ダイエット法としても話題のプラントベース。ヴィーガンとの違いとは
プラントベースとは、植物由来の食事を中心とした食生活のことです。
アメリカやヨーロッパなど、海外で健康や環境に優しいと話題の『プラントベース』な食事は、ダイエット法としても人気を博しています。
また、プラントベースは菜食中心な食生活を表すことから、ヴィーガンやベジタリアンとも一緒に考えられやすいですが、実は異なる概念。
今回は、最近話題のプラントベースの概要と、ヴィーガンやベジタリアンとの違いを中心にご説明します。
さらに、プラントベースの食品の例やそれらを選ぶメリット、そしてプラントベースの料理を楽しめる場所など、幅広くご紹介するので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
プラントベースとは?
『プラントベース』とは、植物性の食事を中心とする食生活のこと。
プラントベースは、英語で『Plant based』と表記し、日本語では『植物性由来の素材をベースにしていること』と訳されるものです。
プラントベースに当てはまるほとんどの食品は、鉱物や添加物、卵、牛乳などを含まないものです。例を挙げると、最近話題の代替肉は、大豆を原料とし加工された食品であることから、プラントベースな食品、食材に当てはまります。
過去10年間、アメリカではプラントベースな食材や料理の市場が著しく拡大しており、それを受けさまざまな概念があった『プラントベースな食品』を、Plant Based Association(プラントベースアソシエーション)は以下のように定義しました。
「野菜、果物、全粒穀物、ナッツ、種子、豆類などの植物由来の食物からつくられる製品」
上記の定義のように、植物性の食材に由来する食生活である点から、プラントベースは一見、ヴィーガンやベジタリアンの思考と変わらないように感じる方が多いのではないでしょうか?
ヴィーガンやベジタリアンとの違いは?
日本発のフードテックカンパニー『Green Culture』の代表は、プラントベースという概念はヴィーガンとイコールではないと定義。その理由を確かめるべく、まずプラントベースとヴィーガンの違いを見ていきましょう。
- プラントベース:なるべく植物性の食品を摂取しようとする食生活に基づく考え。主な動機は、自身の健康や環境問題の解決のため
- ヴィーガン:動物性の食品は摂取しない食生活に基づくとする考え。主な動機は、動物保護・宗教理由のため
このように、これら2つの共通点は、『動物性の食品を摂取しないこと』だけであり、それぞれの動機は異なります。
また、ベジタリアンも菜食主義の食生活を厳密に守ることに比べ、プラントベースの食スタイルは菜食以外も取り入れることができます。そのため、ベジタリアンとも考えが異なっているのです。
とはいえ、近年は著しく気候変動が加速しており、環境負荷の一要因が畜産であることが明らかになっているため、環境への負担を無くそうとプラントベースな食スタイルを選ぶ人も増えており、この境界線は曖昧になってきています。
ここで、気候変動を解決するためにプラントベースな食生活を選ぶ人が増えているとお伝えしましたが、この側面以外にもプラントベースな食事法が注目される理由がいくつかあるので、そちらをご紹介します。
植物性メインの食事法はなぜ注目される?
現在、アメリカやヨーロッパなどの欧米はもちろん、日本市場でもプラントベースな食品や料理が注目される背景は以下の4つです。
- 将来的に動物性タンパク質が全人口に対して不足する
- 植物性に由来する食生活は気候変動を解決する
- 世界の平等性に注目が集まる
- 糖尿病や生活習慣病など健康面への配慮が高まる
このように多くの理由があるので、ひとつずつ確認していきましょう。
動物性タンパク質が将来的に不足する
世界の人口に対し、タンパク質を含む食材が不足する『タンパク質危機(英訳:global protein crisis)』が、2025年から2050年にかけて深刻化することが懸念される現代。
国連の調査によると、2030年には世界の人口は約85億人を超え、2050年には100億人に到達する予想が発表されています。人口が増え続けることで、食料不足の問題が収拾が付かなくなることは明らかに。
しかし、タンパク質源である肉の供給を増やすために、畜産に注力することは望ましい解決策ではありません。なぜなら、畜産は環境問題を助長する要因であり、さらに大量の穀物や土地を必要とする活動だからです。
将来的なタンパク質不足を回避するためにも、動物性タンパク質に頼ることでなく、植物性の食生活にシフトすることが注目されています。
環境問題を解決するため
先ほどもお伝えしましたが、動物性タンパク質の大部分を担う『肉』を育てる畜産は環境問題を深刻化させる原因です。
気候変動が発端である海面上昇や森林火災など、多くの環境問題によって地球はダメージを受けている今、環境に優しくない『畜産』は見直されています。
ざっと例を挙げるだけでも、地球温暖化や森林破壊、水質汚染、そして種の絶滅にまで畜産は関わっているのです。
これ以上、環境問題を助長させないためにも、畜産などの動物性タンパク質ではなく、プラントベースな食事に期待が集まっています。
畜産と環境問題の関連性については、下記記事をご参照ください。
世界の平等性に注目が集まるため
環境問題の側面だけでなく、工業型の畜産に力を入れることは世界の格差を広げる要因です。
なぜなら、世界には水不足や食料不足に直面する人口が多くいる一方で、畜産には、大量の水や穀物が消費されているから。
SDGs(持続可能な開発目標)の『貧困をなくそう』というゴールにも示されているように、貧困を根絶することが求められるなかで、植物性の食事に切り替えることはサステナブル(持続可能)な未来のためにできることです。
世界的な平等性を実現するためにも、動物性タンパク質にこだわるのではなく、植物性の食事を受け入れる姿勢が求められているのではないでしょうか。
健康を維持するため
最後に、プラントベースな食生活は健康を維持する方法やダイエット法の一環として広がっています。なぜなら、動物性の食品が健康に影響を与えるという研究が増えているから。
加工肉が発がん性のある食品であったり、赤身の肉に潜んだ健康リスクなど、さまざまな研究結果が明るみになっています。
食から健康をつくることや、脂肪を抑えた食事でダイエットを目指すなどの理由で、プラントベースな食スタイルを選択する人が増えているのです。
健康のためだけでなく、世界的な課題を解決するなどの側面からも『プラントベース』な食事が注目されていることを、おわかりいただけたでしょうか?
ここまで読んでいただいて、プラントベースな食事が気になっている方のために、続いてプラントベースの食品例をいくつかご紹介します。
【厳選】プラントベースフード5選
最近、日本の市場にも広がりを見せるプラントベースな食品。
オンラインだけでなく、日本のスーパーでもプラントベースの食品を目にする機会が増えたのではないでしょうか?
今回は、編集部が厳選するおすすめのプラントベースフードを5つご紹介いたします。
1. Grino
Grinoはプラントベースフードの冷凍デリサービス。
国内外の代替肉を用いることで、お肉好きも満足させる商品を提供しています。サイトを見ると、味に関するレビューは上々。実際に編集部で試食もしましたが、野菜が美味しく、肉も感じられて味は抜群でした。
プラントベースを始めたいけど、どうすればいいのかわからない、もしくはミートフリーマンデーの実施を検討している方には特におすすめのサービスです。
2. GO:GOOD おいしいオーツ麦ミルク
日本のスーパーやカフェなどでも、牛乳ではない選択肢『植物性のミルク』を見かける機会が多くなってきたのではないでしょうか?
今回ご紹介するのは、コカ・コーラ社から発売されているGO:GOODのオーツミルクです。オーツミルクは、植物性のミルクのなかでも、環境負荷が特段と低いことや飲みやすい味付けから多くの支持を集めています。
パッケージのナマケモノも可愛くて、ついつい手に取ってしまいそうですよね。カフェラテ味も200mlから発売されているので、見かけた際はぜひお試しあれ。
3. BASE BREAD
続いてご紹介するのは、完全栄養食のBASE BREADです。ダイエッターや体を整えている方から注目されているこちらの商品は、ミネラルやビタミンなどの栄養素を豊富に含んでいます。
原材料は主に小麦で、バターを使用してはいますが、それ以外の動物性の原料は使っていません。健康目的でプラントベースな食生活を試してみたいという方にぜひおすすめしたい商品です。
4. ZENB NOODLE
ZENB ヌードルは、原材料に黄えんどう豆を100%使用したプラントベースの麺です。豆から作れた麺ということで、日本の市場では珍しい商品。ミツカン開発です。
麺類が好きだけれど、糖質が気になる方や、健康的に主食も楽しみたい方にピッタリなのが、ZENBヌードル。
また、グルテンフリーだったり、1食分に1/2日分以上の食物繊維が含まれていたりと、嬉しいことが満載です。ぜひチェックしてみてください。
5. マルコメの大豆肉
味噌製品でおなじみのマルコメからも、ダイズラボという大豆肉を使った商品シリーズが展開されています。
大豆肉の素はもちろん、ガパオライスやマーボーナス、そしてそぼろ丼にまでアレンジできる豊富なラインナップがある点が、おすすめしたいポイント。
代替肉をお家で楽しむとなると、ハードルが高いように感じることもあるかもしれませんが、レトルトシリーズで楽しめるとなると気軽に感じられますね。
このように、お家で気軽に楽しめるプラントベースの食品も多く登場していますが、友達と一緒に外食を楽しむ際にも、プラントベースな食事をおすすめいたします。
日本でプラントベースフードが楽しめるお店をご紹介
現在、日本国内ではどのような場所でプラントベースフードが楽しめるのでしょうか?プラントベースフードを試してみたいと思ってる方必見の、お店情報をお伝えします。
2foods
渋谷、東京駅、人形町、六本木に店舗を構える2foodsは、プラントベースなメニューにこだわったレストランです。
2foodsを経営する株式会社TWOは、大手食品メーカーカゴメとも植物性の食品開発に注力する提携を結んだ企業。
また、2foodsのコンセプトは、『刺激的なジャンクフード×健康的なプラントベースフード』であり、進化するプラントベースなメニューを楽しむことができます。
『まるでバターチキンカレー』など、再現性の高いプラントベースの料理は、若い世代を中心に、革新的であると注目を集めているので、興味のある方はぜひ訪れてみてください。
IKEA
次にご紹介するのは、北欧なテイストで人気の家具ブランドIKEA。IKEA渋谷店のオープンと同時に販売を開始したプラントベースのソーセージを使用したホットドッグ『べジドック』が人気です。
お値段も手頃なので、気軽にプラントベースな食品を試したい方やささっとランチを済ませたい方向けの商品です。
全国の店舗で楽しめるべジドックですが、渋谷店では10種類の味を楽しめるので、プラントベースのホットドックが気になる方は、店舗を選んで訪れることをおすすめします。
モスバーガー
参照:モスバーガー公式サイト
全国展開のハンバーガーチェーン店、モスバーガーからはバンズもパテも植物由来の食材にこだわった、プラントベースのバーガーが発売されています。
『MOS PLANT BASED BARGER グリーンバーガー』というプラントベースのバーガーは、主に野菜と穀物を原材料にしたバーガー。
野菜のピューレを練りこんだバンズや大豆が由来のパティはもちろん、にんじんやごぼうを使用したトマトソースにもこだわりが施されています。プラントベースのメニューを初めて試す方におすすめしたい商品です。
自宅でも、プラントベースフードを気軽に味わいたい方向けに、プラントベースフードを購入できる通販サイトをご紹介いたします。例えば、主食から調味料まで、幅広くプラントベースの食品を扱うVEGEWEL(べジウェル)などがあるので、気になった方は調べてみてください。
プラントベースの食事法と一緒に知りたい『ホールフード』
改めて、プラントベースとは植物由来の食材を中心に消費する食事法のことですが、それに付随して知っておいていただきたいアイディア『ホールフード』を最後にご紹介いたします。
ホールフードとは、食材を余すことなく、そのまま味わうことを意味する概念。
プラントベースホールフードとも言われ、多くの調味料を使用せずに、野菜を丸ごと味わう食スタイルのことです。添加物などを避けられるため、健康に良い食生活と言われています。
野菜を中心に摂取し、丸ごと消費する『プラントベースホールフード』を意識すると、食品ロスを削減するアイディアにも繋がりが出ます。
なぜなら、食材をそのまま味おうとすると、無駄といって捨てる部分がもったいなく思えてくるから。プラントベースホールフードを食生活に取り入れると、自分にも環境にも優しいライフスタイルが実践できます。
さいごに
今回は、環境にも健康にも優しい食事法『プラントベース』をご紹介いたしましたが、いかがだったでしょうか?
海外の市場で広がっていたプラントベースな食事ですが、近年は日本の市場でもよく見られるようになっています。当記事を通し、ヴィーガンやベジタリアンとのすみ分けも、理解いただけたら幸いです。
プラントベースな食スタイルは、完全に菜食主義的な食事ではなく、自分のためにも地球のためにも、気軽に始められる食生活なので、気になった方はぜひ試してみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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