2021年ダボス会議が中止に。テーマの『グレート・リセット』とは?
2021年5月18日、ダボス会議2021が中止となることが発表されました。ダボス会議とは、世界経済フォーラムが、1年に1度開催する国際会議のこと。
当記事では、なぜダボス会議2021が中止となったのか、そして2021年のテーマ『グレート・リセット』について、ご説明いたします。
シンガポールで開催予定のダボス会議2021が中止に
世界経済フォーラム(WEF)は、2021年8月にシンガポールで開催予定の、ダボス会議の中止を発表しました。
ダボス会議2021中止の理由は、新型コロナウイルスの変異株が出現し、世界中に拡大する恐れがあることや、ワクチン摂取の状況にも国ごとに差があったためです。この現状を受け、世界経済フォーラムは、2021年のダボス会議を予定した規模で実施することは難しいと判断し、中止を決定しました。
例年、スイス東部のリゾート地『ダボス』で行われるダボス会議ですが、当初は2021年5月にスイス中部地域での開催に延期を発表。さらに欧州でのコロナ感染拡大を受け、シンガポールでの開催に変更が決まったばかりのことでした。
ダボス会議とは?
ダボス会議とは、世界経済フォーラム(以下WEF)が毎年開催する国際会議のこと。
WEFとは、スイスのジュネーブが本部である非営利組織で、世界の課題を『官民』の力を結束することで解決を目指す組織です。
1971年から続くダボス会議では、いくつもの世界的課題が話合われています。例えば、2005年の会議では、当時画期的な研究であった『世界男女格差』の測定を始め、ジェンダー平等の実現に向けた取り組みを促進。
また、記憶に新しい2019年のダボス会議では、早急な対応が求められる『気候変動』がテーマとして扱われています。
このように、ダボス会議は、政治家や企業などさまざまなステークホルダーが一丸となって世界的課題を毎年テーマとし、話合われる会議です。
では、ダボス会議2021にて、話し合われる予定であったテーマは、何だったのでしょうか?
2021年のテーマはグレート・リセット
2021年のダボス会議で予定されていたテーマは、『グレート・リセット』です。
一体、『グレート・リセット』とはどのようなテーマなのか、ご説明いたします。
グレートリセットとは?
グレート・リセット(英訳:The Great Reset)とは、ダボス会議・会長のクラウス・シュワブ氏が提言した、経済システムや社会秩序を見直して刷新すること。
同氏の著書『グレート・リセット』の中で、コロナを機に、気候変動への対策、格差の是正、デジタル化による労働市場の変化に伴い、社会が変革すること(グレート・リセット)を求めています。
私たちが暮らす現代社会は、金融システム、経済システム、そして社会システムなど、既存の仕組みの上に成り立っていますが、その多くは、第二次世界大戦後に先進国によってつくられたもの。
しかし、今は2021年。新興国の台頭や、それに伴う格差是正が求められる現代に、既存の仕組みを当てはめようとするとひずみが出てしまいます。そのため、持続可能性や不平等の改善を目指す際に、既存の仕組みからなる社会構造自体を見直すことが求められているのです。
脚光を浴びるステークホルダー資本主義
グレートリセットリセットで変貌する経済では、『ステークホルダー資本主義』がキーワードに。このステークホルダー資本主義とは、2020年のダボス会議から重点的に話し合われているテーマです。
ステークホルダー資本主義とは、企業の経営に関わるすべてのステークホルダーとの関係性を大切にし、取り組みを通してステークホルダーへ貢献する長期的に評価される企業経営を指します。
従来の資本主義は、企業と株主の利益を拡大することに焦点を当てていましたが、ステークホルダー資本主義のもとでは、従業員、地域社会、取引先など、企業活動に関わるさまざまな人々に配慮することが大切になるのです。
ステークホルダー資本主義が経済において大切になるなど、現状からの変化を促すのがグレートリセット。
どうしてグレートリセットが必要なのか、その理由を詳しく見ていきましょう。
グレートリセットが必要な理由
グレートリセットが必要な理由は、大きく分けてアフターコロナ、気候変動、これら2つの側面があります。
それぞれの側面から、グレートリセットがなぜ必要なのかを見ていきましょう。
アフターコロナに向けて
2020年から2021年にかけて続く新型コロナウイルスの世界的流行は、数々の格差を浮き彫りにするきっかけでした。
パンデミックの影響で、特に貧困やジェンダー格差、人種的不平等などが助長されています。また、コロナ不況により、突然解雇される労働者も相当数いる現状。
コロナウイルスの感染拡大がある程度収まったアフターコロナ、あるいはウィズコロナの時代に、さまざまな格差を解決できるよう、今の仕組みを見直すグレートリセットが必要とされています。
気候変動を解決するため
もう1つが、加速し続ける気候変動を解決するためという側面。
日本を度々襲う自然災害や、世界各地で発生する大規模な自然災害など、気候変動は無視をできるレベルを超えてきています。
温室効果ガスの排出などで引き起こされる気候変動は、今すぐの対応を必要とされる問題であり、この問題を解決するためにも今までの社会経済システムを見直し、刷新することが求められている現状です。
このように、来るアフターコロナや気候変動が加速する時代に向け、『グレートリセット』を考える必要があります。
さいごに。グレート・リセットについて考えてみよう
2021年のダボス会議は、新型コロナウイルスの流行が収まらない影響で、中止となりました。
各国の首脳や企業の代表が集まる国際会議は実施されませんが、『グレート・リセット』を考えることは、引き続き必要とされています。
ぜひ、皆さんもグレート・リセットを考えながら、アフターコロナの世界がどうなるのか、想像してみてはいかがでしょうか?
また、2022年のダボス会議についても議題内容が気になるところです。WEFは再びスイスで開催したい意向を示していますが、いまだにコロナウイルスの感染リスクがあるため、開催実現の雲行きが怪しい現状です。
こちらの記事で、グレートリセットについて詳細に説明していますので、併せてご覧いただければと思います。
グレート・リセットとは?
最後まで読んでいただき、ありがとうございました
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