動物実験とは?実態と必要性、代替に向かう世界の流れを解説!

エシカル

医学や科学の発展に寄与する一方、その残虐的なイメージから反対する人も多い動物実験。

本記事では、そんな動物実験に関して、 その必要性や問題点、倫理的側面や世界の流れなどに関して様々な角度から解説いたします。

なおこの記事は、 動物実験に対して一方的に反対するものではなく、あくまで検証可能な事実を元に構成されています。

動物実験とは?

動物実験とは、化粧品や化学物質など人に適用する前に、動物で試して反応を見ようとする実験のことです。

人間で臨床実験を行う前に実施されることも多く、 前臨床実験と呼ばれたりもします。

必要性とそのメリット

動物実験の必要性はどこにあるのでしょうか。

(1)神戸大学医学部によれば、動物愛護の観点に理解を示した上で、動物実験が近代の医療を大きく進歩させ、多くの病気とそれに対する治療や医療の発展に貢献したとし、動物実験の必要性を訴えています。

また国際条約であるヘルシンキ宣言では、公衆衛生の発展に寄与する動物実験は、必要なものとしてやむを得ず実施するものとしています。

人間を対象とする医学研究は、科学的文献の十分な知識、その他関連する情報源および適切な研究室での実験ならびに必要に応じた動物実験に基づき、一般に認知された科学的諸原則に従わなければならない。研究に使用される動物の福祉は尊重されなければならない。

—ヘルシンキ宣言 科学的要件と研究計画書 21.(日本医師会ウェブサイトより)

 

(1)参照:https://www.med.kobe-u.ac.jp/

一方で有用性を疑う声も存在する

上記のように、動物実験の必要性を訴える論調がある一方、動物実験で得られた結果は、必ずしも人間に当てはまらないとして、動物実験の有効性を疑問視する声もあります。

また、動物愛護の観点からその必要性を否定する論調も存在するのも事実。中には、大学の研究室に侵入し、動物実験のために用意された動物を解放したりと、反対運動を行う団体もいるほどです。

動物実験は何が問題?

このように議論を起こす動物実験ですが、いったい何が問題なのでしょうか。ここでは動物実験の問題を、動物福祉の観点と、 倫理上の観点から見ていきたいと思います。

(2)参照:https://diamond.jp/articles/-/214088?page=2

動物福祉の観点から

動物福祉の観点においては、実験の際に受ける苦痛が問題として挙げられるでしょう。

実験によっては後遺症が残ったり、最悪の場合、回復の見込みがなければ安楽死という手段をとることさえあります。 このような事実から、 動物のQOL( Quality of Life) を著しく阻害するとして問題だという意見があるのです。

倫理上の観点から

また、 動物には人間からの虐待や残虐な扱いを受けることなく、生きる権利、アニマルライツがあるとして、 倫理上の観点から動物実験に反対する意見もあります。

 

人間に例えると残酷さがわかる

このような倫理的な観点から、動物実験は廃止すべきだと訴える大手ボディケアメーカーのLUSHが、動物実験を人間で行うというパフォーマンスを展開したことがあります。

動画はこちら

実験台となっている女性はパフォーマンスアーティストで、このパフォーマンスも安全性を十分考慮した上で行われていますが、それでも人間が実際に残虐な扱いを受けているのを見ると、胸が痛む方も多いかと思います。

これだけのことを、動物に行っていると考えると、改めて動物実験の是非を考えるきっかけになるかもしれません。

動物実験の代替法、3Rの観点を紹介

このように倫理的な問題を含む動物実験ですが、 代替法として3Rが提唱(1959年にイギリスの研究者Russell and Burchによって)されています。

3Rとは、Replacement、Reduction、Refinementの頭文字をとったもので、以下のような対応のことを指す代替法です。

Replacement(代替):できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること
→意識・感覚のない低位の動物種、in vitro(試験管内実験)への代替、重複実験の排除

Reduction(削減):できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること
→使用動物数の削減、科学的に必要な最小の動物数使用

Refinement(改善):できる限り動物に苦痛を与えないこと
→苦痛軽減、安楽死措置、飼育環境改善など

中部大学 実験動物教育研究センターより

現在はこの代替法である3Rの遵守が国際的な流れであり、行政や民間で広がりつつあります。

 

EUでは?日本では?世界的な流れを見てみると

EUの旗
ここまで動物実験に関してその必要性を問題を見てきましたが、ここで実際に世界の流れを見ていきたいと思います。

結論から言うと、世界的には動物実験を廃止する動きが活発化しており、EUでは2013年から既に、化粧品に関わる動物実験は完全に禁止。

また、(3)EUは世界的にも動物実験を全面禁止とする規制を呼びかけており、2023年での実現を目指しています。

(3)参照:https://www.europarl.europa.eu/doceo/document/TA-8-2018-0202_EN.html

日本はこれからの発展に期待

一方で日本では、動物実験を禁止するような動きは活発には見られていません。

欧州をはじめ、世界的には動物実験をしていない(クルエルティフリー)の製品が市場に受け入れられていますが、日本で認知はまだまだ低いと言わざるを得ないでしょう。

さいごに。クルエルティフリー(Cruelty-free)という選択肢

この記事では動物実験に関して、必要性は問題点、また世界の動きを見てきましたがいかがでしたか。

先述のように、世界は動物実験をなくす方向に動いていて、クルエルティフリー(Cruelty-free)の商品が存在感を高めています。日本でもこれからますます、クルエルティフリーという単語を聞くことは多くなると思いますし、 より多くのクルエルティフリー商品が市場にでもあると思います。

もしこの記事を読んでいるあなたが、動物実験の実態を知って、何か思うことがあるのであれば、明日からクルエルティフリーの商品を使ってみるのはいかがでしょうか。

クルエルティフリー(Cruelty-free)の詳細はこちら

それでは最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

               
ライター:Sohshi Yoshitaka
Ethical Choiceの初代編集長。2030年までに地球が持続可能になる土台を、ビジネスを通して作ることがミッション。

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