グローカルとは?必要な人材像と企業の取り組みを紹介
この記事では、グローバルとローカルという2つの言葉を組み合わせた「グローカル」(Glocal)について意味や語源等をご紹介してまいります。 地球規模で物事を見ながら、地域単位でサービス・商品を展開していく考え方は、これからの時代に欠かせないものです。
実際に、グローカルな取り組みをしている企業の具体例等や人材教育についてもお届けしてまいりますので、ぜひ最後までご覧ください。
グローカルとは?
グローカル(Glocal)とは、グローバル(Global)と、ローカル(Local)を組み合わせた造語です。具体的には、地球規模で視野を持ちながら、地域の視点で問題を捉え、解決していこうとする考え方のことを指します。
「Think globally, act locally(地球規模で考え、足元から行動せよ)」という言葉にもある通り、これからの社会には欠かせない考え方の1つです。
また、マーケティング用語としても使われており、多くの企業からも注目される考え方でもあります。
グローカル企業とは?
「グローカル企業」とは、日経ビジネス誌が生み出したとされる造語です。
主に世界的な活動と地域的な活動をどちらも高いクオリティで維持する企業のことを指します。
具体的には、国際的なビジネスを展開する大企業が各地域の特性・法に対応した現地法人、子会社を作ることや、地方に本社を構え、地域の特性を生かしながら世界的な戦略で事業を広げていくという企業が当てはまります。
グローカルの重要性
これからの社会に欠かせないグローカルという考え方が重要と思われる理由のひとつに「グローバル化」のデメリットを解消できることというのがあります。
地球をひとつの世界と考え、一体化を目指す「グローバル化」はインターネットの普及とともに注目され、地球全体での経済活動を可能にしましたが、産業の空洞化や雇用の損失といったデメリットがあるのも事実です。
また、世界の基準を画一化することで一定の水準を確保できる一方、様々な思考・文化のある地域には受け入れられない可能性もはらんでいるのです。
そういったデメリットを解消し、より良いものにするのが「グローカル」の概念です。
世界で一定の基準を持ちつつも、サービスや商品特性は地域それぞれに合わせたものに変えるという考え方です。 地球全体規模でプロジェクトを作り、各地にちょうど良いローカルな視点で実行するという考え方は、これからの時代のポイントになるでしょう。
グローカルを実際に取り入れている企業の例
企業の中には、グローカルな戦略を立てて活動しているところも多数あります。 続いては、グローカルを掲げる企業の一例をご紹介します。
イオン
日本を代表するグローカル企業の1つが「イオン」。地域からも愛される企業を目指し、環境や教育に対する様々な取り組みを行っていると発表しています。 日本のほか、中国などにも本社を構えており、地域に根差した経済活動を行っています。
IKEA
スウェーデンの人気インテリアショップ「IKEA」は、自社の製品が日本の家屋にマッチするかどうかを徹底検討。「イケア・ジャパン株式会社」として日本法人化もしています。 一度は日本撤退となりましたが、グローカルな視点で自社製品を見直し現在は、日本に深く根差した経営をしています。
マクドナルド
ファストフード店として知られる「マクドナルド」は、アメリカに本社がありますが、メニューは世界共通ではなく、各国それぞれの味・サイズにこだわっています。 特に日本で人気の「テリヤキマックバーガー」は、グローカルの顕著な例と言っても良いでしょう。 日本独自の味付けである「テリヤキ」は、日本で大人気のものですが海外で売られる場合には、「サムライバーガー」や「将軍バーガー」といった別の名前がつけられているのも特徴的です。
ポケモン
小学生から大人まで人気のゲーム「ポケットモンスター」を有する「株式会社ポケモン」は「ポケモンローカルActs」という取り組みを行っています。
これは、各地域が制定した「推しポケモン」といわれるキャラクターが、各地の魅力を発信するという活動。 地域限定のコラボレーション商品や、イラストが描かれたマンホールなどで地域を活性化させています。
また、海外でゲームを販売するときには、ゲームでも登場するキャラクターの名前を現地の子供達にもなじみやすい、各国独自の物に変更。 このような要素もあり、ポケットモンスターは世界的な人気ゲームとなりました。
ケンタッキーフライドチキン
ファストフード店「ケンタッキーフライドチキン」も、その国々によってメニューや味付け、サイズなどを変えています。 例えばインドではパンメニューだけではなく、「ライスボウル」というライスメニューを展開。 また、ベジタリアンメニューもあるなど、地域性にあわせたグローカルな経営をしています。
グローカルのメリットとデメリット
地域のニーズに応え、世界的に活動の幅を広げていくグローカルな考え方。それだけ聞くと非の打ちどころがないように聞こえますが、デメリットはないのでしょうか。 続いては、グローカル化する際のメリットと付随するデメリットをご紹介します。
グローカルのメリット
グローカルのメリットは、地域の活性化に繋がることでしょう。国内の地域はもちろん、発展途上国等の雇用を活性化させ、経済を上向かせることが可能な点が挙げられます。 地域の経済が活性化すると消費も上向くため、自社にとっても大きなメリットの1つ。 また、地域に愛される企業というのは、おおむね長く経済活動を続けることが可能になります。地域住民の声に真摯に耳を傾け、そしてサービスや商品を提供するという企業は、地元からも愛され多くの利益を上げることができるでしょう。
グローカルのデメリット
デメリットとしてまずあげられるのは、カントリーリスク。 カントリーリスクとは、投資している国の政治経済や社会環境等により、多大な損失を被る可能性があるということです。特に内紛の多い地域等ではこのデメリットが心配されます。 また、自国や本社での雇用機会の喪失等もデメリットの1つ。 特に、賃金の安い地域に雇用を広げようとする会社では、本社や別部門の人員削減等が心配されます。
これからの社会に必要なグローカルの考え方
グローバル、そしてローカルどちらかに偏った考えよりは、どちらの視点も持ち合わせる「グローカル」な人材が、これからの社会では求められるといいます。
「Think globally, act locally」(地球規模で考え、足元から行動せよ)という言葉にも通ずるように、グローカルという概念は、特に若い世代には必要な考え方とも言われています。 そのため、一部の小中学校など教育機関ではすでに、グローカル教育を行っているところもあります。
実際に京都大学では、「グローカル教員育成プログラム」を行い、グローカル教員を養成するなど、積極的な取り組みをしています。 また、企業でもグローカル化を推し進めており、株式会社ブルボンでは毎年外国人留学生を採用するなど、グローカルな人材確保や活動に力を注いでいる事例もあります。
グローカル時代に必要になるのは、地球規模で必要な物を見極めて、広い視点で物事を考えられるマーケティング能力。そして、地域住民の考えや価値観を尊重できる心だといわれています。
グローカルの豊かな視点で心地よい世界に
世界規模を意味する「グローバル」と地域を表す「ローカル」という、相反する2つの言葉から生まれた「グローカル」という概念。
今回はそんなグローカルの意味や実際に企業が行っている活動をお届けしてまいりました。 これからの国際社会には必要となるグローカルの視点ですが、それぞれの地域の特性や個性を知り、そして受け入れるという心の持ちようが重要です。 そのためにも、より世界のことを学び続けましょう。 私たちは「地球一個分の暮らし」をテーマに、世界の様々なアイディアや問題を取り上げています。
それでは、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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