1日あたりのYoutubeの動画視聴時間は世界合計で10億時間以上、月間視聴者数は19億人以上。Youtubeは視聴時間・視聴者数ともに拡大し続けている、言わずと知れた超巨大動画プラットフォームです。
Youtubeビジネスと言うと年間●億円を稼ぐユーチューバー(Youtuber)などを想像する方もいますが、企業にとってはWEBサイトへの集客、商品販促などのマーケティング活動でも利用価値の高い、魅力的なプラットフォームです。
このページではYoutubeマーケティングの最新動向を紹介するため、当社EXIDEAが2019年3月にアメリカ・サンディエゴで参加したソーシャルメディアマーケティング関連イベント「Social Media Marketing World
2019」で行われたセミナーの中から、Youtubeを企業のビジネス・マーケティング活動に活用する具体的な方法やアメリカ企業の成功事例などを紹介します。
企業・ビジネスに有効活用したい!Youtubeマーケティング
Googleに次ぐ、世界で2番目に大きな検索エンジンでもあるYoutube(ユーチューブ)。世界全体での月間視聴者数は19億人以上、日本国内でも月間6,200万人とすでに膨大なトラフィックのあるプラットフォームです。
また2019年時点で登録者数100万人以上のYoutubeチャンネルは世界で1万以上あり前年と比較して2倍に増加、Youtubeはさらに拡大を続けています。
例え、動画マーケティングに興味・関心が無くても、これだけ巨大なプラットフォームを企業・ビジネスのマーケティングで有効活用しない手はありません。
当社EXIDEAがアメリカで参加したカンファレンス「Social Media Marketing World 2019」のセミナーでもYoutubeマーケティングの活用で売上拡大に成功した事例が多数報告されました。
Youtubeビジネス=ユーチューバー(Youtuber)?
Youtubeでビジネスをする・売上を創るというと、人気のユーチューバー(Youtuber)を想像する方もいるかも知れません。確かに話題の動画を数多く制作、動画再生に伴う広告収入などで大きな収益を上げるユーチューバー(Youtuber)も多数います。
ただし、企業にとってのYoutubeビジネスやマーケティングは、自社の商品・ブランドのチャンネル開設、動画のアップだけではありません。Youtube広告の活用など、自社のブランド認知の拡大、製品・サービスの販促、WEBサイトへの集客などさまざまな目的でのマーケティング施策が考えられます。
Youtubeでは「どの商品を買うべきか?」系の動画再生時間が2倍に
特に注目すべき点が、最近のYoutubeでは「どの商品を買うべきか?」(Which Products To Buy?)といった内容の動画の再生回数が前年の2倍以上のペースで増加、Youtubeの動画を通じて消費者がどの商品を購入するかの意思決定をするケースが増えている様子。
同様に「●● おすすめ」(英語圏では「best
●●」)などのYoutube上でのキーワード検索も急速に増加しています。このため特に一般消費者向けの商品を扱うメーカーや販売業などの企業・ビジネスでは、Youtubeマーケティングが欠かせないものとなりつつあります。
Youtubeマーケティングで幼児向け商品の販促に成功した事例
幼児向けのトイレ商品の動画ですが、動画アップ後の1年間だけで4,500万ドル(約5,000万円)の売上を創出。
最後まで視聴者を惹き付ける面白い内容に加え、商品販促というマーケティング目的のもと、WEBサイトへの誘導などが十分に意識され制作されたコンテンツです。
マーケティング目的(WEBサイト集客・商品販促)の明確化がポイント
一方、一言でYoutubeマーケティングの活用と言っても、その目的ごとにYoutube上の施策が異なるため目的の明確化が重要。
自社ビジネス(商品やブランド)のファンを増やすマーケティング目的であれば、Youtubeチャンネルを開設して話題になるような動画を多数アップ、コメント欄などを通じてファンと交流・コミュニケーションを深めるのも1つの方法。
また短期的なWEBサイトへの集客や商品販促が目的の場合、Youtube広告の活用は効果的なマーケティング手法の1つです。
Youtubeマーケティングに効果的な動画コンテンツ制作方法
目的により動画コンテンツの制作内容は違いますが、Youtubeマーケティングでは基本的に長時間、視聴者のエンゲージメントを獲得できる(ユーザーの再生時間が長い)コンテンツが効果的。
以下では動画そのものの制作内容よりも、制作した動画のYoutubeでの再生回数を最大化、マーケティング効果を最大化する方法に注目して紹介します。
FacebookとYoutubeでのユーザーの動画視聴の違い
企業・ビジネスにとって、制作した動画のアップ先にはFacebookやYoutubeなどのプラットフォームが考えられますが、プラットフォームによってユーザーの動画視聴の仕方に大きな違いがあり、その違いを把握した上で最適な動画コンテンツの制作方法を考える必要があります。
例えばFacebookとYoutubeの比較で、「動画を観たい」という明確な目的のあるYoutubeユーザーに対し、Facebookユーザーの場合は空いた時間に友達の近況やメッセージを確認するためにアプリを起動するもの。
このためFacebook向け動画はより再生時間を短くし、音声なしで理解できるように字幕を付けるなどの制作方法が必要です。
一方、Youtube動画では再生時間や字幕の点でFacebookのような制作方法の注意点はありませんが、次々とおすすめの動画がレコメンドされるため、制作した動画コンテンツがユーザーにとって面白くなければ動画の再生時間は伸びません。
動画コンテンツの発見・再生にはSEO(検索エンジン)対策が重要
また良い動画コンテンツを制作しても、動画コンテンツがYoutube上で発見・再生されなければマーケティング効果はありません。
Facebookの場合はタイムライン上に動画が表示されますが、Youtubeではおすすめ動画に表示されるか、キーワード検索結果で上位表示される動画でなければ再生回数が増えません。
つまり、Youtube上で動画コンテンツの発見性を高めるにはWEBコンテンツと同様、SEO(検索エンジン)対策が重要です。
Googleが運営するYoutubeだけに、Youtubeのおすすめ動画などの表示ロジックにはGoogleのAI技術が採用されています。このAIが各ユーザーにとって何が良い動画コンテンツかを判断、各ユーザーへのおすすめ動画の表示優先度を決定します。
さらにYoutubeは大量のユーザー視聴データをもとに、リアルタイムにおすすめ動画の表示アルゴリズムを変動させています。またYoutubeのトップページは200万通りの表示ロジックがあると言われており、それも日々変化しています。
結果、Youtubeで再生・視聴される動画の70%がおすすめ動画から再生されるものだそうです。
Youtubeユーザーが興味を持つ動画コンテンツの制作が効果的なマーケティングに
WEBコンテンツのSEO対策と同様、YoutubeマーケティングのSEO対策でも重要なのが検索キーワードの選定や各キーワードの検索回数。
再生回数を増やすにはYoutubeユーザーが興味を持つ、検索回数の多いキーワードをテーマに動画コンテンツを制作する方法が最も効果的です。
Youtubeの検索キーワードは、検索ボックスに表示されるサジェストキーワードを調べるほか、Youtubeに特化したキーワードリサーチツールもあります。
さらにYoutube動画はGoogleとの親和性も高いため、Youtubeにアップした動画がGoogleの検索結果に表示される可能性もあります。
あるキーワードでGoogle検索をして、事前にYoutube動画が上位表示されているか確認することもおすすめの方法で、Google検索結果にも動画が表示されるようなキーワードで対策した動画コンテンツ制作は、さらに大きなマーケティング効果を生みそうです。
動画コンテンツの視聴・再生時間を最大化する
またYoutubeのAIが良い動画コンテンツかどうか判断するロジックの1つが動画再生時間。ユーザーの視聴時間が長い=ユーザーが満足している良いコンテンツと捉えられます。
つまり、そもそもの動画制作でもYoutube上のSEO対策でも、最も重要なのはユーザー満足度の高い動画を制作すること。再生時間が長ければYoutubeによる評価も向上、マーケティング効果が高まります。
Youtube Analyticsで視聴時間データを確認、SEO対策に活用
ユーザーの視聴・再生時間の最大化がSEO対策・マーケティング効果の最大化に繋がるため、Youtubeが提供する分析データ(Youtube Analytics)の中でも視聴維持時間の確認が非常に重要です。
視聴維持時間のデータからは何人が動画の最後まで視聴したかが分かります。再生時間の経過とともに視聴人数は減少・離脱していきますが、平均視聴時間が動画再生時間の6割程度が良い動画の目安とのこと。
CTRを最大化するタイトル・サムネイル画像・紹介文を作成
Youtubeの画面上で自社の動画コンテンツが表示されても、クリックされなければ(CTRが低ければ)再生回数は増えず、マーケティング効果も上がりません。
逆に、クリックされやすい(CTRが高い)動画コンテンツは再生回数を伸ばしすく、またYoutubeのSEOアルゴリズムでも優遇されるため、さらに再生回数が増える傾向。
このようなCTRの最大化には、タイトル・サムネイル画像・ディスクリプション(動画の紹介文)を見直し、最もユーザーの興味を喚起できる内容で作成することがマーケティング効果の最大化に必要です。
例えばYoutubeの利用は約8割がモバイル経由と言われており、動画のサムネイル画像はモバイルでも最適に表示される、見やすい画像の制作が重要。
ただし、動画の視聴回数が増えても再生時間が低下してはマーケティング面では意味がないため、サムネイル画像は動画内容に沿ったものを制作することが前提です。
Youtubeで効果的な動画を制作する方法では、動画そのものの制作も重要ですが、同じくらいSEO対策を意識したタイトル・サムネイル画像・紹介文の作成も重要です。
Youtube広告の利用方法と成功ノウハウ
膨大なトラフィックが魅力のYoutubeマーケティングですが、動画コンテンツの数も膨大で、単純にチャンネルを開設・動画をアップしただけでマーケティング効果を短期的に生み出すことは難しく、Youtubeのトラフィックを売上に短期で直結させるには、マーケティング方法にはYoutube広告の利用もおすすめの方法。
以下ではYoutube広告の利用方法や成功のためのノウハウを紹介します。
Youtubeが提供する広告の種類と動画再生時間による課金
Youtubeはさまざまな種類の広告枠を提供しており、それぞれ表示箇所や課金形態が異なるためマーケティング目的にあった最適な広告枠の利用が重要です。以下で主要な3つの広告種類の概要を紹介します。
Youtube広告名 | 広告イメージ | 内容 |
---|---|---|
インストリーム広告 | ユーザーが視聴する動画本編の前後または途中に挿入される広告。広告が5秒間再生された後にスキップ可能なものと、スキップ不可の2種類がある。 | |
バンパー広告 | 最長6秒間の動画広告で、ユーザーはスキップできず最後まで再生しないと動画本編を視聴できないもの。課金はインプレッション単位で、端的なメッセージで幅広いYoutubeユーザーにブランド認知を広めるマーケティングに効果的。 | |
ディスプレイ広告 | 動画再生部分の右側、Youtubeのおすすめ動画一覧の上や、Youtubeの検索結果ページなどに表示される広告枠で、課金はクリック単位。Youtube内の自社動画再生ページへの集客におすすめ。 |
ユーザーが動画広告を十分視聴する、またはクリックしない限り課金されないのが特徴
Youtube広告で特徴的なのが、インストリーム広告におけるCPV(Cost Per View)課金。以下のように動画広告をユーザーが十分に視聴する、または広告クリックなどのアクションをしない限り、課金されない点が特徴です。
ユーザーの広告視聴時間が短い、または広告をクリックしない場合、企業は課金されません。
- ・ユーザーが動画を30秒間(30秒以内の動画の場合は全編)視聴
- ・ユーザーが広告をクリック
Facebookの場合、3秒間の再生で1視聴とカウントされ課金対象になることと比較すると、Youtubeマーケティングの方が動画広告内容をユーザーにより確実に伝えられると言えます。
なおアメリカの場合、Youtubeの1視聴あたりの広告コスト(CPV)の目安は「$0.03~$0.19」(数円~20円程度)。
Youtube広告で企業認知が進み、ブランドクエリの検索数が4倍に増えた事例も
Youtubeマーケティングの効果は、直接的なWEBサイトへの集客、商品販促に留まらず、自社の企業認知やブランド認知にも効果的との事例も多数あります。
YouTube広告の実施後、Googleでの自社ブランド名の検索数が4倍に増えた企業の事例や、商品名のクエリがGoogleトレンドで2倍に増えた事例が「Social Media
Marketing World 2019」のセミナーで共有されました。
ターゲティングを利用、効果的な広告コンテンツの配信が可能
Youtubeでの広告マーケティング効果を高めるため、ターゲティング配信機能も利用可能です。年代や学歴などの属性情報でのターゲティング広告配信も可能ですが、Youtubeでは以下のようなオーディエンスターゲティングによる広告配信方法も利用できます。
カスタム・インテント・オーディエンス(購買意向)
ある特定のカテゴリの商品に対する購買意向の強いYoutubeユーザーにターゲットを絞った広告配信が可能です。これは「パレル、アクセサリ」や「コンピュータ、周辺機器」、「不動産」、「家庭、園芸」などの中から特定のジャンルを指定、これらのジャンルの情報を積極的に調べているYoutubeユーザーに広告を配信する方法です。
カスタム・アフィニティ・オーディエンス(興味・関心)
Youtubeユーザーの興味・関心、習慣でターゲティング、広告を配信することも可能です。「テクノロジー」「ニュース、政治」「フード、ダイニング」「メディア、エンターテイメント」など細分化された100以上の項目でターゲティングが利用可能になっています。
キーワード・トピックを指定したターゲティング
複数のキーワードやトピックを指定することで、特定のキーワードやテーマに合致するYoutube動画、Youtubeチャンネルに動画広告を配信する方法も可能です。
プレースメント(特定のYoutubeチャンネルや動画をターゲット化)
プレースメントを利用すると、特定のYoutubeチャンネルやYoutube動画の視聴者をターゲットに動画広告を表示する方法が可能。例えば、自社のターゲットユーザーがよく視聴していそうなYoutube動画やチャンネルを指定、マーケティング広告を配信する場合に利用できます。
以上、企業・ビジネスにとってのYoutubeマーケティングの活用方法や成功事例を、2019年3月にアメリカ・サンディエゴで開催されたソーシャルメディアマーケティング関連イベント「Social Media Marketing World
2019」から抜粋して紹介しました。