地球温暖化対策推進法とは?2021年・2024年改正と現在の削減目標を解説
公開日:2021年5月26日 / 最終更新日:2026年9月8日
地球温暖化対策推進法(温対法)は、国・自治体・事業者・国民による温暖化対策の枠組みを定める法律です。2021年の改正では、2050年までの脱炭素社会の実現が基本理念に位置づけられました。
この記事は2021年の改正を紹介した内容をもとに、2024年改正と2025〜2026年の制度・計画を加えて、2026年9月に更新しました。過去の改正内容と現在の目標を分けて説明します。
温対法とは
正式名称は「地球温暖化対策の推進に関する法律」です。1998年に成立し、1999年4月に施行されました。国の対策計画、自治体の実行計画、対象事業者の排出量の算定・報告など、対策を進める仕組みを定めています。
2021年改正の主なポイント

2050年カーボンニュートラルを基本理念に
2020年の政府による宣言を踏まえ、2021年改正で2050年までの脱炭素社会の実現を基本理念として法定化しました。目標を法律に位置づけ、対策の継続性と予見可能性を高めるものです。法律の成立だけで排出削減が自動的に達成されるわけではありません。
地域での脱炭素化を進める制度
地方公共団体実行計画の区域施策編に施策の実施目標を追加するとともに、地域の再生可能エネルギーを活用する「地域脱炭素化促進事業」の制度が設けられました。地域の環境保全と経済・社会の持続的発展に配慮して進める仕組みです。
自治体が自らの事務・事業について作る計画と、地域全体を対象にする区域施策編は別です。すべての自治体に一律の再エネ導入義務を課す制度、という説明は正確ではありません。
排出量情報のデジタル化・オープンデータ化
対象事業者の排出量情報を活用しやすくし、脱炭素経営や情報開示を後押しする見直しが行われました。報告義務は法令の対象要件に従うもので、すべての企業が同じ範囲の報告をする制度ではありません。
2024年改正では何が変わった?
2024年の改正では、二国間クレジット制度(JCM)の実施体制と、地域脱炭素化促進事業の仕組みが拡充されました。JCMは、パートナー国と協力した排出削減・吸収を評価し、クレジットを発行する仕組みです。
環境省の2025年解説では、JCMのクレジット発行等の手続きの法定化・実施体制強化に加え、都道府県と市町村による促進区域の共同設定などを紹介しています。2025年4月からの変更と、後から施行された規定を分けて見る必要があります。
出典:環境省「温対法の概要と令和6年改正」(2025年4月)
2026年1月の変更
環境省の2025年9月の公表資料では、2026年1月1日施行の改正規定により、京都議定書に基づくクレジットである「算定割当量」に関する規定を削除すると説明されています。JCMの制度と、京都議定書時代のクレジットの規定を混同しないことが大切です。
出典:環境省「温対法施行令の一部改正」(2025年9月12日)
現在の日本の削減目標
2025年2月18日に閣議決定された「地球温暖化対策計画」では、次の目標を掲げています。2030・2035・2040年度の基準は2013年度であり、「現在からの削減率」ではありません。
- 2030年度:温室効果ガスを46%削減し、さらに50%の高みに向けて挑戦を続ける
- 2035年度:60%削減を目指す
- 2040年度:73%削減を目指す
- 2050年:ネットゼロの実現を目指す
2035・2040年度目標は同日に日本のNDCとしてUNFCCCへ提出されました。これは将来の目標で、達成済みの実績を表す数字ではありません。
出典:環境省「地球温暖化対策計画」(2025年2月18日閣議決定)
法律・計画・実績を分けて確認しよう
温対法は対策の枠組み、地球温暖化対策計画は具体的な目標や施策を定める政府計画です。過去のグリーン成長戦略だけで現在の政策全体を説明することはできません。2025年にはGX2040ビジョンや第7次エネルギー基本計画も策定されました。
環境省が2026年に公表した2024年度の温室効果ガス排出・吸収量は約9億9,400万トン(CO₂換算)、2013年度比28.7%減です。吸収量を差し引く指標である点を明記し、目標との進捗を確認しましょう。
出典:環境省「2024年度の温室効果ガス排出量及び吸収量」(2026年公表)
暮らしや地域でできること
省エネや公共交通の利用、食品ロスの削減などに加え、自治体の実行計画や地域の再エネ事業について知ることも参加の入口です。企業や自治体の発表では、目標年、比較する基準年、対象範囲、実績を確認してみましょう。
排出削減とともに、猛暑や災害への備えも大切です。健康や安全を損なう無理な節電をせず、暮らしに合った対策を選んでください。
関連する考え方は、カーボンニュートラルの記事でも紹介しています。
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