2021年のダボス会議はなぜ中止に?オンライン開催との違いとその後
公開日:2021年5月18日 / 最終更新日:2026年9月8日
2021年の「ダボス会議中止」は、シンガポールで予定されていた対面の特別年次総会を指します。2021年1月のオンライン会合「ダボス・アジェンダ」は開催されており、世界経済フォーラム(WEF)の活動全体が中止になったわけではありません。
この記事は2021年のニュースを振り返り、中止の理由、当時注目された「グレート・リセット」、2022年以降の開催状況を整理したものです。
2021年に中止されたのはシンガポールの対面会合
WEFは2021年5月17日、シンガポールで準備していた特別年次総会の中止を発表しました。2021年2月の開催案内では、日程は8月17〜20日とされていました。
理由として挙げられたのは、新型コロナウイルスの感染状況、海外渡航の見通しの不確実さ、ワクチン接種の進み方の違い、新たな変異株への懸念です。世界各地から参加者を迎える会合を、予定した規模で安全に開くことが難しいと判断されました。
出典:WEF:特別年次総会の中止発表(2021年5月17日)
出典:WEF:シンガポール会合の開催予定(2021年2月3日)
2021年1月のオンライン会合は開催された
対面会合とは別に、2021年1月25〜29日にはオンラインの「ダボス・アジェンダ」が開かれました。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のイベント案内でも、この日程とオンライン形式を確認できます。
したがって、「2021年は各国の首脳や企業関係者による会合が一切なかった」という説明は正確ではありません。過去のニュースを読むときは、会議名だけでなく、開催形式・予定日・中止対象をセットで確認すると混同を防げます。
出典:UNFCCC:World Economic Forum – The Davos Agenda
ダボス会議とグレート・リセットの関係

ダボス会議は、WEFの年次総会の通称です。政治、経済、市民社会などの関係者が社会課題を議論する場であり、その議論自体が各国の法律になるわけではありません。
「グレート・リセット」は、コロナ禍の復興を機に経済・社会のあり方を見直そうという、2020年にWEFが打ち出した構想です。同年6月の発表では、翌年の会合につながる取り組みとして紹介されました。創設者のクラウス・シュワブ氏らが、公平性や持続可能性を重視する復興を提案していました。
これは提唱された構想を説明する言葉です。「すべての国が採用した制度」「世界共通の義務」として受け取らないようにしましょう。企業が株主だけでなく、従業員や顧客、取引先、地域社会にも配慮する「ステークホルダー資本主義」とも関連づけて論じられています。
出典:WEF:The Great Resetの発表(2020年6月)
構想の内容は、グレート・リセットの解説記事で詳しく紹介しています。
2022年には対面開催が再開。2026年のテーマは?
2021年の中止発表時点では、次回会合の場所や日付は未確定でした。その後、2022年5月22〜26日にスイスのダボスで年次総会が開催されています。「2022年に開催できるか分からない」という当時の見通しは、現在の状況を示すものではありません。
2026年の年次総会は1月19〜23日に開催され、テーマは「A Spirit of Dialogue(対話の力)」でした。グレート・リセットという2020年の構想と、各年の会議テーマは区別して確認する必要があります。
過去のニュースは、その後の結果とあわせて読もう
2021年の中止は、感染症の流行下で国際的な対面会合を開く難しさを示した出来事でした。一方、オンラインでの議論は続き、翌年にはダボスでの対面開催も再開しました。
環境や社会課題に関するニュースでは、「提案されたこと」「決まったこと」「実施されたこと」を分けて読むことが大切です。元の発表日と、その後の開催記録をあわせて確認すれば、古い予測を現在の事実と取り違えずに理解できます。
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