サスティナビリティの意味は?企業経営に大切な考えと活動例をご紹介
最近、サスティナビリティという言葉を聞く機会が多いのではないでしょうか?
サスティナビリティとは、持続可能性を意味する言葉。SDGsやESG経営が重要視される現代において、知っておきたい概念です。
頻繁に聞くようにはなったけど、結局のところどのような意味なんだろうか。
このようにお思いの方に向け、当記事ではサスティナビリティの概念から、サスティナビリティが注目される背景、そしてサスティナビリティを企業経営に活かした例まで、幅広くご紹介します。
サスティナビリティ(Sustainability)とは?
サスティナビリティ(英語:sustainability)とは、『持続可能性』や『持続できること』を意味する言葉。
また、サスティナビリティの概念で、『持続できる』ことの対象となるのは、人や社会、そして地球の全体です。
国連は、持続可能な開発を『未来世代の需要を消費せずに、現在の需要を満たす開発』だと定義(1)。
さらに、アメリカの有名大学UCLAは、『サスティナビリティは、すべての物事が繋がっていることを理解することだ』(2)と説明しています。
例として、『スマホを買う』選択を見ていきましょう。スマホを購入する背景には、輸送で温室効果ガスが排出されていて、途上国の工場で働く人がいて、レアメタルを採掘する人が存在していますよね。
このように、構造的な繋がりを認識し、理解することがサスティナビリティだと定義しています。
サスティナビリティに付随し、サスティナブル(持続可能な)という言葉も話題。サスティナビリティは名詞ですが、サスティナブルは形容詞という違いがあります。
また、サスティナブルについては、以下の記事で詳しくご説明しているので、サスティナビリティの理解を深める上でもぜひご一読くださいませ。
サスティナビリティ3つの『E』
サスティナビリティを考える上で、重要な3つの『E』は以下の通りです。
- Environment (環境)
- Economy(経済)
- Equity(公平性)
これらの3つが重なり合う部分こそ持続可能であり、サスティナビリティはこれら3つのバランスが取れている状態と定義されていますので、1つ1つを見ていきましょう。
環境保護(Envirronment)
まず1つ目は、環境面(Environment)。地球を持続可能な場所として後世に引き継ぐためには、環境を保護することが重要。
現在、世界には気候変動や海面上昇、森林破壊などいくつもの環境問題が進行し、早急な対応が求められています。
では、環境問題の深刻さはどのようにわかるのでしょうか?
環境問題を語る上で『地球〇個分を消費している』という表現があります。
この考えは、人間の活動が地球環境にかけている負荷を測る指標であるエコロジカルフットプリントがベースにあるもの。
森林の伐採して木材を調達したり、化石燃料を採掘したりなど、自然や資源への依存度を計っています。エコロジカルフットプリントの概念に基づき、日本人の暮らしを全世界の人々が送ることを想定すると、2.9個分の地球が必要という結果に。
つまり、現在の生活を続けると地球1つでは足りないのです。そのため、私たちには地球1個分の生活を取り戻し、地球を持続可能にすることが重要だと言えます。
エコロジカルフットプリントについて、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
社会的公平性(Equity)
2つ目は、社会的公平性(Equity)について。2020年から続くコロナの流行で、貧困やジェンダー、人種の格差は浮き彫りになりました。
具体的には、世界には以下の現状があります。
- 1日1.90ドル以下で暮らす絶対的貧困層の半数が途上国5か国に集中
- 米国のコロナ死者数で、アフリカ系アメリカ人は白人の2倍に
このような不平等は、個人間の問題ではなく社会の構造的に発生しているもの。そのため、アフターコロナの時代には、社会の構造から見直し、刷新する『グレート・リセット』が持続可能な社会を実現する上で重要視されています。
グレート・リセットについては、下記の記事で詳しく解説しています。
経済の可能性(Economy)
環境や社会の持続可能性を優先するだけでなく、経済(Economy)的にも人が持続可能である仕組みを整えることが重要。経済面でサスティナビリティを実現するには、企業の協力が不可欠です。
著名な経営学者のマイケルポーター氏は、CSV(Creating Shared Value)の概念を提唱。今や企業は経営プラスαでサスティナビリティへ取り組むのではなく、企業経営とサスティナビリティを両立すべき時代だ語っています。
つまり、サスティナビリティに取り組むことが、企業にとって成長戦略になる時代だということです。
ESG投資やCSRなどの側面を踏まえ、サスティナビリティを配慮しながら、長期的に企業の成長を追うことが、これからの企業経営のスタンダードになっていくでしょう。
これら3つの『E』がサスティナビリティの柱とされ、すべてが重なり合う部分に達することが持続可能を実現に近づけます。
持続可能性が重要視される背景
では、社会や環境、そして経済の面でサスティナビリティが重要視される理由とは、どのようなものなのでしょうか?
こちらでは、サスティナビリティが話題となっている背景にある以下3つの要素をご紹介します。
- SDGs(持続可能な開発目標)が制定
- CSRやESG投資など、ビジネスへの影響
- 著名人による発信
1つずつご説明してまいります。
SDGs(持続可能な開発目標)が採択
SDGs(持続可能な開発目標)が2015年の国連サミットで採択され、サスティナビリティという概念が世界に広まりました。
国連が提唱したSDGsには、持続可能な社会を実現するために17のゴールが設けられ、発展途上国だけでなく、先進国も巻き込んだ目標である特徴があります。
SDGsが、全世界が取り組むべきとして提示されたことで、多くの国に広まっていきました。
CSRやESG投資など、ビジネスへの影響
次に、サスティナビリティがビジネスへ影響するという理由。企業にとって、CSRやESG投資などを踏まえ、長期的な視点で経営をおこなうことが重要になっています。
環境や社会、企業統治を意味するESGに力を入れて取り組む企業に投資するESG投資は、全世界の投資額の26.3%(3)を占めている現状。
そのため、CSRやESG経営に力を入れることは企業のブランディングになることから、多くの企業にとって大きく影響するサスティナビリティが注目されるようになりました。
著名人による発信
また、著名人による発信が『サスティナビリティ』を私たちにとってより身近にしました。
ワトソンはサスティナブルファッションを発信
映画ハリーポッターのハーマイオニー役でお馴染みのエマワトソンは、サスティナブルファッションやビューティーを積極的に発信するセレブの1人。
- インスタでサステイナブルファッションを紹介するアカウントを開設
- 着用するファッションは製造地や過程が明確なトレーサブルなもの
- パーティーでは敢えてドレスを何度も着用
公の場に出る際に、毎回違う服装を披露するセレブが多いなか、エマワトソンはサスティナブルなファッションを発信しつづけています。
ミランダカーはオーガニックコスメブランドをスタート
ミランダカーは、自宅をエコフレンドリーに改造するほどの徹底ぶり。
- オーガニックコスメブランドを経営
- 人にも地球にも優しいコスメを広めている
オーガニックな材料を使用しているため、人の肌にも土壌にも優しいオーガニックコスメ。日本でも人気の高い彼女が発信することで、多くの人がオーガニックコスメを試す機会が増えますね。
ローラは地球に優しい生活を発信
日本にも、サスティナビリティを大切にし、発信する有名人がいます。そのなかの1人であるローラは、地球のためのECサイトをローンチしたり、SNSで発信をしています。
- YouTubeでサスティナブルに生活を送るコツを紹介
- ECサイトでサステイナブルを広める
このように、国連などの国際機関だけでなく、憧れの的であるセレブたちが積極的にサステイナビリティを発信することで、世界中にサスティナビリティが広がってきています。
サスティナビリティはどうやって測る?
ここまで、サステイナビリティの概要と広まった背景をご紹介しましたが、サステイナビリティとは一体どのように測れるのでしょうか?
こちらでは、世界的にも信頼の高い2つの方法をご紹介します。
GRIスタンダード
GRI(Global Reporting Initiative)は、GRIスタンダードを用いて環境・社会・経済に関する33のテーマから、サスティナビリティを評価します。
サスティナビリティに取り組む企業が作成する『サスティナビリティレポート』は、GRIスタンダードに基づいてつくらるもの。
GRIスタンダードがあるからこそ、企業のサスティナビリティに関する活動が一過性のものでなく、効果を長期的に見られるものとなります。
DJSI ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス
次にご紹介するDJSI(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)は、アメリカとスイスの企業によって開発されたサスティナビリティを計る指標です。
世界中で、3,400社を超える大手企業を対象に、経済や環境、社会の3観点で分析をおこなっています。選出企業もサスティナビリティの活動に力を入れる企業が多いので、DJSIは世界で最も信頼の高いサスティナビリティの指標です。
日本企業で持続可能な経営が評価される企業3選
上記2つの指標に加え、ダボス会議では毎年Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社が発表されます。2021年は開催が中止となりましたが、ダボス会議は世界経済フォーラムが開催する国際会議のこと。
日本企業からもランクインしていますので、2021年の企業ランキングから上位3企業をご紹介します。
エーザイ(製薬)
製薬会社のエーザイは、16位にランクイン。薬を中心に、人や社会、そして環境に貢献する取り組みをおこなっています。
環境面でサスティナビリティを実現するため、2040年にカーボンニュートラルを実現することを宣言。また、循環型社会の形成にも取り組んでいます。
人や社会への貢献として挙げられるのは、くすり博物館の運営や奨学金を提供する財団の設立です。
シスメックス(医療機器)
医療機器メーカーのシスメックスは、32位のランクインした企業です。自社の医療機器を介し、医療課題解決に取り組み、社会へ貢献しています。
シスメックスは、環境面でシスメックス・エコビジョン2025を掲げ、CO2削減目標等を具体的なKPIにまで落とし込み、取り組む企業。
さらに、社員にも魅力ある職場を提供するために、マネジメントを工夫しておこなっており、持続可能な組織経営を目指している部分が評価されています。
コニカミノルタ(電機)
最後にご紹介する電機メーカーのコニカミノルタは、41位にランクイン。SDGsの実現が2030年を目標に取り組まれているように、コニカミノルタも2030年に向けて長期経営計画を発表しています。
具体的に挙げられるのは、気候変動への対応としてカーボンニュートラルを目指し、社会的貢献として健康で質の高い生活を実現するための活動です。
さらに、有限資源を有効に使用するために、同社の技術で製造過程に改革を起こす活動をおこなっています。
このように、サスティナビリティに取り組む企業は増えており、その活動も評価されているのです。
私たちができる9のこと
サスティナビリティを意識し、人を、社会を、そして地球を持続可能なものにするためには、企業や国際機関だけでなく、私たちにもできることがあります。
最後に、日常でできる9のことをご紹介しますので、気軽にできるものからはじめてみてください。
- お肉の消費を減らす
- 節電をする
- 再生可能エネルギーにシフトする
- 不要なものはリサイクルショップに持っていく
- 古着を選ぶ
- 製造の背景を考えて商品を選ぶ
- マイボトル・マイ箸を持ち歩く
- 水や電気など、資源を節約する
- 使い捨て製品を消費しない
さいごに。
今回は、最近話題の『サスティナビリティ』をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
まとめると、サスティナビリティは持続可能性という意味で、環境保護・平等性・経済性の3つを重要視している概念です。
また、サスティナビリティは一筋縄で実現できる概念ではありません。美しい地球を守り、豊かな社会を担うためにも、できることから1つずつ始めてみてはいかがでしょうか?
持続可能性を意識しすぎて、自分に負担をかけてしまうことはサスティナビリティではないと考えますので、バランスを意識していただければ幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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