LGBTQIAとは?LGBTに続く、多様な性を総称する用語を解説
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LGBTに続き、LGBTQIAというセクシャルマイノリティを総称する言葉が広がっています。それに伴い、モチーフのレインボーフラッグをテーマとしたイベントや、キャンペーンも広がっている現代。
まさに、性はグラデーション。人それぞれに個性があるように、性の在り方も十人十色。いや、それ以上に多様なものです。
当記事では、社会学を専攻する筆者が、LGBTQIAの概要や、その周辺用語、そしてLGBTQIAを知る上で、ぜひお伝えしたい情報をお届けいたします。
どんな性を持っていても、輝ける社会のために。今回の記事が、そんな社会への一助となれば幸いです。
LGBTなど、 セクシャルマイノリティとは?
セクシャルマイノリティ(日本語訳:性的少数者)とは、性的指向や性自認を意味する『SOGI』がマジョリティ(多数派)には当てはまらない性を持つ人を指します。
LGBTという言葉を聞く機会が増えてきたかと思いますが、LGBTという性の在り方もセクシャルマイノリティに含まれます。
セクシャルマイノリティの割合
セクシャルマイノリティが全人口のどれくらいの割合を占めるかというと、さまざまな調査結果があり一口には言えない状況です。
LGBT総合研究所が2019年に実施した調査では10%(1)。実に、10人に1人が性自認、または性的指向で多数派に該当しないと答えています。
しかし、電通など広告代理店の調査ですと、8%という結果(2)が出ているため、実際の数字は定かではありません。とはいえ、アメリカでは成人の5.6%以上が性的マイノリティであると答えていること(3)に比べると、日本は比較的高い割合だと言えるのではないでしょうか。
知っておきたい4つの用語
先ほども使用しましたが、セクシャルマイノリティに関するトピックをご説明する上で、ぜひ抑えていただきたい用語がありますので、こちらでお伝えします。
- 性自認(Gender Identity): 自分でどう性を認識するのか。性同一性とも言われる。
- 性的指向(Sexual Orientation):好意や性的指向を抱く性。
- 身体的・生物学的性(Sex Characteristics):生物学的な性。
- 性表現(Sexual Expression):個々が表現する性。
セクシャルマイノリティと言っても、性自認が多数派と違うのか?性的指向が多数派と違うのか?など、個人によって異なります。なぜなら、性は多様なものだからです。
これらの言葉まで抑えたうえで、当記事のメイントピックであるLGBTQIAについて、ご説明してまいります。
(1)出典:「LGBT意識行動調査2019」を実施、公表
(2)出典:電通ダイバーシティ・ラボが「LGBT調査2018」を実施
(3)出典:認知と受容の高まりを反映か…… アメリカのZ世代、6人に1人は「LGBT」を自認
LGBTQIAとは?
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LGBTQIAとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クエスチョン、インターセックス、アセクシャルを自認する人たちの総称です。さらに、自身の性は多数派に当てはまるが、性的少数派をサポートするアライもLGBTQIAに含みます。
LGBTQIAの読み方は、エルジービーティーキューアイエーです。
LGBTという言葉は存在していましたが、性の多様性は、LGBTという言葉だけで内包できるものではありません。また、性は多様で個人によって変わるため、上限のない概念です。
そのため、最近では、LGBTQIAに+(プラス)も含まれるようになりました。+とは、LGBTQIAでは包含できないセクシャリティまで含むことを意味しています。
LGBTQIAに含まれるセクシャリティの種類としては、下記の表を参照していただければと思います。
頭文字 | 日本語 | 意味 |
L | レズビアン | 自身を女性と認識し、体も女性。 女性であって、女性に性的指向がある人。 |
G | ゲイ | 自身を男性と認識し、体も男性。 男性であって、男性に性的指向がある人。 |
B | バイセクシャル | 自身の性は関係なく、女性にも男性にも性的指向を抱く人。 |
T | トランスジェンダー | 自身の性認識と、体の性が一致しない人。 |
Q | クエスチョン | 性別や性的指向を迷っている、または決められない、決めない人。 |
I | インターセックス | 性分化疾患を持つ人。 |
A | アセクシャル | 誰にも恋愛感情や性的指向を抱かない、無性愛者のこと。 個々によって変わり、恋愛感情なら抱く場合もある。 |
+ | プラス | プラスは、その他の多様な性を包含する言葉。 |
Qは、クエスチョンだけでなく、クィア(英語:Queer)も含みます。クィアは、不思議なや、風変りな、を表す英単語。1990年代までは、同性愛者を侮辱する言葉だったが、現代ではセクシャルマイノリティを表す肯定的な意味で使われています。
インターセックスとは、DSD(Disorders of DevelopmentまたはDifference of Developmentの略)を持つ人のこと。DSDは日本語で、「体の性の様々な発達」という意味。
体において、性に関わるさまざまな機能・形・発達が、一般で男女と捉えられる状態と一致しない場合、DSDとなります。
LGBTQQIAAPPO2Sって?
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ここまで、LGBTQIAについてご説明しましたが、合わせて『LGBTQQIAAPPO2S』という用語をこちらでご紹介します。LGBTQQIAAPPO2Sとは、各セクシャルマイノリティの頭文字をとって構成した用語。
LGBTQQIAAPPO2Sのうち、『LGBTQQIAA』は、1つ上のセクションで説明した内容なので、後半の『PPO2S』をご説明します。
さらに、『LGBGTQIAPK』という用語もあるので、そちらも合わせて見ていきましょう。
PPO2S
『PPO2S』は、パンセクシュアル、ポリアモラス、オムニセクシャル、そしてトゥースピリットの総称です。
- パンセクシャル:全性愛。この場合、自分の性自認は関係なく、性的指向を抱く際に相手の性について考えない人を指します。
- ポリアモリー:複数愛。複数の人を同じように愛する性の在り方です。日本の一夫一妻制は、モノガミーに基づく関係性ですが、ポリアモリーの場合、浮気ではなく、複数の人を順序なく愛します。
- オムニセクシャル:全性愛。 オムニセクシャルの方は、相手の性を認識した上で、全ての性に性愛感情をもちます。
- トゥースピリット:アメリカやカナダの先住民のなかで見られる第3の性。女性と男性、両方の魂が自分のなかに存在すると感じる人を表す言葉です。
QIAPK
また、LGBTに続く言葉として『QIAPK』という用語も存在。総称に使われるセクシャリティは、クィア、クエスチョ二ング、インターセックス、アセクシャル、アライ、パンセクシュアル、キンキーです。
新たな用語のQIAPKのKをなすキンキー。特殊な性的嗜好をもつセクシャルマイノリティを指す言葉です。一般とされる性の概念を超えた表現や、趣味を持つ人に当てはまります。
性はグラデーション
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当記事はLGBTQIAを紹介する記事ですが、LGBTQIAには、+(プラス)という表記があるように、他にもさまざまな性が存在します。
『性はグラデーション。』という一節。このように、個人の性格がそれぞれ異なれば、性も変わってゆくものです。
こちらまで、多数のセクシャリティについてご説明しましたが、いまだ触れていない8つの性について、ご説明します。
- デミセクシャル:半性愛。基本は他者に対して恋愛感情や性的欲求を抱かないが、強い絆を感じた一部の人だけにはそれらを抱くことがあるセクシャリティ。
- サピオセクシュアル:知性愛。相手の知性に性的興奮を抱くセクシャリティ。
- グレーセクシュアル:流動的な性的指向。人生で1度か2度、相手に性的欲求や恋愛感情を抱くセクシャリティ。
- ジニセクシュアル:女性愛(自分の性自認によらない)。自身の性によらず、女性へ性愛感情を抱くセクシャリティ。
- アンドロセクシュアル:男性愛(自分の性自認によらない)。自身の性によらず、男性へ性愛感情を抱くセクシャリティ。
- ポモセクシュアル:そもそも、セクシャリティの存在を考えないセクシャリティ。
- スコリオセクシュアル:バイナリージェンダーの人に性的指向があるセクシャリティ。
- アウトセクシュアル:自身に性的指向があるセクシャリティ。
『ジェンダーは当事者によって定義されるべきである』
多様化する性のマイノリティに関する用語。気になったかたは、ぜひセクシャルマイノリティの当事者たちが、各々の思いやストーリーを込めて作成した用語集『Gender Nation Glossary』を訪れてみてください。
LGBTQIAを告白したセレブたち
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LGBTQIAは、とても珍しいことではありません。国際的に活躍するスターたちのなかにも、性のマイノリティを告白したセレブたちは多く存在。
今回は、そのなかからも世界的な2人のスターをピックアップし、ご紹介していきます。
レディーガガ
日本でも一世を風靡した歌手、レディーガガ。ガガは、性自認自体は女性ですが、性的指向はバイセクシャルだとカミングアウトしています。
テレビ番組でも、「過去に何度か女性と付き合ったことがある」と述べています。
サムスミス
イギリス出身の歌手、サムスミス。サムは、自身の性的指向についてゲイと告白してからず随分経ちます。実際に、男性とのお付き合いが週刊誌に報道されることもありました。
その後、自身の性自認について、ノンバイナリーだと告白しています。ノンバイナリーとは、性自認と性表現において、男性と女性の境界がないと感じることです。
日本の音楽業界でも、宇多田ひかるがノンバイナリーだと告白したように、社会的に有名な人のなかでも、多様なセクシャリティが目立つようになってきている現状です。
セクシャルマイノリティが抱える問題
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LGBTQIAや、その他のセクシャルマイノリティの方々は、日常において数々の問題に直面しているのです。ここでは、すべてのジェンダーやセクシャリティに当てはまる方が、1度考えてみてほしい問題をご説明いたします。
法的な結婚について
現在、同性結婚が認められている国が少ないため、法的な結婚はLGBTQIA+の方々にとって課題の1つ。同性婚が認められている国は、全世界で28か国(1)です。そして、日本において、法的には同性婚は認められていない状況。
また、イラン、スーダン、イエメン、サウジアラビア、ソマリアでは同性性的行為でさえ、見つかると死刑になる場合(5)もあります。これは、イスラム教が影響しているのですが、宗教的な側面については次のセクションをご覧ください。
同性結婚が合法として認められる国が増えてきている一方、移住をしないと自国では同性結婚が実現しないケースがまだまだ多くあります。結婚の自由がない方がいることも踏まえ、この問題考えるべきでしょう。
(4)出典:世界の同性婚 | EMA日本
(5)出典:LGBTの海外安全情報(渡航情報)
宗教的な偏見が存在
宗教的に少数派の性への偏見が強く存在する場合があります。さまざまな宗教と、LGBTQIA+の関係がありますが、今回はイスラム教に焦点を当ててご紹介。
イスラム教徒が多い国では、セクシャルマイノリティへの強い偏見や、同性愛を禁止する法があります。インドネシアでは、同性愛の男性カップルを見つけると、治安部隊がむち打ちの刑(6)にさらし、見せしめとする例も。
また、パキスタンではトランスジェンダーであるだけで殺害さた事件も発生(7)しています。しかし、トランスジェンダーを守る法律ができたため、これからは法的には守られていく流れとなるでしょう。
いくら法律が変わっても、宗教的な考えを変えることは難しいです。そのため、宗教文化が強い地域こそ、LGBTQIAの人々に対する先入観を変えるには、長くかかると予想されます。
(6)出典:同性愛の男性カップルに公開むち打ち刑 インドネシア・アチェ州
(7)出典:「トランスジェンダーであるだけで殺される国」パキスタンに「LGBT法」成立
マイクロアグレッション
法的問題や、宗教的な問題だけでなく、LGBTQIA+などのセクシャルマイノリティの人々は、日常で些細な攻撃を受けています。
マイクロアグレッションこそ、小さな攻撃性と定義され、LGBTQIAの方々を傷つけてしまう原因の1つです。なぜマイクロアグレッションが起こるかというと、自身の先入観で発言や振る舞いをしてしまうからです。
例としては、下記のような場面が挙げられます。
- 性の選択で、性別を男女の2つから選んでもらう
- 恋人は彼氏/彼女の2択だと決めつけて会話をする
このように、性は2つしか存在しないと決めつけること。
小さなことに見えるかもしれませんが、このような言動で存在が消されてしまうような体験をする人は存在します。自分には悪意がなくとも、相手にとっては悲しい記憶の1つになることがあるので、心の片隅に置いていただければと思います。
LGBTQIAには、アライも含まれる
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LGBTQIAを説明した際にも述べましたが、Aにはアライ(英語:Ally)も含まれます。アライとは、自身は多数派のジェンダーを認識しているが、性の少数派を支援する人たちのこと。英語のAllyは同盟という意味を持ちます。
最近、セクシャルマイノリティを表すレインボーカラーの旗を目にする機会が増えたのではないでしょうか?レインボーカラーの旗は、当事者だけでなく、支援する人たちもその意思を表示するために使えるもの。
そのため、LGBTQIAは性のマイノリティに属する人だけでなく、自身の性が多数派に当てはまるが少数派を支援したい人にも関わる概念です。
それでは、最後にアライとして少数派をサポートするためにできることを、ご紹介します。
性のアウティングはしない
もし、性の少数派に当てはまる方が、自分のセクシャリティについてカミングアウトしてくれても、勝手に他人に伝えないようにしましょう。
アウティングは、その方の命に関わる出来事につながる場合も。もしカミングアウトを受けたら、自分以外誰にカミングアウトしたのか、守ってほしい秘密なのか、必ず確認することを推奨します。
使用する言葉には細心の注意を
もう1つできることは、使う言葉に細心の注意を払うこと。
マイクロアグレッションをご説明した際にもお伝えしましたが、彼女/彼氏と決めつけて話すより、『パートナー』という幅広い言葉を使うなど、配慮できる場面があれば配慮するようにしましょう。
さいごに。
当記事では、LGBTに続き、広がりを見せるLGBTQIAについて、関連する用語や問題などと一緒にご説明いたしました。
性が多様化しているという考え方もありますが、そもそも1人1人の性格が違うように、それぞれに当てはまる性があるのではないでしょうか。
この記事をきっかけに、多くの人が自由に、そして心豊かに過ごせる社会になることを願います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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