食物アレルギーの未来に光を!管理栄養士としての知見を活かし一歩前へ
2024年4月1日に消費者庁は、くるみによるアレルギー症例数増加により、食品表示基準を改正し、「くるみ」を特定原材料に追加した。
日本でも食物アレルギーの認識は広まりつつあるものの、学校給食の誤食事故などのニュースが目に飛び込んでくることも少なくない。食生活の多様化により、食物アレルギーも多様化しつつある現代においては、多くの人が食物アレルギーに対して理解を深めていく必要があるだろう。そこで今回は、食物アレルギーの発症メカニズムと栄養管理などを研究する広島女学院大学・妻木教授にお話を伺った。
アレルギー原因物質だけでなく発症タイプも多様化する現代
―――まずは、研究概要について教えてください。
私は管理栄養士でもあるため、食を通して食物アレルギーをもつ患者さんの栄養管理をすることが基本的な研究概要になります。大きく分けると2つの分野があり、ひとつは基礎研究と呼ばれるものです。基礎研究とは、細胞などを使って食物アレルギーが起こるメカニズムの検討です。
もう一つは実際の患者さんに対する調査を行い、今アレルギー患者さんが困っている事に対する改善策の研究です。例えば、「家庭でのアレルギー患者さん用の献立」などがよく課題として挙げられます。実際、食物アレルギーをもつ患者さんの多くは子どもで、悩みを抱えているのは子どもの保護者です。市販のアレルギー成分が含まれていない食材を使ったレシピ開発なども行ってきました。
そんな中で今、注目しているのが旅館やホテルに宿泊した時のアレルギー対応です。
必ず食事を伴うにもかかわらず、意外とアレルギーに対する認識が低い旅館やホテルもあるのです。そこで今は、アレルギー患者さんの家族に対して旅館やホテルに知っておいて欲しい事や、ホテルや旅館に実際にどのようなアレルギー対応を求められているか、宿泊施設では対応できること、できないことなどを調査しています。患者側と宿泊施設側、双方の意見を聞きながらお互いにできることを見つけ出すのがこの調査の目的です。
また、これは長年続けている活動ですが、アレルギーの患者さんとその家族を対象とした、サマーキャンプを開催しています。食物アレルギーの患者さんにとっては、家族でしっかり食物アレルギーについて認識することがとても大切です。サマーキャンプでは、当大学の学生とともに子どもたちに食育を行ったり、開発したレシピを一緒に食べたり、おやつ教室を開催したり、アレルギー患者さんに還元する活動も行っています。
―――食物アレルギーの研究において、昨今、注目されているトピックをお伺いできますか?
食物アレルギーの研究分野でお話すると、今までは卵、牛乳、小麦が主なアレルゲンでしたが、ナッツアレルギーも増加傾向にあります。このように食習慣の変化によってアレルゲンとなる食品にも変化が見られます。
このような背景から食品表示基準も改正され、今まではアレルギー表示義務として、卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、そばの7品目のみでしたが、2023年3月より「くるみ」のアレルギー表示が義務化されました。それほどアレルギーの原因食品が多様化しているのです。
また、これは昔から言われていることではありますがアレルギーには様々なタイプがあります。一例を挙げると、運動誘発アナフィラキシーというものもあります。これはアレルギーの原因食品を食べただけではアレルギー反応は起こらないが、運動をすることでアレルギー反応が起こるというものです。お子さんの場合は、部活の後、体育の授業の後などに症状がでる患者さんも報告されています。
このようにアレルギー原因物質だけでなく、アレルギー発症タイプも多様化しているところが最近注目されているトピックです。
東京都保険医療局:お知らせ「くるみ」が特定原材料に追加されました
食物アレルギーとの向き合い方。栄養管理も重要なキーワードに
―――食物アレルギーは治るものなのでしょうか?
患者さんによりますが、子どもに関してはアレルギーで卵が食べられなかった方も成長とともに食べられるようになる場合があります。このような状態を、耐性の獲得、寛解(かんかい)と呼びます。
子どもの頃にアレルギーだった食品が食べられるようになる理由としては、消化の力が強くなることで、しっかりと消化できるようになり、アレルギー反応が起こりにくくなることが挙げられます。特に、卵、乳、小麦、大豆アレルギーの子どもは寛解(かんかい)が期待されると考えられています。
そのため、食物アレルギーを発症した人全員が、その原因食品を一生食べられないという訳ではありません。ただ、食品により違いがあり、例えば「えび」や「かに」「果物」は大人になってからアレルギー症状が出る人が多く、その場合は一生付き合わなければならない場合もあります。
―――子どもをもつお母さんにとって、お子様の食物アレルギーを心配する人が多いと思います。よく「妊娠中の母親の食生活」が子どもの食物アレルギーに繋がるのではという話も聞きますが、この点についてはいかがでしょうか?
私たちの「妊娠中の母親の食生活」は業界でもとても注目度の高いトピックです。
子どもを産むお母さんたちも「自分の子どもが卵アレルギーになった原因は、自分が妊娠中に卵をたくさん食べたからではなか?」と不安に思うこともあるでしょう。
しかし、子どもの食物アレルギーと妊娠中の母親の食生活の因果関係は、まだ十分には明らかにされていません。栄養管理をする立場からすれば「お母さんが食べているものが影響するので卵、牛乳は食べないで下さい」ということは、食べるものがなくなってしまい、母親の栄養不足に繋がってしまいます。
ただ、実際には母親の食事は、胎盤を通して子どもにも与えられるものなので、「妊娠中の母親の食生活と子どもの食物アレルギー」については、今後研究が進んでいくと思います。
―――乳幼児を持つお母さんとお話すると、「はじめて食べるものは少量から」や「卵は〇歳になってから」など皆さんお子さんの食事に本当に気を遣われていることわかります。
これは日本での研究結果があるのですが、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんに卵を食べさせるのを遅らせた場合、将来的にその子どもが卵アレルギーにならないかというとそういう訳ではありません。離乳食が始まるタイミングで、適切に卵を食べさせた子どもの方が将来卵アレルギーになりにくいのです。もちろん医師から除去するように指示されたアレルギー食品は除去しなければいけませんが、神経質になって不必要になんでも除去するのは、逆に食物アレルギーを引き起こす可能性もあります。
また血液検査を行い陽性反応が出たとしても、必ずアレルギー反応が出るとも言えません。血液検査と症状が出るは=(イコール)ではないのです。そういった意味でも試してないとわからない、食べさせてみないとわからないのが食物アレルギーの難しいところです。
食物アレルギーを予防できる方法があればいいのですが、そこがすごく難しいのです。
アレルギーになりやすいといわれているのは、その子の兄弟や親などアレルギーを持っている場合、アレルギーになりやすいといわれています。
―――食物アレルギーと栄養管理の関連についてお話を聞かせて下さい。
食物アレルギーと栄養管理において、重要なポイントは2つあります。
ひとつは、アレルギー食品の代替食の提案です。
基本的に食物アレルギーの治療は、牛乳アレルギーであれば牛乳・乳製品を除去するなどアレルギー食品を除去することが基本になります。しかし、牛乳・乳製品を摂取しないとカルシウムが不足してしまいます。牛乳以外からカルシウムを摂取する必要があるのです。例えば、切り干し大根や大豆など牛乳・乳製品の代替食を知り、栄養が不足しないようにすることが重要になります。
もう一つは、食べられる量を知ることです。
食物アレルギーは、昨今不必要に除去しないことも推奨されています。ここで大切になるのは、食べられる量などを知っておくことです。例えば、卵アレルギーの場合は「生卵はNGだが、加熱すればOK」や「加熱の卵でも〇個までは大丈夫」など、小児科で負荷試験というものをうけることができます。症状がでない量を知り、少しは食べさせるというのも栄養管理では大切なポイントです。
昔の食物アレルギーの治療は完全除去だったため、食物アレルギーをもつ子どもが食べられる範囲がとても狭くなってしまい、食育の考えからも外れてしまいます。そのため現在、家庭の食事管理はせっかく食べられるものは食べさせるという風に変化しています。
私たち管理栄養士としては、「加熱した卵が1/8個食べられるのであれば、ロールパン2個まで食べられる可能性があります。」などをアナウンスしていくことが栄養指導で取り組まれている事です。
食物アレルギーには治療薬がありません。いかに症状が出ないようにするか、いかに栄養管理を適切に行うかが鍵になってくるのです。
災害時も視野に「アレルギー自己管理」の重要性
―――食物アレルギー患者さんの栄養管理をする上で、課題はありますか?
食物アレルギーの子どもをもつお母さんは頑張っている印象がありますが、身近な人の理解が不足しているようにも感じます。「ただの好き嫌いじゃないか?」という高齢世代の人もまだ若干残っているようです。子どもが誤ってアレルギー食品を食べてしまう誤食などは、親戚の家でも起こっています。
また、学校は食物アレルギーに対する理解が進んでいて、認識が高いイメージです。しかし、給食の現場で使っている食材の原材料に変更があり、そこにアレルギー食品が入っていたというケースはまだあるようです。外食業界についてもアレルゲンを使用しないカレーが販売されるなど、食物アレルギーへの取り組みは進んでいます。
課題として挙げるとすると、食物アレルギーがない人にとっては興味がない話であり、理解が進みにくいことがひとつ挙げられると思います。前述した旅館やホテルなどの食事を伴う宿泊施設、祭りやイベントを行う地域の自治体にも食物アレルギーに対する理解を深めて欲しいと思います。
もう一つ重要になるのが、災害時の食物アレルギーへの対応です。
避難所で生活する時に食物アレルギーの子どもは、食べられるものが限られてしまいます。しかし、避難所に最初に届く支給品のひとつは「パン」でしょう。そうすると、小麦、乳製品、卵がアレルギーの場合は、食べることができません。災害時の極限状態の場合、アレルギー患者が声を挙げにくいのです。
今は食物アレルギーの子どもを持つ家庭では、食物アレルギーに対応した災害時備蓄をするなどの工夫をされている場合も多いようです。しかし、大規模災害の時には親と子どもがはぐれてしまうケースも考えられます。その時は地域の人が子どものアレルギーを知っていること、そして子ども自身が「アレルギーがあります」と言えるようなることも重要です。
東日本大震災以来、日本小児アレルギー学会では、炊き出しをする際に「アレルギーがある方はいますか?」など声掛けをするように呼び掛けるポスターを作ったり、食物アレルギーをもつ子どもの親御さんがアレルギー食品を記載したカードを子どもに持たせたり、取り組みが進んでいるのも事実です。災害の多い日本では、このように避難所での食物アレルギーの理解も今後、さらに深められるのが理想です。
また、先ほど述べたように「アレルギーの自己管理」も課題として挙げられます。日本では一部の飲食業界は手厚い対応もしてくれているため、もしかしたら自己管理意識が低くなっているかもしれません。
これからは親が居ない場所での食事でも安全に楽しめるように、子どもが食物アレルギーを自己管理することも大切になってくるでしょう。
―――ありがとうございます。これからは食物アレルギーに対する理解をさまざまな分野で深め広げていくことが重要ということがわかりました。食物アレルギーの認識を広めるために妻木先生が特に注力している活動は何かありますか?
先ほど研究概要の説明でも少しお話ししましたが、今はサマーキャンプに力をいれています。サマーキャンプでは、お母さんだけでなくなるべくおじいちゃんやおばあちゃんなど家族全員に参加してもらうようにしています。まずは身近なところから食物アレルギーへの理解をしてもらうようにしています。
そして、今後はあまり食物アレルギーが身近ではない地域の方にもサマーキャンプに参加してもらい、アレルギーについて知ってもらいたいと思っています。
また食物アレルギーが身近な人とそうでない人を繋ぐ活動としては、食品会社やスーパーの人に食物アレルギーのある子どもを持つお母さんの意見を聞いてもらう会も開催しました。食物アレルギーが身近な人とそうでない人を繋ぐ場がなかなかないので、そのような場を提供できるようにしていきたいです。
―――食物アレルギーの子どもをもつお母さんから食品会社やスーパーに対してはどのような要望・意見が出たのでしょうか?また、その解決方法などがあれば教えてください。
お母さんたちから食品会社に対しては「アレルギー食品が含まれていない手ごろな価格の食品が欲しい」、スーパーに対しては「アレルギー対応食品をもっと置いて欲しい」と言った意見が多い印象でした。しかし、これらの問題については食品会社やスーパーとしては「作っても売れない(仕入れても売れない)」「販売価格が高くなってしまう」という課題が出てきてしまいます。
今、アレルギー対応食品の種類は多くなっていますが、どれも値段が高いのです。それを安くするためにはたくさん買ってもらうしかありませんが、食物アレルギー対応食品を購入する人の数は多い訳ではありません。
あくまで個人的な意見ではありますが、学校給食など大量に食材を使用する現場で「アレルギー対応食品を食べる日」などを作り、大量にアレルギー対応食品を消費できる機会を作ることが、ひとつの解決方法かなと考えています。
―――サマーキャンプに参加された方からの言葉で印象に残っているものはありますか?
サマーキャンプを始めたばかりの頃に参加者のお母さんから「うちの子がはじめて主役になれました」と言っていただいたことがとても印象的でした。
今までは食べられない食品があり、友だちの家に遊びに行ってもわき役になることが多かったお子さんでも、サマーキャンプではみんなが同じものを食べられるようにしているので、誰でも主役になることができます。
また「おやつ教室」でチュロスを作った時に「家庭科の授業でチュロスを作ったけど、僕は作るところまでで食べられなかった。サマーキャンプでチュロスを作って食べられるのが嬉しい」と言ってくれた小学生の男の子の言葉も印象的でした。「作って食べたい」というこの子の小さな夢をかなえてあげることができたことがとても嬉しかったです。
あとはおじいちゃんがサマーキャンプに参加された時、最初のうちはあまり理解を示していない様子だったのですが、最後に孫と一緒におやつを作る頃になると「ちょっと理解できた気がする」と言って帰ってくれたこともありました。4~5時間ほどのサマーキャンプの時間内でも、人の意識を変えることができると思えた瞬間でした。
アレルギーだからと食育を諦めない!「家族で食を楽しむ」ことが大切
―――5年後、10年後の将来を考えた場合、食物アレルギーと栄養管理の関係はどのように発展していけばいいと思いますか?妻木先生の考察をお伺いできると嬉しいです。
5~10年では難しいかもしれませんが、食物アレルギーの予防について解明できるといいと思います。また、某大学で行われている「アレルゲン性のない卵の開発」など、テクノロジーが発展するなかで、アレルゲン性が低下した食材にも期待しています。日本では、新しく開発された食材に対する抵抗感も強いことも懸念点ではありますが、安全性を確認しながらこのような食品も増えていけばいいなと思っています。
日本では「おもてなし」の文化があるため、時として「やってくれる」ことを期待してしまったり、自分からはなかなか声が上げられなかったりすることもあります。しかし、ちゃんと自分で声を上げ、自分で選ぶことができる環境も必要ではないかと考えています。先日、ハワイに調査へ行った時にスーパーなどで「アレルギー対応食品はありますか?」と聞いたところほぼありませんでした。アメリカは「自分で選ぶ、自分で決める」文化であり、日本のようにごく限られた人を対象とした商品は少ないのです。
日本の「誰一人取り残さない」という考え方も大切ではありますが、そこに留まるのではなく、これからは「自分で選ぶ、自分で決める」自己管理の力も求められる時代になると思います。
―――海外と日本では食物アレルギーについての認識に違いはあるのでしょうか?
海外の場合は食物アレルギーに限らず、グルテンフリーやヴィーガン、宗教食のハラルなどさまざまな食の多様性がありますよね。そのため海外では、食に対する個々の食の考え方をしっかりと持っている人が多いと思います。
日本では、近年ではグルテンフリーやヴィーガンというワードを耳にするようになりましたが、これまでは多様性が少なかったんです。食も含めてライフスタイルとして、そのライフスタイルをトータルで考えている海外と日本で、食物アレルギーに対する認識について差が出てしまうのは必然かなと思います。
―――食物アレルギーで悩む人、食物アレルギーの患者さんの家族に対して伝えたいメッセージをお願いします。
子どもの場合、一度食物アレルギーになったからと言って、一生アレルギーが続くとは限りません。しっかりと定期的に血液検査を行うことが必要です。また血液検査の結果だけでは、わからないこともあるので、むやみに何でも除去するのは食の経験を狭めてしまいます。
しっかり小児科を受診して、検査を行い、親が正しい知識をもって食物アレルギーと向き合うことが重要です。今はインターネットで、さまざまな情報が手に入る時代です。アレルギーには民間療法がたくさんあるので、不確かな情報に踊らされないようにしてほしいと思います。正しい知識がなにかと問われると、難しいのですが、私からお伝えできるのは下記の3点です。
- 完治する薬はない(症状がでてから抑える薬はある)
- 経口免疫療法(家庭で行うのはNG、小児科で行う)
- アレルギーに対応した商品を上手く使えば、いろんな料理を作ることができる
そして、なによりも子どもが食に対しての恐怖心を持たないようにしてほしいと思います。アレルギー患者さんの家族と、アレルギー患者の居ない家族を比較調査したことがありますが、アレルギー患者さんの家族の方が「一緒に食事を作る事、一緒に食事を食べる事」を重要視していました。
やはりアレルギーがあり、食べられないものがある子どもは食に興味を持たなくなってしまう可能性が考えられるので、家族で一緒に作る、食べる、食に対して考えることを大切にして欲しいと思います。また親が食に神経質になりすぎることも、子どもへのストレスになります。まずは親が食を楽しむことも意識して欲しいですね。
お母さんへのアドバイスとしては、お母さん同士のコミュニティを作ることもおすすめです。どこの自治体にも食物アレルギーの子どもをもつママ会などがあります。例えば子どもが小学校に入学する時に気を付けた方がいいことなども事前に教えてもらうこともできるでしょう。コミュニティや繋がりを作り「一人じゃない」と思えることも、アレルギーと向き合いながら子育てをする上では、大切だと思います。
また、これから食物アレルギーだけでなく管理栄養について学ぼうと考えている方へのメッセージとしては、患者さんの声を学生のうちに聞くというのはとても大切なことです。私自身もサマーキャンプを開催するまでは、アレルギー患者さんの声を聞くことはありませんでした。そこで当事者の声を聞くことで、アレルギーをもつ人の立場に立って、自分ができる事はなにかを考えられるようになったと思います。病院主体ではたくさんありますが、学生(大学)主体で、アレルギーについてのサマーキャンプを行っているのは、広島女学院大学の特徴のひとつだと思います。そんな素晴らしい学びの場を提供し続けていきたいと思います。
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