----
MILを利用することで、今までのWEBサイト・ランディングページ・WEB広告のパフォーマンスを向上させることや、WEB接客、デジタル店舗の疑似体験コンテンツとしても活用できます。
実際に既存のWEBサイトにMILのインタラクティブ動画を設置することでCVを約1.3倍に引き上げることや、既存のYouTubeでの商品紹介の動画をMILのストーリー分岐機能で再編集したら商品遷移率が5倍以上に伸びた事例もあったりと、マーケティング課題に応じていろんなインタラクティブ動画の活用方法があります。
────確かにコロナ禍ということもあり、多くの企業が動画を導入している印象があります。
実際にコロナ禍になってからお問い合わせは増えました。もちろんインタラクティブ動画には様々な機能が存在していますが、MILのサービスは動画を配信した後の運用や分析部分にも力を入れています。
MILを契約していただいたお客様は、管理画面から視聴回数や視聴時間をグラフで確認できるのはもちろんのこと、動画のどのタップポイントを何回触っているのか、動画からの離脱がブラウザを閉じたネガティブなものか、商品ページに遷移できているポジティブなものかなどのタイミングも計測できます。また動画から離脱してブラウザを閉じる時間やタイミングなども計測できます。
このような効果測定ができるので、動画の課題を解決できます。例えば商品紹介の部分までに視聴者が離脱したら、スキップボタンを追加してすぐに商品紹介のチャプターにジャンプできたり、視聴時間が長いパートには、今までよりも詳細な商品情報を掲載したりできます。指マークを動画上に表示させるだけでインタラクション(タップ)率が上がり、視聴維持率が大幅に伸びるケースも多いですね。
このように動画をローンチした後の効果測定や改善を簡単にできます。弊社では、お客様へ動画の企画・動制作から動画マーケティングまで一気通貫でMILのソリューションを提供するケースがほとんどです。動画をリリースしてから、毎月調整していくという動画のPDCAをサポートさせていただいております。
触れる動画(インタラクティブ動画)という新しい視聴体験を当たり前にする
────これは導入企業様からしてもとても便利ですね。MILは業界に革新を起こしている印象があるのですが、インタラクティブ動画の可能性についてどのように考えていますか?
田中さん:
今は長い尺の動画を見るのは、ユーザーにとっても負荷が多いと思います。実際に「TikTok(テックトック)」などの短尺動画や「Instagram(インスタグラム)」のストーリーなどの動画が人気なのも、視聴者が動画を見るモチベーションが影響していると思います。
その点インタラクティブ動画は、視聴者がコンテンツの深堀りができたり、視覚的に飽きさせない表現もできたりするのが魅力だと思います。動画が長尺であっても、最後まで視聴したくなるようなギミックを設置することで“飽きがこない表現”というものを動画上で表現することが可能です。
実際にYouTubeなどの動画よりもインタラクティブ動画の方が、視聴者の離脱が低いケースも多くみられます。弊社は「あたらしいふつうを世界でつくる」をミッションとして掲げています。インタラクティブ動画を通じて、”動画を触る”という新しい視聴体験を広めていきたいですね。
────なるほど、インタラクティブ動画は将来的にどのように生活やサービスに浸透していくのでしょうか?
田中さん:
インタラクティブ動画が普及することで、企業様の採用活動やショールーム、賃貸物件の紹介などにかかる運用コストの削減につながります。
紙媒体やWEB媒体で配信していたサービスが、動画1つで完結するシーンも増えてくるのではないかと考えています。動画が視聴できるQRコードだけあれば、サービスや商品の内容を見れますよね。
────動画1つでできることの可能性がかなり広がりますね。WEBサイトも動画にすべて変わってしまうような感覚すらありました......。
ユーザーにインタラクティブ動画を通してワクワク感を届けたい
────今後のビジョンや挑戦したいことを教えてください。
田中さん:
先程もお話したようにMILのミッションでもある「あたらしいふつうを世界でつくる」を実現するために必要なアクションは一貫して取り組んでいきたいですね。
それにインタラクティブ動画のリーディングカンパニーとして、より多くの方に認知してもらえるようにセールス・マーケティングにも力を入れていきたいです。
会社としてはインタラクティブ動画をただ制作して納品するだけではなく、お客様のマーケティング課題を一緒に解決するための運用にも力を入れていきたいですね。ユーザーが、MILのインタラクティブ動画でワクワクするような体験ができる施策を社内でも研究していきたいです。
また先程もお話したようにInstagramのストーリーなど、短尺の動画のニーズが高いです。そのため、BtoC向けのサービスも展開していこうと考えています。
動画を通して、企業様とユーザーのコミュニケーションを作るための架け橋になりたいと思っています。企業様側にもサービスや商品の購入につながるための改善案は、つねに提案していきたいですし、納品後のサポートにも注力していきたいと考えています。
MIL株式会社の詳細を見る
今回の取材を通してインタラクティブ動画の可能性について深く知ることができた。ただ動画を見るだけではなく、コンテンツに触れることで、ユーザーにとってより価値のある情報をダイレクトに収集することができる。
これからインタラクティブ動画が普及することで、動画視聴を通して、知りたい情報だけをより深堀りできる世の中がやってくるだろう。一人ひとりが、より最適な情報を動画視聴という体験を通して得られる世界はすぐそこまで来ている気がする。MILのミッションでもある「あたらしいふつうを世界でつくる」という世界観に近づいた証拠なのかもしれない。
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