6月8日は世界海洋デー|プラスチックごみ汚染から豊かな海を守る日を解説
6月8日は、海の豊かさを守るために海洋汚染問題などを考える『世界海洋デー』。
私たちの地球は、ひとつの海で繋がっている。そんな、尊く美しい海が、プラスチックごみを中心としたごみに汚染されていることをご存知でしょうか?
海に浮かぶプラスチックごみは年々増加し、2050年には重量ベースでプラスチックごみが魚の量を上回ると予想されています。
ゴミまみれになってしまう未来から、海を救うために世界海洋デーに合わせ海について考えてみてはいかがでしょうか?
当記事では、世界海洋デーの概要を簡単に確認した上で、海洋環境が直面する問題、そして企業や私たちにできる取り組みをご紹介いたします。
世界海洋デー(英語:World Ocean Day)とは?
世界海洋デーとは、世界をひとつに繋ぐ海の豊かさや海が私たちに与える恩恵、そして海が直面する環境問題について考える国際デーです。
1992年のリオデジャネイロ・地球サミットにて、カナダ代表が『世界海洋デー』を提唱したことで非公式にスタートしました。
そして2009年、国連が正式に制定したことで、世界海洋デーは公式な国際デーとしてスタート。
初回の世界海洋デーでは、当時の国連事務総長が海洋保護のために重要な、以下の要素を述べました。
- 地球の気候を調整すること
- 不可欠なエコシステムを守ること
- 持続可能な暮らしを守ること
このように、世界海洋デーは海を中心に地球の気候変動を考え、在るべき海の姿や生態系を振り返る、そして持続可能な海洋環境を守るための日です。
「国連海洋科学の10年」がスタート
2021年よりスタートする「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」では、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に焦点を当てながら、海を持続可能にする目標が提示されています。
具体的に掲げられる7つの海は以下の通り。
「きれいな海」「健全で回復力のある海」「予測できる海」「生産的な海」「安全な海」「万人に開かれた海」「夢のある魅力的な海」(1)
「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」が2021年から始まるため、今年の世界海洋デーは、世界にとって重要な節目となるでしょう。
重ねて、SDGsゴール14『海の豊かさを守ろう』にもあるように、海洋の生物や生態系を守ることは、持続可能な地球を実現するために欠かせない努力なのです。
(1)【コラム】「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」(2021-2030)が始まりました
国連が毎年テーマを発表
世界海洋デーは、海について考えることをベースに、国連によってさまざまなテーマが定められています。
2021年のテーマは、「海洋:生命と生活(The Ocean: Life and Livelihoods)」です。今年のテーマには、海を持続させている命を祝福し、支援する意味が込められているもの。
補足として、2020年と2019年のテーマをご紹介します。
2020年のテーマは、「持続可能な海を目指すイノベーション」。海を持続可能な場所とし、新たな製品や医薬品を発見するために海の理解を促す意味合いで決定されました。
また、2019年のテーマは「私たちと海との関係が持つジェンダーの側面」。2019年の世界海洋デーでは、どのように女性が海の汚染や気候変動から不利益を被っているかを世界に発信し、海洋問題とジェンダー不平等の解決、両方を目指していました。
このように、それぞれの年の流行や話題になった国際課題に合わせ、さまざまなテーマが定められます。
海洋汚染が起こる原因とは?
では、世界海洋デーに合わせ、海洋環境を改めて考えるべき理由とは、一体どのようなものなのでしょうか?
こちらでは、海洋環境が直面する問題を4つ挙げ、簡単にご説明します。
- 海洋プラスチックごみの増加
- 船の座礁による汚染
- 過剰な漁業
- 生活排水による汚染
1. 海洋プラスチックごみの増加
現在、1年間で800万トン(2)、東京ドーム7個分の量のプラスチックごみが海に流れ着いています。
ごみだと認識できるサイズの大きいものから、微小なマイクロプラスチックまで、さまざまなプラスチックごみが海に流れ着く現状です。
微小なマイクロプラスチックは、プランクトンや魚の体内に入り、炎症や病気を引き起こす原因に。また、マイクロプラスチックを含む魚を、私たちが消費することで巡り巡ってプラスチックを食べていることになります。
私たちは、平均で1週間にクレジットカード1枚分のプラスチックを摂取している(3)という研究結果もあるように、環境と健康を守るためには海洋プラスチック問題は向き合うべき課題なのです。
プラスチックを食べてしまっているという事実だけでも衝撃かもしれませんが、より衝撃的な事実がありますので、海洋プラスチックごみ問題について、より詳しく知りたい方は下記の記事をご参照ください。
(2)環境省_令和元年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況第1部第3章第1節 プラスチックを取り巻く国内外の状況と国際動向
(3)YOUR PLASTIC DIET あなたが摂ったプラスチック量は?|WWFジャパン
船の座礁による汚染
続いてご説明するのは、貨物船などの座礁によって、海が汚染されるケースです。日本の商船が、モーリシャス諸島沖で座礁をし、周辺の海へ石油を流出した事件をご存知の方も多いのではないでしょうか?
事実、座礁現場の周辺では、石油が付着した海洋生物の死亡が確認されています。また、マングローブに石油が付着した状態が半年以上続くと枯れてしまうことがわかっており、自然への大きな影響が懸念されている状況。
人間が使う石油を運ぶ途中で、船が座礁し、海洋環境が傷ついてしまう。モーリシャス諸島は生物多様性のホットスポットであったことから、世界各国から支援と心配の声が寄せられています。
過剰な漁業で海のエコシステムに異変が
乱獲や過剰な漁業が広がる現代。過剰漁業やダイナマイト漁など、指摘されている漁業形態(4)を見直し、終止符を打たないと海のエコシステム自体に異変が生じてしまうと言われています。
極端な研究だという見解もありますが、2048年に食卓から魚が消える(5)という研究も存在し、持続可能な方法で漁業をおこなうことが求められています。
また、漁業で大量の魚が海から獲られていることに加え、カメやサメなど食用にはあまり適さない生物までもが混獲によって死亡しています。
過剰な漁業によって、海洋生物が減少し、生態系に不均衡が生じることは、海洋のエコシステムを変えてしまうほどに大きなインパクトを持っています。
(4)過剰漁獲-違法操業-破壊的な漁業 | Marine Stewardship Council
(5)Seafood May Be Gone by 2048, Study Says
生活排水による汚染
海にごみを捨ててないし、石油を流していないし、漁業もしていない。そのような方でも、毎日排出する生活排水によって、海洋環境を汚している可能性があるんです。
例えば、世界の生活排水の90%は未処理のまま放流(6)されており、先進国の日本でも洗剤や油が排水溝をたどり、海まで行きついています。
意図しないかたちで海を傷つけてしまわないために、洗剤をエコなものにしたり、洗濯回数を減らしたり、さまざまな工夫があります。
企業は海洋環境の問題にどう取り組む?
海洋環境が汚染されている現状を受け、いくつかの企業は海洋環境を改善させるために取り組みを始めています。
プラスチックのおもちゃを廃止(英マクドナルド)
イギリスのマクドナルドでは、少女たちの訴えを受け、子ども向けミールセット『ハッピーセット®』のプラスチックおもちゃを廃止(7)しました。
海洋プラスチックごみ問題の現状を懸念した小学生の少女たちは、マクドナルドのほかにも、バーガーキングに向けてプラスチックおもちゃを廃止するように署名活動を実施。
結果的に、マクドナルドはプラスチックおもちゃの廃止を決定し、年間で3000トンを超えるプラスチックを削減できると発表しています。
(7)McDonald’s to remove plastic toys from Happy Meals
プラスチックごみをアップサイクル (エコアルフ)
海洋の漁業ごみをアップサイクル(存在する資源を有効活用し、新たな価値をもつモノへ蘇らせること)し、衣類を製造するエコアルフ。
同社は、2015年より、500トン以上の海洋ごみを回収しています。主に回収活動をおこなう地域は、スペインとタイの周辺地域です。
現在、65万トンもの使用済み漁網が海底に眠っている状況。海洋ごみというと、ビニール袋やペットボトル、プラスチックストローなどがイメージしやすいかもしれませんが、実は漁業ごみも大きな影響を与えています。
プラスチックごみを増やさない努力も必要ですが、エコアルフの活動のように、発生してしまった海洋ごみをアップサイクルし、有効活用することも重要な取り組みです。
世界海洋デーに合わせて観たい環境映画3選
ここまでお伝えした海洋環境に関する事実の他にも、海が大好きな方や地球環境に興味がある方にぜひご覧いただきたい環境系のドキュメンタリー映画がありますので、ここでは3つほどご紹介します。
Seaspiracy(偽りのサスティナブル漁業)
Seaspiracyは、サスティナブル漁業がもつ真の姿に迫った作品です。
映画内では、太平洋ごみベルトに溜まるプラスチックの46%は漁網であることや、サスティナブルな漁業の実態は不透明であることなど、海洋環境にまつわる衝撃の事実を教えてくれます。
この他にも、雄大な海が傷つけられている驚きの事実を知ることができる作品ですので、海で何が起こっているのか知りたい方におすすめいたします。
A plastic ocean (プラスチックの海)
A plastic oceanは、海洋プラスチックごみ問題の現状を知ることができる作品。
海のごみ問題についてだけでなく、その問題がどのように動物、環境、そして私たちに関係している問題なのか知ることができます。
また、日常でどれだけのプラスチックを消費しているかが目に見えてわかるのと、プラスチックの消費を減らすコツまでわかる映画です。
プラスチックがどのように地球環境へ影響していのか、そして私たちの生活とどう関わっているのかを知りたい方は、1度観てみてはいかがでしょうか?
Chasing coral (消えゆくサンゴ礁)
Chasing coralの舞台は、オーストラリア・グレートバリアリーフ。
タイムラプスを活用し、海洋環境が傷つき、サンゴ礁が減少していく過程を見ることができます。世界中のサンゴ礁問題について、考えるきっかけとなる映画です。
よくニュースでサンゴ礁が減少している問題を目にするけど、実態について明確なイメージをお持ちでない方は、Chasing coralを通して大きな気づきがあるかもしれません。
世界海洋デーに合わせ、私たちができる5つの取り組み
世界海洋デーには、海洋環境にまつわる映画を鑑賞し、現状を学ぶこともできる取り組みの1つです。
その他にも、世界海洋デーに私たちだからこそできるアクションがありますので、こちらでは5つご紹介します。
- マイカップ・マイストローを持ち歩く
- 再利用可能なラップを使う
- 環境に優しい洗剤に切り替える
- ごみ拾いをする
- 美しい海を訪れ、自然を感じる
海をこれ以上汚染しないように、プラスチックの消費を抑えたり、排水溝に流れるものを見直してみたりすることもおすすめ。
また、ビーチでごみ拾いをすることや、美しい海を存分に楽しむことも、海洋環境について考え直すきっかけになるでしょう。
※緊急事態宣言下なので、ご自身の行動については慎重に判断していただけると幸いです。
さいごに。
当記事では、6月8日の『世界海洋デー』をメインに、海洋環境にまつわる課題や海洋汚染を解決するための企業による取り組みなど、幅広くご説明いたしましたが、いかがだったでしょうか?
広く、深く、そして美しい海を見て、心打たれた経験がある皆さん。今なら、豊かな海を未来世代に引き継ぐための努力ができます。
6月8日の世界海洋デーは、海の壮大な自然に思いを馳せ、できる限り海を守る取り組みをしてみてはいかがでしょうか?
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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