FSC®認証とは?取得の条件と認証マークがついている商品を紹介
紙ストロー、紙パックドリンク、コピー用紙など、木材を原料として製造されている製品など、近ごろよく見られるFSC®認証。森を守るマーク、とも知られるFSC®認証は、適切な森林管理や持続可能な方法で調達される木材であることを示すマークです。
豊かで持続可能な森林を守っていく貢献ができるというこのFSC®認証ですが、いったいどのようなものなのでしょうか?
この記事では、FSC®認証について簡単に説明したのちに、FSC®認証がつくられた背景、身の回りにあるFSC®認証マークがついた製品についてまで、幅広くご説明します。
森林を保護するマーク、FSC®認証とは
参照:https://jp.fsc.org/jp-jp
まず、FSC®認証とは、FSC®(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)によって定められた基準をクリアした木材、製品に与えられる認証です。
FSC®認証を受けた商品には、FSCマークというロゴがつけられます。FSCマークとは、基準に沿って管理された森の木材からつくられた製品であることを示すマークです。
FSCとはどんな団体か
FSC®とは、責任ある森林管理が世界に広まっていくことを目標とした、国際的非営利団体(NPO)です。この団体が主体となって、FSC®認証を行っています。
では、FSC®認証が導入されるようになった背景にはどのようなものがあるのでしょうか?
あらゆる環境問題を軽減するためのFSC®認証
FSC®認証は、紙製品をつくるための木材を供給することによる、さまざまな環境負荷を減らす目的でつくられました。
森林消失
日本が主に木材を輸入しているインドネシアでは、2015年から2020年の5年間で、なんと1000万ヘクタールもの森林が消失しています。
東京都の総面積の約45倍にも及ぶ1000万ヘクタール分の木材は、全て紙製品の原料を確保するために伐採されました。
種の絶滅と生態系崩壊
森林が著しいスピードで減少していくと共に、生息地を失った野生動物が絶滅してしまっています。また、動物や植物が絶滅してしまうことは、生態系破壊とも深い関わりがあります。
さらに、生態系が崩壊していくと、水や土壌が劣化し、想定外の災害を引き起こしてしまうきっかけになりかねません。
絶滅危惧種に関してはこちらをご覧ください。
地球温暖化
森林消失と、種の絶滅により、ますますの悪化をたどるのが地球温暖化。
本来ならば、CO2を吸収する役割を果たしていた木々や植物が急激に減少していくことにより、CO2排出量過多が起こります。そして、地球上のCO2量が多くなってしまうため、地球温暖化が悪化してしまうのです。
上記で示した環境問題により、森林を保護する必要性が重要視され始め、FSC®認証がつくられたのです。
それでは、環境問題を悪化させてしまうリスクを削減するため、FSC®認証が設けている評価基準を次にご説明します。
FSC®認証には厳しい基準が設けられる
FSC®認証は、下記2つの厳しい基準をクリアした商品に与えられます。
- FMC認証(森林管理認証)(英訳:Forest Management Certification)
- CoC認証(英訳:Chain of Custody Certification)
ひとつずつ、簡単に内容を確認していきましょう。
森林を管理する人のためのFMC(森林管理認証)
まず、森林を管理する段階でFSCの原則と基準に沿った管理が行われているかが、審査対象になります。この段階で、審査対象になる項目が、下記のFSC®認証10の原則。
FSC®認証10の原則
- 法律とFSC®の原則の遵守
- 保有権・使用権および債務
- 先住民の権利
- 地域社会との関係と労働者の権利
- 森林のもたらす便益
- 環境への影響
- 管理計画
- モニタリングと評価
- 植林
- 保存価値の高い森林の保存
そして、森林管理が上記の10項目をクリアしたのちに、木の加工や売買プロセスが審査の対象になります。
木を加工する人、売買する人のCoC認証
FM認証の次の段階であるCoC認証では、製品が完成するまでの全プロセスにおいて、ルールを満たした木材だけを使って製造が行われているかが、チェックされます。
製材所、工場、加工を経て、小売店に並ぶまでの全過程が審査の対象。
1度認証を受けると、FM認証もCoC認証を受けると5年間有効ですが、これを維持するためには1年に1度継続の審査を受ける必要があり、かなり厳しい基準です。
これほどの厳しい基準をクリアしてまで、FSC®認証を獲得するメリットはどのようなものなのでしょうか。次に、FSC®認証を商品につけるメリットをご説明します。
企業と消費者、双方にメリットをうむFSC®認証商品
FSC®認証商品を製造すること、消費することは、企業側と消費者側の双方にメリットがあります。
まず、企業にとってのメリットは、FSC®認証商品を製造することによって、環境保護をしている、サステナブルな企業であるということを、消費者や社会に伝えることができること。
製造メーカーが、自社の商品にFSC®認証マークをつけることだけではなく、名刺やコピー用紙など、使用する備品をFSC®認証マークがついている物に変えるだけでも、森林を守ることにつなげることが可能です。
そして、消費者にとってFSC®認証マークがついている商品を購入することは、豊かな森林を次世代まで引き継ぐことができるメリットがあります。
では、どんな身近な商品にFSC®認証マークがついているのでしょうか。次では、いくつかの事例をご紹介します。
FSC®認証されているアイテム
FSC®認証マークがついている商品やアイテムとして、下記が挙げられます。
- 紙ストロー
- コピー用紙
- 紙パックドリンク
- トイレットペーパー
まず、多くのカフェで導入が進んでいる紙ストローも、FSC®認証されているストローが増えてきています。2020年末まで全店舗において紙ストロー化を宣言したスターバックスは、FSC®認証された紙ストローを提供しています。
コピー用紙に関しても、再生紙やリサイクル紙のマーク等と一緒に、FSC®認証マークがついている商品が販売されています。
上記で挙げたアイテムのように、木材を原料とした商品にはFSC®認証マークがついている場合があるため、購入する前に1度チェックすることで、持続可能な森林をつくるための貢献が可能です。
さいごに。FSC®認証されている商品を消費しよう
こちらまで、FSC®認証についてご説明しました。
ひとりひとりができることは、FSC®認証マークがついた商品をできるだけ消費するということです。
商品を購入する際に、値段が安いから、お得だからという理由で選択するのではなく、FSC®認証をはじめとする環境や社会に配慮した認証をされている商品なのか。
このような基準を設けてお買い物を楽しむということが、個人にできる小さく見えて、とても大きな貢献です。
知らぬ間に環境破壊に加担してしまう消費を避けるために、FSC®認証がある製品を消費してみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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